最近、玲士がおかしくなった。
「かわいいかわいい!みんなかわいいよ!ナデナデ!」
「玲士、ご飯の時間・・・って、またやってる・・・」
お昼ご飯ができたので呼びに部屋に入ると、玲士がまたベッドの上でぬいぐるみと遊んでいたのだ。
しかもただのぬいぐるみではない。Aqoursメンバーをかたどったの寝そべりぬいぐるみだ。それもかなり大きめの。
これはもともとAqoursの知名度アップ作戦の一環として地元企業とのタイアップで作られたものなのだが、どうも玲士はえらく気に入ったらしく、ここの所毎日こうやって寝そべりぬいぐるみと遊んでるのだ。
「かわいいかわいい!」
「こら玲士!」
「ぴゃぁ!ってかな姉、どうしたの?」
「どうしたのじゃないよ。まったくいつまでも遊んでるんだから・・・」
「あのねかな姉!僕お話してたの!」
「お、おはなし?ど、どんな?」
「みんながかわいいって話!」
完全に幼児退行している。
確か玲士は最近よく疲れたと言っていた。もしかしてそのせいなのだろうか?
「だってみんなかわいいんだよ!!梨子ちゃんもおすまし顔でもちもちしてて口もキュッって感じになってて、曜ちゃんは目とか眉毛がそっくりだし、善子ちゃんなんか三角の口と釣り目とお団子でとってもかわいいし!!」
普段はかわいい玲士だが今回だけは違う。怖い。自分の弟に対して恐怖に似たような感情を感じるのはこれで初めてである。
「ルビィちゃんはツインテールとか顔とかとってもうゆかわ!だし、花丸ちゃんは口開けておなかすかせてそうな顔してるし、千歌なんかいかにも千歌っぽい顔してるじゃん!」
「そ、そうだね・・・」
「ダイヤさんのはほくろが全部再現されてるし、鞠莉姉のなんか見てよ!このたれ目と波線の口!!髪型の編み込みとかわっかも全部再現されててすごいよ!しかもみんなとてももちもちふわふわ!かわいいかわいい!かわいいよ!」
「私のは?」
気になっていたので私の評価も聞いてみた。
「かな姉のなんて一番だよ!!みんなの中で一番もちもちしてるし、顔もとってもかわいいし、ポニーテールもふわふわして楽しいしなんたってかな姉と同じ匂いがするんだもん!」
そう嬉しそうに語る玲士を見てるとなんだか心の中にもやもやとしたものが出てきた。本当の私はここにいるのに・・・
「寝そべりぬいぐるみばっかりかまって・・・私もかまってよ・・・」
「よーし、じゃあ、ハグ!ハグ!ハグ!」
私が言うと玲士が瞬時にこちらへやってきて私に思いっきり抱き着いた。
「むー、やったなぁ!私もハグハグ!」
私もお返しに玲士を思いっきり抱きしめる。
「やっぱりかな姉が一番いいや」
「でしょ」
こうして私たちは昼食が冷めるのも気にせずハグをするのだった。
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「っていう夢を見たの。玲士最近疲れてない??」
「なんで!?」
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姉にするなら誰がいいですか?
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果南お姉ちゃん
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鞠莉お姉ちゃん
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ダイヤお姉ちゃん