このふたりの男女に祝福を!   作:スカイハーツ・D・キングダム

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第45話 やはりダンジョンに女神を連れて行くのは間違いだった〔断言〕

アクア「うわ〜、まさか本当に壁破壊できるとは思わなかったわ」

 

そうアクアは驚いた様子で破壊した壁を見た

 

カズマ「フッ……その代償がこれよ」

 

今ので壁破壊に使った手を大きく痛めた

 

アクア「実戦では初めてなのに無理するからよ『ヒール』」

 

カズマ「まだ魔装もエンチャントも完全には出来てないからな」

 

特に魔装をする手には100%魔力を纏わなければいけないのに、精々40%程度しか纏えてない

まだまだ魔力の扱いが下手ってことだ

 

とはいえ初めてにしては上手く行ったほうだと思う

 

???「おや、何やら騒がしいと思ったら壁が壊されたよ」

 

壁の奥

土煙が舞って、よく見えないが壊した壁の奥から人の声が聞こえた

やがて土煙が静まると声の主が見えた

 

その姿は、ローブをかぶり、干乾びた皮が張り付いた骸骨だった

 

そしてその横には

 

???「な、何なんですかいったい!」

 

ティーカップを持った少女が椅子に座っていた

 

リッチー「やあ、初めましてこんにちは。いや、外の時間が分からないからこんばんはかな?」

 

俺たちが何も言えずに居るのをよそにその骸骨……リッチーは、俺達に挨拶した

 

キール「私はキール。このダンジョンを造り、貴族令嬢をさらった、悪い魔法使いさ」

 

キール……このダンジョンの名前にもあるかつて国一のアークウィザードの名前と同じ

 

カズマ「……あんた、リッチーになったのか」

 

キール「おや、ひと目で私がリッチーと見抜くとは、君実は結構な実力者だったりするかな?」

 

本来ならリッチー相手に警戒するのが正しいはずだが、そのリッチーの態度があまりにも人間臭くて、自分には戦う意思はないとするような態度のせいで警戒が薄れる後ウィズという前例のせいでリッチーは良いやつだと無条件で考えてしまいそうになる

 

カズマ「さあな……それより中に入るぞ?」

 

そう言って俺達は壁の奥に入った

 

壁の奥は小さな部屋になっていて中央には小さなテーブルと椅子

部屋の角にはクローゼットとベッドの上に白骨化した骨が綺麗に整って横たわっていた

 

カズマ「……もしかして、そのさらったお嬢様ってのが、そこのベッドに横たわってる骸骨か?」

 

キール「ああ、もう数百年も前に他界したよ。保存魔法を毎日掛けて、骨が崩れないようにしているから当時のままだよ。どうだ、鎖骨のラインが美しいだろう?」

 

カズマ「……悪い、人骨を初めて見た俺からすればどう言ったらいいのか分からない……」

 

キール「カッカッカッカッカ、気にすることは無い」

 

キールは笑いながらそう言った、キールが笑うと喉の方から骨が鳴る

 

アクア「……あれ?貴女って…」

 

と今まで何も言わなかったアクアがキールの隣で俺たちの事を警戒してる様子の少女に声をかけた

 

???「ふぇ!……わ、私ですか?」

 

そこで俺も少女の事を見た

 

めぐみんと同じく黒のローブを身に着けていて、見た目は俺より一つか二つぐらい年下だろうか?めぐみんより背が少し高くてめぐみんと違って出るところが出ている体型(あれ?仮にこの娘が俺より年下だとしたら中学生位の年で中学生であの体って事に…)をしている

顔もめぐみん並に整っている……なんでさっきから俺めぐみんと比べてんだ

 

黒髪をリボンで束ね、そしてめぐみんと同じく紅い瞳をしている

 

……キールの魔力が大きくて気づけなかったがこの娘の魔力も高いな

これはめぐみんに匹敵するレベルの魔力を持ってんな

……まさかこの娘は

 

アクア「ああ!あの時私達を助けた娘ね!!」

 

カズマ「助けた娘?」

 

アクア「カズマが冬将軍と戦って別れたとき、ジャイアントトードに食べられそうになった私達を助けてくれた女の子の話したでしょ」

 

