大日本帝国召喚【リメイク版】   作:ゼロ総統

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本日2本目になります


第17話─不穏な空気─

〜中央暦1639年12月1日〜

 ロウリア王国 大日本帝国租借地 朝日基地 軍病院

 

 

「知らない天井……」

 

 海賊の毒を受け、意識を失っていたルミエスは、見知らぬ部屋で目を覚ました。

 白い光が天井を灯す、無機質な部屋。

 

「私は確か……っ!!」

 

 激しい頭痛が彼女を襲い、思わず声を上げてしまう。

 その声を聞いてか、部屋の外で待機していたリルセイドが部屋に飛び込んできた。

 

「姫様ぁ! 目を覚まされたのですね! 本当に良かったぁ!!」

 

 安堵の表情を浮かべるリルセイドだが、その目元には隈が出来ている。

 どうやら夜通し、ルミエスを心配して部屋の外にいたのだろう。

 

 ルミエスがここは何処なのかと尋ねようとした時、部屋に一人の来訪者が現れた。

 

「失礼します……っ! ルミエス様! お目覚めになられたのですね!」

「ろ、ローラ様!」

 

 来訪者……ロウリア王国現女王であるローラ・ロウリアの登場に、ルミエスは驚きの声を上げる。

 まさか

このような場所で再開するとは、夢にも思わなかったのだ。

 

「お身体の方は大丈夫ですか?」

「は、はい。少し頭痛はしますが、他は何ともありません」

「そうですか……良かったぁ」

 

 心底安堵した表情を浮かべるローラに、ルミエスはふと悪戯心が芽生えてしまう。

 

「……あいたたた、急にお腹が……」

「え……えぇ!? そんな大変! お、お医者様を呼ばなくては!」

 

 ルミエスの演技に、ローラが慌てて医者を呼びに行こうとすると、リルセイドが待ったをかける。

 

「落ち着いてください、ローラ様。これは姫様の悪戯ですよ。何時ものやつです」

「へ? い、悪戯?」

 

 キョトンとした表情でローラがルミエスに視線を向ける。

 そこには、あまりの慌てようにお腹を抱えて笑いを堪えているルミエスの姿があった。

 

「も……もぅ! ルミエス様!? 私、本当に心配しているのですよ!?」

「ご、ごめんなさい。つい……フフッ」

「もーっ!!」

 

 その後、ローラの叫び声を聞きつけた看護師に、3人揃って厳重に注意されたのは、また別の話。

 そして、ルミエスは目を覚ましたことで医者の診察を受け、後3日間の入院生活を余儀なくされるのであった。

 

 

 

 

 

〜中央暦1639年12月1日〜

 クワ・トイネ公国 大東洋諸国会議

 

 

 第三文明圏東側の文明圏外国で行われている国際会議、大東洋諸国会議。

 

 大きな出来事があった際に不定期で開催される会議が、クワ・トイネ公国で開かれようとしていた。

 

「これより、大東洋諸国会議を開催いたします」

 

 クワ・トイネ公国の進行係が、会議の開催を宣言する。

 今回、会議に出席している参加国は、大日本帝国の提唱する新陣営『大東亜共栄圏』に加盟している、又は加盟予定の国が多くを占めており、必然的に内容は大日本帝国に関する事となっていく。

 

「先日、アルタラス島沖合で発生した、大日本帝国とパーパルディア皇国の武力衝突に関して、それぞれの意見を聞きたい所存です」

 

 クワ・トイネ公国のハンキが尋ねる。

 すると、会議に参加する全員が挙手し、進行係に選ばれたトーパ王国の代表が発言する。

 

「トーパ王国です。我々は、今回の武力衝突において、大日本帝国を擁護する一存であります。アルタラス王国がパーパルディア皇国から受けた通達文を公表しており、拝見しましたが……あれは、酷いとしか言いようがありません。パーパルディア皇国側に、正義はないと感じます」

