UA10000突破しました、本当にありがとうございます。
それと、更新遅れて申し訳ありません。
平成最後にあわせての滑り込み投稿なので誤字脱字等が多いかもしれないので見つけたら報告お願いします。
今回は果南お姉ちゃん回です!
それでは、「お姉ちゃんとお出かけ!」どうぞ!
「ふぅ~、今日の練習はちょっと大変だったね」
「本当に、イベント来週だからみんな気合い入ってたもんね」
Aqoursが出演するイベントが来週の日曜日に迫っているため、今日は一日中練習していた。
いつもより練習量が多かったこともあって、終わる頃にはみんなはもうクタクタになっていた。かな姉だけはケロっとしていたけどね。
「玲士もお疲れ様。一日手伝ってくれて」
「マネージャーとして当然。今度のは結構大きなイベントだからがんばってね」
練習の手伝いの他にイベントの申し込みや、相手方と連絡を取ったりするのも僕の大事な仕事だ。
「それとね玲士、明日⋯出かけない?」
「⋯⋯ ほぇ?明日?何で?どうして?」
「最近忙しくって玲士と一緒に出かけてないなぁって思って。もし、明日はゆっくり休みたいってことならまた別の機会で良いけど⋯⋯」
「行く!」
なんという幸せか。かな姉と一緒にお出かけのお誘いなんて。たとえどんなに疲れていても、かな姉と一緒にお出かけできるとあらば疲れなんてすぐに飛んでしまう。
「いつもみたいに遅く起きちゃダメだからね」
「はーい!」
こうして喜ばしいことに明日かな姉と一緒にお出かけすることが決定したのであった。
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そしていよいよかな姉とのお出かけ当日。張り切りすぎて僕にしては珍しく早起きした。
いつもならそれほど気にすることの無い服装や髪型も、今日のために調べておいたので、バッチリ決めている。
そして時刻は午前10時、いつもよりおしゃれに着飾ったかな姉と一緒に沼津の街を歩く。
こんなに綺麗なかな姉を一番近くで見ることができるのも弟ならではの特権だ。
胸にはお揃いのイルカのペンダント。昔、今日みたいに二人で一緒に出掛けたときに買ったもので、僕たち姉弟の絆の印だ。
「それで、今日の予定は?」
「いや、特に当てもないよ」
「かな姉らしや」
結局歩いているうちに目についた映画館に入ることにした。日曜日とあって映画館は多くの人で賑わっていた。
前もって何を見るかなんて決めてなかったので、壁に貼ってあるポスターを見てどれにするか考える。
「えーっと、面白そうなのは⋯⋯」
「ハグゥ!!」
「うわっ!かな姉!?」
かな姉が唐突に後ろから抱きついてきた。本当に突然の事なのでビックリして瞬時に状況が理解できない。
やっと落ち着きを取り戻して僕に抱きついているかな姉を見ると、小刻みに震えているのがわかる。
抱きつかれながら後ろを見ると、そこにあったのはかな姉の大の苦手であるホラー映画の宣伝パネルだった。かなり怖いと評判らしい。確かに振り向き様にこんなものが目に入ったら誰だって驚く。
「れ、れ、玲士!あ、あっち行こう!」
かな姉に促され後ろから抱きつかれたまま、パネルが見えなくなるところまで移動する。
それにしても先程から周囲からの視線が痛い。言うまでもなく、かな姉にハグしている/されている瞬間は僕にとって最も幸せな時間である。
しかしながら、大勢の人前でする/されると少々恥ずかしいものだ。
「かな姉もう大丈夫だよ」
「ほ、ほんとに?」
僕から離れたかな姉は瞳を潤ませながら上目遣いで僕を見る。そのあまりのかわいさに思わずドキッとしてしまう。
いつもはしっかりしているかな姉の意外な一面を見ることができるのも、弟の特権だ。
「大丈夫だって。それより見たいのは決まった?」
「いや、かな姉が決めてよ」
かな姉はう~ん、と少し考え込んだ後、これっ、とひとつのポスターを指さす。
「やっぱり。かな姉はそれを選ぶと思ってたよ」
「それじゃあ決定。買ってこようか」
そう言って二人でチケット売り場に向かった。
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上映が終わったので二人でシアターを出る。
「面白かったね」
「うん、いろいろと評判なだけのことはあったよ」
僕たちが見たのは『孤島の少女と不思議な手紙』
主人公は弟と妹の三人で小さな小島で暮らしている少女。
ある日彼女宛に届いた一通の手紙がきっかけとなって繰り広げる冒険ファンタジーだ。
口コミやネットで大変面白いと評判で実際老若男女問わず多くの人が訪れていた。
「それにしても玲士は大きくなったなぁ」
