大日本帝国召喚【リメイク版】   作:ゼロ総統

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本日3本目……たまにくるこの急激な執筆欲は何なんだろう。


第18話─予期せぬ奇襲─

〜中央暦1640年1月15日〜

 ???の間

 

 

 大日本帝国総理大臣の今村は、本に囲まれた小さな部屋……イズルの部屋で目を覚ました(というより、気が付いた)。

 

ー……こんばんは……今村総理。

 

「イズル様。本日もお呼び下さり……っ!」

 

 今村が感謝の言葉を述べようとして、硬直した。

 イズルの様子が、何処かおかしいからである。

 

 熱を帯びた頬に、異常な程に流れ落ちる汗。

 息遣いも荒く、何かを耐えるかのようにスカートの裾を握りしめている。

 心なしか、焦点が合わさっていない様にも見えた。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

ーは、はい……だいじょうぶ……れす……ッ。

 

 そう言ってイズルが立ち上がろうとした時、カクンッ! と力が抜けて椅子から転げ落ちた。

 

「イズル様!!」

 

 慌てて今村が駆け寄り、イズルを抱き上げる。

 そして、服越しに伝わる熱を感じると、もしやと思い、イズルのおでこに手を置いた。

 

「こ、これは……ッ!?」

 

ー……ごめん、なさい……。

 

 大日本帝国政府が誕生してから実に130年以上の間、天皇陛下や歴代総理達の夢に現れては、数々の助言を残してくれた、神の如き存在。

 そんなイズルに現れた症状に、今村は混乱する。

 

「まさか、イズル様が風邪を引かれるとは……」

 

ー僕も……正直、予想外でした……。

 

 イズル本人も想定外だったようで、辛そうな表情で必死に笑みを浮べようとしている。

 

「それよりも早く医者に……って、ここじゃあ呼べないじゃないか!」

 

 そう、ここは夢の中。イズルの世界。

 医者なんて、呼べるはずもないのだ。

 

ーそんな……ことより……今村、そーり。あなたに、伝えなくちゃ……いけないことが……。

 

「喋ってはいけません! 今は身体をお休めください!」

 

 今村が必死に止めるも、イズルは止めずに口を開く。

 

ーいそいで……ニシノ、ミヤコから……避難……あと……みっか…………キュウ。

 

「い、イズル様!!?」

 

 次の瞬間、今村は自室のベッドの上で目を覚ました。

 恐らく、イズルが気を失ったことで、現実に引き戻されたのだろう。

 

「ニシノミヤコ……避難……3日……一体、何が起こるというのだ」

 

 それから直ぐに、今村は関係閣僚を緊急招集し、イズルの発した内容の解明を急ぐのであった。

 

 

 

 

 

〜中央暦1640年1月18日〜

 フェン王国 ニシノミヤコ

 

 

 パーパルディア皇国が攻めて来た場合、真っ先に戦場になると予測されるニシノミヤコ。

 既に戦時体制となっており、王国武士団の武人約2,000人が、常時滞在していた。

 そんな中でも、日本人観光客はニシノミヤコへと足を運んでおり、賑わいを見せている。

 

「ん……?」

 

 ふと、巡回警備中であった武人が何かを見つける。

 ニシノミヤコ沖合から上がる赤い狼煙。

 その意味を理解した武人は、即座に行動に移る。

 

「敵襲ーっ!!」

 

ピィィィィッ! ピィィィィッ! ピィィィィッ!

 

 その他にも、ニシノミヤコ常駐監視員が、応援に駆けつけた他所の武人が、西城に勤めている警備兵が、全員が警笛を鳴らす。

 

 フェン王国出陣の時は近い。

 

 

 

 

 

〜中央暦1639年1月18日〜

 フェン王国 首都アマノキ 水軍基地

 

 

 フェン王国水軍主力が停泊する水軍基地。

 そこには、大日本帝国からやって来た1個戦隊が停泊していた。

 

 

〘大日本帝国海軍第4戦隊〙

村雨型ミサイル巡洋艦:〈長良(ながら)〉※旗艦 〈由良(ゆら)

磯風型ミサイル駆逐艦:〈桜風(さくらかぜ)〉〈華風(はなかぜ)〉〈藤風(ふじかぜ)〉〈荒風(あらかぜ)

 

〘フェン王国水軍新生第1艦隊〙

カーマ級装甲艦:〈剣王〉※旗艦

ラー級駆逐艦:〈火剣〉〈水剣〉〈土剣〉〈風剣〉

 

 

 その他にも、アマノキ沖合には民間のフェリー等が停泊しており、日本人観光客の帰国支援を行っていた。

 

「長官、日本人の避難状況がかなり悪いです」

「ふむ、そうか……」

 

 大日本帝国海軍第4戦隊司令長官の的場は、報告書に目を通して顔をしかめる。

 上層部からは日本人全員を帰国させるように命令されているが、魔信が行えないフェン王国では、各地方に散らばっている日本人全員に退去命令が届いていないのが現状である。

 

 そんな時、一人の兵士が慌ててやって来る。

 

「失礼します! 本国より緊急電! フェン王国ニシノミヤコに、パーパルディア皇国軍が上陸しました!」

「なんだと!?」

 

 まさかの報告に、的場は思わず立ち上がる。

 まだ避難勧告が出されてからそれ程時間を開けずに、パーパルディア皇国が攻めてきたことに驚いていた。

 

「いかん! ニシノミヤコの避難状況は!?」

「はっ! 現在、ニシノミヤコに滞在していた日本人の約37%が避難完了。以前、避難中なのが約12%……およそ51%の日本人が、まだニシノミヤコに取り残されています!」

