結構書くのは大変ですが、やりがいがあってとても楽しいです。
バダップ達、王牙学園の学年はゲームでは?になっていて不明なので、勝手に決めて書いております。すみません。
では、数あるイナズマイレブンの二次創作の中からこの作品を読んでくれる貴方に感謝を。
本編スタートです。
そもそも王牙学園は将来的には国の要職につく人間や優秀な兵士を育てるという目的を元に設立された学校だ。
当然将来的にそうなりそうな人間を厳選してから入学させる。そのための入学試験である。
そういうわけで俺、
「緊張してるか?零」
「いや。緊張なんてしてないよ。ところでバダップ」
「何だ?」
「どんなに実技が難しくても気にするなよ。お前が出来ないなら皆が出来ないんだから」
「フッ。ならこう言おう。筆記がどれだけ難しくても気にするな。零が解けないなら皆解けないからな」
あのパーティーから二年…俺とバダップはちょくちょく会うようになり、サッカーをやったりしていた。
だが、サッカーだけじゃない。俺達は王牙学園の入学試験の対策もしていたんだ。
たまたま、俺は勉強が得意(まあ、そこそこ名門の大学に入ってるし)でバダップは運動が得意だったのも互いの欠点を穴埋め出来ていた。
俺達は王牙学園の敷地内に入る。校舎の入り口には王牙学園の教員達がおり、受験生達の受験票を確認している。未来でもやっぱ受験とかはアナログなんだなあ。
受験票の確認が終わり、校内へ入る。王牙学園に上履きはない。校舎内は土足でOKだ。
試験は筆記と実技で二つある。筆記はいわずもがな実技は体育だ。優秀な兵士になれる才能を計るにはやはり体育が一番なのだろう。
「あの角曲がってしばらく歩いたところが俺達の教室だな」
「合格できるといいな」
「ああ。そうだ…ってうお!」
角を曲がった瞬間誰かとぶつかった。俺は尻餅をつく。
「いてて…誰だ!?気を付けろ…よ…?」
俺とぶつかったのは…ギラギラした目をした強面の大男だった。鋭い犬歯が口から覗いている。ゴーグルを少しずらしてつけており、まるで第三の目があるみたいになってる。つよそう。
はぇ~すっごいおっきい…。
ぶつかった相手は俺を睨み付ける。
「人にぶつかっといてそういう態度か?オラァ!なめてんじゃねえぞ!」
「センセンシャル(『すみませんでした』と早口で言った)…」
「あぁ!?なんつった!?」
相手は俺の胸ぐらを掴む。あああもうやだああああああああああ!!
その時、バダップが俺の胸ぐらを掴んでいる方の腕を掴んだ。
「おい…俺の友に手を出すな…!」
…すごい殺気だ。ぶつかった相手は俺から手を離し一歩後ろに下がる。
「な、なんだよ、お前…元々文句を言ったのは向こうだぞ!常識的に見て謝るのは向こうじゃねーか!(震え声)」
「先に手を出したのはお前だろ…!」
不味いな。ヤバイ空気だ。今にも殴りあいが勃発しそうな空気。周りの受験生達もこの空気を察知したらしい。
「な、なぁ…」
「やばくね?先生呼んだ方がいいんじゃ…?」
だが、バダップとぶつかった相手は周りの奴等が見えてないのか睨みあっている。その時だった。
「やめろ!ザゴメル!」
俺がぶつかった相手…ザゴメルと呼ばれた男の肩を一人の少年が掴んだ。
「…エスカバか。何の用だ?」
「お前、他の受験生とはトラブル起こすなとあれほど言ったのに何やってんだ!?」
するとザゴメルは俺を指差して言った。
「先に文句を言ったのは向こうだ!」
「そんなくだらないことで喧嘩して試験取り消しになってもいいのかよ!?」
「っ!」
ザゴメルの肩がピクッと震える。それをエスカバは見逃さない。
「教室に戻れ!」
「…分かった。…おぼえてろよ。テメエ」
