シスコン弟とAqoursの日常   作:ふらんどる

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みなさんお久しぶりです。運良く5thライブ1日目に当選して我が身の幸運を噛みしめているふらんどるです。

初日で現地は初めてなので今から待ちきれません。

今回はダイヤさん回です。

それでは、「開校!スパルタ式黒澤塾!」どうぞ!


開校!スパルタ式黒澤塾!

「かな姉、これは・・・どういう状況?」

 

いつものごとく放課後に部室にやって来た僕の目に入ってきたのは、腕を組ながら険しい表情をしながら立っているダイヤさんと、その前で椅子に座りながらうなだれている千歌と善子。

大方この二人が何かやらかしたのだろうとは予想がつくが一応聞いてみる。

 

「あれ」

 

かな姉はそう言って机の上に置いてある紙を指差す。

 

よく見るとそれはどうやら数学のテストの答案のようだが、お世辞にも良いとは言えない点数だ。ダイヤさんが怒るのも納得だ。

 

「千歌さん、善子さん、これはどういうことですの?」

 

大きな声では無いものの、ものすごい威圧感を感じる声でダイヤさんが二人に問いかける。

 

「ええっと・・・、昨日の夜に勉強しようと思ってたけど、その前に寝ちゃって・・・」

 

「あれは範囲を間違えたというか・・・」

 

ダイヤさんに言われてばつが悪そうにする二人。

 

「どれどれ、なんだ、こんなの簡単じゃないか」

 

携帯しているメモ帳にテストと同じ問題を解いて見せる。一応数学は苦手ではないと思っている。

 

「ほれ、できたぞ」

 

解いた問題を千歌と善子に見せてやる。

 

「わー!玲士くんって頭良いー!」

 

「どんなもんだい」

 

「玲士君・・・、それ、全部間違ってるよ・・・」

 

さっきから僕が解いた問題をジーっと見ていた梨子ちゃんが言った。

 

「ほんとだ、全部違ってるね」

 

かな姉も同じことを言う。

 

「あれっ?おかしいな?」

 

「玲士さん、そこにお座りなさい」

 

瞬時にダイヤさんの鋭い眼光がこちらに向けられる。

 

「はっ、はい!」

 

僕の防衛本能が危険を察知し、瞬時に椅子に座る。

 

「玲士さん、あなたがこの程度だったとは・・・」

 

「うぅ・・・」

 

先ほどまで二人を見ている立場だったのが、叱られる側に早変わりした。今日は人の身明日は我が身とはよく言ったものだ。

 

「学生の本分は勉強です!その勉強が疎かになってはスクールアイドル活動にも支障がでます!そうならないように私が勉強を教えてさしあげますわ!!」

 

「ど、どうかお手柔らかに・・・」

 

「生温いやり方では意味がありません!スパルタ式で厳しくバシバシといきますわ!お覚悟なさい!」

 

「「「そんなぁ~!」」」

 

 

 

―――――――――――

 

 

 

 

翌日、練習はお休みとなり、僕と千歌、善子の三人は黒澤家に集められた。

 

黒澤家には小さい頃からかな姉と一緒に何度か訪れたことがあるが、何度来ても伝統ある雰囲気に圧倒される。

 

 

「まずはこれですわ!」

 

広い和室の客間に通された僕たちに分厚い数学の問題集が目の前に突きつけられたる。

 

「これが終わるまで休憩は一切無しですわ!」

 

「「「ええーっ!!」」」

 

思わず声をあげる。

 

「名付けてスパルタ式黒澤塾ですわ!!」

 

「何で名付けるんですか?」

 

「おだまらっしゃい!とにかく始めますわよ!」

 

こうしてスパルタ式黒澤塾?での勉強会が始まった。

 

 

 

 

「私は少し席を外しますが絶対に怠けたりしないように!」

 

始まってしばらくの後、そう念押ししてダイヤさんは部屋を出ていく。

 

「はぁ~、疲れたわ~」

 

襖が閉まった途端にゴロン、と横になる善子。

 

