今回は少しだけサッカーする回です。四話も待たせて申し訳ありませんでした。
では、数あるイナズマイレブンの二次創作の中からこの作品を読んでくれる貴方に感謝を。
本編の始まりです。
「いやー。にしても意外すぎたよ。バダップが1000回いかなくてザゴメルが代わりに1000回いったのは」(注意!下ネタではありません!第四話参照!というか仮にそうだとしても⚪キスギィ!)
『…そうだな。運動の分野で俺が誰かに負けたのは初めてかもしれないな』
今、俺はバダップとビデオ通話で話している。今は王牙学園の入学試験が終わった後の深夜だ。
『ザゴメルは何か言っていたか?』
「いや、もう何もする気力が無かったみたいで何も言わずにフラフラ帰っていったよ」
バダップが993回目で倒れた後、ザゴメルは最後までやりきり、この試験唯一のクリア者となった。
それとバダップが倒れたのは疲れすぎで眠ってしまった…というものだ。俺も最初は信じられないと思ったが全身疲労で試験後全く動くことの出来ない受験生もいたからおかしいことではないのかもしれない。それだけこの試験は過酷だったということだ。
バダップは試験終了後も眠ったままで結局送迎の車で自宅へ帰っていき、俺は一人で家に帰った。
「あとさ、帰るのメチャクチャ大変だったんだぞ!もう足とかパンパンで歩くのも苦労したし!」
『それは大変だったな』
「なのにお前は歩くことなくリムジン!羨ましすぎる!俺乗ったことないんだぞ!」
『それなら今度乗るか?』
「いいのか!?約束だぞ約束!…あ、約束といえば三日後にエスカバと一緒に映画に行く約束をしたんだけどバダップも一緒に行くか?」
『いいのか?』
「いいよ。エスカバがあとでバダップにも聞いといてくれって言ってたし」
『そうか。ありがとう。行かせてもらう』
「待ち合わせ場所は…」
俺が伝える待ち合わせ場所をバダップはメモに取る。
『OKだ。イナズマ映画館だな』
「正午に待ち合わせだ。頼むぜ」
『分かった。もう夜遅いしこれで終わりにするか?』
俺は時間を確認する。ウェ!?午前一時!?時間経つの早すぎィ!
「そうだな。バダップ。じゃあ三日後、楽しみに待ってるぜ!」
『ああ』
こうして俺とバダップの通話は終わった。
俺…バダップ・スリードは電話を終えるとベッドへと飛び込んだ。
「…疲れた」
体が思ったように動かない。先程のメモをとるのにさえ疲労のせいか上手くいかなかった。
「バダップ様。夕食のお時間です」
「…
「ええ。しました。ですがいつまで経っても返事がないので勝手に入らせてもらいました」
何故俺の夕食が午前一時になっているのか。それは俺が眠ってしまったことにある。
王牙学園入学試験は午後八時に終了した…らしい。俺は試験終了直前に眠ってしまったために、知らなかったが。
他の人によると、眠ってしまった俺は全然起きなかったらしく何かにうなされてるようだったと言っていた。
そうして眠っていた俺が目覚めたのはまさかの午後十一時。目覚めた俺は状況を説明された後、零に無事を報告することにした…というわけだ。
ちなみに腹が非常に空いている。すでに十二時間近く何も食べていないから当然だが。
「本当にすごいうなされておりました。体調は万全なのですね?」
「大丈夫だ。気分は悪くないし脈も正常だった」
「
「
「それはよかったです」
彼女は安堵の息をついた。
彼女の名は
雪のように真っ白な肌、真っ赤な瞳は彼女がアルビノであることの証だ。長い真っ白の髪はポニーテールにしている。だが、中性的な顔立ちをしており、なおかつスーツを纏っている彼女は男性にも見える。
ベテランの従者が多い俺の家で彼女だけは十代後半だ。母上が俺の専属は同年代くらいの子がいいと考えたために彼女は弱冠十五歳にして俺の専属の執事となった。
だが、他の執事やメイドから仕事を教わり彼女の仕事の腕前は今では一流となっている。
最初彼女が来たときは別に執事などいらない、と考えていたが今の俺にとっては大切な従者だ。
ちなみに彼女はメイドではなく何故か執事をやっている。本当に何故なんだ…?
