イナズマイレブンIN王牙 転生者の記憶   作:Balu

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 第二話です。
 数あるイナズマイレブンの二次創作の中からこの作品を読んでくれる貴方に感謝を。
 それでは本編スタートです。


第二話:じゃけんサッカーしましょうね~

 円堂守と一緒に戦える…と、思っていた時期が私にもありました。

 

 まず、転生先のおうちについて言おうか。

 

 まぁ、当たりだ。両親が政府関係の仕事に就いてるエリート。母親に至ってはそこそこテレビで見るような政治家の一人だ。

 

 そんな俺も将来は国一番と言っていいほどの名門校に行かせてあげると母親は言っていた。

 

 そんな俺…黒野(くろの)(れい)は今…円堂守の時代から八十年後にいます。

 

「ふざっけんじゃねぇぞおおおおおお!あのやろおおおおおお!」

 

 俺はメチャクチャな広さを誇る自室で叫んだ。

 

 神!お前イナイレの世界っていったら円堂と一緒に戦っていくってパターンに決まってんだろ!なにさらっと王牙学園sideに送ってんだよボケェ!

 

 円堂カノンと一緒に戦えばいいって?言ったよ!雷門(らいもん)がいいですって言ったよ。そしたら母親は

 

『いい?あなたは国の将来を背負う人間なの。雷門なんかに入ったら他の子に遅れをとっちゃうわ。王牙学園(おうががくえん)でならきっとあなたの才能を役立ててくれる』

 

 あぁああああもうやだあぁぁぁああああ!何で王牙学園なんすか!?

 

 せめて王牙学園以外にしてくれと言ったら

 

『ダメよ。だって他の学校にはヒビキ提督がいないじゃない』

 

 HI☆BI☆KI!ふざんけんな!円堂を潰すとか絶対無理なんすけど。だって俺にとっちゃ英雄なんだぞ!円堂守は!

 

 …というわけで俺(十歳)は悩んでいるんです。はい。

 

 

 

 

 

 

 

 そんなある日、母親が俺に外出しようと言ってきた。なんか知らんが綺麗なドレスを着ている。俺もなんかすごい高級そうな服を着せられた。

 

 専属の付き人が車を運転するなか、後部座席に座っていた俺は隣の席に座る母親にどこにいくのか尋ねた。

 

「私の先輩の議員さんの息子がね、今日誕生日なの。その子も王牙学園の入学試験を受けるから、あなたに会わせてあげたいと思ってね」

 

「俺は王牙学園に入りたくない」

 

「…零。どうして王牙学園が嫌なの?」

 

「ヒビキ提督って人がなんか…やだ」

 

 ヒビキ提督…王牙学園を設立した人で円堂守を潰せと命じた男だ。まだ出会ったことはないが、映画からあまり良い印象は感じていない。この世界ではかなりの有名人であり、テレビでもよく見かける。世間の人々からは英雄扱いされており、すごい人物であることは分かるんだけど…。

 

「ヒビキ提督は素晴らしい人よ。昔はこの国の内戦はひどかった。たくさんの人が死んだわ。その大半を沈静化させていったのがヒビキ提督なの」

 

「でも…俺は…」

 

「奥様。到着しました」

 

 付き人が俺の言葉を遮る。目の前には俺の家の何十倍も大きい豪邸があった。

 

 

 

 

 

 

 

 会場はとても広く、豪華なものだった。美しい装飾が施された沢山のテーブル、豪華な料理、でっかいシャンデリア。

 

 会場だけじゃない。招待客も豪華だ。芸能界の大御所、今話題のスポーツ選手、ノーベル賞をとった化学者、大企業の社長…。クソッ!ペンと色紙を持ってくればよかった。

 

 俺は母親に連れられて一際豪華なテーブルまでつれてかれる。

 

 その席に座っていたのはドレスを着た女性と十歳くらいの軍服のような服を着た少年だ。…ん?こいつどっかで見たことあるような…?

 

「今日は誕生日パーティーに招待していただきありがとうございます。スリード議員」

 

 母親がお辞儀をすると女性は立ち上がって軽く会釈する。

 

 スタイルいいなー。母親もかなりの美人だがあちらも負けてはいない。

 

「そんなに礼儀正しくしなくていいわよ。…黒野さん。この子は…?」

 

「ええ。うちの息子の零です。うちの子もそちらの息子さんと同じ王牙学園を受けるので仲良くしていただけると嬉しいのですが…」

 

「あらあら。それは嬉しいわ。バダップ。こっち来て」

 

 先程の軍服のような服を着た少年を席から立たせて、俺の目の前に連れてくるスリード議員。

 

「零君。うちの息子のバダップよ。ほら、バダップ。挨拶は?」

 

