大日本帝国召喚【リメイク版】   作:ゼロ総統

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第1章 異世界転移
プロローグ


〜西暦2014年12月31日〜

 

 

 大晦日の深夜、間もなく今年が終わり、新年を迎えようと多くの国民が様々なイベントで盛り上がる、丁度その頃。

 

 

「福島の第6機動科連隊を除く全部隊の展開が完了しました。遅れている第6機動科連隊も、間もなく展開が完了するとのことです」

 

「第1、第2、第3艦隊の出撃準備完了、その他各艦隊は所定の海域にて待機中」

 

「全航空団が各基地にて出撃待機中、命令と同時に偵察飛行隊が出撃できます」

 

 防衛省内に設置された特務作戦司令本部では、多くの職員がモニターを監視し、随時報告を挙げていく。その光景を難しい表情で見守るのは、大日本帝国国防軍全軍を指揮する藤堂 平九郎(とうどう へいくろう)統括司令長官その人である。

 

「いよいよだな…今回の件で、我が国は殆どの国からの信用を失ってしまった。だが、もし本当にあんなことが起きてしまうのであれば、我々は選択を余儀なくされるだろう」

 

 藤堂は今日までの苦労を思い浮かべ、そしてこれからあるだろう多大な苦労を想像し、なんとも言えない表情を浮かべた、その時。

 

「何、それは本当か!?…了解した、すぐに伝える…横須賀基地より緊急電!横須賀基地所属の全艦隊がオーロラらしき現象を確認!そのオーロラは横須賀基地からも視認できるとのこと!原因は不明!!」

 

「同じ内容の報告が、大湊、舞鶴、呉、佐世保からも送られてきています!!」

 

「各種衛星との通信途絶!これより復旧作業に入ります!」

 

「韓国軍との通信途絶!繋がりません!」

 

「直ちに原因の解明を開始せよ。それと、すぐに官邸に連絡を!」

 

 藤堂の迅速な指示により官邸に事態の報告が伝えられたが、官邸には他にも、外務省、国土交通省、気象庁等の省庁からも報告が上がっており、官邸は大混乱に陥っていた。

 

 そもそも何故このようなことになっているのか。それを説明するには、少しだけ昔の話をさせてもらいたい。

 

 

 

 

 

〜西暦1885年12月22日〜

 

 

 大日本帝国にて伊藤 博文(いとう ひろふみ)が初代内閣総理大臣に任命され、第1次伊藤博文内閣が発足したその日の夜、彼は夢の中で本棚に囲まれた部屋の中に立ち、そこで不思議な少女と遭遇した。

 

 少女は近くの本棚から1冊の本を取り出すと、伊藤に向き直り歩み寄ってきた。

 

 

ーようこそ、僕の世界へ。

 

 

 頭の中に響く幼い声。目の前の少女の声なのだろうが、少女の口はまったくと言っていいほど動かされてはいない。ずっと微笑んだままだ。

 

「君は誰かね?それに、君の世界とはいったい…」

 

 伊藤は当然とも言える質問をするが、少女は少しだけ考えるそぶりを見せるもその問いに答えることはなく、手に持った本を開いた。

 

 

ーえっと…今から2日後、無人の貨物船1隻が東京湾内に出現します。輸送船には貴方達の役に立つ筈のものがいっぱい積載されているので、それを活用して頑張ってください。

 

 

「ま、待ってくれ!それはどういう…」

 

 訳のわからず伊藤が問い詰めようとした時、ふわりと浮かび上がるような感覚に襲われ、気が付くと自室の布団の中で横になっていた。

 

 何とも不思議な夢だったと内容を思い出す伊藤であったが、それから丁度2日後、なんと東京湾にて無人の貨物船が発見されたと海軍から報告が上がったのだ。

 

 その後、海軍に貨物船の回収を指示を出した伊藤は、伊藤博文内閣の各大臣を集めて夢の内容を話すことにした。自分で話していながらも理解されないだろうなと思う伊藤であった…のだが。

 

「そ、それでは…総理もあの少女と会われたのですか!?」

 

「外務大臣のいう少女と一致するかはわかりませんが、子供と出会いました…ッまさか貴方も!?」

 

「ま、まってください!総理!その少女は、本棚に囲まれた部屋に居ませんでしたか!?」

 

「は、はい!その通りです!と言うことは、あなたもですか!?海軍大臣!?」

 

 次々に発覚する事実。政府の要人全員が、全く同じ夢を見ていたのだ。流石に事が事なだけに、伊藤はこの事を報告すべく天皇陛下の下へ向かった、すると。

 

「朕は此度の事態を、2日程前より把握していた。そなたの申す、夢の少女によってな」

 