カズマ「確かに話してたな……なあ、もしかしてだがお前って紅魔族か?」

 

紅魔族の少女「ふぇ!…は、はい。確かに私は紅魔族です。あ、あの、もしかしてあの時、ジャイアントトードに襲われてためぐみんのそばにいた人ですか?」

 

アクア「ええそうよ、貴方のお陰で私達助かったわ!そういえば名前いってなかったわね、私アクア、職業はアークプリースト、あそこで凶悪そうな顔してるのがパーティーリーダーのカズマよ」

 

カズマ「カズマだ、後俺の事を凶悪そうと言ったお前は後で凶悪そうな事するからな」

 

アクア「凶悪そうな事ってなに!?」

 

紅魔族の少女「は、ははは…」

 

俺達のやり取りを見て苦笑いする少女

 

カズマ「そういえばお前の名前聞いてなかったな…名前は?」

 

俺の問いに少女は

 

紅魔族の少女「は、はい…恥ずかしいけど……わ、我が名はゆんゆん!アークウィザードにして、上級魔法を操る者!やがて紅魔族の長となる者!……」

 

恥ずかしそうにして、俺達に名乗り上げた

 

普通なら笑うところかも知れないが

 

カズマ「そうか、ゆんゆんって言うのか」

 

アクア「やっぱり紅魔族の名前はあだ名みたいなのばかりね」

 

あいにく俺達にはめぐみんというあだ名のような名前を持った仲間がいるから耐性がついた

 

ゆんゆん「え?あれ…あの、私の名前聞いても…笑わないんですか?」

 

カズマ「ああ…めぐみんで慣れてる」

 

ゆんゆん「あ、あの、やっぱりあなた達はめぐみんの仲間ですか?」

 

カズマ「一応な、それはそうとゆんゆん、お前なんでこのダンジョンに4日も籠もってたんだ?見た感じキールに捕まったってわけじゃ無さそうなんだが…」

 

ゆんゆん「そ、それはですね……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズ・アク「「はあ!?話せたことが嬉しくて籠もっていた!?」」

 

ゆんゆん「は、はい」

 

俺達は驚いていた

ゆんゆんの話はこうだ

このダンジョンに潜った際、キールと出会いその後、話をしたりしていたら時間も忘れて過ごしていたそうだ

 

ゆんゆんは言った

自分は紅魔族でも自分の名が恥ずかしがる変わり者と思われててずっと浮いていて、これまでも他人とは数えれる位しか話したことも無かった

それは紅魔の里を抜けた後も変わらなかった

周りは魔法のエキスパートである紅魔族の自分に遠慮して近づかなくて更に周りと疎遠になってしまった

そんな時、このダンジョンでキールと出会った

最初は警戒してたが、無抵抗なキールは攻撃をせずそれどころか話しかけてきた

他人に話しかけられた事がほとんど無かったゆんゆんはとても嬉しくなり、気がつけば4日もダンジョンに籠もり、キールと話をしていたと言う

 

カズ・アク「「(かわいそうに…)」」

 

俺とアクアはそう思った

この娘は決して悪い娘なんかじゃない

ただ周りが理解してくれないだけなのだろう

 

カズマ「それにしてもキールもよく4日も話なんて出来たな」

 

キール「カッカッカッカ、ずっとダンジョンの中にいたから久しぶりに人と話せて私も嬉しかったからね。それよりそちらのお嬢さんにお願いしたいことがあってね」

 

カズマ「頼み?」

 

俺の言葉にキールは頷き

 

キール「わたしを浄化してくれないか。彼女はそれができる程のプリーストだろう?」

 

とそんな事言い出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アクア「神の理を捨て、自らリッチーと成ったアークウィザード、キール」

 

魔法陣を書き、詠唱を行ったアクアはキールに告げる

 

アクア「神の名において、あなたの罪を許します」

 

キールはベットに横たわるお嬢様の手を握る

 

アクア「目を覚ますと、エリスという名の女神がいるでしょう…」

 

アクアが魔法陣を書いている間にキールは、俺達にこれまで自身のやってきた事を話してくれた

 

