このふたりの男女に祝福を!   作:大トロ

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はい、今回でようやく第3章は終わりです。

最後までご覧ください。


第67話 紅魔の少女の決意

カズマ「チッ……どこにあるんだー、レールガンは…」

 

紅魔の里に滞在して数日が経った

 

今日でこの里とはさよならだ

 

帰る前にもう一度例の施設に立ち寄った

 

立ち寄った理由は単純なものだ

 

あの日記に書かれてた物の中で一つだけ、どれだけ探しても無いものがあった

 

それがレールガンだ

 

カズマ「爆裂魔法以上の威力が出せる武器……放置するのも危険だが……どこにあるんだ……」

 

施設にあるのかそれとも……

 

カズマ「うん?あれは……」

 

施設から出て歩いていると、林の方で佇んでいるめぐみんを見かけた

 

その表情は真剣で、何かを決断しようとしている顔だった

 

カズマ「……めぐみん!」

 

思わず俺は声をかけた

 

めぐみん「…カズマ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△△△△

 

カズマ「……」

 

めぐみん「……」

 

俺達はしばらく無言で林の中を歩いていた

 

声を掛けたものの、めぐみんは話したがらずにいたので、コイツが話すまで黙っていた

 

少しして俺達は林から出て、草原に来た

 

めぐみん「……カズマ……私…」

 

ここでめぐみんがようやく話しだそうとしていた

 

カズマ「一応言っておくが、爆裂魔法以外の魔法にシフトチェンジするとか言わねえよな?」

 

めぐみん「!」

 

カズマ「そんなに驚くことではないだろ……お前が何を考えていたのかくらい分かる……」

 

めぐみん「………」

 

また黙りだした

 

めぐみん「………私……今回も仕留めきれませんでした…………」

 

カズマ「……」

 

めぐみん「今回こそは…そう思っていたと言うのに……出来なかったです……」

 

カズマ「……」

 

めぐみん「やはり…………私には……できないのでしょうか…………爆裂魔法一つで世界最強なんて……」

 

めぐみんは……目に見えて落ち込んでいた

 

それもそのはず…めぐみんは………自分の爆裂魔法に絶対的な自信を持っていた

 

全ての魔法の中でも、圧倒的な火力を誇る爆裂魔法

 

くらえば相手は即死間違いなし……

 

だが、その魔法で仕留めきれたのはどれも格下ばかり…

 

自分よりも格上を仕留めきれた事は一度もない…

これでは自信を失っても仕方ないのかもしれない……

 

………けど

 

めぐみん「……カズマ……選んでください……」

 

めぐみんはそう言うと懐から

 

めぐみん「……今の私のスキルポイントは……上級魔法を習得できるほどあります…………足手まといになりたくないです……お荷物にもなりたくないです………ですから………選んでください……爆裂魔法関連のスキル以外の魔法を………」

 

冒険者カードを取り出した

 

カズマ「……お前……どうして…」

 

めぐみん「………ベルディアとの戦い辺りから…少し、自分の爆裂魔法の雲行きの怪しさを感じて……スキルポイントを貯めていたんですよ………爆裂魔法なんて……火力が大きいだけが取り柄のネタ魔法……習得したのがそもそもの間違えだったんですよ……今後は、爆裂魔法以外の魔法で世界最強を目指します…」

 

そう、無理やりに笑みを浮かべていた

無理しやがって…

 

 

 

他の魔法を習得か……

 

カズマ「……」

 

……これが、俺の答えだ

 

俺はカードを押してめぐみんに返した

 

めぐみん「ふう…これでやるべき事はすみました……ですがその前に………」

 

めぐみんはそう言って草原の大岩に杖を向けた

 

めぐみん「……この一撃を持って、我が夢の原点とも言える爆裂魔法との決別とする」

 

そう言って爆裂魔法の詠唱を唱えだし

 

めぐみん「『エクスプロージョン』!」

 

大岩に放ったそれは………これまでとは比べ物にならないほどの大爆発が起こった……

 

めぐみん「!」

 

爆裂魔法を放って倒れためぐみんは、自分の放ったそれに驚き、懐にしまった冒険者カードを取り出し中を見た……

 

めぐみん「!……どうして…」

 

めぐみんは、己の冒険者カードに習得しているスキル欄を見て更に驚いた

 

そこには爆裂魔法以外に…『爆裂魔法威力上昇』『高速詠唱』……

 

カズマ「なあめぐみん……お前が仲間になる時、俺に言っていたこと覚えているか?」

 

めぐみん「……」

 

カズマ「『この爆裂魔法でいつの日か、この世界にいる魔法使い達の頂点に立つという夢があるんです  そのためなら私は、自ら茨の道を歩く覚悟を持っています 例え私の事を理解出来る者が現れなくとも、例え私を足手まといと思われようとも、私は私の意思を変えることはありません!』……そう言ったよな?…何弱気になってんだ!!お前はそう簡単に夢を諦めるやつなのか!?」

