シスコン弟とAqoursの日常   作:ふらんどる

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みなさんお久しぶりです、5thライブを終えて、ラブライブ!シリーズ9周年を1人ささやかに祝っているふらんどるです。

まずは、UA15000越え、お気に入り100人突破いたしました。
皆様本当にありがとうございます。

いろいろとお伝えしたいことがありますが、それはまた後書きで。

それでは、「ダイヤお姉ちゃんのお願い」どうぞ!


ダイヤお姉ちゃんのお願い【松浦玲士の休日 Day2】

 

「着きましたわ」

 

僕は今ダイヤさんと共に黒澤家の門前にいる。

 

淡島での会話以来、ダイヤさんとは昨夜のことについて話してない。

移動中に話そうともしたのだが、なかなかタイミングがつかめず今に至るのである。

 

 

やはりいつ来ても、沼津有数の名家というだけあって自然と恐縮してしまう。

特に、その重厚な門は歴史の重みを感じさせる。

 

「玲士さん、どうかしましたの?」

 

「いっ、いえ!何でもないです!」

 

門をくぐってお屋敷に入り、広い座敷に通される。

 

「お、おじゃまします」

 

僕はダイヤさんに促されて、敷かれている座布団の上に正座する。

 

「さて、玲士さん。先程のこと、どういうことか聞かせていただけますか?」

 

笑顔でダイヤさんが問いかけてくる。

 

下手に誤魔化そうとしても怒られるだけだろうから、僕は昨夜のことの顛末を包み隠さず全て話すことにした。

 

 

