イナズマイレブンIN王牙 転生者の記憶   作:Balu

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第十二話です。
遊戯王に登場する『千年タウク』というアイテムが出てきます。
後書きに『千年タウク』について詳しく書いておきます。
また、遊戯王のタグも追加しました。
では、数あるイナズマイレブンの二次創作の中からこの作品を読んでくれる貴方に感謝を。
本編スタートです。


第十二話:ちょっと待って!いなりが入ってないやん!(VSブラックテトラ)

 一回戦ダイジェスト

 

「デススピアーV2!」

 

「ハンバァァァグ!(断末魔)」

 

 一回戦、VS糸川ハンバーグス。8―0で勝利。

 

 二回戦ダイジェスト

 

「ラツィエルウィング!」

 

「熱くなりスギィ!(断末魔)」

 

 二回戦、VS松岡ファイヤーズ。3―0で勝利。

 

 ここまで、俺達のチーム、オーガは順調に勝ち上がり、予選決勝の舞台にまでたどり着いた。

 

 一回戦の糸川ハンバーグスはそんなに強くはなかったが、二回戦の松岡ファイヤーズには三点しかとれなかった。

 

 三点は結構でかいように感じられるが、バダップ含めた王牙学園メンバーなら話は別だ。世宇子に36―0で勝利できるポテンシャルを秘めたメンバーがいるにも関わらず三点。未来のチームのレベルの高さを感じる。

 

 しかも、決勝は一筋縄ではいかないだろう。何故なら…

 

『アンビリーバボー!《ブラックテトラ》VS《天馬は永遠に》の試合はとんでもないことになってしまった~!』

 

ブラックテトラ 9―0 天馬は永遠に

 

 このコートで一番強いチームの筆頭にあげられるのが『天馬は永遠に』だったらしい。俺達が来るまでの話だが。

 

 それを九点。とてつもない強さのチームだ。『天馬は永遠に』もこの大会までに相当練習したのだろう。動きが良くなってるし、俺達でも前のように大量得点は望めないはずだ。

 

「トライペガサスV3!」

 

 『天馬は永遠に』のシュート。進化したトライペガサスはもうエスカバでは止められないほどの威力を誇っているだろう。

 

 しかし、ブラックテトラのキーパーは余裕そうな顔で嗤った。

 

「デスサイズスラッシャー!」

 

 キーパーの手に禍々しいオーラが集まるとそれは巨大な鎌の形を作り出す。

 

 そして、ボールに向かってその鎌は振り下ろされる。

 

 ギィィィィィィィンというボールを削る音が会場中に響き渡る。

 

 そのままボールは真っ二つに切断された。

 

『残念!《天馬は永遠に》!これで三本目のシュート!しかし《ブラックテトラ》のキーパー、一番の選手がきっちり防いだ!』

 

「残念…だったな…」

 

「くっ!もう一度だ!」

 

 諦めずに必死に戦う『天馬は永遠に』メンバー達。

 

 しかし、諦めずに戦う者が必ず勝つとは限らない。

 

 ビーッというタイマーの音が響き渡る。

 

『試合終了~!勝ったのはチーム《ブラックテトラ》!三番の選手の圧倒的な得点力!果たして《オーガ》は止められるのでしょうか!?』

 

 ブラックテトラ…選手一人一人の能力が非常に高い、にもかかわらず、あの三番のビブスの選手の運動能力は凄まじい。指示出しも上手い。

 

 三番の選手…整った顔立ちで爽やかな印象を受けるその女性選手はニコニコとギャラリー達に手を振っている。

 

 隣を見るとセシルは少しだけ考え込んだような顔をしていた。

 

「あの選手、どこかで…」

 

「まあ、試合前に相手チームの選手登録内容が確認できるからその時な」

 

「分かってるわ。それと、私達以外に転生者は見当たらないわね」

 

 転生者にはナビゲーターとして天使や悪魔がそばにいる。どうやら転生した瞬間からそばにいるらしく、あの樹の影響で見えるようになるらしい。

 

 俺の場合、グラファ・ドメインとの試合中に見た夢(のような何か)の際に影響を受けてラツィエル達が見えるようになったそうだ。

 

 どうやらクリフォの悪魔の転生者達も邪悪の樹の影響を受ければ見えるようになる。

 

 まあ、全てセシル談だが。

 

「…ちなみに、あえて言っておくが俺はまだお前を完全に信じたわけじゃないからな」

 

 そう。ここまでは一回戦と二回戦の間の休憩時間にセシルから聞いた情報だ。だが、話したのはセシル一人。

 

 彼女がルシフェルサイドの人間の場合、完全に信じこむのは危険すぎる。

 

 別の転生者と会って話を聞く。まずはそれからだ。

 

「…別にいいけど、試合中は信頼しなさいよ」

 

「分かってるよ」

 

『決勝は、十分間の休憩を挟んだ後に行います!終わり!閉廷!以上!皆解散!』

 

「…あれ流行ってんのか?」

 

「それは『迫真!決闘部』の作者に聞きなさい」

 

「お前じゃないのか!?」

 

「いつ私が自分が作者だって言ったかしら?」

 

