今回は二年生編第2弾の曜ちゃんです!
甘々にしたつもりなので是非お楽しみください~
それではどうぞ!
「果南ちゃん!お願いがあるであります!」
「どうしたの曜」
いつものように練習を終えて部室で帰る準備をしていると曜がこちらへやってきた。
「玲士くんを一日貸してください!」
「ゴホッゴホッ!」
隣でお茶を飲みながら日誌を書いていた玲士がむせ返る。
「な、何を言うんだ曜。人を物みたいに借りるだなんて」
「こら、急にどうしたの」
「わかった、前みたいに僕をマネキンにするつもりだろ!嫌だ、絶対嫌だ!」
玲士は座りながら咄嗟に身構える。
「こら玲士、そうやってすぐ決めつけないの」
「もう、玲士君ったらそんなんじゃないって」
「じゃあ、何だって言うんだ」
「これであります!」
曜がカバンから取り出したのは何かのチケットのようなものであった。
「あっ、深海水族館の」
「この間パパの友達にもらったのであります!一緒に行かない?」
曜は玲士に接近してねだるようにそう言った。
「別にいいけど・・・。でもいいのか、僕なんかで。千歌や梨子ちゃんとじゃなくていいのか?」
「曜ちゃんは玲士君と行きたいのであります・・・」
「はあ」
玲士はきょとんとした顔をしているがこれは明らかにデートの誘いだ。少しばかり曜の顔も赤い。
「ほら玲士、どうするの」
「まあ、明日は予定ないし、いいよ」
「やったあ!ありがとう」
「うわっ、曜!?」
すると曜は勢いよく玲士に抱き着いた。
「たーだーしー条件があるぞ」
「「条件?」」
玲士が求める条件とは一体何であろうか?私も思わず聞き返してしまう。
「かな姉と一緒じゃなきゃ僕は行かない」
「果南ちゃん!?」
「私!?」
「だってかな姉を差し置いて僕だけ楽しむなんて姉弟として不公平じゃないか」
「そんな私に気を使わなくていいから、二人で行ってきなよ」
「じゃ僕は行かない」
「そんなぁ~」
そういうと玲士はそっぽを向いた。
「ねえねえ果南ちゃんも一緒に行こうよ!」
「えぇっ、そんな急に・・・」
そういうと曜はがっくりと肩を落とし目線を下げる。
「どうしても・・・?」
そして再び目線をあげて子犬のように目をキラキラさせてこちらを見上げる。
「ううっ・・・」
曜は昔から何かあるとこうするのだ。しかも破壊力抜群、昔からこの頼みを断れたことは私といえどもないのだ。
「し、しかたないなぁ」
「わーい!!ありがとう果南ちゃん!!」
ころっとかわって大喜びする曜。曜は昔からこうすぐ表情を変えるのだ。
「よーしハグ!」
すると曜はいきなり私に抱き着いてきた。
「わわっ、いきなり!?」
「なあっ、曜、僕だって!」
するとまた玲士も妙な対抗心を起こして私に抱き着く。
「もう、二人とも暑苦しいってばぁ!」
なんだかよくわからないが、こうして明日の曜と玲士のデートに付き合うことになったのだった。
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「おっはヨーソロー!!」
「おはよう」
「全く曜は朝から元気だなぁ」
翌日、沼津駅に着くバスを降りるとバス停で曜が待っていてくれた。相変わらずの元気だ。
「それにしても今日はようにしては珍しい格好だな、ライブとか以外であんまりこういうの着ないだろ」
今日の曜の衣装はフリフリひらひらといったような珍しいものだった。ふだんの印象ではあまりこのようなものを着ているイメージはない。
「えっ、やっぱり似合ってないかな・・・?」
「こら玲士、女の子にそういうことを言うんじゃないの」
「えっ、別にそんなつもりじゃ・・・」
しまった、また僕は不用意なことを言ってしまった。
「もう!玲士君は曜ちゃんの事を何だと思っているのでありますか!」
「何って曜は曜だよ。何着てもかわいいよ」
「ひぁっ、か、かわいい!?照れるであります・・・」
「全く玲士は・・・」
曜は顔を真っ赤にしてかな姉はなぜかあきれて様な顔をしている。どうやら僕は何かまたまずいことを言ったらしい。どうも僕はだめなのだ。
「ほ、ほら、行くであります!」
曜の案内でまずは商店街を回ることになった。いつも来慣れているが、ここの案内については曜の方が詳しいだろう。
「最近、新しいお店ができたんだ。そこをぜひ紹介しようと思って」
曜について来てやってきたのは喫茶店であった。周囲の店舗に比べて外装も綺麗であり一目で新しい店舗だとわかる。
「二人とも何にする?」
「うーん、私はアイスティーでいいかな。玲士は?」
「決まってるじゃないか、クリームソーダ」
僕は迷わず答える。やはり子供っぽいかな?
