このふたりの男女に祝福を! 作:スカイハーツ・D・キングダム
アクア「うっ…うぐっ…」
カズマ「おい、泣くなって、たかがゴブリンに殺されかけた程度で泣くな」
テイラー「いや泣くだろ」
ダクネス「本当にもう駄目かと思ったぞ」
めぐみん「今日ほどカズマのありがたみを感じたことはありませんよ」
アクア達を助けてゴブリンの群れを討伐した俺達は、休んでいた
本当はこんな森の中で居座り続けるのは危険だが、疲れていた俺達は休むことにした
ダスト「ケッ!お前らの助けなんざなくても、俺はやれてたってのによ」
リーン「ダスト!!それが助けられた奴が吐く言葉なの!」
とまあ後ろで俺に助けられた事を気にくわないダストが悪態つくがリーンに注意された
テイラー「それにしてもカズマお前、強いんだな」
キース「ああ、冒険者(弱)とは思えない戦いぶりだった」
リーン「冒険者(弱)の数少ない特権を上手く使いこなしていたしね」
リーンの言うとおり俺は、覚えている豊富なスキルを多彩に使ってゴブリン共を相手にした
カズマ「ん?」
俺は立ち上がった
キース「うん?どうかしたか、カズマ?」
カズマ「……反応があった」
キース「へ?」
カズマ「敵感知スキルに反応があった」
テイラー「はあ!?」
俺は、俺達が通ってきた道をみた
その道の奥から黒いのが2匹程こっちに近づいて来ている
キース「どれどれ…俺の『千里眼』スキルで見…て…!!」
キースの言葉が途中から途切れていき、何かを見たのか驚いた顔をした
キース「は、はあ!?ふざけんなよ!?し、《初心者殺し》かよ!?」
驚いた口調でキースはそう言った
初心者殺し
見た目は黒いヒョウでサーベルタイガーの様に二本の牙を生やしている
こいつはゴブリンやコボルトなどといった駆け出し冒険者でも倒せるくらい弱いモンスターのそばをうろつき、そういう弱いモンスターを狩りに来た駆け出し冒険者を襲う
つまり弱いモンスターは初心者殺しからすれば冒険者をおびき寄せるエサということ
そしてその弱いモンスターが定住しないように定期的に追いやり、餌場を変えるというなんとも狡猾的で駆け出しには危険度の高いモンスターだ
ダスト「クソ!」
ダストはそう言うと起き上がり、ゴブリンの死体から武器をとり出して
ダスト「1匹は俺がおとりになる。その間にもう1匹は頼んだぞ」
テイラー「ま、まてダスト!!」
ダスト「うるせー!ここまで恥さらしておいてこのまま何もしないで帰れねーんだよ!」
どうやらアクア達とパーティ組んで上手く活躍できず罵った相手である俺に助けられた事を、気にしている様だ
ダスト「とにかくそっちは頼んだぞ!」
そう言ってダストは道から外れた先に走って行った
すると、初心者殺しの1匹はダストの逃げて行った方に走って行った
知能のあるこのモンスターは楽に殺れる方を選んだわけだが
キース「もう1匹はこっちに来るぞ!」
キースが慌てたように言うが
カズマ「慌てるな、落ち着け」
俺は至って冷静だった
キース「落ち着けって……初心者殺し相手に冷静にいられるか!」
キースはそう答える
自分でも驚く位に俺は冷静だった
まあ今まで魔王軍の幹部や冬将軍などといった敵を相手にしていたので目の前に迫りくるこのモンスターに対して恐怖や焦りを感じず、ただの黒い毛玉程度にしか見てない
カズマ「お前の職業は何だ?キース」
キース「え?」
カズマ「職業は何だって聞いているんだよ」
キース「ア、アーチャーだ」
カズマ「なら、今がお前の出番じゃないのか?」
キース「!」
俺の言葉を聞いてすぐに自分のなすべき事をした
カズマ「……俺も手伝おう」
俺は荷物から弓と矢を出した
最近は使う事がなかったがまだ感覚は残っている
キース「お前弓矢なんか持ってたんだな」
カズマ「冒険者(弱)の数少ない特権だからな」
俺はそう言って弓を構えているキースの隣に並んで弓に矢を収めて構えた
初心者殺しと俺達との距離は後200、150、120、100
50!!