「バダップ様。三日後に黒野様に会われるのですか?」
「ああ。エスカバが映画に誘ってくれてな」
「…エスカバ様…ですか」
「王牙学園の試験で仲良くなった受験生だ」
「そうですか。悪い輩ではないようで安心しました。…そういえばバダップ様」
「何だ?」
御影は懐から一枚の紙を取り出すと俺にそれを渡した。
「これは…」
「先日、バダップ様が調べるよう言われたものです」
「…ありがとう。助かる」
「ありがたきお言葉。夕食ですがそちらに持っていった方がよろしいでしょうか?」
「…頼む。試験直後で体を動かしたくないんだ」
「承知いたしました」
御影は部屋から出ていく。俺は先程彼女から受け取ったものを確認する。問題ないな。エスカバ達と映画に行くついでに見に行くか。
「バダップ様。夕食をお持ちしました」
「入れ」
「失礼いたします」
御影が夕食を持って姿を現す。今日の夕食はステーキらしい。…しまった。何で御影に夕食を持ってかせてしまったんだ。
やらかしてしまったかもしれない。
先程も言った通り御影は一流の従者だ。だが、彼女はとんでもない欠点を抱えている。
欠点があるなら一流とはいえないが、彼女のそれは欠点と言ってはいけないかもしれない。それに欠点といえどもそれは彼女の仕事のミスに直結するものではない。
少なくとも『ミスをしない』という点では彼女は一流の従者なのだから。
「それでは、バダップ様。お手を拭かせて頂きます」
「分かった」
手を出す。彼女はおしぼりで俺の手を丁寧に丁寧に拭いていく。普通なら三十秒で終わるところを彼女はとても丁寧にやる。
五分もかけて彼女は俺の両手を拭き終えた。
「これで終わりです。バダップ様」
「よし、じゃあ早速料理に「いけません。バダップ様!」…え?」
「ナイフとフォークに毒が塗られてるかもしれません。かくなるうえは一度消毒し直します!」
そう言うと彼女はナイフとフォークを丁寧に消毒液入りのふきんで拭いていく。…丁寧に丁寧に。
またも五分ほどかけて彼女はナイフとフォークを拭き終えた。
「ナイフとフォーク、きちんと綺麗にさせていただきました!」
「…よし、今度こそ「まだダメです!バダップ様!」…」
「ステーキそのものに毒が仕掛けられている可能性もあります!ここは私が毒味を行いますので!」
お分かり頂けただろうか。…そう。御影千草は…神経質である。通常の業務に支障をきたすほどではないのだが、食事の間だけ何故かとてつもなく神経質になるのだ。
だからこそ俺は食事中は御影を側に置かない。このように彼女の『従者としての業務』という名の妨害を受けるからだ。
御影は懐から別のナイフとフォークを取り出すとステーキを一切れ口の中に納める。
彼女はステーキを咀嚼する。丁寧に丁寧に…。二分もかけて彼女はステーキ一切れを飲み込んだ。
「よし!もういいな!御影!」
「はい。どうぞ。バダップ様」
やっとだ。…やっと食べられる。だが、もうステーキは冷めてしまっており、あまり美味しくはなくなっていた。
もう絶対食事中、御影を側に置かないことにしようと俺は心の中で強く誓うのだった。
待ち合わせ場所であるイナズマ映画館前のベンチに俺は座っていた。入り口前の広場にはあまり人はいない。そんな中でポップコーンの屋台に鳥の群れが集まってきている。どうやらこの鳥たちはポップコーンのおこぼれが欲しいみたいだ。周りを見るとあちこち鳥だらけ。ポップコーン屋さん!まずいですよ!
ちなみにバダップとエスカバはまだ来てないみたいだ。
正午に集合の予定だが、今の時間は午前十一時半。少し早く来てしまったらしい。すこし、暇だな。
「あっそうだ(唐突)。サッカーボールでも蹴るか」
俺は持っているボールの袋を見る。久しぶりにバダップと遊ぶのでボールを持ってきた。エスカバがいるあたり持ってかない方がよかったかな?とも思ったけど結局いい暇潰しになる。
ボールを袋から出す。そのままドリブル。流石にショッピングモールとかお店が並ぶこの場所でシュートは打てないがそれでも充実していた。
その時だった。いきなり何者かにボールを奪われたのは。
「!?」
「あはは~!ずいぶんトロいな~♪」
ボールを奪ったのはくろぶちの眼鏡をかけた金髪のツンツン頭の男。背はザゴメルと同じくらいはあろうかという長身だが彼ほど筋肉ムキムキというわけではなくでぶっとしている。
「おめえさん。サッカーが好きなのか~?」
「いや、町中にボール持って来ててサッカー嫌いなやつがいるなら是非見て見たいけどね」
「ははっ!たしかにそうだな~♪」
男は奪ったボールをそのままリフティングする。
「オイラの名はシン。シン・グリッドだよ~♪。おめえさんは~?」
「
「う~ん。どうしようかな~♪」
シンはニヤニヤ笑いながらリフティングを続ける。…こいつ返す気がないな。頭にきますよ!!