 えぇ…。違うのか…。

 

「ちなみに私は淫夢ネタが嫌いだから」

 

「…すいませんでした」

 

「別にいいわ」

 

 しばらくの沈黙。何も話すことがないので靴紐を結び直したりしていた俺とセシル。

 

 作戦会議は『ブラックテトラ』が『天馬は永遠に』に五点差をつけた辺りから始めてすでに終わっている。休憩は各自でとっているのでバダップとエスカバは近くにいない。

 

 そうして一分ほど沈黙していたところでその沈黙は突然破られた。

 

「はじめまして。古芝セシルさん」

 

 靴紐を結んでいる途中でかけられた誰かの声。顔をあげるとそこにはあの三番ビブスがいた。

 

「…誰?あな「ちょっと待って!いなりが入ってないやん!」」

 

 セシルを止める。俺は三番ビブスをじろりと見る。

 

「お前…何者だ?何でセシルの名前を知ってる?」

 

「…何か問題でも?」

 

「初対面の人間のフルネームを知ってるって十分問題だと思うが?」

 

「古芝さんの知り合いからの使い…と言えば?」

 

 三番ビブスはポケットからあるものを取りだし俺達に見せる。

 

 それは…目の装飾が施されたネックレスだった。

 

「これは…『千年タウク』といいます。私の兄…神縛(かみしばり)悠外(ゆうと)の持ち物であり、私は彼の使いです」

 

 

 

 

「そういう意味では…お(・)久(・)し(・)ぶ(・)り(・)で(・)す(・)。古芝セシルさん」

 

 

 

 

 

 セシルを見る。彼女は誰がどう見ても動揺しているようにしか見えなかった。神縛悠外、千年タウクという首飾りがその動揺のきっかけだということはすぐに分かった。

 

 それでも何とか、その動揺を悟られないように必死に彼女は振る舞っていた。

 

「…何の用?私も貴方も次の決勝のために忙しいはずじゃない?」

 

「こちらはもう済んでますよ。なぜなら…」

 

「「タウクの力で未来が見えるから」」

 

 三番ビブスとセシルが同時に言った。

 

 …よく分からんがあの『千年タウク』とかいう物が未来を見ることが出来る道具ということか?

 

 …オカルトじゃねえか!そんな非ィ科学的なこと、信用できるか!?

 

 三番ビブスはセシルが自分と同じことを言ったことに驚いたのか、目を見開いた。

 

「よく分かっていますね。その通りです。タウクの未来は絶対です。どれだけ策を練ろうが未来は変えられない」

 

「おい。ペラペラ喋ってるところ悪いが名乗れよ」

 

 セシルの動揺が少しずつ大きくなってくるのが見てとれたので三番ビブスとセシルの会話を止める。

 

「これは失礼。私の名前は神縛(かみしばり)悠莉(ゆうり)と申します」

 

 俺の言葉にペコリと深くお辞儀をする神縛。お辞儀をした彼女の髪が地面につくが気にしてはいないようだ。

 

「俺の名前は黒野(くろの)零(れい)だ」

 

「そうですか…。黒野さん。SBF(サッカーバトルフロンティア)本選出場おめでとうございます」

 

「まだ決勝だぞ?まだ俺達は本選出場権を手にしてはいないぜ」

 

「いえ、手にしてますよ。私の兄がタウクによって導いた予言は絶対です。次の試合は貴方達が2―1で勝ちますから」

 

「…お前、兄に負けると言われて悔しくないのか?予言されたからって諦めるのかよ?」

 

 俺の言葉に神縛はキョトンとした顔で返した。

 

「…ええ。当然ですよ」

 

 自分達の負けを彼女は宣言していた。

 

「兄の予言は絶対です。タウクの導きは絶対です。私のチームはそれに従って貴方のチームに負けます」

 

「…ふざけんなよ」

 

 俺は神縛の胸ぐらを掴んでいた。だが、神縛は全く恐れる様子がない。そこに胸ぐらを掴んだ腕をセシルが掴む。

 

 その手は震えていた。

 

「止めなさい」

 

「…」

 

「もう一度言うわ。止めなさい。出場停止をくらいたいの?」

 

「…分かった」

 

 手をはなす。神縛はポケットから四つ折りにされた紙を俺に握らせた。

 

「これは兄の予言です。そんなに予言を無効にしたいのならばどうぞお読みください。では、ごきげんよう」

 

 そうして神縛は去っていった。

 

 神縛がギャラリー達の中に消えるとすぐセシルは糸の切れたマリオネットのようにその場にうずくまる。

 

「大丈夫か!?」

 

「…大丈夫」

 

 しかし、立ち上がったセシルの顔色は悪かった。

 

「なあ…あいつって…?それにあのネックレスは?」

 

「…あとで説明するわ。それと…注意しなさい。次の試合は超強敵よ。おそらく、ここがゲームの世界だとすれば…」

 

「だとすれば?」

 

「彼女は…ラスボスの使いかもしれないから」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 決勝が始まる。俺達はバダップとエスカバ、それから御影さんと合流する。

 

