イナズマイレブンIN王牙 転生者の記憶   作:Balu

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第十一話です。
今回はセシルのおかしな言動についての話です。
では、数あるイナズマイレブンの二次創作の中からこの作品を読んでくれる貴方に感謝を。
本編スタートです。


第十一話:すいませんゆるしてください!何でもしますから!

「…何を言ってるの?転生者?…非科学的な言葉を吐かないでくれる?」

 

 そう言う彼女…古芝セシルは平静を装ってはいるが、その眼は…

 

「嘘はつくなよ。心理学者ほどじゃないが相手を眼を見れば嘘をついてるかどうかくらい見抜けるぞ」

 

「そう。でもそれは貴方個人の意見じゃない?相手の眼を見れば嘘を見抜ける?本当にそうならこの世に犯罪者なんていないわ」

 

 俺はポケットからあるものを取り出した。小さい()()を見た彼女の眼が見開かれる。

 

「…それ…まさか…」

 

「ああ。小型の録音機だ。この世界には影山とかガルシルドの手は回ってはいないだろうが一応念のためな」

 

 俺は録音機の再生ボタンを押して違和感を感じた箇所まで早送りをする。

 

 録音機は最初にセシルと出会った時の自己紹介の場面を再生した。

 

『俺はバダップ』

 

『エスカバと呼んでくれ』

 

黒野(くろの)(れい)。俺は零と呼んでくれ。よろしく』

 

 ここから俺はさらに早送りをする。問題となる彼女のこの言葉を再生するために。

 

『ふふっ。それは甘いわね。バダップ・スリード』

 

 俺は一時停止ボタンを押す。

 

「分かるよな。何でお前はバダップのフルネームを知ってるんだ?他にもお前はバダップが議員の息子と知っていた。お前は…何者だ?」

 

「証拠じゃないわ」

 

「…は?」

 

「私が貴方を転生者と知っている根拠になってないって言ってるの。バダップのことを私が前から知ってた…ってことでいいじゃない」

 

「…」

 

「さ、証拠を見せなさい」

 

 俺は少しだけ録音を早送りにする。

 

「証拠を見たいんだな?」

 

「…」

 

「まず、お前は俺達と出会った時に俺が転生者だと予想した。確信してはいなかったけどな。だから、お前は俺に聞いたんだ。ダイレクトで聞くのではなく、うまい言い回しを使ってな。それを聞いた時は俺は少し違和感を感じただけだったんだが」

 

 俺は再生ボタンを押した。

 

『淫⚪ネタ止めてくれる?汚い』

 

「俺が『やりますねえ!』って言った時のお前の反応だ」

 

 普通に淫⚪を知ってる人ならこの発言に違和感を持つことは無いだろう。

 

 しかし、それは俺の前世の世界ならの話だ。

 

 ここは、イナズマイレブンの世界。例をあげれば…貴方はコズミックプリティレイナというアニメを見たことがあるだろうか?

 

 間違いなく俺の前世の世界…ここでは現実世界と呼ぼう…の住人は見たことないと答えるだろう。なぜなら、それはイナズマイレブンの世界で放送しているアニメだからだ。現実世界とイナズマイレブンの世界の文化はズレている。

 

 つまり、イナズマイレブンの世界に『寄宿学校のジュリエ⚪ト』はないし、『終⚪のワルキューレ』もないし『かぐや様は⚪らせたい』もないのだ。

 

 つまり、ここから導き出される結論は…

 

「淫⚪っていう作品はこの世界には存在しないってことだ」

 

 セシルは何も言わない。ただ、薄ら笑いを浮かべているだけだ。

 

「ついでに言うと『迫真!決闘(デュエル)部!』の原作の作者はお前だろ?お前は何らかの理由で現実世界のことを知っていて、この作品を作った。野⚪先輩やG⚪とかが出演しているのはこのためだ」

 

「…」

 

「お前は何で現実世界を知っている?お前は何者だ?」

 

「…そうね。ある英雄の言葉を借りるなら…『リザイン(投了)』…がいいのかしらね」

 

「…」

 

「すごいわね。まるで探偵ね。シャーロック・ホームズなみよ」

 

「そりゃどうも」

 

「全く…バカな人よね。この世に知ってはならない事実なんて山ほどあるのに」

 

 セシルは嗤った。雰囲気が一変する。殺気が混じった空気だ。…あれ?なんかヤバイ?これ?

 

 セシルはポケットからあるものを取り出した。それは黒光りするくの字型の…あれだ。そう。あれ。

 

 …拳銃。

 

「貴方は知りすぎた。色々とね。全く…無駄に頭の回る転生者も考えものね」

 

「…おいおい…そんなおっかないものぶっぱなせば周りの人達が集まってくるぜ」

 

「…大丈夫よ。サイレンサーがついてるから。周りの騒音被害については心配しないで」

 

「へぇ…ずいぶん環境に配慮した拳銃だな」

 

 俺はゆっくりと両手をあげる。彼女は俺に歩み寄ってくる。

 

 王牙学園に入学できる身体能力があればヘーキヘーキ!とか思ってるやつ!現実で拳銃突きつけられるってメチャクチャ怖いぞ!足がすくんで動けないぞ!

