ジョルノが4部に出るようです   作:アズマケイ

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レッド・ホット・チリ・ペッパー1

カワサキ・ゼファーとは、日本が誇る伝説的なオートバイシリーズである。露伴先生たちも持っているから人気なのだろう。僕はこのオートバイに乗せてもらって億泰先輩に連れてきてもらった。

 

社王町から少し外れた、海が望める寂れた野原に僕達は集合する手はずになっていた。自転車のそばで座り込んでいた康一先輩がすでに到着していたらしい。僕と億泰先輩に気づいて、こっちだよと手を振ってくれた。遠くから仗助先輩が歩いてくるのがわかる。タクシーでも使ったんだろうか。

 

「ありがとうございます、億泰先輩」

 

僕からヘルメットを受け取った億泰先輩は2つ分を所定の位置に戻し始める。僕はすっかり解れかかっている三つ編みを一旦解き、緑のヘアゴムでいつものように結い上げた。だいぶん伸びてきたから落ち着いたら美容室に行きたいものである。

 

「仗助のやつ、なんだよいきなり話ってよォー。せっかくだから康一とジョルノをトニオさんとこに連れてってやりたかったのに、ダメだっていうし......」

 

ぶつぶつ愚痴っている億泰先輩だが、仗助先輩の到着にはまだ時間がかかりそうなので、僕は暇つぶしも兼ねて話を振った。ゼファーに体を預けながら僕は聞くのだ。

 

「昨日は災難でしたね、億泰先輩。話は聞きましたよ、ボヤ騒ぎ。大丈夫でしたか?」

 

「えっ、億泰くんの家火事だったの?!大丈夫?」

 

「そーなんだよ、聞いてくれ二人とも!なんでもコンセントがタコ足回線な上にホコリがつもりまくって、そこから火が出ちまったらしーんだよ!あの部屋兄貴に入るなって言われてたからなんとなくそのまんまにしてたんだけどよォ......はああァ......ついてねえ......」

 

ガックリと肩を落とす億泰先輩を怪我がなくてよかったよ、と康一先輩が励ます。だが几帳面ゆえに掃除をかかさなかった形兆先輩がいなくなり、まともに学校に通い始めた億泰先輩だけではあんなに広い屋敷を以前のように管理できる訳もなく、仕方ないとはいえ自分のせいだと落ち込んでいるようだ。

 

「気を落とさないでくださいよ、億泰先輩。これみて元気だしてください」

 

「んん......?あっ、それは!」

 

「まさか僕が借りてた分がまるまる焼失を免れるとは思いませんでしたが、不幸中の幸いでしたね」

 

「そーだ!そーだよ、そーだったなあ!おめーに貸してたんだよな、これ!!すっかり忘れてたぜ、ありがとよジョルノ!」

 

「気にしないでくださいよ、もともとは億泰先輩のじゃあないですか」

 

嬉しそうにカバンにしまい込んだ億泰先輩は、あ、と今気づいたように声を上げるのだ。

 

「そーいやおめーに貸したヤツ、コピーとってたよなあ?今度見せてくれよ」

 

「そういえばそうですね......まさかこんな形で役にたつとは思いませんでしたが......よかった」

 

「ほんとにな......」

 

「よくわかんないけど形兆先輩の日記かなんかが残ったってこと?全部焼けちゃわなくてよかったね、億泰くん」

 

「おう」

 

「それはそうと億泰先輩、形兆先輩の書庫にあったスタンドの矢でいった人間のリスト、読んだことありますか?」

 

「リストなあ......兄貴が書いてたのは見てんだけどよォ......覚えてねえ......こんなことなら読んどくんだったぜ」

 

今にも泣きそうな顔でわらう億泰先輩をみて、僕はドリーム・シアターの対象にするのは難しいなと思った。1度でも目にしてさえいれば人間の脳は勝手に知識とエピソード記憶を結びつけて頭の中に蓄えていくが、トリガーとなりうる虹村形兆に対する感情が強すぎる。

 

想いが色濃く反映されるドリーム・シアターは、時として登場人物が対象に対して喋りかけてくるのだと支配人はいっていたはずだ。億泰先輩の感情がノイズとなって肝心のエピソード記憶が上映出来そうにない。

 

ドリーム・シアターでスタンドの矢にいられた人間をあらかたリストアップできれば、相手が組織じゃない以上人海戦術が使えたというのに。

 