「やっぱり、玲士君は昔から変わってないであります」
「べ、別にいいじゃないか好物なんだし」
しばらく待っていると注文の品が来た。曜はどうやら僕と同じクリームソーダを頼んだようだ。
僕は真っ先にストローを加えてメロンソーダを飲む。
メロンソーダにアイスが解けた独特の風味が口の中に広がる。何ともいい気分だ。
「玲士君」
「ん?」
「はい、あーん」
「な、何をするんだ曜いきなり」
すると曜は突然スプーンでアイスをすくって僕に差し出してきた。
「もう、ちょっとくらいいいじゃん」
「よくない。それを僕にやっていいのはかな姉だけなんだからね!」
「全く玲士ったら適当なこと言って・・・。そんなこと言うんならもうやってあげないよ」
「ええっ!?そんなぁ」
曜からされるのは恥ずかしいが、かな姉からされてもらわないと辛いものである。
「仕方ない、今回だけだぞ」
「やった!」
「あ、あーん・・・」
「えへへっ」
僕は恥ずかしながら曜の「あーん」を受けるのであった。
其の後喫茶店を出た僕たちは歩いて深海水族館がある沼津港へと歩いていく。そこそこ距離があるが曜といつもの日常の話をしていると自然と足も速くなり苦にならない。
「それにしても、本当に僕なんかでよかったのか?一緒に来るの」
「もう!またそんなこと言って、玲士君だから良いのであります」
「ふーん変なの」
そしてしばらく歩いて水族館に到着した。暑い外は違って冷房が効いている館内はとても心地いい。
「なんか水族館の雰囲気って好きだな、なんか薄暗くてひんやりしてて」
「曜ちゃんも同じであります!」
こうして館内を回ることになったのだがなぜか曜はさきほどから僕にくっついている。
「ねえ見て見て果南ちゃん、この魚玲士君に似てない?」
「ほんとだ、そっくり」
「なぁっ、ひどいじゃないか二人とも・・・」
そして僕たち三人はいよいよ名物である冷凍シーラカンスのところまでやってきた。
何千年も前から全く変わらない姿をしているといわれているシーラカンス。なんだか見ていると不思議な感覚に陥ってしまう。
「すごいよなぁ、ずっと姿が変わってないんだよね」
「曜ちゃんは玲士君とずーっと一緒にいたいであります・・・」
すると曜が僕の袖を引っ張りながら曜が何か言ってきた。
「僕もだよ」
「ふえっ!?」
すると曜は驚いたような声をあげて少しのけぞった。何か変な事でも言ったのであろうか。
「ちょっ玲士・・・」
「千歌とか梨子ちゃんとかAqoursのみんなでずっと一緒にいれるといいね」
「あはは、そうだね・・・」
「バカ、鈍感・・・」
そしてお出かけの最後はびゅうおに上ることになった。海に沈みかけている夕日はとても神秘的でいつみても素晴らしい。
「二人とも今日はありがとね!」
窓から見える夕日をバックに曜が言った。
「いいよそんな。またいつでも言って」
かな姉はそう答えて曜を撫でた。
「えへへっ」
「あっ、ずるいぞ曜!」
僕は思わず声を出してしまった。かな姉にナデナデされるのは僕の特権なんだからね!
「あのね二人とも、最後に一つ言っていい?」
「別にいいけど、どした?」
すると曜は一度大きく息を吐いて大きく吸い込んだ。
「果南ちゃんも玲士君もだーーーあーーーいすき!!!」
そう言う曜の笑顔は今日一番のとびっきりの笑顔であった。
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「ねえねえかな姉ってば」
「なにさ」
「どうしたのささっきから。なんか変だよ」
どういうわけか知らないがかな姉の態度がちょっと変だ。話してもそっけなく、そっぽを向いている。僕は何かしただろうか?
「玲士は人気者だなぁ、って」
「人気者?僕が?」
「曜にあんなに好かれちゃってさ」
「ほえ?」
「曜だけじゃないよ、千歌や梨子ちゃんからもさ」
「えっ、そんなぁ」
確かに僕は千歌や梨子ちゃんと仲良くしているのは事実だが、それがどうかしたのであろうか。
「とうとう玲士もお姉ちゃん離れかぁ」
「ちょっと待ってよかな姉。たとえどんなに魅力的な女の子が僕に近づいてきたって、僕にとって一番なのはかな姉だけさ」
「本当?」
「ほんとのほんとさ」
「うむ、よろしい」
そういうとかな姉は僕の頭を撫でた。心なしか表情も少し元に戻ったような気がする。本当に何だったのだろうか
「えへへへ・・・、かな姉にナデナデされるの大好き」
「全く玲士はいつまでたっても甘えん坊なんだから」
「ずっと甘えてるもんね」
曜といるのももちろん楽しかったけど、やっぱりいちばんはかな姉の隣にいるときなんだな。
そんな事を想いながら内浦に向かうバスに揺られるのであった。
kanan's monologue
「ずっと一緒に居たい」なんてもはや告白だろう
でも玲士ときたらその意味も解せずに変に受け答えをするもんだから困ったものだ。
それにしても玲士はほんとに女の子に好かれる。
しかし彼はそれを自覚していない
玲士の鈍感にはあきれたものだ。
それにしてもあんなにお姉ちゃん以外の女の子にニコニコしちゃって・・・嫉妬しちゃうよまったく。
お楽しみいただけたでしょうか。
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