王に望みを問われたキールは答えた

 

 虐げられてる愛する人を幸せにしたい

 

 

その愛する人……貴族の令嬢は親にご機嫌取りのために王の妾に差し出されたが、王から気に入られず、他の妾とも折り合いが上手くつかず虐げられていた

 

だから要らないなら自分にくれと言った

 

当然王からは拒否された、そしてお嬢様にプロポーズしたら2つ返事でオッケーを貰った

妾となってからろくに外に出してもらえずにいた自分を開放してくれようとしたキールに好意を抱いたと後からお嬢様に言われたそうだ

 

その後ふたりは駆け落ちし、追ってくる王国軍から逃げ戦いながら世界中を回っていたが、ある時重症を負ったが彼女を守る為、人であることをやめてリッチーに成ったらしい

そしてこのダンジョンを作り立て籠もったという 

 

逃亡生活の中、お嬢様は文句の一つも言わず、笑ってこの世を去ったという

 

その事を言ったキールにアクアは

 

アクア『お嬢様はなんの悔いもなく安らかに成仏しているわ。よっぽどあなたと過ごした人生が楽しかったみたいね』

 

そう言ってくれた

 

それを聞いたキールは

 

キール『そうなのかい?彼女には散々苦労をかけた。自分がやった事は間違っていたのかと散々思っていたが、それを聞いて安心した』

 

嬉しそうに言ってくれた

 

アクア「たとえ年が離れていても、それが男女の中でなく、どんな形でもいいと言うなら…彼女に頼みなさい。再びお嬢様に会いたいと。彼女はきっとその望みを叶えてくれるわ」

 

キールに告げるアクアを見た

 

本当に誰だこいつと思った

普段が普段だから俺は女神とは思えないが、今ならこいつを女神と思っても良い

 

キール「本当にありがとう……アンデッドが自殺なんてシュールな事は流石にできないのでね。ここで朽ちるのを待ってたらゆんゆんさんが来て久しぶりに眠りから覚めて過ごしていたら神聖な力を感じたものでね。もしかしたら私を浄化できる程のプリーストが来たんじゃないかって期待したら本当に来てくれた。今日は本当にいい日だ」

 

そう言ってカタカタと笑った

 

カズマ「……いいのか?…このままだとキール、消えちまうぞ」

 

俺は隣で泣きそうにしてるゆんゆんに言う

 

ゆんゆん「いいんです。確かに…せっかく出来たお友達が消えてしまうのは悲しいです……ですが、キールさんは、奥さんを亡くしてから一人でずっと孤独に生きてきたんです。ようやく奥さんと出会えるかもしれない、それなら私はキールさんの為になる方をとります」

 

……本当にこの娘はいい娘だな

本当にこの娘の事理解できない周りを理解できないな

 

キール「ゆんゆんさん…私の最後の友達になってくれてありがとう…もし、来世で会うことがあったら、その時もまた、友達になろう」

 

そう言うキールにゆんゆんは

 

ゆんゆん「わ、わたじのぼうごぞっ!お、おどもだぢになっでぐでで、あ、ありがどうござおまずぅぅぅ」

 

号泣しながらキールにお礼を言う

 

やがて魔法陣から出た光が部屋を包む

 

カズマ「キール」

 

俺は最後にどうしてもキールに言いたいことがあった

 

カズマ「アンタは人である事を捨てたと言ったな。確かに、寿命の概念を無くしたあんたは人では無い。だが、アンタがリッチーになってからやった行為は全て、お嬢様の為にやった事なんだろ?それは人が愛する人の為にやる事と変わりはない。例え人である事を捨てたとしても、アンタの心はずっと人のままだ!少なくとも俺はアンタの事を、人としても…男としても尊敬する」

 

ほんと、ウィズといいキールといい、リッチーは総じて人間臭い奴しかいないのか

 

キール「……ありがとう。私の事を人と呼んでくれて……君達と出会えて…本当に良かった……」

 

光はキールの元に集まると、キールの身体が薄れていき

 

アクア「…『セイクリッド・ターンアンデッド』…」

 

アクアの唱えた浄化魔法により、キールとお嬢様の骨が消えて無くなった

 

