勇者部では京太郎、穏乃、絹恵の三人が主に屋外スポーツの助っ人として活動をしているし車椅子の和、洋榎が文科系の助っ人にいくことになっている。部長が文科系なのは正直意外でもある。
その様子を傍から見ていると中学からの友人で同じクラスの高久田が声をかけてきた。
「なぁ京太郎。今度の週末に助っ人としてまた参加してくれ!ちなみに言っておくがこっちの部長の許可はとってあるからな。なんなら勧誘してこいとも言われてる。」
「お前またか…。先週も助っ人でいったがそれでいいのかよ。てか俺麻雀部なんだけど。」
「頼む!元々お前バリバリのスポーツマンだったじゃねぇか。頼む、高鴨さんと原村さんも京太郎に言ってやってくれ。」
いつの間にかシズと和がこちらに来ていた。クラスメイトと話し終わってこっちに来たのだろう。高久田が助けを求めているが二人はなんというのだろうか…
「えー京太郎ハンドボールやらないの?私は京太郎がハンドボールやってる姿すきだよ?」
「いや、確かに勇者部として助っ人に行くのはいいけど俺らは麻雀部だぞ。それでいいのかと思ってな…。」
「そこをどうにか…。それに勇者部は人々のためになることを勇んで実施する部だろ。」
そう言われると痛いなぁ…。確かに勇者部はそうだがいかんせんそれでいいのかと疑問に思う。というか今は気分的にも麻雀をやりたいし週末も雀荘に行く予定をたてようとしていたのだが…
「和も見たいよね。京太郎のかっこいいところ!」
「‥‥京太郎君・・」
まずい、和の目が笑ってない。若干ではあるが暴走しかけそうな感じではある。これではもう選択肢はもう一つしかのこされていない。さらば雀荘、またの機会に…
「京太郎君は・・「わかった週末参加するよ。それでいいだろ高久田。」・・むぅ。」
和がジト目で見てくるが気にしてはいけない。ここは素直になっておくのが得策だろう、長年の経験が生きていると実感できる。
「本当か!?いやー助かるぜ。」
「そう思うならなにかおごってくれよ。」
「わかってるって。いやー、それにしても流石は幼馴染だな。京太郎の説得をあっさりしてしまうとは。」
「幼馴染違います嫁さんです。」
‥‥あの、和さん?ここ教室ですけど…
若干教室の空気が静かになったのですが…
「?京太郎とは
‥‥シズ?問題点はそこじゃないからな…あとまだってなんだよまだって
流石にこの空気に耐えることができなくなったのか京太郎は部室に行くための準備をする。無論逃げるためではない、戦略的撤退である。どちらもあまり変わらない気がするがこの場でそれを言う人はだれもいなかったことが彼にとっては救いだっただろう。和が何かを言おうとした瞬間には教室の外に出ていたのだから
「どうせなら「お、俺先に部室に行くわ!」あっ…」
「京太郎先に行っちゃったね。」
「…ところで原村さんはなんて言おうとしたんだい?」
「え?どうせなら穏乃と三人で暮らしましょうと言おうとしただけですよ。」
「和…?」
「‥‥原村さんは相変わらずだね。」
二人がそう話しているが高久田がよく見ると穏乃のほうもまんざらではなさそうな感じだ。高久田は京太郎に対して問い詰めることとリア充爆発しろと彼に言うことを心に決めたのであった。
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一方先に部室へと着いた(逃げたでもあるが…)京太郎はノックをせず部室に入った。部室に入って冷静になりたかったのであろう。少し落ち着けばどうにかなると思っていたからである。部室にはすでに先輩方二人が麻雀をする準備をしていたが逆に京太郎はホッとした。これから直ぐに麻雀を打つことができると考えていたからだ。もっとも現実逃避に近い感じもするが気のせいだろう。
「お!京太郎やん。どないしたんそんな急いで。」
「部長、絹恵先輩!麻雀やりましょう!」
「そらええけど二人はどうしたん?」
「置いてきました。和が暴走しかけたので…」
「それでええの京太郎君?」
「…絹恵先輩。時にはこういうことも必要ですよ。」
「そんな遠い目せーへんでも…とりあえずお茶入れたから飲みぃや」
「ありがとうございます。絹恵先輩。」
色々とあるんですよ…というか気持ちを落ち着かせて冷静になるためにもお茶を飲もう。幸いまだ二人は来ないだろうし。
京太郎には二つの誤算があった。一つはもう部室の近くに二人が迫っていたこと。実は高久田と話していた二人は即部室へと向かっており身体能力の高い穏乃が最短で真っすぐに一直線に和と共に向かっていたのだ。そしてもう一つの誤算はというと…
「高鴨穏乃と原村和!入ります!」
「さぁ京太郎君先ほどの話の続きをしましょう!」
「!?」
