このふたりの男女に祝福を! 作:スカイハーツ・D・キングダム
カズマ「ここが…紅魔の里か…」
翌日、見張りをして一睡もしてないながらもどうにか起き続け、皆を起こす
そしてそこから数時間ほど歩き、とうとうめぐみんとゆんゆんの…紅魔族の故郷 『紅魔の里』に到着した
ただ、到着はしたもののなんというか……
めぐみん「里がほぼ荒れてない……ですね…」
ゆんゆん「……カズマさんの言うとおり………皆実は余裕だったんじゃないよね…?」
そう、魔王軍が攻めてきたと書かれていた割には……里は全くと言っていいほど壊れた跡がなく……それどころかちらほら紅魔族が見えるが皆普通の……まるで魔王軍の侵攻が嘘かのような平和な風景を醸し出している
カズマ「まあとりあえず……あの手紙の送り主のゆんゆんの親父さんの所に行くか……行けばわかるだろうからさ」
ゆんゆん「そ…そうですね……里のこの様子じゃあお父さんも生きていると思いますしね……」
こうして俺達はゆんゆんの実家に歩いて行った
ゆんゆんの親父さん「いやあアレはただの娘に宛てた近況報告の手紙だよ。手紙を書いている間に乗ってきちゃってな。紅魔族の血が、どうしても普通の手紙を書かせてくれなくてな……」
カズマ「ちょっと何言ってるかわからない」
とまあゆんゆんの親父さんはちゃんと生きていたがあの手紙が遺言ではなくただの近況報告の手紙だったというのだ
ゆんゆん「えっと……『この手紙が届く頃にはこの世に居ないだろう』っていうのは…」
ゆんゆんの親父さん「そんなの紅魔族の時候の挨拶じゃないか。あれ?学校で習わなかったのか?……ああでもお前とめぐみんは優秀だったから卒業も早かったからな…」
ゆんゆん「……カズマさん…申し訳ないですが、今日は帰ってもらえませんか?」
カズマ「オーケー、後は任せる……」
そう言って俺はめぐみん達にもゆんゆんの実家から出ていくように言う
帰り際
カズマ「ああそうだ族長……あの紛らわしい手紙を送ってきて、ダチを心配させたから一発殴ろうかと思ったがやめとく………俺がやる必要なくなったからな」
ゆんゆんの親父さん「へ?」
そう言って俺達は出て行く
その直後、ゆんゆんの実家から少女の怒声と魔法の衝撃音と男性の叫び声が響いた
カズマ「う〜ん、怒りのこもった声に怒りのこもった魔法……そしてそれに恐怖し大の大人が叫びまわる……88点だ」
めぐみん「あなたはなんの採点してるんですか!?」
カズマ「……ここか?」
めぐみん「はい……ここが私の実家です」
ここがめぐみんの実家か……
こじんまりとした木造の平屋だな
失礼ながら一般家庭よりも貧乏そうな家
家というかこれは
アクア「馬小屋みたいね……痛!」
俺が心の中で思った事をアクアが言ったらめぐみんに杖で叩かれた
うん、今のはアクアが悪い
実家に戻ってきて少し緊張気味のめぐみんは、玄関のドアをノックした
すると家の中からドタドタと掛けてくる音が聞こえてきて
玄関の扉がそっと開けられた……
中からめぐみんとよく似た小学生低学年ほどの可愛らしい女の子が出てきた
多分この子が『こめっこ』だな
めぐみん「こめっこ…ただ今帰りましたよ。良い子にしてましたか?」
そうめぐみんは優しい声で話しかける
それにしても、紅魔族の名前を聞いても違和感を持たなくなった辺り、大分俺も毒されたな
こめっこは目を大きく見開き、息を吸い込むと
こめっこ「おとうさーん!姉ちゃんが男引っ掛けて帰ってきたー!」
そう言って家の中に走って行った
カズマ「……ああ言っちゃったがどうするか?」
めぐみん「こ、こめっこ!ち、違います!戻って説明聞いてください!」
めぐみん宅にて、俺とめぐみんはちゃぶ台のある居間に座っている