ザゴメルはエスカバの言うことに従う。最後に俺を睨み付け捨てぜりふを吐いて自分の試験の教室へと戻っていった。
「ったくアイツは…。俺の友達がすまないな。ええと…」
「俺はバダップ・スリード、こっちは友達の零だ」
「そうか。バダップ、零、本当にすまない。あいつはキレると周りが見えなくなっちまうんだ…怪我はないか?」
「俺は大丈夫だ。零は?あいつとぶつかったはずだが」
「無傷だからヘーキヘーキ!」
「よかった…」
エスカバはそっと胸を撫で下ろす。
エスカバ…エスカ・バメル。王牙学園の
そして、さっき俺がぶつかった相手こそ王牙学園の
「受験生!廊下にいないで早く教室入って!あと五分で始まるよ!」
「おっ!そろそろか。じゃあな、バダップ、零。合格することを祈ってるぜ」
監督の先生の声を聞きエスカバは教室へ戻る。
「じゃあ行くか、バダップ」
「ああ」
俺達も教室へと入っていった。
まぁ、簡単だったよ。いくら名門校の試験といえども所詮は小学生のためのの試験。大学まで卒業してる俺にとっては簡単だとはっきりわかんだね。
「零。どうだった?」
「まあ、満点だろうな。結構簡単だったし」
「…そうか。俺も合格点くらいはとれてそうだよ」
いや、お前はぶっちぎりで合格だろ。王牙学園最強に将来的になるんだから。
「どうだった?お二人とも」
そこにエスカバとザゴメルが教室へ入ってくる。エスカバはにこやかに笑っているがザゴメルは俺に対する殺気が半端なかった。
「俺も零もいいが、エスカバは?」
「俺も合格ラインには届いてると思うんだけどな。あんまり自信がないぜ」
嘘つけ。お前は頭脳派だろ。
「この後は実技試験だな」
「もうすぐ校庭に出ろって放送があるだろうな」
筆記が終わっても油断は禁物だ。王牙学園の実技試験はかなりキツい。毎年、合格確実と言われても落ちるやつらがいるくらいだ。
実技テストは男女別々に行われる。基本的にランニングしたり、個々の運動能力を見るテストだが、このテストのために全受験生が体を鍛えているのだ。このテストで出る、身体能力値の平均はとてつもなく高いらしい。
「へまは出来ないな…」
『今から、実技テストを行います。生徒の皆さんは校庭へ出てください』
「始まるか」
実技試験の始まりを告げる放送がなる。俺達は教室を出る。そのまま校舎から出て校庭へ向かう。
実技テストは普通に進行していく。
握力とか反復横飛びとか色々やっていく。ぶっちぎりでバダップがすざましい活躍を見せた。周りの受験生だけでなく試験監督の先生方も目を擦ってたり口をあんぐりと開けてた。
うん。バダップは合格してるだろうね。これでアイツが受かってなかったら合格者0になるわ。
どうやら実技は去年とほとんど同じのようだ。若干変わったのは反復横飛びの時間が二倍になり、100メートル走が、200メートル走になったことだ。
最後の1500メートル走を終えて俺は地面に座り込んだ。
「ぬわああん疲れたもおおおん!」
「はいはい。よく頑張った」
エスカバが背中をポンポンと叩く。だが、エスカバも相当疲れたらしく背中を叩いた後、すぐに大の字に寝転ぶ。俺は水筒をガブガブ飲む。周りも似たような状況だった。ただ一人…バダップを除いて。
「情けないな。二人とも。この程度でダウンしたら優秀な兵士にはなれないぞ」
「お前がおかしいんだよ!周りを見てみろ!」
「そうだよ(便乗)」
涼しい顔をしたバダップにエスカバが突っ込む。それに便乗する俺。
そこに一人の男が現れる。
「ハァ、ハァ、ハァ…」
ザゴメルだ。ここまで、実技では握力やソフトボール投げなどのパワー系の種目においてはザゴメルは圧倒的な記録(それでもバダップには届かないが)を叩き出してはいたものの、他の分野の種目では散々な状況だった。