 

 ああああああもうやだああああああ!バダップと一緒にいればよかったよおおおおおおおお!

 

 お父さん、お母さん、先立つ不幸をお許しください。アリアリアリアリアリ、アリーヴェデルチ!

 

「零…。聞こえているのか?」

 

 そんな俺の横に立つ、ラツィエルが俺に向かって話しかける。俺は視線で『助けて!』と伝える。

 

「…頑張れ」

 

 ラツィエルは親指を立てる。クソ天使がああああ!テメエ!俺以外の他者から見えてないからって調子のるんじゃねえぞ!コルァ!

 

「すいません許してください!何でもしますから!」 

 

「じゃあ…自殺して。『グラファに負けたのが悔しくて自殺しました』っていう遺書を添えて」

 

「死なない選択肢はないのかよ!?」

 

「ええ。これ以上、貴方が物語に関われば未来が変わってしまうの。…困るのよ。そういうの」

 

「…」

 

「それに、貴方が死ねばバダップは今日貴方をサッカーコート(ここ)に連れてきたことを後悔して見事にサッカーを憎んでくれるわ。ほら、貴方が死ねば未来は元通り!」

 

 拳銃が俺の額に押しつけられる。…ダメだ。動けない。俺、マジで死ぬのか…?

 

 目の前に引き金にかかっているセシルの指が見える。

 

「さようなら。転生者」

 

 引き金が…引かれた。

 

 俺は思いっきり強く眼を閉じた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

                   完

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…ってなったらどうする?」

 

 俺は強くつむった眼を開く。目の前のセシルがニヤニヤと笑っていた。

 

「安心して。これは弾の入ってないエアガン。護身用にってお父様からもらったの」

 

 セシルは拳銃…いや、エアガンを手で弄ぶ。俺は尻餅をついていた。

 

「お前…ふざけんなよ」

 

「フフフ。殺すわけないでしょう?この世界では仲間は貴重なんだから」

 

「なあ…いいかげんお前が何者か、答えてくれない?」

 

「逆に分からないの?これだけのヒントが与えられているのに?」

 

 …え?今までのヒントでこの謎解けるの?俺はラツィエルの方を見る。

 

 ラツィエルは『え?こんなのも分からないの~?』というかのごときどや顔を俺に披露する。…お前のキャラが分からんぞ。

 

 頭を悩ませる俺にセシルは質問する。

 

「分からない?…じゃあ現実世界のことを知っている人間はどういう人間?」

 

「は?お前、何を言ってるんだよ!?そんなの現実世界の人間だけ…あ」

 

 分かった。…マジか。そういうことだったのか!

 

「お前…転生者なの?」

 

 おそるおそる尋ねる俺。セシルはほおを膨らませた。怒ってるわけじゃない。笑いを堪えているのだろう。

 

「ぷっ!プププププあははははははは!!その通りよ!貴方が転生者としてどれだけ優れているか試すつもりであえてボロを出したのよ!」

 

「俺を試していたのかよ…!」

 

「やはり、私がいないとダメだな。零は」

 

 うるせーぞ。無能天使。

 

 俺はラツィエルを睨みつける。多分だけどこいつセシルが持ってたのがエアガンって気づいていたみたいだな。

 

 ふざけてるように見えるがラツィエルは後々のことを考えて行動している。事実、グラファ・ドメイン戦でもあいつは最低限のアドバイスしかしなかった。

 

 …ますますこの自称天使が気になってきたぞ。

 

「まあ、私の言動に違和感を覚えたのなら充分及第点ね」

 

「…及第点いかなかったらどうしてたんだよ?」

 

「その時はもう貴方には関わらなかったでしょうね。私のお眼鏡に叶わなかったということで」

 

「俺を試す目的は何だよ?」

 

「…いずれ分かるわ」

 

「おい。もったいぶらずに「いずれ分かるわ」…ま、そういうことにしておくか」

 

 セシルはいたずらっ子のようにクスリと笑った。

 

「じゃあそろそろ…電話しなさい」

 

「…え?」

 

「ボール見つかったんだからバダップ達に連絡入れないとまずいでしょう?」

 

「あ…」

 

「さっきの洞察力の高さは認めるけれどこういうところが抜けているあたりまだまだね」

 

「ぐっ…!」

 

 俺は携帯からバダップ達に連絡を入れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 その後は、通常通り家に帰って…あ、エスカバだが門限に間に合わない可能性があったのでバダップは映画館に行く前に送っていったらしい。

 

 …さすが、バダップだね!