「おい善子、まだ3分の1も終わっていないぞ」

 

「だからヨハネよ!だって仕方ないじゃない!こんなのを休み無しでやれなんていくらなんでも無理よ!」

 

「そうだよ玲士くん!」

 

「まったく・・・、まあ、こんなこともあろうかと・・・、ほれ!」

 

僕は鞄から隠し持っていたお菓子を取り出す。

 

「リトルデーモン、あなたなかなかやるわね!」

 

「わーい!お菓子だー!!」

 

両手をあげて大喜びする千歌。

 

「馬鹿!声が大きい!」

 

僕がそう言うのと同時にドタドタドタっと足音がして、大きな音を立てて勢いよく襖が開く。

 

「しまった!」

 

「あーなーたーたーちぃー!!!」

 

ものすごい形相のダイヤさんがそこに立っていた。

 

「こんなものを持ち込んでいたなんて!!没収ですわ!!」

 

唯一の頼みの綱のお菓子もダイヤさんにあえなく没収された。

 

「まったく、千歌のせいで・・・」

 

「うぅぅ、ごめん・・・」

 

「そこの二人!手が止まってますわ!」

 

「はい・・・」

 

そして、どれくらい時間がかかったかわからないが、ようやく半分が終わった。

 

「ダイヤさん喉乾いた~」

 

「まったく・・・、仕方ありませんわね。今持ってきますから。でも、その間、前みたいに怠けたら承知しませんわよ!!」

 

そう言い残し、ダイヤさんは部屋を出た。

 

前回のこともあるので、さすがに三人とも怠ける気は起きない。

 

すると、先程とは違い音をたてないようにゆっくりと襖が開く。完全に開かぬとも、そこから見える赤いツインテールでルビィちゃんだとわかる。

 

 

「ルビィちゃん!?」

 

僕がそう言うと、口の前で人差し指を立てた後、そろりそろりと足音をたてないようにこちらに近づいてくる。

 

「お姉ちゃんには内緒にしてくださいね」

 

ポケットから何個かのあめ玉を取り出して机の上に置く。

あぁ、やっぱりルビィちゃんは天使だ。

 

「よくやったわ、リトルデーモン、ルビィ!」

 

「ありがとうルビィちゃん!」

 

三人であめ玉を包み紙から出して口に入れる。

 

「えへへ・・・」

 

その時襖が開き、ダイヤさんが戻ってきた。

 

「お姉ちゃん!?」

 

「あらルビィ、どうしてここに?」

 

僕はとっさに机の上のあめ玉と包み紙を隠そうとするが、それを見逃すダイヤさんではなかった。

 

「玲士さん、手に持ってるものを出しなさい」

 

「はい・・・」

 

僕は観念してあめ玉を机に置く。

 

「これは・・・まさかルビィ、あなた・・・」

 

あめ玉を見たダイヤさんの疑いの目が、その場にいたルビィちゃんに疑いの目が向く。

 

せっかく善意で僕たちを助けてくれたルビィちゃんを助けなければならない。

 

「ち、違います!僕が持ってきたんです!なっ!善子!」

 

ルビィちゃんを庇うため僕はとっさにそう言った。

 

「えっ!?そ、そうね!玲士が持ってきた・・・って、だからヨハネよ!」

 

「れーいーしーさーん!!あなたという人は!!」

 

またもダイヤさんの雷が落ちる。しかし、なんとか善子が乗ってくれたのでルビィちゃんを守ることができた。

 

「次やったらこれが終わっても休憩は無しですわ!!」

 

叱られながらもルビィちゃんに目配せしてこの場から逃げるように促す。

それに気づいたルビィちゃんも小さくペコリ、と頭を下げて申し訳なさそうにそそくさと部屋を出る。

 

その後はダイヤさんの厳しい監視のもと延々と問題を解き続けた。

間違えたり、少しでも手を抜いたり怠けたりするとダイヤさんから厳しいお叱りを受けた。

 

「おい、善子、そこ違うぞ」

 

