MYTHOS THEATRE   作:飛翔するシカバネ

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歪なる鬼の舞⑦

一方その頃、墓場では。

 

 

森を切り開いた場所に墓場があった。

 

 

3人が訪れると紅璃が母の墓を水で清め、花を添えていた。

 

静謐な風景だが少女を中心として異様な赤いもやが渦巻いている。

 

この墓場いると妙な悪寒を感じる。

 

 

「本当に彼女は禁書を持ってないのか?」

 

明らかに異質。

そんな感想に疑問を覚えてしまう。

 

「うん、全然違うところにあると思う。村全体が禁書の香りがしても至近距離なら分かるから。それに彼女は役者というより……」

 

そこまでウィルバーがいったところで叶彗は気づく。

紅璃周りには赤い小鬼が群れを為していることに。

 

小鬼は嬉嬉として地面を掘り返している。

 

そこからは無数の骨が掘り出される。

そしてその骨は数もさながら老若男女問わず、大量に発掘される。

 

多数の行方不明者。

 

小鬼たちが乱暴に掘り返して暴かれるのを見るとマトモに埋葬したのではなく、無造作に捨てられ埋められたものだろう。

 

そしてカタカタと、音が響く。

 

骨は宙に、浮かび上がり人の形を成す。

人の形を成すと頭部に角が出来上がる。

それはまるで人が鬼になったようだ。

 

そんな鬼の骨、鬼骨は2体立ち上がった。

 

 

骨が浮かび上がった光景は紅璃にも見えているのか衝撃を受ける。

 

しかし、何か思い直したのかその場から離れようとする。

 

「やっぱり、早く私が封印しないと……」

 

 

鬼骨たちは叶彗たちに標的を定めた。

 

「戦闘か……タイプは前衛型のノーマルエネミーと小型のボスエネミーか。前衛と後衛に別れてるが……敵じゃないな」

 

叶彗は腰につけてあるホルダーからコインを取り出す。

 

銀色に光るコインは木々の隙間から差し込む光に反射して妖しい存在感を放っている。

 

「戦闘は苦手だから頼んだ!」

 

ウィルバーはサムズアップで年下の叶彗に全てを任せる。

 

「ああ、囮頼む」

 

「囮?」

 

 

ウィルバーが気づいた時には小鬼は彼のすぐ側にいた。

 

戦闘を任された叶彗は離れ、後方から鬼骨たちを見ている。

 

雅司は更に後方の草むらに隠れている。

ウィルバーはその姿を発見することもできない。

 

 

「え?え?……えっーーー!!!」

 

困惑するウィルバーに殺到する拳と飛んでくる骨。

攻撃を食らう度に痛みではなく、何かを喪失、汚されてい。

 

 

そんな中、叶彗は冷静に砲台のように腕を構える。

 

この手は射出台。

 

弾丸はコイン。

 

その原動力は我が神だ。

 

 

「メサイア様」

 

 

左手で本を開く。

パラパラとページがめくれる。

 

 

黄色いローブをつけた男とも女とも取れない謎の人型が出てくる。

人型の顔はフードで隠れており、まるで深淵のように真っ暗で顔を見ることはできない。

 

「《眷属召喚》」

 

メサイア様と呼ばれたそれは手をかざす。

 

そこから垂れるように黒い水が地面に落ちる。

落ちた水は形を成す。

 

それは一つ一つが小さな化けものの様な姿をしている。

 

地面だけでなく、垂れた水は叶彗にも当たる。

そして、直ぐに気化する。

 

蒸発と共に自身の記憶が黒く塗りつぶされるような錯覚を覚える。

 

黒い生物は鬼骨に群がる。

 

鬼骨は動きを阻害され、満足に動けない。

 

そしてその頭部にコインが飛来する。

 

 

叶彗はコインを弾いた。

上ではなく前方に。

 

 

常人ならすぐさま落ちるコインは真っ直ぐ飛び、鬼骨の頭部に命中する。

 

頭部の角を折り、額に当たるが応えて無いのか鬼骨は戦闘態勢を続ける。

その時には黒い生物を振り払っていた。

 

ウィルバーも攻撃を受けながらもパンチを鬼骨に当てる。

 

しかし、ピンピンとしたように襲いかかる。

 

 

ドシャリ、と音がする。

 

後方にいた鬼骨がバラバラに崩れ落ちている。

 

頭蓋骨は砕けて再起不能といったところか。

 

骨の近くにはコインが2枚落ちていた。

 

 

やられた同胞に気が散ったのか、隙が生まれた。

 

そこにすかさずパンチを入れるウィルバー。

 

頭だけ飛び、制御を失ったのか体は崩れ落ちた。

 

 

 

「戦闘終了」

 

「いやー見事ナックルパンチが当たったよ」

 

骨を素手で殴って痛かったのか手を撫でるウィルバー。

叶彗は落ちた2枚のコインを拾い上げる。

 

「終わったのか…?」

 

雅司は草むらから出てくる。

 

「こんなのはお遊び程度だ」

 

「マジで!?」

 

驚いているのはウィルバー。

 

「それより……」

 

叶彗は辺りを見渡す。

 

既にそこには紅璃の姿は無かった。

 

 

「神社に行くか」

 

「危険かも知れないから雅司さんは時雨さんと合流してきてね」

 

 

雅司と別行動をし、神社へ向かう2人。

 

空を見上げると日は傾き始めていた。

 

 

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