(レッド・ホット・チリ・ペッパーの使い手はこれ以上ないほどに慎重だ。僕達のこれまでを逐一監視していたのだとしたら、ここにいる全員のスタンドを把握しててもおかしくはない。さてどうするか)

 

ゼファーを撫でながら僕は考える。

 

「ジョルノ、いくら羨ましそうに眺めたってオートバイはやらねーぞ」

 

「わかっていますよ、わかってます。いくら羨ましくても僕はまだ14だから免許すら取れないってことくらい......残念だけど......本当に残念だけど」

 

「どんだけ残念なの、ジョルノくん」

 

「康一先輩だっていい自転車に乗ってるじゃあないですか。僕はそんなお金ないんだ。羨ましくて悪かったですね」

 

「あはは......自慢みたいで悪いけどほんとにいい自転車なんだァ......バス通が嫌になるくらいにね!」

 

「そう拗ねんなよォ、ジョルノッ!また後ろに乗っけてやるからな!な!」

 

「約束ですよ、億泰先輩」

 

「おう、任しとけ!」

 

「嬉しいですけど頭ぐしゃぐしゃになりますからやめてください。セットが崩れるじゃあないか」

 

「あはは!後輩は大人しく先輩のいうこと聞いとけよ!」

 

「よう、盛り上がってんなあ、お前ら。どーしたんだよ?」

 

「あ、仗助くん!」

 

「よう、仗助いいところに来たぜ!ジョルノがさあ......」

 

「だから離してください、って言って......!」

 

「なんだなんだ楽しそうだな、お前ら!俺も混ぜろよ!」

 

「仗助先輩まで......!」

 

アンタはこれからやること空条さんと打ち合わせ済のはずでしょうが!といいかけた言葉を飲み込んで恨みがましく仗助先輩を見上げるとウインクされた。

 

「そういうジョルノは大丈夫だったのかよ?なんかスピードワゴン財団のなりすましに襲われたんだろ?」

 

「えっ、そうなのジョルノくん!?」

 

「おいおいおい、大丈夫かあ?俺に気ィ遣ってる場合かよォ!おめーのがよっぽど危ねー目にあってんじゃねーか!」

 

「一昨日なんだろ?大丈夫かよ」

 

「ああ、はい。軽度の低体温症になりましたが今は回復していますから安心してください。ただ、非常に凶悪なスタンドでした。今から教えるので注意してくださいね」

 

僕は注意喚起も兼ねて情報共有を行う。とはいえ、億泰先輩なら太陽なんて関係ないし、仗助先輩は周りを治せばいいし、康一先輩にいたっては光を連想する擬音を地面に貼り付ければいいのだから僕ほど苦戦はしないだろう。スタンドは相性が大きいなと改めて思うのだった。

 

「で、なんでさっきから億泰のバイクに我が物顔でよっかかってんだ?ジョルノのやつ」

 

「うらやましいんだってよー!かっこいいもんなあ、ゼファー!」

 

「あー......気持ちはわかるぜ、ジョルノ」

 

「......うるさい、大型二輪の免許アンタも持ってるくせに」

 

「あっはっはっは!拗ねるな拗ねるないいこだから!な!」

 

「だからやめてくださいよ、アンタら!気持ち悪いなあ!」

 

たまらず声を上げた僕に仗助先輩たちが大笑いする。なにしてんだ、お前ら、と呆れ顔の空条さんがきたものだから僕はため息をついたのだった。なんてタイミングで来るんだこの人は......!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レッド・ホット・チリ・ペッパーの本体を特定出来るスタンド使いの来日時間や日付がバレてしまった。バイクに潜んでいたのは把握していたので、ただちに僕は行動に移す。

 

「ゴールド・エクスペリエンスッ!」

 

ゼファーが一瞬にしてカエルになる。重力に従い、レッド・ホット・チリ・ペッパーが落ち、カエルは感電して丸焦げになった。僕が生み出した生命にはカウンターの能力が付与される。黒焦げになったレッド・ホット・チリ・ペッパーはうめきをあげる。

 

「やはり電気は蓄電効果があるみたいですね......ですが火傷はタダじゃないはずだ」

 

電気を操るなんてとんでもなくシンプルな以上、感電によっておこる傷害のことでこの街で1番詳しいのは目の前のスタンド使いのはずだ。なにせ能力が能力だ。電気が生体内を流れることによって生じる障害、二次的な障害も完全に熟知しているはず。

 

アクアネックレスのように本体と感覚をある程度共有しているならば、なかなかの一撃になったはずだ。

 