「本国に連絡! 急ぎ出港許可を求むと伝えろ! このままでは……っ!」

 

 的場は本国からの許可を待つ間、ニシノミヤコに取り残された日本人の無事を祈った。

 しかし、現実は非情であった。

 

 その日、フェン王国ニシノミヤコは、パーパルディア皇国第7艦隊の艦砲射撃と、パーパルディア皇国陸戦隊の侵攻を受け、陥落した。

 

 

 

 

 

〜中央暦1640年1月18日〜

 フェン王国 ニシノミヤコ

 

 

 パーパルディア皇国皇軍の侵攻により陥落したニシノミヤコ。

 そこでは、皇軍兵士が僅かな生存者の捜索を行っていた。

 陸将ベルトランは、部下に向かって指示を飛ばす。

 

「いいか! 日本人を見つけたら殺さずに生け捕りにせよ! それ以外は好きにして構わん!」

 

 ベルトランの指示で、皇軍兵士の士気は上がる。

 日本人はどうにも出来ないが、それ以外であれば、好きにしてよいのだ。

 フェン王国人であろうと、そうでなかろうと、彼らは己の欲望を満たすために動き出す。

 

 そんな中、一部の皇軍兵士が一軒の建物に侵入し、中にいた一組の男女を引きずり出した。

 

「いやぁ! やめてぇ!」

「やめろ! 妻は妊娠しているんだ!」

 

 日本人ではなく、かといってフェン王国人でもない夫婦に、皇軍兵士は下衆な表情を浮かべて答える。

 

「妊婦と言っても、まだ使えるじゃないか」

「なっ!?」

 

 皇軍兵士の返答に、夫婦は青ざめる。

 そして、皇軍兵士の魔の手が女性に伸ばされた。

 

「いやぁぁぁ!!」

 

 愛する妻の悲鳴に、夫は必死に抵抗する。

 

「貴様らぁぁぁ!! 我々をグラ……」

「うるせぇんだ……よっ!」

 

 一発の銃声が鳴り響く。

 そして、何かを言いかけていた夫が地面に倒れ付すのを見て、女性は限界を越えてしまった。

 

「いやぁぁ!! あなたァァァ!!」

「おい! こいつの口を塞げ! 煩くて気が散る!」

 

 その後、この女性は大日本帝国軍に救助されるまでの間、皇軍兵士の欲望を一身に受けることとなる。

 

 

 

 

 

〜中央暦1640年1月18日〜

 パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第1外務局

 

 

 急遽第1外務局への出頭を命じられた朝田達は、不審に思いながらも第1外務局を訪れていた。

 

 そして、彼らが見せつけられたのは……残酷な現実だった。

 

『やめろぉ! やめてくれぇぇ!!』

『いやぁぁぁぁ!!』

『おかあさぁぁん……ぁぁ……嫌だぁぁ!! やめ……』

 

 映像付き魔導通信機から聞こえてくる悲鳴と絶叫。そして、鮮血が流れ、転がる遺体が増えていく地獄絵図。

 

「やめろ……やめろぉぉーッ!! 今すぐやめさせるんだッ!!!」

「こんな、こんなの……酷すぎる……っ!」

 

 朝田は絶叫し、篠原は殺されていく日本人の姿に涙を流して崩れ落ちる。

 河本は表情こそ変えないが、その胸中には激しい怒りが渦巻いており、今にも殴り掛かりたい衝動を必死に押し殺していた。

 

 画面の向こう側で最後の日本人が処刑され、水晶板に映る日本人は全て動かなくなっていた。

 

「フェン王国の首都アマノキが落ちるまでに、我が国の要求を飲むか飲まないか、日本の王……いや、宗主国であるムーに伝えるんだな。我々は既に、ムーを相手に出来る程の国力、軍事力を手に入れた。これからはもっと差が開いていくだろう」

 

 レミールの発言に、嘘は含まれていない。

 確かに、パーパルディア皇国は早い段階でムーとの戦争を視野に入れ、相手に出来る数の戦列艦と竜母、そして最新のワイバーンオーバーロードを多数生み出し続けている。

 

 戦列艦の数だけでも、ムーの保有する全艦艇より倍以上多いだろう。

 

 だが、それは相手がムー単体(・・)であれば、の話ではあるのだが……。

 

 その後、会議は終了した。

 

 

 

 

 

〜中央暦1640年1月18日深夜〜

 パーパルディア皇国 皇都エストシラント 某所

 

 

 朝田達が滞在している宿屋に戻り、報告書を纏めている頃、河本は人気のない路地裏である人物と会っていた。

 

「お疲れ様。大変だったな」

「えぇ、あそこまでやられるとは、思っても見ませんでしたよ」

 

 覆面を被った男の言葉に、河本は苛立ちを露わにしてぼやく。

 そして、目の前の男に1枚のSDカードを手渡す。

 

「うむ、確かに。引き続き、外交官の護衛を頼むぞ」

「了解しました」

 

 河本が返事をしたとき、近くで物音が聞こえてきた。

 咄嗟に河本が拳銃を抜いて構えるが、音のした方から一匹の猫が飛び出してきた。

 

「なんだ、猫か……あっ、そうだ。1つ聞きたいことが……」

 

 河本が振り返ると、そこに男の姿は無かった。

 河本は呆れたように呟く。

 

「特戦群って……わからねぇ」

 

 そうして、河本は朝田達の下へと戻っていく。

 

 

 

 

 

「どれどれ……むっ、これは……なる程な。パ皇さん、とんでもない事をやっちまったみたいだな」

 

 

 

 

 

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