 

 トーパ王国の擁護に、次々と大日本帝国擁護論が続く。

 

「シオス王国です。我々もトーパ王国と同じ考えであります。あの様に非道な通達文は、初めて見ました。大日本帝国の国民性を考えれば、武力衝突も納得でしょう」

「ロウリア王国です。大日本帝国と戦争をした我が国の意見になりますが、彼の国は無関係の一般市民への殺戮を容認しておりません。もし、パーパルディア皇国がアルタラス王国を攻め滅ぼしていた場合、国民は勿論のこと、ルミエス王女は酷い辱めを受けていたことでしょう。女王陛下と仲のよろしいルミエス王女が、皇国の手に堕ちるのを防いでくれたことに、感謝しております」

 

 大日本帝国に非はなく、寧ろパーパルディア皇国側に非があるということで一致した各国は、

 

・大日本帝国と敵対せず、共に発展していく。

・大日本帝国と協力し、パーパルディア皇国の圧力に屈しないよう軍事力を増強する。

・先の武力衝突はパーパルディア皇国側に原因があり、大東洋諸国会議は連盟して抗議する。

 

 以上の3点を主軸に、各国で声明を出すこととなった。

 

 

 

 

 

〜中央暦1639年12月20日〜

 パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第3外務局

 

 

 この日、大日本帝国の使節団は、パーパルディア皇国第3外務局を訪れていた。

 以前の訪問から1ヶ月以上もの間を開けてしまっていたが、果たして今回は取り合って貰えるだろうかと危惧する。

 

「こんにちは。大日本帝国外務省の者です。

何度も申し訳ありませんが、課長様のご都合はいかがでしょうか」

 

 外交官の朝田が窓口の職員に声をかけると、職員は一瞬だけ朝田達を睨みつけ、そして何かを思い出したかのように直ぐに確認すると席を離れていった。

 

「果たして、どのような対応で来るでしょうか」

 

 朝田の隣に立つ男性……陸軍から派遣された河本1等陸尉が、職員の反応を見てそう呟く。

 

「アルタラス島沖での衝突相手が我が国であると勘付いていれば、あまりいい結果にはならないだろうね」

 

 そのような雑談を朝田達がしている中、職員の報告を受けた第3外務局局長のカイオスは、大日本帝国の名前を聞いて驚愕した。

 

「何? 大日本帝国だと!? 間違いないのか!?」

「は、はい。間違いなく、彼らは大日本帝国の外交官だと、言っておりました」

 

 職員の報告に、カイオスは暫し考え込む。

 

 大日本帝国の名前は、外務局監査室のレミールから調査するように命じられていた為に知っていた。

 だが、それはムーが作り上げた架空の国家であるという認識が強かっただけに、驚きは強い。

 

「……わかった。私が直々に対応しよう。応接室に案内しろ」

「へ? ……っは、はい! わかりました!」

 

 一呆気にとられた表情をした職員を睨みつけ、職員が出ていくのを確認すると、カイオスは魔信器を使って魔信を行う。

 

「第3外務局のカイオスです。レミール様にお取り次ぎ願います」

 

 

 

 

 

〜中央暦1639年12月20日〜

 パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第3外務局

 

 

 職員に案内され、第3外務局の待合室に通された朝田達は気を引き締めていた。

 

「相手がどう出るかわからない。くれぐれも慎重に、かつ舐められないようにしないとな」

「えぇ、その通りです」

 

 朝田の言葉に、補佐の篠原が頷く。

 相手はこの世界でも列強に名を連ねる国。だが、文明レベルで言えば、大日本帝国よりも大きく劣る。

 そんな国に舐められれば、これまで築き上げてきた信頼は地に墜ちるだろう。

 

 暫くして、先程の職員が待合室にやってくる。

 

「お待たせしました。こちらへどうぞ」

 

 職員に案内され、やがて重厚な扉の前に着く。

 職員がドアノッカーを叩くと、扉の向こうから声が届いた。

 

