大日本帝国召喚【リメイク版】   作:ゼロ総統

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第20話─開戦!フィルアデス大戦─

〜中央暦1640年1月21日〜

 パーパルディア皇国 皇都エストシラント 第1外務局

 

 

 第1外務局局長のエルトは、変わらぬ日常を送っていた。

 部下の持ってくる報告書を読み、必要に応じて印を押す。

 

 そんな作業を繰り返し、そろそろ食事にしようと筆を置いた時、第1外務局次長のハンスが血相を変え、執務室に飛び込んできた。

 

「何事ですか?」

 

 ハンスの様子を怪訝に思いながらもエルトが尋ねると、ハンスは呼吸を整えながら口を開く。

 

「ら、ラジオを……ゲホッ……ラジオをお点けください!」

「え、えぇ……」

 

 あまりの剣幕に、エルトは言われるままラジオの電源を入れる。

 電源が入ると、ラジオは神聖ミリシアル帝国が放送しているニュース番組を流し始める。

 

『……繰り返しお伝えします。本日未明、第二文明圏の列強ムーが永世中立を破棄し、列強パーパルディア皇国に宣戦布告を行ったと、外務省から発表されました。また、元列強であるレイフォルを単艦で滅ぼしたとされる新興国、グラ・バルカス帝国と、先のアルタラス島沖事変とも呼ばれる海戦で、パーパルディア皇国の主力艦隊を退けた新興国、大日本帝国が、同時にパーパルディア皇国へと宣戦布告した事が判明しています』

 

「何ですって!?」

 

 あまりの内容に、エルトは大声を上げる。

 ムーの場合、既にほぼ国交断絶状態であり、近いうちに戦争状態に入るのでは? というのが、第1外務局や皇軍の見解である。

 また、大日本帝国に関しても、既に日本人観光客を処刑してしまっている為、驚きこそするも、ここまで取り乱しはしない。

 

 だが、グラ・バルカス帝国に関しては話が別である。

 

「な、何故グラ・バルカス帝国が我が国に戦争を仕掛けてくるの!? 距離のある我が国より、まずは中央世界やムーを狙うべきじゃ……はっ!!」

 

 ここで、エルトの脳裏に1つの可能性が浮かび上がる。

 

 もしかしたら、グラ・バルカス帝国も大日本帝国同様に、ムーの支援を受けているのかもしれない。

 だからこそ、無名の新興国にも関わらず、列強レイフォルを打倒出来たのではないだろうか。

 だが、幾らムーの兵器を購入したところで、単艦で首都を壊滅させることができるのか……。

 

(不味い! 情報が足りなさすぎる!)

 

 ここに来て、エルトは自分の持つ情報が不足していることに気が付く。

 

「大日本帝国とグラ・バルカス帝国の情報を再度集め直しなさい! 荒唐無稽な内容でも構いません! 出来るだけ多く集めるのです! 私はこれから、レミール様の下へ向かいます!」

 

 エルトは外套を手に取り、レミールのいる部屋へと歩いていく。

 そして、誰もいなくなった執務室内で、ラジオの放送のみが流れていく。

 

『ここで、ムーを経由して、大日本帝国から提供された映像をお送りします。ですが……非常にショッキングな内容となっておりますので、お子様や心臓の弱い方のご視聴は、特にご注意ください』

 

 

 

 

 

〜中央暦1640年1月21日〜

 パーパルディア皇国 皇都エストシラント 皇宮パラディス城

 

 

『いやぁぁぁぁッ!!!』

『やめろ……やめろぉぉーッ!! 今すぐやめさせるんだッ!!!』

 

 部屋の中に、痛ましい悲鳴と男の止めようとする声が響き渡る。

 皇帝ルディアスを始め、皇族レミールや皇軍司令長官アルデといった、パーパルディア皇国の最重要人物達。

 しかし、この場にいる全員の表情は暗い。

 

『……ご、ご覧に頂けたでしょうか。今流された映像が、パーパルディア皇国が大日本帝国の民間人に行ったとされるものになっております。ですが、これは……ッ』

 