 目の前の少年にとって、俺は初対面だが、俺はこの少年を知っている。というかイナズマイレブンファンなら大半が知っている人物だろう。実質、イナズマイレブンでは最強の敵だからな。

 

 バダップ・スリード。ジ・オーガの事実上のラスボスで円堂守にサッカーを捨てさせるために未来から送られてきた刺客だ。まさか、ここで会えるとは。

 

「俺、黒野零。よろしく!」

 

「…くだらん。戦場で敵と馴れ合うとは」

 

 …え?今こいつなんて言った?普通の子供なら絶対に言わないよ?そんなこと。

 

「え?あの…バダップ君…?」

 

「フッ。バダップ?戦場を前に名前など意味をなさん。殺るか、殺られるかだ」

 

 こいつ何言ってんだ?困惑する俺にバダップママが話しかける。

 

「ごめんなさいね。バダップは夫の影響でこのしゃべり方が好きみたいなの。…バダップ。普通にしゃべりなさい」

 

「黙れ。戦場において…「普通にしゃべりなさい」…ごめんなさい」

 

 バダップママの強い語気に圧されて涙目になるバダップ。…なんだ、普通に子供っぽい。

 

「俺はバダップ・スリードだ」

 

「改めて…黒野零だよ。よろしく」

 

「ちょっとお母さん達は少し用事があるから、バダップ君と仲良くしてるのよ。では、スリード議員。行きましょうか」

 

「ええ。バダップ。いい子でいるのよ」

 

 そう言って、俺の母親とバダップママはどこかへ行ってしまう。残される俺とバダップ。

 

 しばらくの沈黙ののちにバダップが口を開く。

 

「黒野君は…王牙学園に入るのか?」

 

「零でいいよ。母さんから薦められてるだけであまり俺は行きたくないんだけどな」

 

「何でだ?」

 

「ヒビキ提督にいいイメージが持てなくてね」

 

「ヒビキ提督はいい人…のはずだ。会ったことはないが」

 

「そうなのか?俺はあまりよく分からないよ。ところでさっきのしゃべり方って…」

 

「父上の真似だ。…父上は偉い人で…かっこいいから…」

 

「とっても痛いぞ」

 

「そ、そうか…(ちょっとショック)」

 

「俺は今のバダップの方が好きだな」

 

「…まさか零は…その…男が…好きなのか?」

 

「待て待て待て待て!そういう意味じゃないから!」

 

「冗談だ。冗談…でも、好きって言われたのは…嬉しい」

 

「おっそうだな」

 

「食べるか?美味いぞ」

 

「腹減ったなぁ…(答えになってない)」

 

 俺はテーブルの上の料理に手をつける。ミートソーススパゲッティだ。とてもいい香りがする。

 

 まずは一口。こ、これは…

 

「メチャクチャうめえ!」

 

 なんだこれ!?某漫画的例えをするなら今までのスパゲッティは全部ゴムと言っても過言ではないくらい美味い。

 

 そんな興奮している俺を見て笑うバダップ。

 

「ふふっ。だろう。いっぱい食べてくれ…ちょっとまて。君はテーブルマナーを知らないのか?」

 

「あ、すまない。こういうところに来るのは初めてで…」

 

「そうか。教えようか?」

 

「あぁ~、いいっすね~」

 

 パーティー会場で俺とバダップは色々な話をした。好きなこと、嫌いなこと、楽しかったことや悲しかったことを。

 

「隣の部屋にお客さん達が持ってきてくれた誕生日プレゼントが置いてあるんだが、一緒に見に行かないか?」

 

「待てよ。これはお前が主役のパーティーだろ?いないとまずいんじゃ…「いいんだ」…え?」

 

 急にバダップは悲しそうな目をして、下を向く。

 

「このパーティーは俺のためのものじゃないんだ」

 

「…」

 

「母上は総理大臣の候補だ。だから、色んな人がやって来る。皆の目的は俺じゃなくて総理候補の母上だ。だから、俺はいなくていいんだよ」

 

 そうか。確かにたかだか子供の誕生日パーティーにしてはスケールがでかすぎる。

 

 ここに来ている招待客の目的は将来の総理候補に媚を売ることというわけだ。きっとここはバダップにとっては居心地が悪いに違いない。

 

「…分かった。一緒に行こう」

 

 そうして俺とバダップはパーティーが行われている部屋を後にした。

 

 

 

 

 

 

 隣の部屋には招待客が持ってきたプレゼントが沢山あった。

 

 すごい山だ。大小様々なラッピングされた箱が部屋の中に山積みになっている。

 

 バダップは目を輝かせながら俺の方を向いた。

 

「…開けていいか?」

 

「分かった。ただし、後々ばれないように戻しとけよ」

 

