オレ、アインスです   作:変色柘榴石

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(前略)高卒翌日のぼっち男が銀髪美女になっている色々やる話。
中途半端に残ってた再生機能とか、まだ体内に残ってる問題児四人とか。
諸々ひっくるめて銀髪ナイスバディのちゃんねーになるお話。

アインスみたいな彼女欲しいです(´;ω;)


オレ、アインスです

 ギシリとベッドが音を立てて軋む。

 折り畳みベッドの上の塊がもぞりと動き、カーテンで覆われた窓の隙間から漏れる朝陽が、布団の隙間から覗く銀色に反射する。

 

 少し寝苦しそうに呻き声をあげる布団の塊。

 その直後、枕の上の棚に置いてある気温計と湿度計が一緒になった目覚まし時計のアラームが室内にけたたましい音を立てて鳴り響く。

 

 それに反応したのか、布団の隙間から白魚のように細く白い手が目覚まし時計へと伸び、カチンという音と共にアラームが止まる。

 間を置いて、布団の塊がもぞりと起き上がり、(おもむろ)に布団がずり落ちる。

 

 布団のベールから出てきたのは“銀色”だった。

 一見しただけでも分かるほど、その長い銀色の髪は(つや)という言葉が烏滸がましい(おこがましい)と感じてしまうほどの艶やか(つややか)さであった。

 

 欠伸を一つ。寝惚け眼のままベッドを降りる。

 丈が足りていないのだろう。細く綺麗なラインを描く腹部がスウェットとジャージの間から大きく見えている。

 

……胸がなんだか重い。

 

 思考がまだ薄ぼんやりしているが、身体はリビングを経由して真っ直ぐに洗面所へと向かう。

 洗面所への扉を開ける直前、ポリポリと頭を掻く。

 

……妙に髪が柔らかい。

 

 ここで漸く寝惚けた脳が異変を感知した。

 ハリネズミだのなんだの言われた直剛毛の自らの髪が、念入りにリンスをした入浴直後以上の柔らかさを、十八年連れ添った右手は感知したのだった。

 

 そして追撃を重ねるように、その右手に白髪のような銀色の糸の束の間から出ている。否、白髪という割にはかなり色彩が鮮やかだ。

 さらに言うならば、

 

……俺の髪は強いて首筋に届くかどうかの――

 

 ここで完全覚醒した脳が、洗面所の扉とは別方向にある姿見へと振り返る。

 そこには――

 

「……はぁ?」

 

 振り返ったポーズのまま、目を剥き、呆然としたスタイル抜群の銀髪女性……『魔法少女リリカルなのはA's』の登場人物、『リインフォース・アインス』の姿があった。

 

 

<>

 

 

「おおう、マジでアインス」

 

 全身を映せる姿見の前、体のあちらこちらを触りまくる。

 この女――否、正確には『元男』の名は『京西院・一(けいすいいん・はじめ)』。

 先日漸く高校の卒業式が終わり、共学の癖して男子校クラスだったムサい学生生活を終えた一。

 そんな矢先の、この状態である。

 

「『(あるじ)、このままお眠りください……』――うわぁ……声までアインスですかそうですか」

 

 スウェットの中ではち切れんばかりに自己主張する胸を、両サイドから挟むように軽く触ってみる一。

 女性経験の女の字もない身。何が悲しくて自らの体で女体を体感せねばならないのだろう、と考えていると、一つの疑問が浮かび上がる。

 

「服とか……どうしよう」

 

 かつての友人に話そうにも、まず信じてもらえるはずもない。キ○○○確定だろうが。

 そういう真実とかいうような酔狂なやつも知らない。ウス=異本なんて真っ平(まっぴら)だ。

 ギャグな日々のオープニングでさえ、頼れる仲間(目が死んでいる)がいるというのに。

 

 ぼっち、ここに極まれり。

 

 

 

 ボスケテ




2013/11/30:本文修正
2014/12/24:色々と修正
2015/02/16:主人公のルビを変更。『西(すい)』は西瓜のスイ。唐音(中国語音)
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