そして俺達が座っている場所からちゃぶ台の向こう側に座っているのはめぐみんの親父さんの『ひょいざぶろー』とお袋さんの『ゆいゆい』だ
ちなみにアクアとダクネスは居間の隅でこめっこの相手をしている
ひょいざぶろー「……家の娘が日頃から世話になっている。それについては心から感謝する」
そう言ってひょいざぶろーは頭を下げた
ゆいゆい「本当に家の娘が大変お世話になってます」
とお袋さんも頭を下げた
ひょいざぶろー「………それで、君は娘とはどのような関係なんだね?」
本日三度目となる質問を投げかけられた
カズマ「だから…仲間……もしくは同じ屋根の下に住んで同じ釜の飯を食った仲だ」
ひょいざぶろー「なわけあるかー!!」
そう言うとひょいざぶろーはちゃぶ台に置いてある湯呑のお茶を俺にぶっかけてきた
カズマ「……」
めぐみん「あっ……え、ええ!?お、お父さん!急に何するんですか!?何かカズマが気に触ることでもしたんですか!?」
ひょいざぶろー「いや、娘が連れてきた男に『お前なんぞに娘をやるか!』って言うやつみたいなの一度やってみたく(カズマ)『ライトニング』…………え?」
ひょいざぶろーが最後まで言う前にひょいざぶろーの顔をぎりぎり当たらない所に雷の魔法を放った
カズマ「つ ぎ は マ ジ で 当 て る……」
ひょい・ゆい「「ビクッ!……」」
この時、ふたりは目の前の男には冗談が通じないと感じた
ひょいざぶろー「ああ、ゴッホン………その、悪ふざけが過ぎたな……済まなかった」
めぐみん「お父さん!カズマは私をパーティに入れてくれた人なんですよ!あまり酷いことしないでください!」
カズマ「いや、それは今はいい…………アクア、ダクネス…」
ダクネス「うん?何だ?」
カズマ「悪いがこめっこ連れてちょっと外に出といてくれないか?一時間ほど………ついでにアクア…この金で食材を買ってきてくれないか?…買って欲しいもののメモは渡しておくぞ」
アクア「あっ………うん、分かったわ」
ダクネス「な、なあカズマ……何するつもりなんだ?」
カズマ「……ちょっとめぐみんと一緒にめぐみんの両親とお話するだけだ…」
そう言い聞かせてダクネスとアクアを外に出て行かせた……こめっこを連れて行かせて
ダクネス「り、両親とお話だと!?ま…まさか…カズマのやつ……めぐみんの両親に『娘を下さい』と言うつもりなのか!?」
アクア「う〜ん……違うと思うわよ……」
ダクネス「違うって……ではアクアはなんだと思う?」
アクア「ヒントは………アルカンレティアでカズマがめぐみんを連れて行った事が関係しているわ……まあ一時間したら答えは自ずと出てくると思うわ」
【一時間後】
アクア「ただまー、カズマー、終わった?」
カズマ「ああおかえり…」
めぐみん「今終わったところです」
俺とめぐみんはにこやかに、どこかスカッとした顔をしてアクア達を出迎えた
ダクネス「な、なあ……私達がいない間に、何をやっていたのだ?」
と、ダクネスは居間に寝転がっている夫婦…
もといゆいゆいとひょいざぶろーを見て言った
ふたりとも一時間前と比べるとどこかやつれていれ
なおかつ疲れている様子だ
カズマ「なあに……ちょっと『苦情』と『説教』をしただけだ……な、めぐみん」
めぐみん「はい!……言いたい事を言っただけですよ……」
アクア達が出て行った後、俺とめぐみんはひょいざぶろー夫妻を怒った
突然だが俺はかなり怒っている
お茶を掛けられたことにも怒ったがそれ以外にも怒っている事がある
その一つは
カズマ「アンタ!よくもあんな欠陥品を俺の師匠に毎回売り付けやがったな!」