 神聖ミリシアル帝国の女性アナウンサーの声に、怯えの感情が含まれている。

 モザイク処理がなされていたとはいえ、音声を聞いただけでどれだけの悲劇が行われたのか、想像できてしまったからだ。

 

 女性アナウンサーに変わり、男性アナウンサーが原稿を読み上げる。

 

『神聖ミリシアル帝国政府は、先の映像が本物かどうかを厳密に調査し、もし真実であった場合、今回の3ヶ国による宣戦布告に正当性ありとして、本戦争への不介入を検討するとの情報が入ってきています。今後の詳しい内容については、情報が入り次第お伝えします。それでは次のニュースです……』

 

「どういうことだッ!!」

 

 次のニュースへと流れた瞬間、レミールが勢いよく机を叩き、叫んだ。

 

「何故、あの映像が漏洩しているのだッ!!」

「そ、それが……我々にもさっぱりでして……」

「わかりません、では済まされんぞ!!」

 

 レミールの怒声が響き渡る。その表情には、焦りが浮かんでいた。

 

 パーパルディア皇国では技術的に映像付き魔導通信機(所謂テレビ)はまだ普及していないが、神聖ミリシアル帝国ではカラー映像付きの魔導通信機が一般にも普及している。

 

 先程の音声を聞く限り、映像には朝田達を前に要求を突き付けるレミールの姿も映っていた可能性があった。

 その事を考えるだけで、レミールは背筋に嫌な汗が流れるのを感じた。

 

「最早、我が国単独でムーとその属国を相手にする必要が出ましたが……それがどうしたというのですか。既に我がパーパルディア皇国の軍事力は、ムーを超えています。恐れることはありません!」

 

 アルデが力強く発言する。

 現在のパーパルディア皇国皇軍は対ムー戦を想定して増強されており、その戦力は陸軍だけでも200万人に達しようとしていた。

 

 また、海軍でも魔導戦列艦や竜母を増産しており、戦闘艦だけで見たとしても、フィシャヌス級魔導戦列艦約1,800隻、ワイバーンロード搭載竜母約100隻を揃えていた。(なお、これは主力艦隊に配備されている艦のみを計算しており、監査軍や守備艦隊を含めるともっと多い)

 その他にも、超フィシャヌス級魔導戦列艦やワイバーンオーバーロード搭載竜母の建造も随時行っている。

 

 竜騎士団もワイバーンロードからワイバーンオーバーロードへと更新が行われ、既に大規模陸軍基地の竜騎士団は全てワイバーンオーバーロードへと更新されている(海軍や辺境部隊では未だにワイバーンロードが主戦力であるが)。

 

「そ、そうだな……いや、その通りだ」

「これ程の数を用意してあるのだ。例え神聖ミリシアル帝国が相手でも、十分に渡り合える筈だ!」

 

 次第に勢いを取り戻していく参加者達を、不安そうに見つめる人物が2名。

 ロデニウス大陸で入手した書物から、大日本帝国がムーの属国では無いのではと疑い始めるカイオスと、グラ・バルカス帝国の参戦を受けて再調査を命じたエルトの2名は、不安を胸の内に隠して同調する。

 

「アルデよ。皇軍の今後の予定を申してみよ」

「はっ! 先ず始めに、我が皇軍はフェン王国ニシノミヤコに駐屯する全軍と、増援として派遣する2個艦隊の計3個艦隊を持って、フェン王国の首都アマノキを落とします。そして、フェン王国で戦力の再編成を行った後、大日本帝国へと侵攻いたします」

「ムーやグラ・バルカス帝国への対応は?」

「そちらも抜かりなく。既に2個艦隊をアルタラス王国へ派遣する準備を行わせております。アルタラス王国を陥落させ、その土地の住人を肉壁として使用することで、敵を疲弊させた後に我が皇軍主力を持って、敵を殲滅いたします」

 

 アルデの説明に、ルディアスは満足そうに頷き、立ち上がった。

 

「パーパルディア皇国皇帝ルディアスの名の下に、フェン王国、アルタラス王国、そして大日本帝国への侵攻を、許可する!!」

「「はっ!!」」

 

皇帝ルディアスの名の下に、フェン王国、アルタラス王国、大日本帝国への侵攻が、始まろうとしていた。

 

 

 

 

 

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