吹き出しそうになるのを堪えてむせる。危うく噴き出すところだった京太郎を横目に幼馴染が入室してくる。そうもう一つの誤算は京太郎自身が心の準備ができていなかったのだ。冷静になるどころか逆に焦りを生んでいた。さらに(いい意味で)ノリのいい部長に聞かれてしまっては追い込まれてしまう。ある意味今救ってくれそうなのは愛宕絹恵ただ一人となってしまっている。
「お疲れさん二人とも。なんやなんか面白い話でもするんか?」
「部長!聞いてください。京太郎君が~」
三人の会話を尻目に京太郎はうなだれる。結果的に先延ばしした結果がこれだ。頭が沸騰しそうになるがもう後の祭りだ。そんな中心配をしてか絹恵先輩が声をかけてくれた。
「なぁ、大丈夫か京太郎君?」
「心配してくれるのは絹恵先輩だけですよ…」
今は絹恵先輩のやさしさが身に染みる。どうしてこうなったのだろうか。
「いやー、おもろい話やったな!まぁ全員そろったし部活開始するで!」
少しばかり落ち込んでうなだれていると、むこうも話し終わったらしくやっと麻雀することができるとホッとする。これ以上つっこまれたらまた逃走するとこだった。
「つっても今は五人おるから一人抜けんといかんな。」
「それでしたら部長、私が抜けるので先に四人で打ってください。その間に私が広報の記事をパソコンで書いておきますよ」
「そうか?ほんなら終わったら入りぃ。打つ時間はいっぱいあるからな。」
「えぇ、任せてください。」
そう言うと和はパソコンの前に移動していく。後は部長、絹恵先輩、シズと俺の四人。和が抜ける形になったのでこの四人で打つこととなった。…部長は言わずとも強いことはわかるし、その部長と長年打っていた絹恵先輩も強い、シズもできる方であるのだから普通に考えれば初心者にとってはきつい場になるのかもしれない。しかし、京太郎本人はそうは思わない。これも一つの糧となるものだ。彼は非常にポジティブであった。
(さぁ、今日はとことん打つぞ!)
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夕方…部活が終われば生徒は帰っていく。そこからは更に自由の時間だ。あまりにも遅くなるのはご法度だがそれなりにこの高校では許されている。須賀京太郎含む部員の五人は仲良く蕎麦屋に来ていた。麻雀で多く打っていたのだから腹が皆減っていたことから部長の提案で行くこととなったのだ。もちろん時間制限はあるが今後の部活のことで話すこともでき、腹を満たせるようにと全員が賛成し行くこととなった。行くのは構わないが問題はその食べている量だ。男でもある京太郎はともかくなぜか張り合おうとする洋榎と面白そうという理由で食べまくる穏乃に唖然としていた。しかし、食べるのにずっと夢中だったわけでもなくしっかりと今後についてはなしていたようだ…。
「‥‥というわけや。これはみんなの宿題っつーことでよろしくな。」
「「「了解です。」」」
「わかったよお姉ちゃん。」
「しっかし今日の京太郎、麻雀よかったやん。」
「‥‥結果的にラスでしたけどね。最後に一矢報いましたけども。」
「あれにはびっくりしたわ。ようやったな」
「なんというか
「いやー、あれはすごかったで。ウチの出した牌をカンして嶺上開花決めたのには驚かされたわ。なんつーか…」
そう言い洋榎は考え込む。あの時の京太郎は
(…まぁこのことはまた今度や。時間もそろそろ切れるやろ。)
「…あの、部長?」
「!?。な、なんや京太郎?」
「いえ、途中で言葉が止まったので…」
「あー、すまんなちと考え事してたんや。さぁ時間も遅くなってきたしそろそろ帰るでー!」
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side 洋榎
三人を見送り妹と共に帰宅する。この後のご飯のことを考えてるとポケットに入れていた携帯が震えた。メールが来たらしく確認する。送り主は■■から。思わず歩みを止めてしまう。隣を歩く妹が声をかけてくるが心配されるわけにはいかない。なんでもないと言い返し歩みを再開する。
「なぁ絹。」
「どうしたのお姉ちゃん?」
「‥‥ウチがもし隠し事してたらどうするん?」
「どうしたん急に?…お姉ちゃんがなにを言っとるのかようわからんけどどんなことがあっても着いていくよ。だって家族なんやもん。」
絹の言葉に言葉を失ってしまう。それと同時に責任感が重くのしかかる。妹の絹恵もそうだが今年部員になってくれた三人も正直に言えば巻き込みたくはない。それは部長として、何より仲間のため。最悪の事態もありえる、その時には必ず守ると心の中で誓いながらその歩みを進めていった。
知ってるか。これ、アニメで言うとまだAパートしか進んでないんだぜ。
はよ戦闘描写書きたいわ。