 

~~~~~

 

 

 

「⋯⋯という訳なんです」

 

全てを話し終え、ダイヤさんの方を見つめる。

 

「⋯⋯なるほど。大体事情はわかりましたわ。鞠莉さんのことですから大袈裟に言ったとは思ってはいましたが、そういうことでしたのですのね」

 

その言葉を聞いて、なんとかダイヤさんにわかってもらったことに安堵する。

 

「はい、一緒に風呂に入ったのは事実ですし、押し倒したと言われても仕方ないですから」

 

「わかりました。それにしても玲士さん、やはり かなりお疲れだったようですわね」

 

「はい、お恥ずかしながら⋯⋯」

 

「あなたが頑張っているのはよく知ってます。昨日は鞠莉さんの番でしたので、本日は私が玲士さんのお相手をしましょう。昨日たっぷり休んだ分、今日は私がお勉強を見てさしあげますわ」

 

「あっ、ありがとうございます」

 

たしかに最近は疲れていて宿題をしている途中で寝てしまったり、忙しくて宿題をやるのを忘れて朝大慌てでやったりもした。

 

しかし、ダイヤさんと勉強となると以前に千歌と善子の三人でやった時のことが自然と思い出されてしまう。

 

「今回はこの前のような強引なやり方はいたしませんので、安心してください」

 

「いえいえ。そういえば、ルビィちゃんはお出かけですか?」

 

「ええ、ルビィは花丸さんと善子さんと三人でお買い物に行くと言っていたので、おそらく夕方まで帰ってきませんわ」

 

「なるほど。それじゃあダイヤさん、今日はよろしくお願いします」

 

僕がそう挨拶して頭を下げると、急に会話が途切れて静かになる。

 

 

 

「あの⋯⋯玲士さん、その⋯⋯ひとつよろしいでしょうか?」

 

「はい、なんです?」

 

先程とは違い、少し元気のなさそうな様子でダイヤさんが問いかけてくる。

 

「⋯⋯私と玲士さんとは昔からの仲です」

 

「はい、そうですね」

 

「その⋯⋯ですから⋯⋯私はあなたのことを弟のようなものだと思っております」

 

「僕だってダイヤさんのことは姉みたいなものだと思ってますよ。どうしたんですか急に?」

 

急に歯切れが悪くなるダイヤさん。いったいどうしたのだろうか?

 

「れ、玲士さんにお願いしたいことがあるのですが⋯⋯」

 

「お願い?いいですとも。ダイヤさんのお役に立てるなら、できることは何だってしますよ」

 

僕がそう言うと、少し間を開けてダイヤさんはゆっくりと話し始める。

 

「ありがとうございます。その⋯⋯もし、玲士さんがよろしければ⋯⋯私も鞠莉さんと同じように⋯⋯接してはいただけないでしょうか?」

 

 

 

「⋯⋯へ??」

 

質問の意味が理解できず、思わず固まってしまう。

 

「⋯⋯ですから、私も鞠莉さんのように⋯⋯」

 

よく見ると先程まで普通だったダイヤさんの顔色は真っ赤になっている。

 

「?鞠莉姉のようにって⋯⋯要は『ダイヤ姉』って呼べばいいってことです?」

 

「そ、そういうことですわ⋯⋯」

 

目をそらして顔をさらに真っ赤にさせるダイヤさん。

なぜそうしてほしいのかは全く理解ができないが、とりあえず呼んでみることにする。

 

「だ、ダイヤ姉」

 

僕が恐る恐る言ってみると、ピギャっと声を出し、分かりやすく反応するダイヤさん。

 

「⋯⋯あっ、ありがとうございます」

 

「それにしてもなんで急にこんなことを?もしかして、何かあったんですか?」

 

僕が疑問に思って聞いてみると、ダイヤ姉は部屋で二人きりのはずなのにキョロキョロと周りを見回す。

 

「だっ、誰にもしゃべってはいけませんわよ」

 

「ええ、もちろんです」

 

 

 

「う、羨ましかったのですわ、果南さんと鞠莉さんが」

 

「⋯⋯ほぇ?羨ましかった?かな姉と鞠莉姉が?」

 

「ええ、実は⋯⋯」

 

 

ダイヤ姉の話を要約すると、同じ三年生であるかな姉と鞠莉姉が千歌達の一・二年生達から『ちゃん』付けで呼ばれ、親しげに接されているのに対して、自分だけ『ダイヤさん』と呼ばれ、二人よりも親しげに接されていないことを寂しく感じていたということであった。

 

 

「それに⋯⋯、あなたからもそのようにされたのは、特に寂しかったですわ」

 

そう語るダイヤ姉は悲しそうな目をしている。

僕はダイヤ姉を寂しがらせてしまったという罪悪感で胸が苦しくなる。

 

「なるほど、わかりました。少し話していいですか?」

 

ダイヤ姉は、「はい」とだけ言って頷いた。

僕は慎重に言葉を選びながら僕の考えを話し始める。

 

「僕はですね、親しみの表現ってのはなにも人の呼び方だけじゃないと思うんです。千歌達が『ダイヤさん』って呼ぶのも、それは決してダイヤ姉との間に壁があるとかいうことじゃなくて、尊敬しているからそう呼んでるです」

 

真剣そうな目でこちらを見るダイヤ姉に、僕は言葉を続ける。

 

