大日本帝国召喚【リメイク版】   作:ゼロ総統

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第12話─ムーとの会談─

〜中央暦1639年11月24日〜

 列強ムー 首都オタハイト 外務省応接室

 

 

 ムー国外務省の応接室にて、3国による会談が始まろうとしていた。

 

「初めまして、ムー国外務省のオーディグスと申します。以後、お見知りおきを」

 

 マイラスは、今回の会談に列強担当部課長が出席したことに驚いていた。

 

「本会談が、3国にとって良いものであることを願います。まず始めに、我が国への来訪目的を教えて下さい」

 

 オーディグスも理由はわかっていたが、公式の場での記録と、確認の意味合いを込めて尋ねた。

 

「我々大日本帝国は、多くの国家との友好関係を望んでいます。貴国と友好関係を築きに参りました」

「わかりました。大日本帝国に関しましては、こちらでもお話を聞いております。ですが……」

 

 オーディグスの視線が、シルビアに向けられる。

 

「我がグラ・バルカス帝国も同様です。現在我が国と友好関係にあるのは大日本帝国のみ。友人は多いに越したことはありませんから」

「それでは、何故レイフォルを攻め滅ぼしてしまわれたのか、ご説明願えますかな?」

 

 シルビアは少しの間を開けて、ゆっくりと口を開いた。

 

「まず始めに謝罪を。これから話す内容の一部には、守秘義務が課せられていますので」

「わかりました。その辺りは考慮いたします」

「ありがとうございます……それではお話します」

 

 そして遂に、シルビアの口から真実が告げられる。

 グラ・バルカス帝国と列強レイフォルの間に、何が起きたのか……。

 

 

 

 

 

 

〜〜

 

 この世界に転移してから、1ヶ月が経過した日のことでした。

 

 まず始めに、グラ・バルカス帝国はパルス王国との接触に成功しました。

 パルス王国では丁重な対応を受けましたが、まずは列強であり宗主国であるレイフォルとの関係を構築するよう依頼されました。

 これは後に判明したことですが、当時のパルス王国は、独自の外交権を持っていなかったそうです。

 

 次に帝国は、列強レイフォルへと訪れましたが、窓口で追い返されてしまったそうです。

 彼の国曰く、文明圏外国家はパガンダ王国を通せ、と言われたそうです。

 

 そして最後に、列強レイフォルと衝突する切っ掛けとなった国、パガンダ王国と接触しました。

 帝国がパガンダ王国を通さずにレイフォルに直接交渉に行ったことに腹を立てたらしく、帝国を「礼儀を知らない下等な蛮族」と罵り、莫大な賄賂を要求してきました。

 

 それに対して、帝国使節団の代表がたしなめたところ、パガンダ王国は「下等な蛮族が列強レイフォルの筆頭保護国であるパガンダ王国を侮辱した」として、帝国使節団の代表を不敬罪で即日処刑。同行していた女性外交官を人質に……帝国に対して非常識な額の賠償金を請求してきました。

 

 一連の出来事に私はもちろん、帝国臣民は激しい怒りを感じ、パガンダ王国との戦争に踏み切りました。

 帝国の誇る精強な陸海軍は、僅か7日でパガンダ王国全土を焦土と化し、パガンダ王国は滅亡しました。

 

 そして、パガンダ王国を滅ぼした帝国に対してレイフォルが宣戦布告、戦争状態に入りました。

 戦争とは言っても、実際に行った戦闘は2回、戦艦グレード・アトラスターとレイフォル艦隊による海戦と、同戦艦によるレイフォリアへの艦砲射撃だけになります。

 

 その後、生き残ったレイフォル軍部が無条件降伏し、レイフォルは滅亡することとなりました。

 

〜〜

 

 

 

 

 

「以上が、帝国がレイフォルを攻め滅ぼした経緯となります」

 

 シルビアの説明が終わり、静寂が応接室を支配する。

 理由を尋ねたオーディグスも、どう声をかけるかを悩んでいた。

 

(これは……自業自得、としか言えないだろ)

 

 保護国の管理を怠ったレイフォル側に失態、というのが、その場にいる全員の感想だった。

 

「では、貴国も初めは戦争を起こすつもりは無かったと?」

「はい。我が帝国も、当初は平和的外交での交流を模索していました」

「……わかりました。このことは上に報告させて頂きます……ところで、人質となっていた女性外交官は、無事に救出されたのですか?」

 

 オーディグスの質問に、シルビアは唇を小さく噛み締め、震える声で答える。

 

「人質にされていた女性は……パガンダ王族に酷い辱めを受けていたらしく……救出された数日後に……自殺しました」

「それは……大変失礼いたしました」

 

