うちのビーチェが一番可愛い! 作:赤き真実で宣言マン
籠の中の鳥は幸せでした。籠の中は快適で、不自由はないように思われたのです。
しかし籠の中の鳥は思います。この籠の外に出れたなら、どんな景色が見えるのだろうか、この籠の外にはどんな事があるのだろう……と。
それはとても甘くて危険な誘惑。
けれども彼女は願い続けます。きっと一目見れればそれだけで自分の中の総てが満たされる、そんな気がしてなりませんでした。
だから彼女は──父から『ベアトリーチェ』と名付けられた少女は居るかも分からない神様に願い続けるのです。「願わくば自分を連れて行ってくれる絵本のような王子様が現れますように」と。叶うことがないと知っていながら、自分の世界がこの小さな屋敷で完結してしまうことを恐れて。
これはそんな彼女が籠の中から飛び立つ物語。
1962年3月、俺を養ってくれていた爺さまが天に召された。享年は確か78で大往生だったらしい。死の間際まで俺に自分の知識の全てを教えようとしてくれていて、爺さまが倒れたのも俺に授業をしている最中だった。経営者として必要なことや欧米式の経営戦略、果ては自分の有しているコネクションまでもを俺に引き継ぎ最期には『自由に生きろ』と遺言を遺し、死んでしまった。俺は未だに未成年であり、後見人として爺さまと縁があったという右代宮家当主の金蔵氏が後見人となってくれたため法律的な不便はなくなったと言っていい。しかし、爺さまの残した遺産は土地や大企業や将来性のある企業の株式、国債などが丸っと手元に残り生活する上で不便は無いと思う。まぁ遺産が無くても自分の会社があるし実際何とかなるんだよなぁ。
だが、問題がないとも言えない状況であり、当面の問題は──
「君の義父上には世話になった大恩がある。よければ家で成人するまででもいいから住んでみないかね?なに心配は無用、自分の家だと思って寛いでくれていい」
そんな風に後見人サマに言われてしまったことだろう。実際のところ、俺には断る選択権もあったし給仕の為にメイドを雇う金銭もあったわけだが、俺の後見人だなんて言う面倒な仕事を引き受けてくれた恩も確かにあり彼の提案を否定することは出来なかった。
とどのつまり俺は六軒島とかいう右代宮家所有の島で暮らすしかなく、彼の家族に囲まれ不自由な生活を送る他ないということだ。願わくば平穏な日々を。もし叶えられない望みならばせめて五体満足を──。
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ある日、経済界にある噂が広まった。曰く、『あのマルソーの会長が養子をとった』と。最初は給仕との間に出来た子供を引き取っただと面白がっている者達が尾ヒレを付けていたが、その子供が創った企業が瞬く間に無視出来ないほどの大企業になるとその者達も嗤うことをやめ、その子供の出生について、会長との関係について血眼になり調べ始めた。
しかし分かったのは、養子が施設から引き取られたという事だけで。何故彼を引き取ったのか、何故経営手腕が老練な自分達よりも優れているのか、何故彼の企業が急成長を遂げたのか、その事については誰も何も掴めなかった。
だからこそ金蔵は青年となった少年を手元に置いておくことにしたのだった。彼から何かを学び取れないか、また彼は会長から何を継いだのか、それを見極める為に──。
クソチート主人公。金銭面ので問題が発生することはまずありえません。原作にいたら兄弟に集られてますね確実に。
マルソーの会長って本名不詳なんで今話だけの登場になります。名前がわからない人って使いづらいですね。