それはとても平和な日常で・・・
これは遠い昔の話となりますが、あるところに勇者がいました。その勇者は皆を困らせていた
「やっとここまで来たぞ魔王!もうみんなを困らせることはやめるんだ」
「我らを迫害しこの地に追いやったのはそちら側だろう。…それに私は魔王ではない!」
そういって俺は一度台詞を切って後ろを振り向き次のセリフを言おうとした時、ふと幼馴染と目があった。
(なぁ和。本当に言わないといけないのか…?正直高校生になってこんな台詞恥ずかしいぞ)
(そんなオカルトありえませんよ京太郎君。あなたはどんな台詞を言ってもかっこいいですから大丈夫です!さぁ!穏乃が目の前で京太郎君の台詞をまっています!さぁ早く!!)
(…なんか若干興奮してないか和?)
(気のせいですよ京太郎君!さぁ早く!)
(京太郎!はよ次のセリフ言いや!目の前の穏乃が台詞言わんから困惑しとるで)
…時間も押しているので恥ずかしいが言うしかない。幸い格好が格好なので大丈夫だろう。後で和とはお話しよう、うんそうしよう
目の前にいるシズを見る。現在のシズの格好は某歌いながら戦う主人公の格好をしている。…この衣装といいシズの衣装といいどうやって準備したのだろうか。衣装のサイズもちょうどいいのでこのことも和に問い詰めなければ…
「勇者よ、我らを恐れ、求めるがいい。そう、我らの本当の名は、黒の騎士団!!そして我が名はゼロ、世界を壊し、世界を創造する男だ。」
今更だが現在俺たちは部活動の一環で幼稚園へとやってきている。部長曰く「ここは何事も人のために行う部活や!やれることは全部やっていくでー!」と胸を張ってそう豪語していたからである。
…これでおもちがあれば完璧なのになぁと思うがなにも言うまい…
…なぜかステージの脇にいた部長ににらまれた。読心術でも持ちあわせているのか?
…今更だが自己紹介をしよう。現在進行形で黒いマスクをつけて中二病感満載なことを言っている須賀京太郎だ。
今回魔王役として劇に参加している一部員であるが最初はこうなるものではなかったのにどうしてこうなったのだろうか。
普段であれば部長‥愛宕洋榎先輩が考えた人形劇を行うはずだった。しかし、後ろにいる幼馴染によってステージにあがる劇に変更になったのだ。内容は人形劇の時とあまり変わらないが魔王サイドに人数を追加して恋愛要素を追加したものとなった。…というかこれでいいのかみんな…。
「世界を壊すなんてだめ!話し合えばわかりあえるよ!」
そうだ、劇の途中だった…。早く次の台詞を言わなければ
「君たちを悪者になんてしないよ!」「話し合いでは分かり合えん!」
「「あっ…」」
「やばい…台詞言う順番間違えて台詞が被ったか…。これどうしよっかシズ…シズ?」
なんだろうシズが俯いた。なぜだ、嫌な予感がする。
「‥…~っ。勇者き--く!!!」
「ちょ!? おいシズ!いきなり蹴りを入れてくるな!つーか話し合うって言って蹴りはダメだろ!」
「だ、だって…。この空気、どうしていいか分からなくなって…」
「それでいいのか勇者!?」
しかし、この空気は確かにまずい。こんな時はどうするか‥‥
side 和
ゼr…京太郎君と穏乃が困ってますね… すこし部長たちに手助けしてもらいましょう。
部長と目が合った今ならそれも可能です。このままでは京太郎君のかっこいい姿と穏乃の可愛らしい姿を拝むことができません!…まぁ今みたいに言い合っている姿もとても良いものですけどね
(部長、この空気を変えるためにあの曲を流してください。)
(あの曲って…あれか?魔王のテーマとしていれた奴や?)
(そうです。そうすれば話は進み私は京太郎君と…フフフ)
(あー、それはええけど暴走するのは堪忍な。絹!あの曲流したれ!)
(お姉ちゃん任せて!)
これで大丈夫なはずです。さぁ早く(劇の中ですが)私との愛を育みましょう京太郎君…
side 京太郎
ん…?曲が流れ始めたけどこれ魔王サイドのテーマじゃ!?この状況を変えるためとはいえよりによって流すのこっち側の曲!?