 オーディグスは表情を歪め、深く頭を下げた。

 すると、これまで静かにしていたベックが、小さい声で御園たちに伝える。

 

「自殺した女性外交官は、シルビア様の実の姉君でした」

「っ!?」

 

 実の姉が酷い辱めを受けて自殺した。

 それが一体どれ程の苦痛であるか……想像するだけでも、御園は胸が締め付けられるような気持ちになる。

 

「……本日の会談はここまでにしましょう……シルビア殿、今日はゆっくりとお休みください」

「ズッ……すみません……失礼します」

 

 ベックに連れられ、シルビアが退室する。

 その後ろ姿を見送った大日本帝国とムーの代表は、深く息を吐いた。

 

「……あれに比べたら、我々はどれ程恵まれていたのかを痛感します」

 

 大日本帝国が転移当初に接触したクワ・トイネ公国とクイラ王国。

 温厚な国民性の両国と早い段階で友好的な国交を結べた大日本帝国は、グラ・バルカス帝国に比べれば遥かに恵まれていただろう。

 

(今の話は列強間で共有せねば。決して、グラ・バルカス帝国側に全ての非があった訳ではないと)

 

 オーディグスは、心の中で決意を固めた。

 

「さて、本日の会談も終わったことですし、御園殿もお休みになられては如何ですか?」

「そうですね。それでは我々もそろそろ……」

 

 失礼します、と言いかけたところで、前原の持つ無線機に通信が入る。

 

「失礼……私だ……あぁ、今終わったところだが……なに、それは本当か!? ……分かった。直ぐに伝える」

 

 何やら焦りを見せる前原に、御園とオーディグスは怪訝な表情を浮かべる。

 

「何かありましたか?」

 

 御園の質問に、前原は一度深呼吸をして答えた。

 

「本国からの緊急連絡です。つい先程、アルタラス王国沖合にて、我が国の艦隊と第三文明圏の列強、パーパルディア皇国の艦隊が、武力衝突を起こしたそうです」

 

 

 

 

 

〜中央暦1639年11月24日〜

 アルタラス王国北東海域 大日本帝国海軍第4艦隊

 

 

 時は、少しばかり遡る。

 アルタラス王国の要請を受けて派遣された国防海軍第4艦隊12隻は、白い航路を引いてアルタラス王国海軍との合流地点へと向かっていた。

 

 

〘大日本帝国国防海軍第4艦隊〙

伊勢型航空戦艦:〈扶桑(ふそう)〉※旗艦

雲龍型航空母艦:〈白龍(はくりゅう)

村雨型ミサイル巡洋艦:〈球磨(くま)〉〈那珂(なか)〉〈広瀬(ひろせ)〉〈多摩(たま)

磯風型ミサイル駆逐艦:〈追風(おいかぜ)〉〈松風(まつかぜ)〉〈涼風(すずかぜ)〉〈夏風(なつかぜ)〉〈江風(えかぜ)〉〈時津風(ときつかぜ)

 

 

「はぁ、不幸だわ」

 

 第4艦隊司令長官の高嶋は、己の不幸を呪った。

 

「司令、口は災いの元。本当に不幸になりますよ」

「これ以上の不幸があるとでも?」

 

 〈扶桑〉艦長の荻原に窘められた高嶋が、ムッとした表情で睨みつける。

 

「はぁ、何でよりによって第4なのよ……第1と第7も、再編は終わっているでしょう?」

「大和型や飛龍型を組み込む艦隊が、そう簡単に本土から離れるとは思えませんが」

「……わかってるわよ」

 

 虚ろな視線を彷徨わせる高嶋に、荻原は深い溜息をつく。

 

「司令たちは相変わらず……ん?」

 

 高嶋と荻原のやり取りを聞いて笑っていた観測官は、レーダーに映る光点に目が止まる。

 

(おかしい、合流地点はまだ先の筈だが……まさか!?)

 

 光点の正体に気付いた観測官が大声で報告する。

 

「レーダーに感あり! その数100……いや、110……120……まだ増えていきます!」

「全艦、第一種警戒配置!」

 

 素早く高嶋が指示を飛ばし、乗員が各々の配置に移動していく。

 

「ほら、現実になった」

「煩いわね、全く……」

 

 高嶋は帽子を深く被り、前を見据える。

 

「駆逐艦『松風』に打電。先行して艦隊の所属を確認させなさい」

「了解(普段もこの調子なら良いのに)」

 

 こうして艦隊は、着実に準備を勧めていく。

 

 

 

 

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