……消える直前、俺には

 

 妻よ…今行く

 

そう聞こえた気がした

 

ゆんゆん「…さよなら…キールさん。来世でもまた、お友達になりましょうね」

 

涙を拭きながらゆんゆんは、キールの消えた所に寂しそう言った

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

地上での帰り道の道中

俺は、モンスターに見つかるかも知れない事も気にせずアクアと話をしていた

 

ちなみにゆんゆんは居ない

理由は転移の魔法でアクセルに帰ったからだ

 

本当なら俺達も一緒に転移の魔法で帰るべきなんだが、ダンジョンの入り口に残したあいつらがいるから、俺達は歩きでアクセルに帰るといった

 

ギルドには、ダンジョン探索をやってたら帰り道が分からなくなってしまったので、転移魔法を覚えられるくらいスキルポイントを貯めていて、丁度溜まったところに俺達に会ったという、嘘の報告をギルドに言うように言った

まさかリッチーと4日間話をしていたなんて報告をする訳にはいかないからな

 

カズマ「なあ、キールはまた、お嬢様に会えると思うか?」

 

アクア「…どうかしらね。でもエリスなら何とかしてくれると思うわ。私よりもしっかりしてるもの」

 

カズマ「それにしても、もういらないからと言って、タンスにしまっていた財産をあげてくれるなんて、本当にいい人だったな」

 

俺とアクアの手にはキールの財産の入った風呂敷を持っている

 

ゆんゆんにも渡そうとしたが

 

私はいいです……お友達の財宝を貰うのって気が引けますし

 

そう言って遠慮した

 

アクア「…そうね。これで借金もたくさん返せるわね」

 

確かにそうだ

これで俺達の肩の荷も少しは軽くなる

 

だがその前に……

 

カズマ「所でアクア、キールが言ってたよな?」

 

アクア「何を?」

 

カズマ「神聖な力を感じたって、ダンジョンの最下層にいるキールに力が伝わるって事は、このダンジョン中にいるアンデッドや悪魔にも伝わってるってことだよなあ?このダンジョンでやたら悪魔やアンデッドに出会うのって、別にお前のせいじゃないよなあ?」

 

アクア「ッ!?」

 

それを聞いたアクアはその場にビクッ立ち止まった

 

アクア「ななな何を言ってるのかしらカズマは…」

 

慌てた様子で言ってきた

 

カズマ「……そういえば悪魔はともかくアンデッドはお前に寄ってきてたな」

 

アクア「ッ!?」

 

更にビクッとした

 

と、俺の敵感知に大量の反応があった

 

カズマ「やっぱお前のせいじゃねえか!!」

 

俺達が来た道から何かの遠吠えも聞こえてきた

 

カズマ「クソ!速く走るぞ!」

 

アクア「あ、待って!」

 

俺達は地上に向かって走り出した

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アクア「あ、カズマ助けて!足に力が入らないの!」

 

カズマ「何してんだお前!?」

 

地上まで後少しの所でアクアがコケた

しかも足に力が入らないと言った

 

カズマ「ああもう!しようがねえなあ!!」

 

俺はアクアに持ってた風呂敷を渡し

 

アクア「え?ええ!?」

 

空いた両手でアクアを横に抱き上げる

 

そう…俗にいうお姫様抱っこという奴だ

 

アクア「ちょ!?カ、カズマ!?」

 

アクアが慌てた様子で俺を呼ぶ

 

カズマ「うるせえ!お前も騒いでないでさっさと俺に筋力増加と速度上げの魔法を掛けろ!」

 

こうして俺達は無事地上に戻ってこれた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

めぐみん「……あの…ダンジョンで何があったんですか?」

 

ダクネス「本当だぞ、カズマがアクアをその…お姫様抱っこして戻ってきた時は本当に何があったんだと思ったぞ」

 

カズマ「ハアッ…ハアッ…後で話す…」

 

だが今回の事で1つ心に決めた事がある

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマ「もう二度とあのバカとはふたりでダンジョンには潜らん!」





アンデッド及び悪魔を倒してレベルアップ

カズマ
レベル34→37

アクア
レベル23→28
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