では、数あるイナズマイレブンの二次創作の中でこの作品を読んでくれる貴方に感謝を。
本編スタートです。
…しかし、上空の風にあおられるボールの落下点が相手に分かって自分に分からない以上、すでに情報戦で負けている。
すでに奪い合いを開始してから十分近くが経過していた。
「いや~♪大変だね~♪必死だね~♪」
「その余裕そうな顔をすぐに歪ましてやるさ!」
シンにボールを奪いに近づくがいつも通りシンはボールを上に蹴り上げる。
俺は上を見ながらボールが落下しそうな辺りを探す。
だが、シンは先程ボールを蹴った位置から動かない。
まさか、あの辺に落ちるのか?
俺はシンの居る辺りへ移動する。…おかしいな。どう見てもここにボールが落ちてくるとは思えないが…。
と、いきなりシンが動く。一気に十メートルほど移動して落下したボールを胸でトラップした。
「お前…」
「あはは~♪流石に~そろそろ君がオイラの位置を参考にして落下位置を特定するような気がしてたんだ~♪いや~落下する直前に動いて正解だったな~♪」
なめられてる。いや、ポジティブに考えよう。これでボールを奪うのがよりいっそう楽になった。
…上空の風向きを知ってればの話だが。
待てよ、俺もシンも条件は同じ。ということは相手は何らかの手段で上空の風向きを知ってる可能性がでかい。
俺は辺りを見回す。高いところにあって風の影響を受けやすいものがあればそれを利用して上空の風向きを知ることができる。
木や旗のようなものが候補にあげられるがここにはない。木といった自然物は八十年後の未来では見かけるのも珍しい。旗は…なんでねえんだよ(半ギレ)。
と、とにかく風向きを把握できるものを探さなきゃ…(使命感)。
…そうだ!風見鶏はどうだ!ここには建物がいっぱいあるし一つくらいは…無いか。そもそも風見鶏なんて古いしさすがにこの世界にはないだろうな。代わりに屋根の上に居るのはポップコーンのおこぼれを待つ鳥たちだけだ。
…ん?鳥?
オイラ…シン・グリッドはもうこの戦いに飽きていた。
あのお方からのミッションを思い出す。何であの方はこんなやつを警戒してるんだな?
オイラはボールをリフティングする。『
この程度でボールを取り返せないのならばそこまで気にするべきものでもないはずだ。
少なくともオイラ達の真のミッション達成の邪魔にはならないだろう。
と、そんなことを考えているオイラに向かって黒野が近づく。
オイラはボールを空に向かって蹴る。そして、
北風…いや、北北東に流れている。風速は大体五メートルくらいか。
となると、あの辺か。奇遇にもポップコーン屋の屋台がよい目印になる。
さてと、ボールが落下する直前までここで待つか。
多分、ポップコーン屋の辺りに落ちるな。ボール。
俺は
だが、まだそこには向かわない。まだボールが落ちるまでに時間がある。今、俺が得ているアドバンテージはシンの油断だ。まだ相手はこちらがボールの落下点を見つける方法を持ってないと考えてるはずだ。
今ここで屋台の辺りをうろちょろすればシンは警戒するだろう。手にしたアドバンテージが水泡と化す。
俺はあえてポップコーン屋から少し離れる。それでもシンよりは近い位置にいるが。
これで万全かもしれないが念には念をだ。
今、ボールは俺の真上にあるがここからだ。風にあおられたボールは地面に近づけば近づくほどに大きく変化する。
ボールの高さを見るにあと数秒で地面に落ちるな。
そろそろだ!エンジン全開!
俺はポップコーン屋に向かって全力で走った。(注意!これでもサッカーしてます)
…!!あいつ!
元来、鳥たちは風によって体を冷やすことを避けるために本能的に体の向きを、常に風とは逆方向に向けている。
さらに、鳥たちの飛行から風速を割り出すことも可能だ。事実、プロゴルファーはコース上を飛行する鳥から上空の風を把握する。
まずいな。やつの方が一瞬早く落下地点に到達する。
ここで負けるわけにはいかない!