 セシルとあの後、予言のことをバダップ達には伝えないということを約束した。セシルはどうやら先程のことを他の人にむやみに伝えられたくないらしい。

 

 約束しなくてもバダップ達には言わなかったが。いきなり予言とか言われても頭が追いつかないはずだ。事実、転生というとんでもないことを体験した俺でも少し混乱してる。そうなれば、バダップ達はより混乱するはずで、そんな状態では試合はできない。

 

 ちなみに神縛が渡した予言の紙は気味が悪くて開けなかった。

 

「古芝様、顔色が悪いですが大丈夫ですか?」

 

「…大丈夫です」

 

 隣にいるバダップがそっと俺に耳打ちする。

 

「セシルと一緒にいたみたいだが…何かあったのか?」

 

「さあな。知らないよ」

 

 今、神縛のことを言って下手に力ませたらまずい。そもそも神縛がデタラメを言って俺達のコンディションを落とそうとしている可能性もある。

 

「皆様、くれぐれも怪我だけは無いよう、お願いいたします」

 

 御影さんは心配そうに俺達を見る。まあ、グラファが異常なだけで流石に今回は怪我することはないだろう。

 

『さぁ!決勝まで来たサッカーマニアども!コートに入って来なぁ!』

 

 DJ-YOU(ディージェイユー)の声が会場に響き渡る。俺達…チーム『オーガ』と神縛のチーム『ブラックテトラ』がコートに入る。

 

オーガ

 

バダップ・スリード

古芝セシル

黒野零

エスカ・バメル☆

 

ブラックテトラ

 

神縛悠莉

古藤カズマ

アレキサンダー・デミータ

グリム・リッパー☆

 

 俺と神縛がコートの真ん中に行く。センターサークルではDJ-YOUがコインとボールを持って待っている。

 

『どっちにする?』

 

「表で」

 

「じゃあ私は裏にします」

 

 ピンという音とともにコインが中を舞う。それを受け止めるDJ-YOU。開かれた手のひらには裏側を上にしたコインがあった。

 

「ボールをもらいます」

 

『よし!ブラックテトラのボールから始めるぜ!』

 

 ボールをセンターサークルの中心に置いてDJ-YOUはフィールドから離れる。

 

「どうですか?」

 

「…?」

 

「これがタウクの導きです。確定した未来は変えられません」

 

「そうか。じゃあこの試合で打ち破ってやるよ。確定した未来ってやつをな」

 

 俺はセンターサークルから離れてポジションにつく。神縛はアレキサンダーを呼んでセンターサークルのボールへ近づく。

 

『SBF本選出場をかけた決勝!開始!』

 

 それと同時にビーッというタイマーの音が会場中に響き渡る。

 

 アレキサンダーがボールを神縛へパス。そして

 

「はぁ!」

 

 神縛はシュートを撃った。センターサークルから

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自陣のゴールに向かって。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 キーパーのグリムはそのシュートを止めるそぶりも見せなかった。

 

『ゴ、ゴ、ゴ、ゴール!なんということだ!開始二秒でゴール!し、しかもまさかのオウンゴールだぁ!どういうことだぁ!?』

 

「てめえ!今のわざとだろ!?」

 

 俺…ではなくエスカバが神縛に向かって走ってきた。そして、俺がやったように胸ぐらを掴む。

 

 エスカバがぶちギレるの初めて見た…。すごい怖い。

 

 たが、神縛は平然としている。

 

「…何か問題でも?」

 

「おおありだ!俺は真面目に戦わない奴が世界で一番大っ嫌いなんだ!」

 

「真面目にやってますよ?真面目に負(・)け(・)よ(・)う(・)と(・)しているんです」

 

「ああ!?ふざけるなよ!やる気がねえなら消え失せろ!」

 

 やべぇよやべぇよ…朝飯食ったから…(意味不明)。

 

 今にもエスカバは神縛に殴りかかりそうだ。そんなやべぇ状況を止めたのはバダップだった。

 

「止めろ。エスカバ」

 

「っ!だってよ!あいつら「ここで暴力をふるえば俺達の負けだ。それに、周りを見てみろ」…周り?」

 

 周りのギャラリー達がギラギラした目で神縛達、『ブラックテトラ』のメンバーを睨みつけていた。

 

「今、会場に奴等の味方はいない。ここで暴力をふってもなにも変わらないぞ」

 

「…悪い」

 

 ゴール前へ戻っていくエスカバ。

 

 俺は神縛の元に向かっていく。

 

「予言のためか?今のオウンゴールは」

 

「ええ。全てはタウクのためですから」

 

「俺は未来を変える」

 

「どうぞご自由に」

 

 俺はポジションにつく。

 

 未来を変える戦いが始まっていた。




千年タウクとは
『遊戯王』に登場する、千年アイテムと呼ばれる七つのアイテムのうちの一つ。
千年アイテムは選ばれし者のみが着用できる伝説のアイテムである。
千年タウクの所有者には未来を見通す能力が与えられるという。

オリジナル選手名鑑

神縛(かみしばり)悠莉(ゆうり) 林属性 MF(ミッドフィルダー)

千年タウクの従者。タウクの示す未来に従うゲームメーカー。

技
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