では第2話、どうぞ!
『次は浦の星女学院前~、浦の星女学院前~』
僕が通う高校からバスに揺られること30分弱、
車窓にかな姉たちが通う浦の星女学院が見える。
実は松浦玲士は学校が終わってからこの浦の星女学院でAqoursのマネージャー、つまりお手伝いさんみたいなことをしています。
きっかけはAqoursの発起人で、幼馴染の千歌からどうしてもと頼まれたからだけど、今でも何で僕なんだろう? と考える。
まあ、引き受けたからには彼女達を全力でサポートしていきたいと思っている。
バスを降り、そこから続く長い坂を上った先にある浦の星女学院の校門前に着く。
守衛さんに特別来校者証を見せ、門の中に入る。
「やっぱりいつ来ても緊張するな」
そう独り言を呟く。
かな姉が通っているとはいえ女子高に男一人で入るのは緊張する。最初の頃は他の生徒から変な目で見られていたが、今ではそんなことも無くなったし、守衛さんも僕が坂を上ってくるのが見えると事前に門を開けておいてくれるまでになった。
「あっ! 玲士くんだ! おーい!」
声がするので見上げると屋上から練習着の千歌がこちらに手を振っている。
校舎の時計に目を向けると時刻は午後4時26分。Aqoursの練習は4時半からなので、急がなければと思いながら手を振りかえし、校舎に入って屋上へ向かう。
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「今日の練習はここまで、みんなお疲れ様」
練習の終わりを告げるかな姉の言葉と同時にみんなが僕の所に来る。
僕は事前に作っておいたスポーツドリンクが入った水筒をみんなに渡す。
「ぷはぁ、生き返るずら~」
「花丸ちゃん凄い勢いで飲むね」
Aqoursの練習が円滑に進むように飲み物やタオルを用意したり、後片付けをしたりするのが僕の主な仕事だ。
「ねえねえ玲士くん、さっきの私の動き、見ていてどうだった?」
「うん、千歌の動きは全体的に見て良かったよ。あとはもうちょっと大きく動くともっと見栄えが良くなるかな」
こうしてみんなの動きを見てあげるのも僕の大事な仕事だ。
「善子ちゃんはサビの時もう少し右に動いて」
「承知! ってだからヨハネよ!」
「やっぱり玲士がいてくれると安心シマース!」
そう言って鞠莉姉は僕の頭を撫でる。
ちなみに僕に特別来校者証を発行してくれたのも、この学校の理事長でもある彼女のおかげだ。
「玲士君は私達の動きを細かく見てくれるからとっても頼りになるよ」
「いやいや梨子ちゃん、みんながやってることの方が何倍も凄いよ。それに比べたら僕のやってることなんか⋯⋯」
「玲士さん、そんなに謙遜しないで下さい。こうして私たちが練習に集中できるのも貴方のサポートのおかげですわ」
鞠莉姉とダイヤさんは昔からよく一緒に遊んだ仲で、僕とは姉弟のような関係だ。まあ、かな姉が一番であることに変わりはないが。
「こんな立派な弟をもって、果南はしあわせ者デース! あっ玲士、いっそのことマリーの弟にならない? そしたら毎日一流シェフの料理が食べられるわよ」
「いや、僕は一流シェフの料理より、かな姉の手料理の方が良いかな。それに僕はかな姉と一緒にいたいから」
確かに鞠莉姉の住むホテルオハラは魅力的だ。子供の頃かな姉と一緒に行った時なんかは「ここに住む!」なんてことも言ってたっけ。でも僕にとってかな姉の存在は何物にも変えられない大切なものだ。
「ほら、二人とも早くしないとバスの時間に間に合わないよ」
「「はーい」」
かな姉に言われ、僕は後片付けを始める。
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「玲士、今日もお疲れ様」
後片付けを終え、校舎から出ると玄関前でかな姉が待っていてくれた。
バス停まで、お互いに今日あったことなどを話ながら歩く。
「それと、さっきはありがとね」
突然言われた感謝の言葉に少し戸惑う。
「ほら、さっき鞠莉と話してた時、一流シェフより私の料理の方が良いって言ってくれたこと」
かな姉に言われ、先ほどの会話を思い出す。
「玲士が私の料理好きなのはいつも見ていればわかるけど、改めて口に出して言われると嬉しいなぁ、って思って」
「別に、かな姉の料理が美味しいのは事実だし」
「それでも嬉しいよ、ハグッ!」
かな姉はそう言って僕に抱きつく。
「ちょっ、かな姉!」
いきなりなので心の準備ができておらずちょっと驚いたが、かな姉にハグされている時ほど幸せな時間はない。
かな姉の温もりを肌で感じられ、この人の弟で本当に良かったと心から思うことができる。
「びっくりした? 最近して無いな、って思って。嫌だった?」
「嫌なんかじゃない! むしろずっとされてたい」
「ふふ、ありがと。そういえば、今日の夕飯何が食べたい?」
「かな姉の作るものなら何でも良いよ」
そんな会話をしながらバス停までの長い坂道を下ってゆく。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
玲士くんがAqoursのマネージャーになるまでの話はいずれ書こうと思っています。
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それでは、また次回。