「えっ、あっ、本当」

 

もう突っ込みも気力も無くなったようだ。

 

「お腹減ったよ~」

 

「頑張れ千歌、後20ページだ」

 

そう千歌を励ますが、正直言って僕ももうそろそろ限界に近い。

それでもなんとか耐えて頑張ってきたが、ついに限界がきた。

 

「も、もう駄目だぁ~」

 

とうとう空腹と疲労が限界を迎え、僕は机に突っ伏した。

 

「玲士さん!」

 

ダイヤさんの雷が落ちると思って目を瞑ろうとしたその瞬間、突然襖が開いた。

 

「ダイヤ、ちょっと厳しくしすぎだよ」

 

「果南さん!?」

 

その声に振り向いて見てみると襖の開いた先にはかな姉が立っていた。

 

「あぁっ、かな姉ぇ!助けて・・、あっ・・!足がぁ・・・!」

 

かな姉に飛び付こうとしたが、長く正座させられたせいで足が痺れてその場に倒れこむ。

 

「玲士、大丈夫!?」

 

手を取って助けてくれたかな姉の背中に一瞬羽根が見えたような気がした。あぁ、やっぱりかな姉は地上に降りてきた女神なんじゃないのか。

 

「どうなってるかと思って来てみたら・・・、休み無しなんていくらなんでもひどいよ」

 

「このお三方の学力向上のためには少々の荒療治もやむを得ませんわ!」

 

「それでもやり方ってものがあるでしょ。ほら、玲士、千歌、善子、これ食べて。三人ともお昼食べてないんでしょ?」

 

そう言って鞄から取り出したおにぎりを僕たちに手渡す。

 

「わーい!いただきまーす!!」

 

真っ先に千歌がかな姉特製おにぎりを手にとって頬張り、僕と善子もそれに続く。

 

「「「おいし~!!」」」

 

中には大きめのシャケが入っており、ほんのりとする塩味も相まって、いたってシンプルだが勉強と空腹で疲れた体に染み渡るおいしさだ。

 

「よかった。急いで作ってきてからちょっと形が変になっちゃったから」

 

「全然そんな事ないよ!」

 

「それにしてもこれだけやったなんて、三人ともよく頑張ったね」

 

そう言ってかな姉は僕たち三人の頭をよしよし、と優しく撫でてくれる。

かな姉に撫でられると何とも言えない幸せな気分になる。

 

「えぇい!ハグッ!」

 

たまらなくなって、かな姉に抱きつく。

 

「私も!!」

 

千歌も僕の後に続く。

 

抱きつかれた本人は少し驚いた様子だったが、先程同様に優しく頭を撫でてくれる。

 

「あはは、二人とも甘えん坊だなぁ」

 

「あれ?善子ちゃんは良いの?」

 

見ると善子ちゃんが少し離れた所から仲間に加わりたそうにこちらを見ている。

 

「こ、この孤高の堕天使ヨハネにそのようなものは・・・」

 

そう言いながらもやはりチラチラこちらを見てくる。

 

「ははーん、さては善子、恥ずかしいんだなぁ?」

 

「う、うるさい!」

 

「ほら、善子ちゃんもこっち来て良いよ」

 

かな姉は僕と千歌が抱きついてないところをポンポンと叩く。

 

「うぅ・・・」

 

かな姉に言われて、徐々に近づいてくる善子ちゃん。

そして、ゆっくりとだが、かな姉に抱きつく。

 

かな姉は抱きついた僕達三人をさらに抱き締める。

 

「ふぅ~、魔力が回復する~」

 

ハグされて今までの疲れが一気に吹き飛んだ気がする。

かな姉には何か人を癒す特別なパワーがあると思う。本当に。

 

「み・な・さ・ん!休んでいる暇などありませんわ!それに果南さん、これは私が始めたことで、手出しは無用ですわ!」

 

「だからダイヤのやり方はこの三人には合わないって」

 

「そこまで言うのなら、果南さんのお手並み、拝見させていただきますわ!」

 