だが僕の想像を見透かすようなタイミングでレッド・ホット・チリ・ペッパーはにやりと笑うのだ。

 

カエルが焼け焦げて、ゼファーもどこか焦げ臭い。

 

「残念だったなァ!俺はアクアネックレスと違ってダメージにフィードバックはあっても電気っていう回復手段があるんだよォッ!!」

 

「なんだって!?」

 

思わず僕は目を丸くした。遠隔操作型にもかかわらず本体にダメージがあっても回復できる上にパワー型のスタンドと同じくらいのスペックがあるのか、このスタンドは!なんて思い込みの強さだ!ここまでくると一種の才能を感じてしまう。

 

「カエルさえ殺しちまえばゼファーは俺のもんだッ!」

 

「ならば今ここでまた生命を生み出すだけだッ!これ以上の戦力強化はさせないッ!ゴールド・エクスペリエンスッ!!」

 

「グゥっ......やっぱめんどくせえなあ、ジョルノめ......!あの野郎......ジョルノを倒すから任せたのによッ」

 

「......なんですって?まさかあの偽物を寄越したのはアンタかッ!」

 

「知らねえなあ......知らねえよ......俺はただジョルノを倒してくれるッつーからお前について教えただけだぜ......どこの誰かなんて俺には関係ないからなァッ!」

 

「ゼファーがただの生き物になった以上、電気はもう調達できないはずだッ!さあ!諦めろ!」

 

「そうだぜ......ここからは俺が相手だからな......兄貴の無念をきっちりと晴らしてやるからよォ!」

 

腹立たしさの中からかきむしりたいほどの怒りが湧き上がっているのが分かる。僕はそのままゼファーの生き物をつれてその場から離れる。

 

「ありがとよ、ジョルノ」

 

億泰先輩は指を鳴らしながらレッド・ホット・チリ・ペッパーに近づいた。両足は地面を蹴って、肩をいからせて、大股で歩いていく。感情が燃え立っているその姿を、僕はただみつめていることしかできなかった。

 

全身は怒りのために爪の先まで青白くなって、抑えつけても抑えつけてもぶるぶると震え出しそうだったからだ。億泰先輩は襟もとを、力まかせに――極度な怒りをこめた腕で――捻じ切るほど締めた。表情の歪んだ顔からは怒りの涙がほとばしって プチプチ音をたてている。

 

僕は自分の中に苦痛に似た、灼熱した金棒のような固い一本の憎悪に化していく事が分かった。億泰先輩に感化されたのかもしれない。やり場のない怒りを拳に託すしかないのだ。頭の中が真っ白になって理性を失う癇癪玉と化した億泰先輩が、悠木のせいであるかのように怒鳴った。

 

億泰先輩にここは任せて、僕は逃走経路になりうる芽をすこしでも潰しておこうと慎重に、警戒しながら距離をとる。まわりには仗助先輩と空条さんが事前に取り決めただけあって、なにもない。電信柱1本ない。せいぜい犬の散歩をしている男が一人、僕達の異様な様子をみて怖気づいたのか遠回りに歩いているくらいだろう。

 

「アッ......こら、サクラッ!帰ってきなさい!コラッ......サクラ!!」

 

男が慌てて声を上げる。やっちまったと顔に書いてある。どうやら犬の付けていた首輪がすっぽり外れてこっちに走ってきているようだ。今、レッド・ホット・チリ・ペッパーのせいで尋常じゃないほどの電気が発生しているから、興奮状態にさせるような人間が聞き取れない音でもでているのかもしれない。

 

 

犬は黙ったまま僕達の動向を眺めている。僕を見るなり惨めに尻尾を巻いて、土を引っ掻くようにして必死で逃げて行くような犬だ。

 

黒い痩せた犬はそこに座って、周りには目もくれず、何かを回顧するみたいにこちらをじっと見つめていた。耳ひとつ動かさなかった。だが前方を見て吠え、しきりに進みたがっている。まるで猟犬のようにじっとこちらをながめながらである。

 

「なんだ......?」

 

たまにいる知らない人間が近寄ってきたら、地獄の釜の蓋でも開けたみたいに吠えまくる犬なんだろうか。

 

犬が狂ったように吠えまわる。ちょっと近づいては神経質そうに甲高く吠える。火がついたように吠えている。うるさいとでもいいたいんだろうか、警告のつもりなんだろうか。どうする?と康一先輩が目配せしてくるがどうしようもないだろう。

 

自分から近づいておきながら低くうなり、それから何度か吠えた。警告を与えるように短く鋭く吠え、また嵐のように激しく吠えはじめた。

 