「どうぞ」

「失礼します」

 

 職員が先に入室し、そして朝田達を招き入れる。

 中には数人の男達が長机を前にして、並んで着席していた。

 

「初めまして。大日本帝国外務省職員の朝田と申します。こちらは補佐の篠原と河本です」

「どうぞおかけください」

 

 まるで面接のようなやり取りに釈然としない気持ちに苛まれるも、荒波を立てないよう従う。

 

 そして、パーパルディア皇国側の自己紹介も終わり、遂に本題へと入った。

 

「大日本帝国と言えば先日、ムーの大使が仰っていましたよ。なんでも、ムーを超える技術をお持ちだとか?」

「はい。一部ではありますが、我が国はムーとの貿易において、様々な工芸品を輸出しております。もし、貴国との国交が開設された暁には、ムーと同様に、各種工芸品の輸出を検討しています」

「はっ! 文明圏外の未開人如きが、五大列強に名を連ねる我がパーパルディア皇国に輸出だと? 随分と質の悪いジョークだな」

 

 東部島国担当課長の言葉に、パーパルディア皇国側から笑い声が零れる。

 

「正直に申したらどうだ? 貴様らは所詮、ムーが作り出した傀儡国家で、ムーの支援がなければ成り立ちません、とな」

「……我が国はれっきとした独立国です。決して、何処かの傀儡国家等ではありません。パーパルディア皇国にも、一度我が国に特使を派遣していただければ……」

「はっはっはっ! 第三文明圏最強のパーパルディア皇国が、文明圏外の蛮族に使者を送るだと!? 寝言は寝てから言うのだな!!」

 

 カイオスは東部担当部長をぎろりと睨みつけた。

 

「おい、言い過ぎだ。我々の言葉には、皇帝陛下の意思が入っている事を忘れるな」

「はっ……はっ! 失礼しました!」

 

 東部担当部長が、慌てて口を噤む。

 

「失礼した……貴殿らの話はよくわかりました。皇国から貴国へと人材派遣については、2ヶ月程お待ちいただきます。こちらも、色々と内部事情がありますので……」

「わかりました。それでは、2ヶ月後に再び、よろしくお願いします」

「ふっ……では、2ヶ月後が楽しみですな」

 

 カイオスは初めて、不気味に笑った。

 

 

 

 

 

〜中央暦1639年12月20日深夜〜

 パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇都パラディス城 王の間

 

 

 王の間では関係閣僚が集まった緊急御前会議が開かれていた。

 

「カイオスよ。大日本帝国に関する情報を得たとは、真か?」

「はっ! 只今資料をお配りいたします」

 

 カイオスの指示で、全員に資料が配られる。

 大日本帝国側の用意した資料をそのまま書き写しており、ルディアスは資料に目を通して一笑した。

 

「転移国家だと? そんな事があり得ると思うか?」

 

 ルディアスの質問に、閣僚全員が失笑する。

 国ごと転移などあり得ないと、誰もが思っているからだ。

 

「しかし、転移国家とな……確か、ムーも自国は転移国家であると、宣言しておりましたな」

「なる程、自国の歴史をモデルにした国を作り上げたと……中々面白いことを考えるではないか」

 

 再び笑いが起こる。

 彼らの中では既に、大日本帝国=ムーの傀儡国という内容が結論付けられていた。

 

「陛下。それでは、今後の大日本帝国との交渉は、我々外務局監査室及び、第1外務局が引き継ぎます。カイオスも、それで良いな?」

「はっ! 異論はありません」

「うむ、任せよう……して、例の計画はどうなっておる」

 

 ルディアスの質問に、アルデが答える。

 

「はっ! 2ヶ月後には、皇帝陛下の下に吉報が届くことでしょう!」

「そうかそうか! 期待しておるぞ」

 

 その後も会議はまだまだ続く。

 

 

 

 

 

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