「デーモンカット!」
黒いオーラを纏った足を横一線する。すると、黒野とボールの間に黒色の衝撃波の壁が出現した。衝撃波の壁には気味の悪い悪魔の顔が気のせいか見える。
衝撃波で黒野は後ろに飛ばされる。
「悪いな~♪でも~必殺技を使っちゃいけないなんて誰も言ってないしね~♪」
「ははっ!奇遇だな…」
「?」
間違いなくボールはほぼオイラが奪取できるだろう。だが、黒野の目は諦めてはいなかった。
「俺も…お前と同じことを考えてたんだよ!じゃあぶち込んでやるぜ!」
黒野の右足が炎に包まれる。その右足をデーモンカットと同じように振るう。右足に集約していた炎がボールを焼きつくす。そして
ボールが爆発した。
「エクスプロード・ボール!」
ボールの近くにいたオイラは吹っ飛ばされる。まるでボールがオイラ自身を拒絶したかのような技だった。ディフェンス技か。
「くっ!」
五メートルほど吹っ飛ばされる。形勢逆転された。
ボールはコロコロ転がって黒野の足元へ。
「俺の勝ちだ!」
はは…
「オイラの…負けだな~」
「いや~♪楽しかった楽しかった~♪」
シンはニコニコ楽しそうに笑いながら映画館前のベンチに座っている。
俺は時間を確認する。午前11時53分22秒(11時45分14秒じゃない-1145141919810点)。集合時間は正午だし、まあ、いい暇潰しにはなったか。
「さっきはおちょくってごめんな~♪ほら、道端でサッカーボール蹴ってる人見たらちょっかい出すことって君もよくあるだろ~?」
「ありますあります」
「いや~♪やっぱりそのへんオイラたちは気が合うね~♪」
シンはポップコーン屋さんで買った特大サイズの器に山盛りに入ったポップコーンをバクバク食べている。
「あっ。キャラメル味無くなった~♪次はチョコレート味のポップコーンにする~♪」
「食べスギィ!」
「あはは~よく言われるよ~♪」
チョコレート味のポップコーンの代金を払い、商品を受けとるシン。
「じゃあ、そろそろばいばいだね~♪」
「おっどっか行くのか?」
「うん~♪またね~♪」
シンはそう言うとポップコーンの特大カップを抱えてスキップしながら去っていく。スキップする度にカップこぼれ落ちるポップコーンの道に鳥たちが群がる。シンとすれ違ってやって来たのは
「すげえ量のポップコーンだな…。なんだあいつ」
エスカバだ。受験のときと全く同じ格好…軍服姿だ。この世界の軍人というのはどちらかと言えば右翼的な人が多く、国への忠誠心とか何たらとかで子供とかにも軍服を着せる人は多いらしい。実際、将軍の父を持つバダップが外で軍服以外を着ているところを俺は見たことがない。エスカバも同じなのだろう。
「よう。三日ぶりだな。…何か息づかい少し荒くないか?」
「ああ。少し運動してたのさ」
「…それ、サッカーボールか?懐かしいな」
「サッカーをやったことあるのか?」
「昔、少しだけな」
ん?気のせいかエスカバの奴、少しだけ悲しそうな表情を一瞬浮かべたような。
「そういえばザゴメルがお前にありがとうって伝えてくれって。お前、何かしたのか?」
「そうだな。まあ、あまり聞かないでくれ」
ザゴメルが途中退席しようとしてたなんて言えるわけないゾ。
「バダップの奴遅くないか?あと一分くらいで十二時だが…」
「大丈夫だ。あいつは時間内に必ず着くよ」
「…すごい自信だな」
俺はバダップと何回か遊んだことがあるから知っている。バダップが遅れないことは。バダップは…。
「十二時まで残り十秒…来るぞ」
その時一台のリムジンが姿を見せる。残り五秒。リムジンは俺たちの目の前に停車する。
そして、残り三秒。運転手がリムジンの扉が開く。
十二時ちょうどにバダップは映画館前に現れた。
「ありがとう。帰りは例の場所で待っていてくれ」
「かしこまりました」
運転手はバダップに深くお辞儀をする。
「…バダップは待ち合わせ時間ちょうどにいつも現れるんだ」
「マジかよ。すげえな」
「こんにちは。零。それとエスカバ。今回はよろしく頼む」
「ああ。よろしくな。バダップ」
バダップとエスカバはかたい握手をかわす。
「ところで映画は何を見るんだ?」
俺とバダップはエスカバからは映画のタイトルを教えてもらってない。本人いわく『映画館に着いてからのお楽しみ』らしいが
「『迫真!