 

 家に帰るともう家政婦さんの手で夕飯が作られていた。夕食はハンバーグだった。

 

 ラツィエルについてだがずっと俺のそばにいる。正直うっとうしいのだがこいつは俺以外の奴には見えないので文句を他の人に言うことは出来ない。

 

「あのさぁ…」

 

「…どうした?」

 

「察して」

 

「察す?何をだ?」

 

 俺はラツィエルをジーッと見た。言葉遣いは男のものだがラツィエルは女だ。♀だ。雌だ。

 

「分かるよな?お前は女なんだぞ?」

 

「…この姿は現世に現れる際の仮の姿だ。元々私に性別などない。だから私はお前が…」

 

 

 

「脱衣所で服を脱ぐのも気にしないぞ?」

 

 

 

「俺が気にするんじゃボケェ!」

 

 俺は持っている着替えを思いっきり彼女に向かって投げつけた。しかし、彼女は幽霊のような霊体なのか、着替えは彼女の赤く輝く鎧を纏った体をすり抜け後ろの壁にポスッとぶつかり床に落ちた。

 

 誰かがじっと見てる目の前で服を脱いで生まれた時の姿になってお風呂に入るって何の羞恥プレイだ!?

 

「てかお前まさか風呂にまでついてくるのか!?」

 

「当たり前だ。私はお前のナビゲーターとしての役目があるからな」

 

 えへんと胸をはる自称天使。当たり前なのか…たまげたなあ…。

 

「…とりあえず脱衣所から出てってくれますかね?」

 

「まさか、私が必要ないと言うのか…?そんな、数多(あまた)の天使の中で優秀な私がクビ…?存在価値がない…?」

 

「そこまで言ってないから」

 

 おろおろしながら涙を浮かべる自称天使を慰める俺。…なぁ、ここって本当にイナズマイレブンの世界なのか?

 

 ラノベじゃね?タイトルは『異世界転生したら天使が俺のナビゲーターだった』とかの。

 

 と、ここでうーんうーんとうなっていたラツィエルははっとした表情になる。

 

「…そうか!理解したぞ!なぜ零が私に脱衣所から出てけと言うのかを!」

 

 よかった。自称天使にも多少の知性はあったらしい。

 

「ここは脱衣所!服を脱ぐ場所だ!つまり!零が私に言いたいことは…」

 

 

 

「私も着ているものを脱げと言いたいのだな!」

 

 

 

 …そうそう!それよ!それを言いたか…は?オマエサンナニイッテルノ?

 

 誰か~この残念美人な天使を止めてくれ~。

 

「ふっ。私のこの完璧な解答に零は何も言えないようだな!この服は私の体と同じように霊体で出来ているからすぐに着脱可能だ!」

 

 ああ。何も言えねえよ。こんなアホの娘どうすりゃいいんだよ。

 

 ってすぐに着脱可能!?俺はラツィエルを見る。そこには…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ………気づけば俺は湯船の中に浸かっていた。記憶がない。ラツィエルが鎧はすぐに着脱可能と言った直後あたりからの記憶が一切ない。

 

 周りを見る。風呂場にラツィエルの姿はない。

 

 よかった。()()は童⚪男子には刺激が強すぎる。俺はほっと一息つく。するとそこにラツィエルの声が聞こえた。

 

「れ、零。すまなかった。本当に悪いことをした。こ、こんなことになるとは思わなかったんだ。許してくれ。もう脱衣所まではついていかないから」

 

 続いてズピーという鼻水をすする音が風呂場の外の脱衣所から聞こえてきた。…泣いていたのか?てか俺は一体ラツィエルに何をしたんだ?

 

 でもなんかさっきまで全然言うことを聞かなかった彼女が言うことを聞いてくれそうな雰囲気にはなってるしここは平常運転でいくか。

 

「…分かった。許すよ。今後こういうことはしないように」

 

「本当にすまなかった。零がホモだという事実に気づけなかった私のミスだ」

 

「は…?…お、お前、何言ってんだ!?俺はホモじゃないぞ!というかどこに俺がホモの要素があるんだよ!?頭にきますよ!」

 

「え!?な、何故!?私の体を見て逃げ出すということは女の体が嫌い…すなわち男の体が好きなのだろう?」

 

「あーもうメチャクチャだよ!というかさっさと説明しろよ!お前のことと、神のことをさ!」

 

 そう。今は俺がホモだとかはそこそこどうでもいいことでもある。今は彼女のことを聞くことの方が先だ。

 

「…そうだな。サッカーコートでも約束したからな」

 

「まず、お前は天使だと言ったが何でその天使がここにいるんだ?」

 

「いきなり核心をつくか…。いいだろう。全てを話そう。転生者の生まれるきっかけ。天使である私が何故お前のそばにいるのか、その秘密を」




作者は『寄宿学校のジュリエ⚪ト』は中古の漫画で読んでますね。
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