「ちょ!ちょっと待ってよ。これ魔王のテーマじゃないですか絹恵先輩!」
目の前で言い合ってたシズが狼狽えている。いきなりアドリブでこの曲が流れて困惑しているのだろう。
絹恵先輩のほうを見るとものすごいいい笑顔で早く進ませーやと言ってる感じだった。
(場面を変えるにはここしかない!)
「そう、間違っていたのは俺じゃない。世界の方だ!」
「あ~!魔王がノリノリになっている!」
「勇者よ、ここがお前の死地となるのだ!」
「そうです、ここでゼロと私の愛の生贄になりなさい!」
「なんか魔王が急にラブコメし始めた!? というか和急にどうしたの!?」
「私は和ではありません。ゼロを愛するものカレンです。」
「どうしてこうなってんのー!!」
(あー、やっぱ和は暴走したか…。しゃーないなぁ)
(お、お姉ちゃんどうするん?さっきより悪化しとるよ)
(まぁウチにまかしとき)
「おう、子供たち、このまま勇者が負けるとこ見たかないやろ!みんなでエールを送るんや!うちに合わせて勇者にエールおくってやりぃ!」
(部長!流石です!)
実際京太郎にとってこの部長の一言はとてもありがたかった、このままダラダラ続くよりはるかにマシにも思えていたからだ。
先ほどの部長の一声で子供たちがエールを送り始めてからは状況が勇者側有利に変わっていた。
「ば、馬鹿な!?周りの声援で勇者の力が上がるだと!?」
「響きあうみんなの声援がくれたこのシン〇ォギアで決める!」
(あのーシズ?なんかガチな威力の攻撃しようとしてない?)
(大丈夫だよ京太郎!京太郎なら受け止められるよ!)
こうなった穏乃は大体やばい‥ 冷や汗が出始めるが時すでに遅し目の前の穏乃は拳をすでに振り上げていた
(仕方ないか… 来いよシズ!)
「いくよ!勇者パーンチ!!」
「ゴハァ!?」
(きょ、京太郎君!?)
いてて…やっぱりシズの一発はきくなぁ。ただこれでフィナーレをしっかりと迎えられそうだ‥
「これで二人ともわかってくれたよね。」
「私たちの…負けだな」
「と、いうわけでこうして魔王は改心し平和が訪れました。めでたしめでたし。」
劇が終了し俺はそっと息を吹く。子供たちが喜ぶ様子を見ていた俺にシズが声をかけてきた。
「京太郎、最後大丈夫だった?ごめんね加減できなくて…」
そう言って少し落ち込むシズ。まぁああなったのは仕方のないことだし俺自身気にしてない。落ち込むシズの頭に手を置きそっとなでる。今は劇をするためかいつものポニーテールではなく髪を下ろしている状態だがそれもいつもと違ってすごく新鮮に感じる。
「…ありがとね京太郎」
「俺まだなにも言ってないぞ」
「京太郎のことは大体わかるよ。私のために色々やってくれたし」
「…相変わらずだな、シズは…」
なでる手を止めて周りを見る。前で見ていた子供たちはともかく周りの部員もすこしはしゃいでいる様子だったがこの空気も心地よく感じる自分がいる。この部に入りまだ短いが居心地の良さはとてもよく青春を謳歌しているのが自分でもよくわかった。
現在この部活麻雀部(兼勇者部)は5人の部員で活動している。
俺の幼馴染の一人で後ろで魔王側のヒロイン(?)をしていたのが原村和 美少女であることは間違いないがたまに暴走することがある。…まぁそんなところも可愛らしいものだ 現在わけあって車椅子で生活しているがみんなと仲良く学校生活を送っている。
もう一人の幼馴染で今回は勇者を演じていた高鴨穏乃、幼馴染二人とも同級生で家もお隣さん、中学生のころから仲良くなりこの度同じ高校に進学した中でもある。
後二人の部員は部長で三年生の愛宕洋榎先輩、この部活を創設した方でノリのいい先輩であると共にみんなが認めるしっかり者。
もう一人は部長の妹で2年生の愛宕絹恵先輩、姉とは違い(どことは言わないが)大きいものをおもちの先輩。
前はサッカーをやっていたとのことでよくスポーツの話をしたりと気の合う先輩だ。
これはみなのために勇んで実施する部活、俺たち清澄高校麻雀部(兼勇者部)の平和で楽しい日常である。
次回もよろしくお願いします