 ここで俺は止めるべきなのだろうがプレゼントの中身に対する好奇心の方が勝った。

 

 バダップは山積みになっているプレゼントから一つを手に取る。丁寧にラッピングを剥がしていくと、ラッピングされていたのはティーセットの箱だった。

 

 …どう見ても子供に向けて送られたプレゼントじゃない。

 

「これは母上が前から欲しいって言ってたティーセットだ」

 

「と、とりあえず他のも見ておこうぜ」

 

「うん…」

 

 ティーセットの箱に丁寧にラッピングをはりなおしてから、別の箱のラッピングを慎重に剥がす。

 

 今度は銘菓の箱だった。見たことあるぞ。…よかった。これはバダップのために用意したものみたいだ。

 

「よかったなバダップ。これ結構有名な和菓子だぞ」

 

「…違う」

 

「…え?」

 

「これは一回開けたあとがある」

 

 鋭すぎィ!バダップは箱を慎重に開ける。入っていたのは…ところ狭しと敷き詰められた沢山の札束だった。

 

「…!」

 

「はは…」

 

 バダップは膝をつく。箱が床に落ちて札束のいくつかが床にこぼれる。

 

「やっぱりだ…。皆にとって俺は…母上の付属品なんだ」

 

「いや、そんなことな「ある!!」…」

 

「このプレゼントを見ろ!俺のためのものじゃないじゃないか!皆、結局は母上に自分のことを売り込むためにこのパーティーに参加したんだ!」

 

「…」

 

「俺なんて本当は存在する価値なんてないんだ。俺のための誕生日プレゼントなんて…ここにはないんだ」

 

 

 

 

 

 

「いや、ある」

 

「え…?」

 

 俺はあるものをバダップに見せる。バダップが目を丸くする。

 

「それは…サッカーボール?」

 

「プレゼントの山の中にあった」

 

「…」

 

「確かにバダップのことをお母さんの付属品と考えてる連中はいるだろう」

 

「…っ!」

 

「でもな、お前のことをそういう存在としては見てない人もいるんだ。お前を一人の人間という存在として見てる人がいるんだ。このサッカーボールをくれた人のように。俺だってその一人だ。だから、それ以上落ち込むな。お前には俺がいる」

 

「…零」

 

「で、何処だよ?」

 

「?」

 

 キョトンとした顔をするバダップ。俺は続ける。

 

「さすがにあるだろ。庭だよ。庭」

 

「庭ならあの扉の向こうだが…わわっ!?」

 

 バダップの腕をつかみズルズルと引きずっていく。思ったより軽いな。

 

「○×△□!?」

 

 何か言ってるが無視してそのまま庭に出る。もう夜だが、バダップの家の光が庭を照らしているため、あまり暗くはない。

 

 俺は右手で引きずってるバダップを放すと、左手に持ってるサッカーボールを置いた。

 

「な、何をするんだ?」

 

「サッカーだ。せっかく貰ったんだしいっぱい遊ぼうぜ。それじゃあ」

 

 俺はボールを蹴った。

 

「じゃけんサッカーやりましょうね~」

 

 

 

 

 

 

 

 まぁ、そんなに上手くはいかなかったけどね。

 

 生前はサッカーは上手い方だったが転生してから初めてのサッカーのせいか、全然うまくいかない。

 

 バダップもそうで、互いにドリブルもままならず、シュートなんてとんでもない方向に飛んでいく。

 

 もはや必殺技どころじゃなかった。

 

 でも、それはとても充実したサッカーだった。

 

「ハァ、ハァ、ハァ…」

 

「ハァ、ハァ、ハァ…」

 

 もう俺達はくたくたで芝生の上に寝転んでいた。汗だくで気持ち悪いが、そんなのどうでもよかった。

 

「どうだ?…面白かったろ?」

 

「ああ!…楽しかった!なあ、零」

 

「…何だ?」

 

「またいつかサッカーをやろう!」

 

 その後、俺達はサッカーボールを元の場所に戻して何食わぬ顔でパーティー会場に戻っていった。

 

 もちろん互いの母親に怪しまれたけど。

 

 

 

 

 

 

 

 パーティーが終わり、帰りの車に乗り込む。

 

「どう?楽しかった?」

 

 母親が聞いてくる。俺は答えた。

 

「うん。とても楽しかったよ。後さ、母さん、俺…」

 

「王牙学園に入ることにするよ」




①『じゃけん…しましょうね~』の使い方…何かする予定をたてる時に使う
②『~すぎィ!』の使い方…何かの度がすぎてる時に使う。
③『あぁああああもうやだあぁぁぁああああ』の使い方…嫌な時に使う
④『おっそうだな』の使い方…そう言いたい時に使う
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