めぐみん「まさかウィズが毎回買っていた欠陥魔道具が父!あなたが売っていたんですね!今までは、あなたの魔道具を買う人なんていないと思っていたから特に何も言わなかったですが、買った人がいるとなれば話は別ですよ!」
そう…ウィズの店にある欠陥品の魔道具やポーションを作って売った事についてだ
カズマ「幸い大きなデメリットがあるから誰も買わなかったから良かったものの……アンタの作る魔道具は使えない物や命に関わるものばかりで誰も買ってくれなくてウチの師匠は毎月砂糖水生活を余儀なくされるんだよ!それはまあそれを買うウィズもウィズだがアンタ!仮にも魔道具職人ならちゃんと実用性のある魔道具作れや!大体なんでアンタの作る魔道具やポーションはメリットよりデメリットが大きい物ばかり作るんだ!」
ひょいざぶろー「そ、それは私の趣味だ!」
カズマ「趣味!今趣味って言ったか!アンタ!…自分の趣味の為に家族にひもじい思いさせてんのか!?アンタは!家族を養う事と趣味!天秤にかけて趣味を選んだのか!アンタ父親失格だな!俺はな!さっきのお茶ぶっかけや欠陥品をウィズに売りつけたことにも怒ってるが一番怒ってるのはな!……まだあんなにちっさいこめっこに、ひもじい思いをさせてる事に怒ってんだよ!!」
そう、これが俺が一番に怒っていることだ
突然だが、俺達が紅魔の里に来た目的を話そう
まあ大体は紅魔の里を襲撃している魔王軍に対抗するためだったが…それはあくまで建前だ
俺とめぐみんが里に来るメインの目的は、欠陥品をウィズに売りつけた張本人に言いたい事があったからだ
本当は欠陥品を売りつけることだけを言うつもりだったが……この家に入って最初にアルカンレティアで買った土産の饅頭を出した時、こめっこが
こめっこ「それってお腹に貯まる物!いつも水で薄めたシャバシャバのお粥とかじゃなくてちゃんとお腹に貯まる物!?」
って目を輝かせて言ってきた時は内心泣きそうになった
めぐみんから話は聞いていたがここまで酷いとは
なんだシャバシャバに薄めたお粥って……戦時中の日本じゃねえんだぞ
こんなに小さな子が、満足に食うことができないなんて……
カズマ「趣味?そんなのは生活に余裕がある奴がやるんだよ!アンタは?生活に余裕はあるのか?娘の仕送りを頼りにした生活してないか?自分の趣味に没頭する前にまず!テメェの家庭を養えやがれ!!」
その後めぐみんと共にこの夫妻を叱り続けた
ちなみにゆいゆいにも夫の不始末は妻の不始末という事で一緒に怒ってやった
こめっこ「お母さん!肉!肉!」
ひょいざぶろー「母さん!白菜は美容にいいと聞く、肉は任せろ!私は母さんには何時までも美しくいて欲しい!」
ゆいゆい「あらあらあなた、あなたこそ最近頭髪の方が薄くなって来ましたし、添え物の海藻サラダを召しあがればいいと思います!」
アクア達が帰ってきた後、買ってきた食材で今晩の食事鍋料理を作り、めぐみんの家族に振る舞う
普段まともな食事にありつけてなかったようで、鍋の中の食材を次々に食べていく
こういう事になると思って、鍋を2つ用意してよかった
片方はひょいざぶろー夫妻とこめっこ
もう片方は俺達で食べる
カズマ「すごい勢いで食べるな……」
アクア「どれだけ食べてなかったのかしら」
めぐみん「まあ…我が家ではよくあんな感じですよ……」
ダクネス「それにしても………カズマは料理上手だな」
カズマ「……ちょっと一人暮らししてた時期があったからな……」
ちなみに鍋の調理は俺がやった
日本にいた時から料理はやっていたから大抵の物なら作れるが………ラーメンやカレーと言った日本の定番メニューの材料の入手や、食べたいけど作り方がわからなくて作れないものがこの世界に来てから多々あった
ああ……塩ラーメン食べてえな……
カズマ「……やってくれたなあの母親…」