こちらを見てかな姉がそう言うのは、映画の中で姉弟の成長や絆が描かれていたからであろう。
僕にとってずっと見上げる存在だったかな姉が、いつの間にか僕よりも少し小さくなっていた。人間成長するので当然だが、それでも少し寂しいものがある。
「小さい頃は何かあると私の後ろに隠れたり、よく抱きついてきたりしてた玲士がこんなにかっこよくなるなんて思わなかったよ」
「えへへ、それはどうも」
かな姉に『かっこいい』と言われて少し照れる。
「小学校の時には泣きながら私の教室まで慰めにもらいに来たこともあったよね」
「うぅ⋯、かな姉⋯⋯」
たしかに喧嘩したり、忘れ物した時なんかはかな姉のところに行ってたよ。稀によくあったよ、稀によく。
「ふふ、やっぱり玲士はかわいいなぁ。よ~し!小さい頃のお返し!ハグッ!」
本日二回目のハグを頂く。
小学校低学年くらいの頃は一日に数回はされていたが、最近はハグされるのは稀だ。僕としてもかな姉にハグされるのはすごく嬉しい。
が、場所が悪かった。
ここは家族連れで賑わっている日曜日の映画館。しかもちょうど映画の上映が終わり多くの人がシアターから出てきたところである。そこで人目を憚らず抱き合っている二人の男女。端から見れば恋人以外の何物でもない。多くの人の目が自然とこちらに集まる。
かな姉もそれに気がついたのか瞬時に僕から離れる。
「れ、玲士、行こっか⋯⋯」
「うん⋯⋯」
二人で顔を真っ赤にしながらそそくさとその場を立ち去った。
映画館を出た先程の事もあって僕もかな姉も黙ったままだ。そのまましばらくあてもなく歩く。かな姉も先程からこちらをチラチラと見てくるが、僕もなんと声をかけて良いかわからない。
「玲士⋯お腹⋯空いてない?」
「うん⋯そろそろお昼だし⋯⋯」
ぎこちなく話しあった結果、近くの海鮮丼屋に入った。
「玲士、その⋯さっきはごめん⋯、人前でいきなり抱きついちゃったりして⋯⋯」
「別に良いよ謝らなくって」
そうこうしているうちに、頼んでいた海鮮丼が運ばれてきて、食べ始める。
「ほらっ、玲士」
かな姉が箸で掴んだ海鮮丼の具をこちらに突きだしている。いわゆる『あーん』というやつだ。
「かな姉??」
「ほら、さっきの映画の真似」
確かに、先程の映画でも主人公の少女が弟と妹に同じ事をしているシーンがあったなと思い出す。
こんな無邪気なかな姉を見るのは久しぶりだ。いつもの僕なら飛び付いているだろうが、今日は先程の事もあってそうはいかない。
「い、いいよ。かな姉が食べて」
「ありゃ、玲士がいらないなんて珍しい」
かな姉が箸を持った右手を引っ込める。
うぅ⋯⋯、ここが家ならば⋯、他のお客さんがいなければ食べれたのに⋯。
「本当はほしいんでしょ、はいっ」
どうやらかな姉にはお見通しだったようで、再度サーモンをつかんだ箸を突き出した。
人に見られてるが、ええい!儘よ!
僕は少し身を乗りだし、箸で掴まれているサーモンを食べる。
「あ、ありがと⋯⋯」
「どういたしまして」
結構恥ずかしかったけど、味はおいしかった。
午後はいろいろな店を廻って、いろんな物を買った。
かな姉曰く僕の服装は単純で面白味がないらしく、洋服屋を何件も廻ってかな姉が選んでくれた。
日が傾きかけていたのでそろそろ帰ろうとバス停に向かう。
ふと振り返ると雑貨店の前でかな姉が足を止めていた。
どうやらショーウィンドーを覗いているようだ。
「かな姉?」
「ああ、ごめん、ちょっとこれ見てて」
かな姉が指差す先にはあるペンダントがあった。
それは形は僕とかな姉が持っているのと同じイルカだが、ペアになっており、合わせるとイルカが手を繋いでいるようになるというものだった。
「昔出掛けたときの事を思いだしちゃって」
「僕も今同じこと考えたよ」
僕もあの日のことはよく覚えてる。
僕が小3位の頃だったかな、僕とかな姉は親に内緒で二人だけで沼津へ出掛けた。家の事で忙しくてなかなか出かけようとしない親へのささやかな反抗。その時に象徴として買ったものが二人が今身に付けているペンダントだ。そして帰ってきてこっぴどく叱られたのも含め、今では良い思い出だ。
改めて売り物のペンダントを見ると、たしかにそれほど高価なものではないので二人で割れば買える額だ。
買おうかどうか確認しようと横を向くとかな姉と目が合った。
どうやら考えてるきとは同じだったみたい。
「買っちゃおうか」
予想していたものと同じかな姉の発言に僕は頷いた。
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「結構似合ってるね、玲士」
「かな姉の方こそ」
早速二人で先程買ったペンダントを着けてみた。
