このふたりの男女に祝福を! 作:スカイハーツ・D・キングダム
アイルビーバック!
ここはアクセルの中心に位置する警察署
異世界に来てまさかのムショ行きになった俺
とりあえず牢屋の中に入れられたが
カズマ「…さて……どうなるやら…」
俺は今後の事を考えながら、寝転がる
一応脱獄したければできない事はない
双龍刀を出せば済む
ただここで脱獄しようものなら
俺は多分、普通に指名手配されるだろうな
これ以上悪いようにいかないためにもここに居るのがいいな
カズマ「それにしても……なんでお前らまで居んだ?」
俺は、牢屋の中で同じく寝転がってるダストと
そして
カズマ「ダストはともかく、お前は何しやがったんだ?……アクア…」
壁に持たれているアクアに声を掛けた
ダスト「…んだよ俺はともかくって、……まあ、あれだ…ちょっと無銭飲食してきただけだ」
カズマ「……お前は相変わらずだな……それと…そっちは?」
俺はアクアの方に顔を向けて言った
アクア「……私はあれよ……ちょっと無銭飲食してきただけよ」
カズマ「……お前もかよ…」
なんなんだこの無銭飲食コンビは
一応デストロイヤーとクーロンズヒュドラ討伐クエストに参加した(ほぼ何もやってないが)冒険者は賞金を手に入れてるはずなんだが…
カズマ「やれやれ……仮にも聖職者(女神)が無銭飲食とはな…」
アクア「…カズマからお金を借りたりしてる時点で今更だと思うんですけど……」
カズマ「……それもそうだな」
ダスト「冷めてんな……それはそうとお前…このままだと死刑なる可能性が高えぞ…俺は借金取りから逃げる時によくわざとせこい罪をしてムショによく来るからそこそこ法律には詳しんだよ……けどな、この街のクソ領主のやつは、そういう法律を権力で事実を捻じ曲げるような奴だから…お前……殺されるぞ」
カズマ「チッ…やっぱ惜しいことしたな」
アクア「カズマ、気持ちはわかるけど今は抑えて…今はこれからどうするべきか考えようね……私は初犯だからもう少ししたらここを出るから…今のうちに私に言えるだけ言って……そしたらめぐみん達にも伝えて対策するから…」
ダスト「その場合…カズマの弁護をするのはアクアのねーちゃんか、あのロリっ娘と変態金髪女の誰かだな」
カズマ「……そうか…」
どうやらこの世界では弁護士という職業はなく、知人や仲間が弁護士代わりをする事になっているようだ
それにしても変態金髪女って…
カズマ「……そういえば…あの時バニルが言ってたな」
俺はここで、ウィズの店から出ていく時にアイツが言ってた事を思い出した
ダスト「あん?…バニルの旦那がどうかしたか?まああの人は上級悪魔だから色々知ってそうだが…」
カズマ「旦那ってお前…つかお前、アイツが悪魔なの知ってんだな…」
ダスト「まあな…ちなみに俺以外にも気づいているやつは普通にいるからな」
まあ見た目仮面をつけたタクシード服にエプロンを付けた男だからな
アイツが悪魔なんて一体誰が思うのやら…
アクア「カズマ…あの糞悪魔がなんて言ってたの?」
カズマ「ああ…アイツは俺が出ていく時に一言だけ…」
その内容は短く一言だけだったな
たしか…
バニル『悪魔に気をつけろ』
カズマ「そう言ってたな」
アクア「何よ悪魔に気をつけろって……わざわざ自分の事を言う必要なんてあるのかしら…」
カズマ「いや…あのバニルがわざわざあんな忠告をしたんだ…意味のない事をするとは思えん…それに………俺が死ぬ事はアイツにとっては不利益にしかならない…なら……バニルが言っていた悪魔ってのは、別の奴って考えた方がいいな」
アクア「でもだからってどうするのよ…」
ふむ…そうだな……
カズマ「よし!ならこうしよう。アクア、お前はめぐみん達の所に戻ったら、弁護をする様に言うのと調べて欲しいことがあるからそれを調べて欲しい」
アクア「分かったわ」
カズマ「それと、裁判当日…お前は来るな」
アクア「な、なんでよ!」
カズマ「お前にはやって欲しいことがある」
アクア「やって欲しい事?」
カズマ「ああ…いいか?お前は裁判が始まったら…」
△△△△
セナ「ではこれより、貴様への事情聴取を始める」
翌日、俺はセナに連れられてとある部屋の一室に来た
なんか刑事ドラマとかに出てきそうな取り調べ室そのものだった
俺は部屋にあったイスに座り、セナは向かい側に座った
俺とセナの間には小さなテーブルが、そこには小さなベルがあった