 

めぐみん「!……あ、諦めてなんていません!!私の夢は世界最強のアークウィザードに」

               ・・・・

カズマ「違うだろ!お前の夢は!爆裂魔法で世界最強のアークウィザードになる事だろ!!何夢の内容を変更してんだ!」

 

めぐみん「!」

 

カズマ「なあ、………俺がどうして扱いづらい魔法しか習得していないお前を仲間にしたか分かるか?」

 

めぐみん「……」

 

カズマ「あの時のお前からは……強い信念と意志、そして……大いなる野望を胸に秘めているのを感じた……それを前にした時さ俺………思わず心が踊っちまったんだよなあ……そしてさ、コイツならできる……そういう凄味を感じた……だからお前をパーティーに入れた………なあめぐみん……俺がお前に爆裂魔法以外の魔法を覚える事は辞めろと言ったあと…なんて言ったか覚えてるか?」

 

めぐみん「……『途中で投げ出すことは俺が許さねえよ。それにお前の夢は、お前一人で叶えるには随分と難易度が高いだろ』……」

 

カズマ「そうだ……そもそもお前の夢は、一人では叶えきれないほど過酷で簡単ではない……けど……だからこそ……『爆裂魔法は打てば動けなくなるから、動けないお前を守る仲間がいるだろ』……」

 

めぐみん「!」

 

カズマ「自信がないなら俺が付けてやる……少しでも夢を叶える事が大変だと思ったなら俺達がサポートしてやる……威力を上げる為に鍛えたいなら俺がどうにかしてやる…………それでも……どうしようもなくなったら……俺達がお前を支えてやる………だからさ…」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

カズマ「……そう簡単に……夢をあきらめないでくれよな……」

 

めぐみん「!」

 

めぐみん一瞬泣きそうな顔をしたが、笑顔になり…

 

めぐみん「我が名はめぐみん!紅魔族随一の天才であり、いつの日か、全魔法使いの頂点に立つ、爆裂魔法を極めし者!」

 

いつもよりも強気の紅魔族の名乗りをあげた

 

        ・・・

カズマ「さて……お前達はいつまでそこにいるつもりだ?」

 

そう俺は後ろの草むらに向かって言った

 

すると…

 

ダクネス「……」

 

アクア「……」

 

ウチの三馬鹿娘の金髪と青髪が出てきた

 

めぐみん「え…お、おふたりはいつから…」

 

カズマ「割と最初ら辺からだろ……コイツら、お前が元気無いのを見かねて心配で付いてきたんだろうな……」

 

アクア「アッ……」

 

ダクネス「…めぐみん」

 

少し間を開けてふたりは

 

アクア「私達にも頼りなさいよ…」

 

ダクネス「ああ……やれることは少ないだろうが頼って欲しい…」

 

アクア「私達……同じパーティの仲間だからね………夢を叶えたいなら……私達も手助けするからね……」

 

そうめぐみんに言った

 

めぐみん「……フッ………カズマ…」

 

カズマ「なんだ?」

 

めぐみん「あの日……カズマのパーティに入れた事は………絶対に間違ってなんかなかったです……そして………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私は……自分のパーティの仲間に、とても恵まれてます!」

 

 

そう言ってめぐみんは……この里に来て一番の笑顔を見せた

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

△△△△

 

カズマ「一体どうしたんだ?」

 

めぐみん「さあ……何やら騒がしいようですね…」

 

アクア「なんか……あちこちで街の人が慌てふためいているわね…」

 

ゆんゆん「お祭り……ってわけじゃなさそうですね……」

 

仲間達との結束を深めた後…俺達は…紅魔の里のテレポート屋を使ってアクセルに戻って来たのだが…

 

元々活気ある街のアクセルだったが……今日の街からはどこか焦りを感じる

 

ダクネス「……何かあったのか………うん?あそこに居るのは……」

 

そう言ってダクネスが歩き出した方向には…

 

クリス「ダクネス!それにカズマ君達も!」

 

ダクネスの親友にしてこの街きっての盗賊少女のクリス……と

 

ダスト「あ!カズマ!!お前ら帰ってきていたのか!!」

 

ウチのバカ共のおかげでダチになったダストがいた

 

カズマ「お前ら……どうしてこんなに騒がしいんだ?」

 

俺はそうふたりに聞いた

 

それを聞いてふたりは…

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

クリス/ダスト「「機動要塞デストロイヤーがアクセルに近づいて来てるんだよ!」」

 

声を揃えて言った

 

カズ・アク・めぐ・ダク・ゆん「「「「「はあ!?」」」」」

 

やっと帰ってこれたと思ったらこのザマだ…

 

 

 





はい。これで第3章は終わりです。

次回もお楽しみ下さい!

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