カズ・キー「「『狙撃』!!」」
俺達は同時に矢を放った
その矢は初心者殺しの
「フギャーーー!!」
脳天に刺さった
カズマ「いい腕してるなキース」
キース「それはこっちのセリフだ。こんなに綺麗に脳天に矢を命中させるなんてお前、相当な腕してるんだなカズマ」
カズマ「いや、俺は腕が良いっていうより」
俺は冒険者カードをキースに見せた
キース「は、はあ!?お前、これまじか!!」
テイラー「どうしたんだキース?」
リーン「カズマの冒険者カードがどうかしたの?」
キース「ス、ステータスが全部平均を超えていて、特に幸運が異常な位高い!」
リーン「どれどれって!たか!!この人凄く幸運高いんですけど!!」
テイラー「ほ、ほんとだ。てかこんなにステータス高いなら他の職業になれるんじゃ」
カズマ「あ〜、そこは冒険者(弱)が俺には合ってるって事で納得してくれ」
説明が面倒な俺は話を手短に済ませようとした
カズマ「狙撃スキルは、幸運値が高ければ高いほど命中率が上がるスキル。俺にうってつけのスキルだろ?」
キース「けどお前、幸運の高さで本職の俺とほぼ同等の腕してるんだが…」
幸運が高いだけであってあれは俺の腕が良いって訳ではないんだが
めぐみん「なんとか危機は去ったようですが…何か忘れてる気が…」
リーン「あ、ダスト!」
そういえばあいつの事忘れてた
カズマ「俺が行ってくる」
ダクネス「まてカズマ、ここは私が」
カズマ「いい、俺が行ってくるから待ってろ」
俺はそう言ってダストが進んでいった方へ走り出した
テイ・キー・リー「「「カンパーイ!!」」」
ダストを見つけた俺は、アクア達と合流し、ギルドに戻ると、ちょっとしたプチ宴会を始めた
テイラー「いやー、まさか初心者殺しに遭遇して無事に帰れるなんて運がいいな」
キース「それもこれも、カズマがいたおかげだよな」
リーン「本当ね…幸運値が高すぎて、一緒にいる私達にもご利益があったでしょうね」
そうテイラー達が口々に俺を褒めちぎった
借金はあるが…奢ってやろうかな
アクア「カズマカズマ」
カズマ「うん?」
アクア「あ、あのね…そのね…わ、私達がピンチの時に…た…助けてくれて…ありがとうね」
ダクネス「私からもありがとう」
めぐみん「今回のクエストで…カズマがパーティのリーダーとしての存在が本当に大きかったのか…改めて認識しました」
こいつらはこいつらで俺に感謝の言葉を投げかけてくる
本当はもう少し見てようと放置しょうとしたんだが、言わないでおこう
リーン「ほーら、ダストも言うことがあるでしょうが」
ダスト「わ、わかってる…」
と、さっきまで酒を飲んでたリーンが、ダストを俺の前に連れ出してきた
ダスト「あ…あのよ……」
ダストが何か言いたそうにしているが、言いづらそうにしている
ダスト「お…お前の事バカにして悪かった!」
そう俺に謝罪してきた
ダスト「上級職に1人最弱職が混じっていたから楽してるんだなあって思ってたのに、あの姉ちゃん達全く使えなかったり、色々欠けてたりして本当に苦労した!!……お前はこんな苦労をずっとしていたんだって感じた」
どうやらアクア達とクエストを請けた事によっぽどこたえたらしく、俺に本気で気持ちをぶつけてきた
カズマ「……分かってくれたなら良い……もうお互い水に流そうじゃないか…」
ダスト「!」
俺の言葉にダストが驚いた様子を見せる
まさかあっさりと許してくれるとは思わなかったようだ
カズマ「とにかく、冒険者をやっていく以上は、いろんな冒険者と組んだりする時だってあるんだ。いちいち喧嘩ばっかやってたらきりがねえだろ。だからさ…」
俺は手をダストに差し出した
カズマ「俺とダチになろう…ダスト」
ダストはまた驚いた様子をしたがすぐに態度を変え
ダスト「ああ、よろしくな…カズマ」
俺の差し出した手を握った
ゴブリン及び初心者殺し討伐によりレベルアップ
カズマ
レベル25→28
アクア
レベル22→23