なら仕方ない…。返す気がないなら…。
俺は一気にシンへ近づく。シンはしばらくヘラヘラしていたがすぐに俺の狙いに気づく。スライディングを仕掛けてボールを奪いに行くがギリギリでシンの反応の方が早かった。
ジャンプで空中に逃げられる。だが、その程度で諦める気はない!
素早く体制を立て直し、シンの着地点を狙う。
「そこだ!」
「っ!おっと~!」
シンは空中でボールを高く蹴りあげる。ジャンプしてボールを取りに行く俺。シンは着地してから再びジャンプしなければならない分俺よりもジャンプのタイミングが遅れるはず。
しかし、シンが蹴りあげたボールは風に流されていき軌道をどんどん変えていく。
おいおい。いくらなんでもあおられすぎじゃねえか!?ダメだ。ボールに届かない!
結果的にボールは俺が予想した場所から遥かに離れた場所に落ちる。そこにはシンが待ち構えており、シンはボールを足でトラップした。恐らくシンはボールが風の影響をモロに受けるようにボールに回転をかけたのだろう。
「いや~。狙いはよかったがオイラには通じないってことだな~♪」
シンは地面に着地した俺を見てニヤニヤ嗤う。…参ったな。俺はすぐにボールを奪い返しにいく。するとシンはボールを再び高く蹴りあげる。
真上に蹴りあげたから奴がいるあたりに落ちてくるはずだが、さっきのパターンを考えると風にあおられてとんでもないところに落ちてくるな。
シンのやつより先に落下位置を予測しないと。上を見てボールの落下点を予測しようとする俺。だが、シンは一定の場所から全く動こうとしない。
「おいおい。そこから動かなくていいのか?」
「うん~。だってここに落ちるも~ん♪」
俺は辺りを動くが不規則に動くボールの軌道が分からない。そして、ボールはシンの居た位置に落ちた。
「えへへ~♪すごいでしょ~♪」
こいつ…何でボールの落下点が分かるんだ?上空の風の向きが分かれば流石に落下点くらいは予測できるが上空の風の向きが地上の風の向きと必ずしも一致するとは限らない。
じゃあこいつはどうやって上空の風の向きを…?
「さあ~♪君は僕からボールを取り返せるかな~♪」
「おもしれえ…」
謎を解いてボールを奪い返してやる!
…あれ?というか…これ警察呼べば万事解けt(強制終了)
御影千草は掃除のためにバダップの自室へ入った。今はバダップは友人の黒野零と遊びに行く約束を果たすためにイナズマ映画館へと向かっているためにノックする必要はない。
御影はまずはバダップの勉強机から綺麗にすることにした。机を見る。一つの写真立てが彼女の目を引いた。二年前のバダップの誕生日パーティーの時に撮られた写真が入った写真立てだ。
二人の少年が写真の中にいる。
一人は御影自身飽きるほど見ている、主人…バダップ・スリード。
もう一人はこのバダップの友人、黒野零。
写真立てをじっと見つめる御影。
そして深いため息をつく。
「黒野零…貴方は誰ですか?貴方は一体何者ですか?…単純に王牙学園のメンバーに選ばれなかった出来損ないか、それとも…」
もう一度深いため息をつく。考えすぎは体に良くない。
ふと、御影は時間が気になり、腕時計を確認した。
11時45分14秒。彼女は腕時計を外すとその場に落とし…踏み割った。
「汚いですね。1919810まであったら発狂してたかもしれません」
ちなみに19秒後に彼女は踏み割った腕時計を処分しなければいけないことに気づき、余計なことをした自分を呪うことになるのだが、これはまた別の話で。
114514とは
①『じゅういちまんよんせんごひゃくじゅうよん』である。
②『いいよこいよ』と読むとある民にとっての聖なる数字である。
次回あたりでオリジナル必殺技が出るかもしれません。