「ダイヤ姉がAqoursのことを思って厳しくしているのはみんな知ってます。だから、みんな感謝してるんです。そして、ダイヤ姉がみんなにとって身近な存在だからこそ、親しみと尊敬を込めたのが『ダイヤさん』って呼びかたなんです。

だから、気にすることはないと思います。もし、どうしても嫌なら僕が千歌達にそれとなく言っておきますから⋯⋯」

 

 

ぜんぜん上手くまとまってないと思うが、自分の考えを言ってみた。

ダイヤ姉の方は、何かハッとしたような表情になり、そのあとすぐに綺麗でやさしい微笑みを浮かべた。

 

「⋯⋯そういうことでしたのですのね。わかりました。⋯⋯玲士さん、ありがとうございます。あなたの言葉とその想い、しっかりと伝わりましたわ」

 

「そう言ってもらえて嬉しいです」

 

 

「あと、なんと言うか⋯⋯なんか、僕が『お姉ちゃん』って呼んだらルビィちゃんに悪いかな、って思って⋯⋯」

 

僕達がダイヤ姉の家を訪れたときは、ルビィちゃんはなかなか姿を見せてはくれず、柱の後ろや少し開いた襖の間から綺麗な紅色の髪がチラチラと見える程度であった。

 

そして小学生だったある日、たまたま遠くから姉妹二人仲良くしているのを見て、だんだんと弟でもない僕が『ダイヤ姉』と呼ぶのはおかしいし、ルビィちゃんに悪いなぁ、と感じはじめ、自然と他の皆が使っていた『ダイヤさん』という呼び方を使うようになっていったのだと記憶している。

 

「良かれと思ってやっていたんですが、結果的にそれがダイヤ姉を傷つけていたなんて、申し訳ないです」

 

「いえ、お気になさらないで下さい。やはり玲士さんはお優しいのですね。さあ、話もここまでにしてそろそろ始めましょうか」

 

「そうですね。早くやってしまいましょう」

 

こうして、ダイヤ姉とのお勉強回が始まった。

 

勉強道具は昨日ホテルに泊まった時にかな姉が着替えと一緒に持ってきたのだが、かな姉は今日ダイヤさんと勉強することを知っていたのだろうか?その割には僕に何も知らせてくれなかったしな⋯⋯。ダイヤ姉の「昨日は鞠莉さんの番」という先程の発言も気になるところだ。何が鞠莉姉の番だったというのか?謎は深まるばかりだ。

 

 

それにしても、かな姉に丸一日会ってないのは久しぶりだ。帰ったら真っ先にハグしてもらって、たっぷりとかな姉成分を補充しなければ⋯⋯

 

「どうしましたの玲士さん、手が止まっていますわよ。どこかわからないところがあるのですか?」

 

「いえっ、この問題の答えはこれですよね」

 

「正解ですわ。よくできましたわね」

 

以前とは違って気楽に楽しく勉強することができた。

 

集中していたで時間はあっという間に過ぎ、宿題と復習を終わらせることができた。

 

 

 

「ダイヤ、玲士さん」

 

「あっ、こんにちは」

 

しばらく時間がたつと、襖が開き、ダイヤさんのお母さんが現れた。

ダイヤさんと同じく長い黒髪とスラッとした体に和服がとてもよく似合っている。

 

「お昼ができましたから二人でお食べなさい」

 

「あっ、ありがとうございます」

 

時計を見るともう12時をとっくに過ぎていた。

 

「それにしても玲士さん、しばらく見ない間に大きくなりましたわね。いつもダイヤとルビィから聞いていますわ、お手伝いありがとうございます」

 

「いえいえ、とんでもないです。僕も二人にはお世話になってます」

 

その姿や様子を見て、ダイヤ姉も大人になったらこんな女性になるんだろうな、と想像した。

 

「それとダイヤ、私はこれから出かけますので留守番を頼みます」

 

「わかりましたわ。それでは玲士さん、お昼にしましょう」

 

テーブルの上の勉強道具を片付け、台所から持ってきたお昼を食べる。

 

 

「玲士さん、お味はいかがですか?」

 

「はい、とっても美味しいです。それと、なんか懐かしい味ですね。昔ここでかな姉達と四人でお昼を食べたことを思い出します」

 

「あら、覚えてらっしゃったのですね。果南さんと鞠莉さんと三人で初めてこの家に来たときのことを」

 

「ええ、覚えてますとも。鞠莉姉が珍しいがって随分と興奮していましたね」

 

「ふふっ、そうでしたわね」

 

話をしていていろいろと昔のことを思い出す。あの頃の僕はどこへ行くにもかな姉の後ろに引っ付いて離れなかった。

そのかな姉が鞠莉姉をいろんな所に連れ回して、僕とダイヤ姉がハラハラしながら二人に付いていくなんてことがよくあった。

 

今となってはとても懐かしい。

 

「それでその後、鞠莉姉が床の間にあった生け花を倒してみんなで大騒ぎしたんですよね」

 

「ええ、あの時は何もしてないあなたが急に大泣きして、あまりの大声お母様が血相を変えて飛んできましたわね」

 

「ははは、お恥ずかしい⋯⋯」

 

自分で言うのもなんだが、あの頃の僕は本当に泣き虫だった。ダイヤ姉に『れいしさんは男の子なのになさけないですわ!』なんてこともよく言われたっけ。

 

 