セナ「これがなにか分かるか?この様な場所や裁判所でもよく使われている、嘘をつくと音がなる魔道具だ……ここから先は、嘘偽り無く話せ…」
こうして事情聴取は開始した
セナ「サトウカズマ…年齢16歳……職業冒険者……就いているクラスも冒険者……ではまず、出身地と冒険者になる前は何をしていた」
さて…やはり聞いてきたか
昨日ダストの奴がどのように事情聴取をしてくるのか話してくれたおかげである程度の対策はできている
まずは…
カズマ「出身地は日本という島国…冒険者をする前は学生だったが……行かなくなった」
セナはベルをジッと見た
セナ「ニホン…という名の国は聞いたことがないな…だが魔道具がならなかったところを見ると本当に実在するのだな……学生だったが行かなくなったのは?」
カズマ「色々とあるんだよこっちも…てかそんなのどうだっていいだろ…どうせ今回の事には関係ないことだから…」
セナ「そうか…まあいい……次に、なぜ冒険者になったか動機を聞こうか…」
カズマ「それは職業の方か?それともクラスの方か?」
セナ「職業の方だ…」
カズマ「……他にやることが無かったからだ…」
セナ「は?」
カズマ「聞こえなかったか?他にやる事がなかったからだ…」
実際、冒険者になって魔王軍と戦う
それが目的で俺は転生を勧められて転生した
それにあの頃の俺は特にやる事もやりたい事もなかった
だから間違えてないだろ
セナ「そ、そうか…では次だ。領主殿に恨みはないか?」
カズマ「ああ…恨みならあるぞ」
セナ「ほう?それは一体何だ?」
カズマ「まず本来なら払う必要もない建物の弁償金の請求…自分は何もしてないのに街を救った俺を訴えた……そして今……こうして無駄な時間を過ごさせていることに対してなあ…」
弁償金は当初、壊したから請求されても文句はないと思ってたが、払う必要は本当はないと分かったらすげえ腹立ったな
セナ「そ、そうなのか…」
なんかセナが少しずつ汗をかき始めているな
もしかして、雲行きの怪しさを感じてるのか…
セナ「つ、次の質問だ。貴様は初期の時点で上級職につけるだけのステータスを持っていながら冒険者(弱)になったそうだな…それはなぜだ?」
ふむ…これは…俺が周りを欺く為とでも思ってるのかな…
カズマ「……セナは……高い能力を持つ者は皆、難易度の高い仕事をすべきだと思うか?」
セナ「な、何なのだその質問は…私に聞かれたことだけに答え」
カズマ「俺の質問を答えろ…そうすれば答える」
セナ「……あまり難しくないものなら、能力の低い者がやり…高い能力を持つ者が難しい仕事をするべきなのではないか?」
カズマ「そう思うのか…けどな、俺は……そうとは思わん………例え高い能力を持ってたとしても…本人がやりたいと思った事をやらないなら意味がない…それと一緒で、俺は…型にはまったクラスが性に合わないから…自由な戦いができる冒険者(弱)になった…そして俺はこれからもやめるつもりはない…俺は…死ぬまで冒険者(弱)のままで居続けるつもりだ」
セナ「……そう考えているのか…では次の質問だ……貴様はレールガンとやらでデストロイヤーとクーロンズヒュドラを討伐したな?」
カズマ「したがそれが?」
セナ「討伐したあと、貴様はデストロイヤーの残骸に近づき、そこで日記らしい物を見つけ、それを燃やしていたのを目撃した者がいる……それはなぜだ?…我々が知ると都合が悪いものでも書いてあったからだからか?」
ああ…あれ見られてたんだ
……できれば話したくねえが…
カズマ「……最初に言っておく……聞かない方がいい…それでも聞くか?」
セナ「ああ…どちらにせよ重要な事が書かれているかもしれないものを処分したのだから聞く必要がある…」
カズマ「はあー…」
そこからは、デストロイヤーの残骸にあった日記の中身を話した
△△△△
セナ「……」(顔が引きつっている)
カズマ「……」(やっぱこうなるよなという表情)
日記の中身をセナに話したらセナの表情が引きつった
ここで日記の中身を話す
日記の中身は日本語で書かれていた
なんか嫌な予感はしたがとりあえず読んだ
もしかしたら重要な事が書いてあるかもしれないと思い…
だが…内容は俺が思っていたものと違っていた
いや、重要なのかといえば案外重要なのかも知れないが…そこにはなぜデストロイヤーができ、なぜ暴走したのかが書かれていた
内容はこうだ
低予算で機動兵器作れと言われたが無理だと言ったが聞く耳なく、辞職願い出してもやめさせてくれない