 伊藤は目眩がした気がした。それもそうだ、政府の要人全員が見て、大日本帝国のトップである天皇陛下が見ない筈がないのだ。

 

 その後、天皇陛下の御言葉を得て回収された貨物船を調査すると、貨物船からは大量の本や設計図らしき物等が発見された。

 

 回収された本を各専門家に見せてみると、皆が皆一様に目を見開き、食い入るように本を読み進めていった。とある造船に関する専門家はこう語る。

 

「ここに書かれていることが事実であれば、我が国の造船技術は30……いや、50年は進むだろう」

 

 とある軍事専門家はこう語る。

 

「これまでの常識が一切通じなくなる。これが実現できれば、我が国は強力な軍事国家へと発展するだろう」

 

 これらの意見から、各種資料は厳重に管理され、大日本帝国はゆっくりと、それでも史実以上の発展を遂げることとなる。

 

 

 

 

 

〜西暦1905年5月27日〜

 日本海

 

 

 あれから20年の時が経った。大日本帝国海軍連合艦隊司令長官である東郷 平八郎(とうごう へいはちろう)海軍大将は、自身の乗艦する戦艦〈三笠〉の艦橋から、バルチック艦隊のいると思われる方角を見つめていた。

 

「東郷司令、警戒中の味方潜水艦がバルチック艦隊と思われる艦隊を発見、艦隊はこちらに向かい航行中とのことです」

 

 通信員の報告を受け、東郷は目を細めた。

 

「よもや、上層部の言う通りになるとはな…全艦第一種戦闘配備!」

 

 東郷の指示を受け、各艦で乗員が慌ただしく行動を開始する。

 

「上層部の報告が全て正しいのであれば、敵の戦艦は前弩級クラスが8隻……対してこちらは超弩級クラス2隻に弩級クラス4隻の6隻。数でこそ劣りますが、質や練度はこちらが圧倒的上です」

 

「油断は禁物だ。戦場では何が起こるかわからんのだよ」

 

「はっ、失礼しました」

 

 副官を窘める東郷であったが、東郷自身もまた、負ける気は微塵も感じていなかった。技術レベルは既に2、30年近く離れており、今なおその差は開き続けている。

 

 今回の海戦においても、こちらは最新鋭戦艦〈三笠〉を含めた連合艦隊56隻に対し、敵は前弩級戦艦8隻を含むバルチック艦隊58隻。数では劣るものの、負ける要素はほぼ見当たらない。

 

「敵艦隊、こちらの有効射程圏内に入りました!」

 

「砲撃よーい…撃ち方、始め!!」

 

 東郷の合図と同時に、戦艦〈三笠〉自慢の35.6㎝連装砲4基が火を吹いたのだった。

 

 

 

 

 

〜西暦1941年12月8日〜

 大英帝国 ポーツマス海軍基地

 

 

 あれから更に時は流れ、大英帝国最古の海軍基地、ポーツマス海軍基地。ここには戦列艦ヴィクトリーや装甲艦ウォーリア等、著名な展示物が存在している。

 

 現在ポーツマス海軍基地には大英帝国の誇る本国艦隊の他、太平洋艦隊の規模を縮小して、代わりに規模を増大したアメリカ海軍大西洋艦隊。そして、最新鋭艦艇を多数含んだ大日本帝国海軍欧州派遣艦隊の姿があった。

 

「素晴らしい…まさか生きている間に、これ程の艦隊をお目にかかれるとは…」

 

 大日本帝国海軍が建造した最新鋭戦艦〈越後〉の艦橋から、派遣艦隊司令長官である山本 五十六(やまもと いそろく)海軍大将が軍港に停泊する艦艇群を眺めていた。

 

 自国の建造した戦艦〈越後〉もさることながら、アメリカ海軍が建造した最新鋭戦艦〈コロラド〉や、イギリス海軍が建造した巡洋戦艦〈フッド〉など、各国の最新技術の詰まった艦艇を含んだ艦隊は、彼に大きな心強さを与えた。

 

「山本司令、間もなくお時間です」

 

「わかった…全艦出撃!目標、ドイツ第3帝国!!」

 

 山本の号令と共に、欧州派遣艦隊は出航していく。ドイツ第3帝国を目指して…。

 

 

 

 

 

〜西暦2013年4月15日〜

 

 

 時代は代わり、時は現代。

 第96代内閣総理大臣に任命された今村 正治(いまむら まさはる)は、夢の中で不思議な少女と遭遇していた。

 

 歴代内閣と天皇陛下の夢の中に現れると言い伝えられてきた夢の少女。今村も着任時に前任総理から引き継がれた話であった為、落ち着いた対応がとれていた。

 

