超かわいい、ヤバいヤバすぎです!(語彙力)
さて、いよいよ始まりました「三年生お姉ちゃん編」
今回はその導入部です。本編は近日公開予定ですのでお楽しみに!
それでは、「姉たちの休暇計画」どうぞ!
「⋯⋯ということなので、明日から三日間、練習はお休みですわ」
「えー!そんなぁ~」
ダイヤの言葉に声をあげてわかりやすくうなだれる千歌。明日からは三連休。三日間みんなと練習できないとなると千歌の気持ちもわからなくはないが、こればっかりは仕方がない。まあ、自主練すれば良い話なんだけど。
「そう言われましても、屋上の設備の整備点検があるから、仕方ありませんわ」
「じゃあ、体育館かグラウンドは?そこなら屋上より広いし⋯⋯」
「私もそう思ったのですが、確認したところもうすでに他の部活から利用申請が出ていますので、使えませんわ。⋯⋯⋯⋯あら、玲士さん?聞いてますの?」
私も玲士の方を見ると、手帳にメモをする手が止まっており、まっすぐ手元を見つめている。
目は開いているが心ここに有らずといったような状況だ。
ダイヤに呼ばれると、ビクッと身体を震わせる。
「えっ、あっ、はい。明日も練習じゃないんですか?」
「玲士さん、あなたは何を聞いていたのですか。今さっき連休中はお休みと言ったではありませんか!」
「あっ、すいません!」
玲士は慌てた様子でメモを取る。
「もう一度言いますが、次の練習は連休明けからで、連休中は学校に来ても練習はできないのでくれぐれも間違えたりしないように!」
はーい、と私達は返事をし、その場は解散となった。
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「ねえ果南、もしかして玲士何かあったの?」
学校を出てバス停に向かう途中、鞠莉が小声で聞いてきた。当の本人は手前で千歌達と話している。
「いや、私が知る限りでは特に何も。どうかしたの?」
「ん~、ちょっとさっきのことが気になってて」
実を言うと私も少し気になっていた。いつも誰かが言ったことをすかさず詳細にメモを取り、後でまとめている玲士がボーッとして話を聞いていないなんて変だなと思った。
何か悩みごとでもあるのだろうか?
「もしかして玲士さんはお疲れなのではありませんか?」
隣にいたダイヤが言う。
「う~ん、最近は土日もお客さんが多くてお店の手伝い忙しいし、疲れが溜まってるのかなぁ?」
最近うちのダイビングショップが何かで紹介されたらしく一気にお客さんが増えた。潜る私だけでなく、玲士も予約の電話の応対や、道具の準備とかで忙しい。
時折心配して声をかけるが、本人は「大丈夫」としか答えない。
「学校でもいろいろと手伝いとか頑張ってるみたいだし、いろいろと大変みたいね」
「なんで鞠莉がそんなこと知ってるのさ」
「ふっふっふっ、理事長の情報力は伊達じゃないわよ~」
鞠莉は得意そうに腕を組む。
「玲士さんは昔から頼まれたら何でも引き受けてしまうような人ですから、そのために無理をしているのかもしれませんわ」
「う~ん、たしかにねぇ⋯⋯」
ダイヤが言ったとおり、玲士は頼まれたら断るということをあまりやらない。そのせいで見ていて大変そうだなと思うこともあった。
「そうだ!良いこと思いついたわ!」
そう言うと鞠莉は私とダイヤを引き寄せて耳打ちをした。
「⋯⋯⋯⋯って考えなんだけど、どうかしら?」
「良いんじゃない?連休中は予定無いって玲士も言ってたし。ダイヤはどう?」
「私も特に異論はありませんわ」
「じゃあ決定ね!明日が待ちきれないわ!」
「こら鞠莉さん、はしゃぎすぎですわよ!」
そんな二人の声を聞きつつ、一体どんな反応をするのだろうと考えながら前を歩いている玲士を見つめるのだった。
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目が覚める。
最近寝覚めがあまり良くない。いつもやっていた二度寝も近頃はできなくなってしまった。やはり身体が重い。
今日は三連休の一日目。午前中のAqoursの練習以外に特に予定はない。
そろそろ起きようと時計に目をやる
え~っと、今はなになに⋯⋯9時15分⋯⋯⋯⋯
しまった!寝坊だ!
慌ててベッドから跳ね起き、寝間着から着替えて急いで部屋を出る。
「んあ、おはよう玲士。どうしたのそんなに慌てて」
「玲士~、Good morning♪」
リビングでは練習に行っているはずのかな姉が食器を片付けており、何故か鞠莉姉もいた。
「早くご飯食べて。そうしないと片付けられないから」
「食べないんだったらマリーが代わりに食べちゃうわよ?」
特に急いでいる様子もなくゆっくりとしている二人を見て訳がわからなくなる。
「えっ?あれっ?練習は?」
「まったく⋯⋯、連休中は休みだって昨日言ってたでしょ」
かな姉は呆れたような顔でそう答えた。
「あっ、そうだった⋯⋯」
かな姉に言われて、昨日ダイヤさんに言われたことを思い出す。
なんか最近忘れっぽいな。
「それより早くご飯食べて」
「あぁ、ごめん」
かな姉に促されて急いで椅子に座り朝食をとる。
それにしてもかな姉特製の朝食はおいしい。本当においしい。
その朝食を食べ終えて食器を片付け歯を磨く。
「あれっ?そういえばなんで鞠莉姉がいるの?」
「ふっふっふっ、よくぞ聞いてくれマーシタ!玲士、今日はマリーと一緒に、と~っても楽しいことしましょ?」
鞠莉姉は僕を見てニヤリと笑う。
長い付き合いだからわかる。この顔は何か良からぬことを企んでる時の顔だ。
そういうことなので、僕はとっさにかな姉の後ろに隠れ、横から顔を出す。
「なんで隠れちゃうのよ」
「防衛本能ですよ。過去にトラウマ作られましたからね」
実際僕が小学生の頃にこの表情を見た時は、ひどい目に遭っている。
あの日の事は忘れもしない。
学校が終わった後、鞠莉姉に面白いことしよう、とかなんとか言われて呼び出された。
それで鞠莉姉の部屋まで連れていかれると僕に似合いそうだからという理由でまるで着せ替え人形のようにウィッグや女の子用の服を着せられた。
あれは僕のトラウマなんだぞ!
「あぁん、酷いわ!マリーはまだ何も言ってないのに!」
鞠莉姉はわざとらしく言ってみせるが、僕はそんな手にはのらない。
「こら玲士、ちゃんと鞠莉の話を聞いて」
「うぅ⋯⋯かな姉⋯⋯」
かな姉が言うならしかたないので、しぶしぶ鞠莉姉の話を聞くことにした。
「Thank you果南!それじゃあ早速だけど、マリーについていらっしゃーい!!」
「えっ、ちょっと鞠莉姉!?」
そう言うと鞠莉姉に手を引っぱっていく。
こうして松浦玲士の三連休は幕を開けたのであった。
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姉にするなら誰がいいですか?
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果南お姉ちゃん
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鞠莉お姉ちゃん
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ダイヤお姉ちゃん