もう駄目だと思った矢先、設計図用の紙に蜘蛛が出てきたから潰してヤケになってそのまま提出したらなんか好評だった上に計画がドンドン進んで所長に昇格した
……蜘蛛一匹潰しただけで成り上がった……
もう自分いらないのではと思う勢いで開発が進んで行き、動力源がどうとか言われたから永遠に燃え続ける伝説級のレア鉱石、コロナタイトでも持ってこいと適当に言った
……この日記にはコロナタイトを持ってくることに挑発的に書いてあるな『言ってやった言ってやった!持ってこれるものなら持ってこい!』ってな感じで…
……この日記読んでるときの俺…このあとの展開を読んでたな
そしたら案の定…本当に持ってきて動力炉に設置…持ってこれるわけ無いと思って適当に言ったらマジで持ってきやがった
『これで動かなかったら俺死刑じゃないの?動いてください、お願いします!』って、懇願気味で日記に書いてあった
……なぜだろうか…何処かでこれと似たような日記を読んだ気が…
そして次のページには暴走したデストロイヤーの様子が書かれていた
開発者はほぼ何もしてないのにドンドン計画が進んでいく事とか所属している国の上層部に対してイライラしてたらしく、デストロイヤーの内部でヤケ酒をしていて、酔った勢いでコロナタイトにタバコで根性焼きをして、そのまま暴走し…そしてデストロイヤーを開発した技術大国ノイズは一夜で滅ぼした
なんか日記には、開発者の焦りの様子とスカッとした様子が詳しく書いてあった
自分に対して散々な扱いをした国が滅んだ事で気分が晴れて、このままデストロイヤーで余生を過ごす事にしたようだ
最後の行には『これ作った奴、絶対馬鹿だろ!……おっと、これ作った責任者、俺でした…』
と書いており、それで日記は終わった
日記の書き方は、紅魔の里で読んだのと同じだった
この日記の書き方からして、デストロイヤーを作った開発者は恐らく…紅魔族と魔術師殺しとレールガンを作ったあの研究者なのだろう
……
その時の俺はそんな事を考えなかった…それよりそばに転がっている(恐らく開発者)白骨死体に目を向けると、まず持っていた日記を魔法で燃やし、白骨死体に向けて
カズマ「舐めんな!」
と言って思いっきり踏み潰した
そりゃあ街や国を長い間滅ぼして回っていた機動兵器が、そんな理由で暴走していたなんて知ったらそりゃあ怒るわな…
カズマ「以上が…俺が日記で読んだ内容だ……なにか言うことは?」
セナ「舐めんな!」
お前もかよ…
カズマ「なあ…もう面倒だから結論だけ言ってやる…俺は魔王軍の者でもなければテロリストでもねえ…第一、俺が魔王軍の者だとしたら、色々辻褄が合わねえだろ…幹部を4人も討伐してるんだぜ?…これが人類の目を欺ける為だとしても割に合わねえだろ…それに領主には恨みがあるが、あの日、あの場所…レールガンの光線が飛んでいく位置に居るなんて分かるわけねえだろ……俺からは以上だ…」
そう言って俺は席を立ち、部屋から出ていこうとした
セナ「な!ま、待ってください!貴方が魔王軍の者ではないこともテロリストでも無い事も分かりましたがどこに行くのですか!?」
カズマ「お前が聞きたかった事は全部話した……もう話疲れたから牢屋で寝てくる……てかお前……話し方変わってね?」
なんか口調が丁寧になった…
セナ「も、申し訳ありません…どうやら自分が間違っていたようです……」
こっちが本来の話し方か…
もしかして…最初から俺が魔王軍の者かどうかはっきり言っておけば早くすめたのでは…
そうだ…どうせだから確認…
カズマ「まあ…それはいい…それより一つ質問させてほしい……お前は領主の事をどう思っているのか?」
セナ「な!?何を言っているのですか!?わ、私は検察官と言う公平な立場にいる人間なのですよ!?ですので領主殿に対して言うことは」
チリーン(魔道具の音)
カズマ「……セナ?」
セナ「……すみません正直に言いますと私もあの領主殿が嫌いです。生理的に無理です。近づくのも無理です。私に貴方を連行するようにと言われた時私の事を舐め回す様に見られて物凄く不快感を感じました…」
カズマ「そ、そうか…アンタも苦労してんな…」
こうして…その日のやることは終わり、俺の疑いは一応晴れた
ただ裁判はやる事になるそうだ…
あの領主は確実に俺を死に追いやるつもりでいるだろうな……
………これは…対策が効くかどうか……だな