この1500メートル走も平均よりも若干遅いはずだ。
「ハァ、ハァ、ハァ…クソッ!」
膝をついて地面を叩き悔しがるザゴメル。胸ぐら掴まれた時は頭にきますよ!なんて思ったが今は可哀想に思えた。
俺はザゴメルに近づこうとする…がそこをバダップが止めた。
「止めておけ。今、お前や俺が話しかけてもいいことはない。あいつの悔しさはあいつにしか分からないんだ」
「…そうだな」
『1500メートル走は終了しました。受験者は校庭の試験監督のもとに集まってください』
試験監督の先生がスピーカーで俺達を呼ぶ。
「行くぞ。ザゴメルには悪いが俺達は本来蹴落とす蹴落とされるという関係の敵同士なんだ」
「…ああ。そうだな」
バダップが走っていく。俺もそれに続いた。
「えっと、とりあえず、受験者諸君。我々からの実技試験はこれで完全に終わった」
眼鏡をかけたがたいのいいマッチョの試験監督の先生が試験の終了を告げた。
それを聞いた受験者達は安堵したのか少しだけ空気が緩む。
そのために少しだけ辺りがざわざわとなる。
「静かにしろ!話はまだ続きがある!」
…何だ?まだ続きがあるのか?もう試験終了の報告で試験全てが終わったんじゃ…?
「この後、引き続き実技試験に移る!十分間の休憩後にまたここに集合するように!」
…ファ!?まさか、『我々からの実技試験は完全に終わった(完全に終わったとは言ってない)』とかいうパターン中のパターンか!?まさかお前はホモなのか!?こんな言葉を使うなんて貴様はホモに違いない!
「あ、あの…」
受験者の一人が恐る恐る手をあげる。
「何だ?」
手をあげた受験生は皆の気持ちを代弁する。
「あの…実技試験はさっき終わったって言いましたよね?(正論)」
「ああ。終わったよ。
空気が再びピキリという音を立てたかのように張りつめる。
…ヒソヒソ話が聞こえる。
「どういうことだよ…」
「試験監督以外に誰が試験をするっていうんだ…」
その空気に試験監督の先生は耐えられなくなったようで
「ええい!俺にもなんでかは知らん!とにかく!十分後に!ここに!集合するように!終わり!閉廷!以上!皆解散!」
わめき散らして俺達の前から去った。
受験生達は困惑していた。そりゃそうだよ。俺やエスカバだってもちろん、バダップですら困惑してるもん。
「…どういうことか分かるかバダップ?」
「いや、さっぱりだ。だが、試験監督が知らされていない以上何かしらとんでもないことが起きるかもしれない」
バダップですら分からないのか。こりゃあヤバイな。何か恐ろしいものの片鱗を味わうことになるかも…。
「零もバダップもそんなに気にしなくていいんじゃないか?お前らを見てるとなんでか知らないけど二人とも合格できていると思うんだが」
エスカバの言うことにも一理ある。俺達の思い過ごしなら助かるが…。
そんな中だった。ザゴメルが校舎に向かって歩いているのを見たのは。
あいつまさか…!
「ごめん!バダップ!エスカバ!ちょっと俺行ってくる!」
「そうか。気をつけろよ」
走る俺の背中にエスカバが叫ぶ。
「十分以内に戻って来いよー!」
「分かってるー!」
俺は必死に校舎に向かって走る。
ザゴメル!もしも俺の予想通りなら…
①『はぇ~すっごいおっきい…』の使い方
大きいものを見たときに使う。
②『センセンシャル』の使い方
『すみませんでした』と言うべき状況で使う。
③『~だからヘーキヘーキ』の使い方
大したことじゃないよと言いたいときに使う。
④『終わり!閉廷!以上!皆解散!』の使い方
使いたい時に使う