ビシッっとかな姉を指さすダイヤさん。

 

「よし、三人とも、休憩したからもうちょっと頑張ろうか」

 

「「「はーい!!」」」

 

こうしてダイヤさんが見守る中、かな姉の指導が始まった。

ダイヤさんの時のような威圧感は無く、自然とペンを持つ手がはかどる。

 

「それで、どこがわからないの?」

 

各々解らないところをかな姉に伝える。

 

「なるほど。まずは玲士から。千歌と善子ちゃんも見ててね。この問題は・・・」

 

かな姉に教えてもらうと、不思議と今までできなかった問題ができるようになる。

 

「できた!」

 

「私も!」

 

「ヨハネも!」

 

「どれどれ・・・、おっ!三人とも正解。この調子だよ」

 

かな姉の優しく親切丁寧な指導により、小一時間ほどで残りのページを終わらせることができた。

 

「なっ・・・なぜですの!?私が指導していたときよりも問題を解くスピードが断然早いではありませんか!!」

 

「厳しくするだけじゃなくて、誉めて伸ばすってことも大切だよ。それに玲士達も帰ったらちゃんと復習するんだよ」

 

「「「はーい!!」」」

 

その後は夕方までちょくちょく休憩を挟みながらかな姉とダイヤさんから勉強を教わった。かな姉に言われたせいか、ダイヤさんから先程のような威圧感はなくなり、とてもやりやすかった。

 

そして千歌と善子は先に帰り、夕日が照らす部屋にかな姉とダイヤさん、僕の三人だけが残った。

 

「よし、そろそろ帰るよ玲士」

 

持ってきた教科書を鞄に入れたかな姉が言った。

 

「そうだね。それじゃあ、ダイヤさんお邪魔しました」

 

「あっ、玲士さんお待ちになって!」

 

襖を開けようとしたらダイヤさんが声をかけてきた。

 

「ダイヤさん?」

 

「その・・・先程は申し訳ありませんでした・・・。私のやり方が間違っていましたわ・・・」

 

そう言って頭を下げるダイヤさん。

 

「いいんですよ。もとはと言えば僕達が悪いんですから。ダイヤさんが謝ることはないです。ダイヤさんは僕達の事を思ってやってくれたんですから」

 

「いえ、ルビィから聞きました。貴方はルビィを庇ってくれたのですね。それも知らずに私は・・・」

 

「大丈夫ですよ。あんな優しい妹がいてダイヤさんは幸せ者ですね」

 

「と、当然ですわ!私の妹ですのよ!」

 

僕がルビィちゃんを褒めると、いつものダイヤさんに戻る。

 

「ハグッ!」

 

その時かな姉は突然ダイヤさんに抱きついた。

 

「ピギャッ!!か、果南さん!?」

 

「あはは、ダイヤだけハグしないのはかわいそうかなぁ、って思って。ダイヤもハグして欲しそうな表情だったし」

 

「べっ、別にそんな事ありませんわ・・・」

 

そう言いながらほくろを掻くダイヤさん。彼女は隠し事をしていているときは決まってそうするのだ。

 

「ふふ、かわいいなぁダイヤは」

 

僕達にやったのと同じようにダイヤさんを撫でるかな姉。

 

「果南さん!」

 

よく見ると、ダイヤさんの顔は先程よりも紅くなっている。

 

「ダイヤさん、顔真っ赤ですよ」

 

「ゆ、夕日のせいでたまたまそう見えるだけですわ・・・」

 

そう言いながら目をそらすも、ますます顔を紅くするダイヤさんであった。




最後までご覧いただきありがとうございます。

今回はいつもの約二倍の5000字でしたがいかがだったでしょうか?毎回これくらいの分量を書いてる作者って本当に凄いです。まだまだ精進します。

次回はみなさんお待ちかね??のかな姉回!!気合い入れて書きます!乞うご期待!

よろしければ感想、評価、文字の誤脱等の報告お願いします。

それでは、また次回。

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