「面白そうなタイトルだな」
「えぇ…(困惑)」
少年はポップコーンのカップを抱えて鼻歌をうたいながら人気のない路地をスキップしていた。もうポップコーンのチョコレート味はほとんど残っていない。
「おっ!いたいた~♪」
少年は待ち合わせ場所で待っていた二人の少年少女に声をかける。
「十二時ちょうどに到着~♪いや~♪遅れるかと思ったよ~♪」
「NO。貴方が到着したのは12時00分00.23秒です。すなわち0.23秒の遅れがあります。これにより貴方は遅れました。
三人のうちの一人の少女が淡々と機械のように告げる。青い髪のショートヘアーで眼鏡をかけており、かなり華奢で儚い雰囲気を持っている。
「ヘレス~♪待ち合わせ場所は『この辺り』って言っただけで具体的な領域は提示してないよ~?」
「YES 。しかし貴方が話しかけてきたタイミングを到着時間と見なせば今の私の証明は正しいはずです」
「おいおい!俺は誰が何秒遅れようがどうでもいいんだ!さっさと近況報告といこうぜ!」
ポップコーンを持った少年の返答にたいしてヘレスと呼ばれた少女は反論した。その後、赤毛でサングラスをかけたがたいのいい男が叫ぶ。
「そうだね~♪ヘレス~♪文句は後で聞いておくから今は耐えてくれる~?」
「状況を分析…効率を重視し『シン・グリッドが近況報告に遅れた』命題についての証明を中断します」
「分かってくれて助かるよ~♪」
「じゃあまず俺だな!とりあえず異常なしだ!今、古芝セシルは小さなサッカーコートにいるぜ!」
赤毛のサングラスが報告する。
「オイラはあのお方の命令で黒野零に接触したよ~♪」
「質問です。黒野零の実力はセカンドステージチルドレンに匹敵するものでしたか?」
「いや~♪オイラ達にすら届かないよ~♪でも~♪間違いなくオイラ達のステージまで~やって来るだろうね~♪」
「…意味が分かりません。私達の実力相当となる根拠を提示してください」
「いや~♪勘だよ~♪」
「非科学的です。根拠のない発言をしないでください」
ヘレスは感情のない瞳のままシンに冷たく宣言する。空気が張りつめる。ヘレスの肩を掴むサングラス。
「まぁ、そんなこと言うなよ。シンの勘はよく当たるんだ」
「では、フェルメ・イレーズ。貴方には『シン・グリッドの勘はよく当たる』という命題を証明する根拠があるのですか?」
「いや、無いけど」
「根拠のない発言はしないでください」
「…いや、俺が言いたいのはシンの言葉を肯定しろってことじゃなく、頭に入れておくくらいはいいんじゃってことで」
「根拠のないものを記憶する必要性を感じません」
「…あああ!何なんだよ!おい!シン!何でこんなめんどくさいやつを今回のミッションのメンバーに選んだ!?」
フェルメは頭を抱えながらシンに尋ねる。それを見ながらニヤニヤと笑うシン。
「すまないね~♪フェルメ~♪でも~♪ヘレスは有能だから~♪」
「『ヘレス・デストリカオは優秀です』という命題の証明はすでに行っています。よって、ヘレス・デストリカオは優秀です。
「あぁ~!とにかく!その!機械みたいな!喋りを!やめろ!頭にくる!」
「『ヘレス・デストリカオが機械みたいに喋る』という命題の証明を行うのに必要な根拠を提示してください」
「くそがああああ!」
自分が優秀であることを証明するヘレスに喚きちらすフェルメ。その時、シンの通信機から通信が入る。
「はい~♪…はい。…うん。いいよ。君のミッションは『
シンと通信機から通信した人物の会話はヘレスとフェルメの口論によってかき消され、誰にも聞き取られることはなかった。一番近くにいたヘレスとフェルメにさえも。
オリジナル選手名鑑
シン・グリッド 山属性
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技
デーモンカット
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オリジナル必殺技
エクスプロード・ボール 火属性 威力150(基準としてデーモンカットが150)
足に纏った火をボールにぶつけることでボールを爆破しその衝撃でボールを保持しているプレイヤーをぶっ飛ばす。ボールは超次元なので無事。
①『じゃあぶちこんでやるぜ』の使い方
何かぶちこみたいものがある時に使う。
②『ありますあります』の使い方
自分が経験していたり、そこにあるものを肯定する時に使う。
③『えぇ…(困惑)』の使い方
相手の言動に困惑した時に使う。