イズル(・・・)様……ですね?」

 

 イズル……呼び名のない少女を不憫に思った天皇陛下から送られた、少女の名前である。様付けなのは、初代から続く伝統のようなものだ。

 

 

ーこんばんは、新しい総理大臣、今村 正治さん。

 

 

 少女(以後イズル)は今村を迎え入れた後、近くの本棚の一番下から一冊の本を取りだし、ペラペラと捲っていく。本の内容は今の立ち位置からでは見えないが、引き継がれた話を思い出す限り、あまりいい内容ではないだろう。

 ふと、イズルの本を捲る手が止まった。

 

 

ー今村総理、落ち着いて聞いてください。

 

 

 こちらを振り向いたイズルの表情は、今村を出迎えた時とは打って代わり険しく、真剣な眼差しを向けていた。

 

 

ー今より約2年後の1月1日、大日本帝国は地球上より消滅します。

 

 

「……………はっ!!!??」

 

 一瞬呼吸すらも忘れ、驚きの声をあげた。

 消滅……2年後……地球……大日本帝国……消える……滅ぶ……戦争!!

 

「何処の国ですか!? 我が国の脅威になりそうなのはアメリカとソ連くらいしか……まさか中国が!? それともこの3ヵ国が手を組んだとか!?」

 

 

ーお、落ち着いてください。別に大日本帝国が滅ぶわけではありませんよ。

 

 

 ん?そうなのか。それではいったい、どういうことなのだろうか。

 必死に頭を悩ます今村だが、答えは出てきそうにない。

 

 

ー信じがたいかもしれませんが…大日本帝国は2年後の2015年1月1日午前0時をもって、異世界へと転移します。

 

 

 イズルの言葉に、今村の頭の中が真っ白になった。

 異世界に転移、確かにイズルはそう言った。だがそんな現実離れしたことが本当にあるのだろうか。

 

 

ー今さらですね、既にこの空間で僕と出会ってるのに…。

 

 

 言われてみればなる程、確かにその通りだなと理解する。さりげなく思考を読まれた事に気付かないことにした今村は、今後の方針を確認する。

 

「それでは、我々は転移に備えればよろしいのですね?」

 

 

ーはい。残念ですが、現在僕も転移先の世界の情報を持ち合わせておりません。転移後にあるいは……といったところですね。

 

 

「なんと……」

 

 あのイズルすらも知らない、異世界への転移。運が悪ければ、中国みたいな覇権国家がごろごろ存在する世界に転移する可能性もある。

 

「かしこまりました。可能な限り準備を致します」

 

 そう言うと今村は夢から覚め、自室のベッドで目を開いた。

 起き上がった今村はすぐさまスーツ姿へと着替えると、閣僚会議の準備を開始した。

 

「残り時間は2年と無い、急がねば…」

 

 そして時は約1年8ヶ月後、オーロラ出現時まで進む。

 

 

 

 

 

 オーロラの出現により、全国各地に存在する駐屯地や基地では、隊員が慌ただしく行動を開始した。

 

 とある陸軍駐屯地では。

 

「搭乗ーッ!!」

 

「我々の防衛目標は原子力発電所だ! 機体が稼働次第随時向かわせろ!!」

 

「既に第3戦車中隊が待機中! 合流してください!!」

 

 とある海軍基地では。

 

「全艦隊の無事を確認させろ! 急げ!!」

 

「了解!!」

 

 とある空軍基地では。

 

「偵察飛行隊、発進しました!!」

 

「気を緩めるな! またすぐスクランブルが来るかもしれんぞ! 機体の点検を怠るなよ!!」

 

 大日本帝国軍全軍が、事前に受けた指示通りに行動を開始した。陸軍は重要施設の警備、海軍は転移に取り残された艦艇がいないか確認及び周辺海域の警備、空軍は事前に編成した偵察飛行隊をスクランブル発進させる等、慌ただしく動き回る。

 

 無論、それは軍に限った話ではない。現場では海上保安庁や各都道府県警察が、上では防衛省や外務省、国土交通省、気象庁など、どこもかしこも慌ただしい。

 

 だが、これは始まりでしかないのだ。

 

 これは、大日本帝国の……新たな戦いの物語。

 

 

 

 

 

 

 

 

 




早く原作に突入するため、2つの大戦はあまり多くは書きません。
ご意見、ご感想お待ちしております。

2/16※ご指摘により、防衛大臣から海軍大臣へと変更いたしました。また、転移時期ですが、原作では1月中旬となっておりますが、本作では1月1日午前0時をもって転移したという設定とさせていただきます。
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