前のものより少し大きく、夕日が反射しているせいもあってとても綺麗だ。
「そろそろ時間だし行こっか」
かな姉に言われてバス停に向かって歩く。
その時スマホを取り出そうとポケットに手を突っ込むと、入れておいたはずの古いペンダントが無いことに気づく。
「しまった!落としたんだ!」
「まったく⋯⋯、すぐに取りに戻って!」
「うん!かな姉ちょっとここで待ってて!」
言い終わらないうちに駆け出し、目を凝らしながら急いで通った道を戻る。
「良かった!あった!」
幸いにも先程の場所からそう遠くない所にペンダントは落ちていた。拾って手にしっかりと握りしめる。
このペンダントは本当に大切なものだ。昔の思いでの品ということ以上に、
無事にペンダントが見つかったので、急いで待たせているかな姉のところに戻ろうと駆け出す。
しかし、近くまで来た僕の目に入ったのはかな姉と一組の男女が会話している光景だった。僕は隠れるように様子をうかがう。
遠目から見ても嬉しそうにしているのがよく分かる。しばらく話した後、男の子がかな姉と握手をして、二人は深々と頭を下げて去っていった。
二人が去ったのを見計らって、かな姉のところに戻る。
「お帰り玲士、ペンダントあったの?」
「う、うん、大丈夫だよ⋯⋯。それよりかな姉、さっきの人は?」
「ああ、中学の頃の同級生とその弟さん。なんでも私のファンなんだって」
「そう⋯」
かな姉から聞いて納得したのと同時に、僕の心の中に複雑な気持ちが芽生える。それは今までに経験したことの無い言葉には言い表せないようなよく分からない気持ち。
なんだろうこれは⋯⋯、Aqoursが有名になるのは良いことなのに⋯⋯、かな姉のファンが増えるのは嬉しいはずなのに⋯⋯、何でこんな気持ちになるんだろう⋯⋯
そんな考えが悶々と頭の中を駆け巡る。
いつの間にか僕は隣にいるかな姉の手を握っていた。
「玲士?どうかしたの?」
少し驚いたようで、かな姉がこちらを向く。なぜだろう、かな姉の顔を直視できない。僕は目を反らす。
「な、何でもないよ⋯⋯別に」
無意識に手を握る力が少し強くなる。
「変なの」
沈む夕日に照らされながら、僕たちは帰路についた。
Kanan's perspective
先程から玲士の様子が変だ。私が何か言っても曖昧な返事しかしないし、目も合わせてくれない。
やっぱり気にしてるのかな、お昼の事。それとも別の何か?
まあ、一人で考えても仕方ないし、やっぱり本人に直接聞いてみるしかない。そう思い立ち、夜も遅いが彼の部屋に向かう。
「玲士、入るよ」
「かな姉?」
ノックをして部屋に入ると玲士はベッドに腰掛け本を読んでいた。私はその隣に座る。
「お昼の事気にしてるんだったら本当にごめん、玲士に恥ずかしい思いさせちゃって。あの時はちょっとはしゃいじゃって・・・」
「別に気になんかしてないよ⋯⋯」
そう言って玲士は目を反らして右手で頭を掻く。昔から何かを隠している時にする彼の癖だ。
「本当に?」
彼の顔を覗きこみ、もう一度聞いてみる。
「本当だって⋯⋯」
明らかに何か隠しているが、これ以上聞いても答えてくれないだろうからここら辺で手を引くことにした。
「心配事があったら一人で悩まないで私に言うんだよ」
「わかってるよ⋯⋯」
すると突然玲士は横に倒れ私の膝に頭をのせ、私がいわゆる膝枕をしている状態になる。
「どうしたの急に」
「疲れただけだよ⋯⋯」
「はいはい。今日もお疲れ様」
そう言いながら、膝の上にある彼の頭を撫でてあげると、いつものようにキュっと体を縮ませる。これも昔から変わってない。
しばらくそうしていると、いつの間にか玲士はすうすう、と寝息をたてていた。
「ありゃ、寝ちゃったよ」
そんな玲士を見つめながら今日の事を振り替える。
いつもらなイベントが近い休みの日は自主練してるけど、今日はたまには気分転換にって鞠莉やダイヤが提案してくれたものだ。
映画の看板に驚いて抱きついた時、玲士の背中がとっても頼もしいく感じられた。昔と違ってやっぱり成長してるんだなぁ。
昔から私の事を一番よく理解してくれる大切なかわいい弟。
いつもありがとう、そしてこれからも便りにしてるよ。
そんな彼を見つめていると、私の意識も次第に遠くなっていった。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
よろしければ感想、評判、文字の誤脱等の報告お願いします。
今後の予定ですが、次回は通常回で、その次からアンケートで人気だった『三年生お姉ちゃん編』を開始します。
私も早く更新できるように努力しますが、何卒気長にお待ちいただければ幸いです。
それではまた、次回。