俺は現在、めぐみん宅にあるめぐみんの部屋に入っている
ちなみにこの部屋の主であるめぐみんは布団で寝ている
なぜこの様な状況になっているのかと言うと、あの母親が原因だ
俺が風呂にから出て、居間に戻ると
不自然な寝方をしてるアクアとめぐみんとダクネスとひょいざぶろーとこめっこ……そして不敵な笑みを浮かべたゆいゆいが立っていた
そしてゆいゆいはひょいざぶろーとこめっこと一緒に寝室で、アクアとダクネスは居間で寝るからめぐみんと一緒にめぐみんの部屋で寝るように言った
……なんか考えるのが面倒くさかったことと、昨日から一睡もしてなくて眠かった俺はそれを承諾し、寝ているめぐみんを部屋に運んだ
そしたら突然ゆいゆいがドアを閉めて鍵掛けの魔法でドアの鍵を掛けた
……参ったな…いくら眠かったとはいえ、上手く思考が働かなかった事にも問題あるが…あの母親の意図を読み取れ無かったのは俺の失態だな
なぜあんな事をしたのか…考えられるのは…
カズマ「……金か…」
そう、実はめぐみんが実家に送った仕送りと別で手紙も送っていたらしく、そこで俺の借金も書いていたみたいだ
借金は返して、大金が手に入り毎月結構な金が入る事をつい話してしまった…
多分あの母親は、俺とめぐみんをいっしょにさせて、あわよくば既成事実を作るつもりでいるな
さて、眠いが…このままここで寝て、めぐみんに色々言われるのはな……
仕方ない
カズマ「めぐみん…ほら、起きろ…」
めぐみん「うっ……うぅぅぅ……」
眠っていためぐみんを軽く揺さぶるとめぐみんが起きた
めぐみん「カズマ?……ここは……!?な、なぜ私は自分の部屋に居るんですか!?そしてなぜカズマがこの部屋に居るんですか!?ハッ!?」
めぐみんは驚くと自分の体をあちこち触る
やがてホッとした表情を浮かべた
おい…
カズマ「お前、俺が寝ているお前に何かしたと思っただろ、寝てる相手を襲うなんてするかよ……」
めぐみん「じゃあ起きている相手には?」
カズマ「……そういうのは好きな人にやるんだよ……で、最後に覚えてる事は?」
めぐみん「え、ええっと……母が急に私の所に来て、眠りの魔法を掛けてきた所までは覚えています……」
カズマ「何やってんのか、お前の母親は」
要するにそれでアクア達も寝かせたって事なんだな
カズマ「まあいい、俺もう眠いし……寝るわ……」
そう言って俺はめぐみんの使っている布団に入ろうとしたが
めぐみん「な、何やってるんですか!?ひ、人が入っている布団に無断で入ろうとしてくるなんて…」
カズマ「いやだって布団それしかねえし…俺眠いし……襲わないし………もう何でもいいだろ……」
そう言って今度こそ布団に入った
めぐみん「あの……本当に襲いませんよね……」
カズマ「しつこいな!その質問はこれで12回目だ!そんなに不安ならもういい…」
俺はめぐみんの部屋の窓に近づくと
めぐみん「ど、どこに行くんですか?」
カズマ「外で寝てくる……お前が常時俺に襲われないか不安で聞いてくるから眠れないんだよ……それなら中より快適じゃないが寝られる外で寝てくる…」
そう言って外に飛び出して行った
次回は 【このふたりの男女に祝福を!番外編】
作者の押しキャラ女神の誕生日!
突然ですが私……新しい小説の投稿もやりたくなりました。そこで皆さんにアンケートを取って一番たくさん票があるものを投稿していきたいです。期限は特に決めていませんのでどうぞよろしくお願いします。《注意》このすばとは違う物も混じっています。また、投票が少ないものでも場合によってはそれの投稿もします。
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