「......あぁ、嬢ちゃんが『飛龍』か」
「うん。そうだよ、多聞丸」
突然のことに驚きを隠せない山口だったが、彼女がなんであるかは直ぐに理解した。
当然のことだが、彼が知る姿形はしていない。彼女も『飛龍』もまた、一人の少女として、彼の前に立っていた。
「やっと......やっと。出会えた。私が、ううん。飛龍が、『ありがとう』って。それと『ごめんね』って」
「......そうか、そうか。いや、謝らにゃならんのは俺の方だ。沈めちまって、悪かったな」
山口の肩に顔を押し付け、抱きしめられるような形で涙を流す。
山口も口にしたが、第二陣が迫っている可能性がある以上、こんなところでのんびりとはしていられない。
のだが、こればっかりは天龍も空気を読んだらしく、2人の邪魔にならぬよう少し離れた所で立っている。
「ずっと、ずっと願ってた。いつか会えたらって。伝えなくちゃって」
「そうか......ありがとうな飛龍」
「わー!ほんとに多聞丸だ!」
騒ぎを聞き付けたのか、はたまた電から聞いたのか。5人の少女たちが顔を出す。
ただでさえ急がなくちゃいけないというのに、増える少女たちを慌てて天龍が止めようとするが、時すでに遅し。山口を見つけた少女たちは一斉に駆け寄ってきた。
その中でも、飛龍と似たナニかを纏う緑色の着物を着た少女が2人に近づく。
「そ、蒼龍。えっと......」
「君が、『蒼龍』か。久しぶりだな」
「いいよ飛龍、大丈夫。分かってるから......で、久しぶり?だね!多聞丸!」
蒼龍の登場で冷静になったらしい飛龍が、慌てて山口から離れる。
「......そのままで良かったのに」
「だ、大丈夫だから!」
離れてしまった飛龍を茶化すように、聞こえるか聞こえないか位の声量で蒼龍が呟く。
が、どうやら飛龍には聞こえていたらしく、顔を赤らめて蒼龍を軽くはたいた後、俯いてしまう。
「仲は想像以上に良さそうだなこりゃあ」
「勿論、私と飛龍の仲だからね。姉妹にも負けないよ!」
「もう......調子いいんだから」
俯く飛龍に、何の前触れもなく蒼龍が抱き着く。
最初こそ頬を膨らませた飛龍だが、まんざらでもないのか表情は優しいものになる。
2人の様子を見て心が休まったのか、山口の頬も緩んでいた。
「お久しぶり?です山口提督。一航戦赤城です」
「同じく一航戦、加賀です」
3人の様子を伺い大丈夫だと判断したのか、赤と青の袴を履いた少女2人を先頭に、残りの少女たちも近づいて来た。
因みに、天龍はに諦めたのか、後ろの方で早々に事が終わるのを待っている。
「一航か...こりゃあ五航も居そうだな」
「もちろんいますよ。五航戦、翔鶴型航空母艦一番艦、翔鶴です」
「同じく五航戦、翔鶴型航空母艦二番艦、妹の瑞鶴です」
待ってましたと言わんばかりに、赤城、加賀の後ろにいた五航戦が声を上げる。
山口の前に、大日本帝国海軍、虎の子の航戦が再び、隊列を組むかのように並ぶ。
もう二度と目にすることはない。そう思っていた光景が、(多少、というかかなり姿形は違うが)今彼の前に広がっていた。
「......一航戦、赤城・加賀。二航戦、飛龍・蒼龍。五航戦、翔鶴・瑞鶴。本当に、ありがとう。帝国海軍を代表して礼を言う。共に闘ってくれて、ありがとう」
流れる涙など気にせず、並ぶ彼女たちに敬礼をする。
最初こそ彼女たちも驚いた表情を見せたが、彼の思いを悟ったのか、答礼を返す。
「提督、わりぃけど時間がねぇ。マジで第二陣が来やがったぜ」
空気を読み、終始無言だった天龍が焦り気味に口を開く。どうやら話し込んでいるうちに、天龍に無線が入ったらしい。
少なくとものんびり出来る時間はないことも、告げられる。
「そりゃぁまずいな。急ごう」
「私と加賀さんは出ます。五航戦のお二方も付いてきてください」
「わ、私たちも!」
「二人は、山口提督に付いていて。私と赤城さんと五航戦で出るわ」
「分かりました。五航戦、出ます!」
天龍の告げた一報により、彼女たちはせわしなくその場を去っていく。
残った山口、飛龍、蒼龍、天龍の四人は駆けて消えゆく彼女たちを見送り、指令室へと向かった。
所で、やっとこさ劇場版見たんです。三年経ってやっと見たんですよ。個人的には。好きでした。ハイ。
次回こそ早めに出せたらいいな(願望)
あ、因みに次回は艦娘と深海棲艦の殴り合いの予定です。ハイ。