「あの時果南さんの後ろにくっついて泣いていたあなたが、今Aqoursのマネージャーとして私達を助けてくださるなんて夢にも思いませんでしたわ」

 

「僕も同じです。またこうやって一緒にいれて本当に嬉しいです」

 

あの頃は毎日が楽しかった。

 

毎日かな姉達と日が暮れるまで遊んだ。

 

みんなで淡島を抜け出して遠くまで行ったり、海岸で遊んで服を盛大に汚したりして怒られることなんてよくあった。

 

今日の楽しさと明日への希望でキラキラと輝いていた毎日。

 

あの時間が永遠に続いていればよかったのに、なんて思ったときもある。

 

一時期は離れ離れになってしまったけど、今こうして新たな仲間も加わってAqoursとして活動できて本当に幸せだ。

 

 

 

しかし、いつまでも感傷的になっていても仕方ないので、残りを食べあげてしまう。

 

 

お昼を食べ終え、特にやることがなくなってしまった。

 

「午後はどうしましょうか?宿題と復習はあらかた終わりましたし」

 

「そうですわね、それではひとつ私の舞踊をお見せいたしましょう」

 

「ありがとうございます。ダイヤ姉が日本舞踊を習っているのは知ってますが、舞っているところをあまり見たことがないものですから」

 

ダイヤ姉は小さい頃からいろいろなお稽古をしていた。それで年が上がるにつれて、お稽古の種類や時間も増えて、だんだん遊ぶ時間が少なくなっていき、寂しく感じたのを覚えてる。

Aqoursとして踊っているダイヤ姉はマネージャーとして何度も見ているが、それ以外ではあまり見たことのないので

 

「昔みたいに途中で寝たりなんかしたら、ぶっぶーですわよ」

 

「あはは、さすがに今はそんなことはしませんよ」

 

「玲士さんを信じますわ。それでは、いきますわよ」

 

 

先程ダイヤ姉が持ってきたCDプレイヤーから音楽が流れ、ゆっくりとダイヤさんが舞いはじめる。

 

 

ダイヤ姉の舞を見て、息を飲むとはまさにこういうことを言うんだと実感した。

 

ダイヤ姉の一挙手一投足の全てに美が凝縮されているといってもいい。

 

スクールアイドルAqoursとしてステージで踊っている時とは違う優雅で、繊細で、滑らかな、見るものを魅了する動き。

 

 

思わず時間を忘れて見入ってしまった。

 

「いかがでしたか、玲士さん?」

 

「えっ、はい、とっても美しかったです。見惚れちゃいました」

 

「ふふっ、あなたのために舞ったのですから、当然ですわ」

 

 

その後は、ダイヤ姉がたてたお茶をいただいたり、琴の演奏を聞いたり、μ'sなどのスクールアイドルの話をして盛り上がったりと、とても楽しい時間を過ごした

 

 

 

 

ずいぶんと時間がたったことに気づいて、ポケットからスマホを取り出し時刻を見ると、もうすぐ5時というところだった。

 

「それじゃあダイヤ姉、僕はそろそろお暇します。今日はありがとうございました」

 

「いえいえ。玲士さん、今日はよく頑張りましたわね」

 

ダイヤ姉はおもむろに身をこちらに寄せて、僕の頭を撫でる。

 

かな姉とは少し違う、小さい子をあやすような撫で方。

いつも撫でられているルビィちゃんは幸せ者だな、と思う

 

「あっ、ありがとうございます」

 

「ふふっ、ルビィには内緒ですわよ。それより玲士さん、バスと連絡船の時間は大丈夫ですの?」

 

時刻をみると、予定していたバスの時間が迫っていた。

 

「ダイヤ姉、今日はありがとうございました!」

 

「ふふっ、どういたしまして。お気をつけてお帰りになってください」

 

「はい、おじゃましました!」

 

そう挨拶をして、急いで部屋を出た。

 

それゆえ、その時奥の襖が少しだけ開いていることと、そこに動く小さな影に僕が気づくことはなかった。

 

 

 

 

 

 

「うゆ⋯⋯お姉ちゃんと玲士しゃんが⋯⋯」




最後までお読みいただきありがとうございます。

前書きでもありましたが、UA15000、お気に入り100突破本当にありがとうございます。
私自身、まさかこれほどまでになるとは思っておりませんでしたので大変驚いています。
これからも皆様に読んでもらえるように精進していく所存でありますので、何卒よろしくお願い致します。

それと、私生活の都合上投稿が遅れてしまい申し訳ありません。
どれだけ忙しくても執筆は続けますので、気長にお待ちいただければと思っております。(次回は果南ちゃん回なので今回よりは早くできるとは思います)

お伝えしたいことはまだまだありますが、長くなりますので、ここまでにしておきます。

感想、評価、文字の誤脱等の報告お待ちしてます。

それでは、また次回。

姉にするなら誰がいいですか?

  • 果南お姉ちゃん
  • 鞠莉お姉ちゃん
  • ダイヤお姉ちゃん
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