だが空条さんだけは反応が違った。

 

「おい、気をつけろ!あの犬を近づけるんじゃあないッ!!」

 

「えっ!?」

 

「ただの犬じゃ......?」

 

「ただの犬じゃあねェ......スタンドってのはな、地球上に存在する全ての生き物ならなんだって出現するんだ!」

 

僕と仗助先輩は顔を見合わせた。

 

「アアッ!」

 

康一先輩が声を上げた。

 

「ペースメーカーだッ!ペースメーカーだよ、みんな!この犬、足に手術跡がある!あの赤いところはペースメーカを入れたところで、胸・腕が不自然にピクピク動いているから、きっとペースメーカーもちなんだっ!」

 

動物病院の予防注射にいったときポスターを見た事があると康一先輩は早口でまくしたてる。バレたと感じたのか、いきなりこちらに全速力で走ってきた。やっばり!と康一先輩は交戦状態の億泰先輩と仗助先輩に注意を促す。

 

まさかそれ知っていてレッド・ホット・チリ・ペッパーはスタンドの矢をこの犬に打ったのか!?

 

「ゴールド・エクスペリエンスッ!犬を近づけちゃあダメだっ!!」

 

あわてて僕は犬が興味を引きそうな小動物を生成して放り投げるが見向きもしない。康一先輩もエコーズを呼び出すが擬音を貼り付ける前にちょこまかと逃げてしまう。ダダダダっと走ってきた犬はそのまま空条さんのところを駆け抜ける。

 

「やれやれ......こいつは本当にただの犬だな......。アイツくらいの知能はないらしい」

 

いつの間にか犬を捕まえている空条さんがいた。狂ったように吠えまくる柴犬、あるいはその雑種は牙をむくが微動だにしない。よかった、と息をはこうとした瞬間、億泰先輩が呻いた。弾かれたようにそちらを見ると、一回り大きな柴犬が億泰先輩に体当たりしたらしく、不意をつかれて転倒したらしい。そこに強烈な電撃が炸裂する。ばちいん、という音がして億泰先輩の腕がだらりと垂れ下がってしまった。

 

「チッ......スタンドに自我があるタイプかッ!」

 

空条さんの腕の中が空っぽだ。犬の足から伸びるリードを伝ってレッド・ホット・チリ・ペッパーは中に入ってしまう。そして柴犬はすさまじい勢いで走り去ってしまった。

 

「こら、サクラー!サクラー!」

 

飼い主が追いかけていくのが見える。仗助先輩があわてて億泰先輩の治療に入る。犬はもう浜辺のあたりを走っている。今から追いかけるには......。僕は手の中のカエルを開き、ゴールド・エクスペリエンスを解除すると黒焦げのオートバイが現れた。......これは仗助先輩待ちだな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

すみません、すみません、と180越えの大男3人と学生と金髪に取り囲まれ、壊れたファービーのように繰り返す飼い主。

 

なにもないところをひたすら殴りつけていたり、いきなりオートバイが黒焦げになったり、訳の分からない大きな音がしたり、血だらけになったり、腕がぐにゃぐにゃになったりしたら怖いに違いない。

 

処刑台にたつ冤罪の死刑囚のような顔をしながら、彼はサクラという名前の柴犬がここのところおかしいのだと教えてくれた。

 

去年12歳になりそれなりの大病をしてペースメーカーを埋め込んだとたん、なりを潜めていた脱走癖が再発したらしい。

 

しかもこの前の脱走では全身泥だらけになっており、犬小屋をはじめとした狭いところが大嫌いになっているようだ。

 

「こないだニュースで連続ペット誘拐事件の犯人があの人だったでしょう?森野さん。もしかしたらあいつも誘拐されて生き埋めにされたかもしれないんですよ」

 

なるほど。もしかしたらあたっているのかもしれない。スタンドの矢をもっている以上、僕のゴールド・エクスペリエンスの生体探知を警戒して新たなスタンド使いとして動物の中に潜んでいてもおかしくはないのだ。

 

案外ペースメーカーの中に潜んでいたら生き埋めにされかかって助かったものだから、サクラは懐いているのかもしれない。スタンドが犬に見えるのかはわからないが、空条さん曰く犬のスタンド使いはよく知ってるとのことで僕達は受け入れられたのだった。

 

 

「輪番停電てのはどうです?アメリカだとよくあるんでしょう?スピードワゴン財団の力で何とかできませんか?」

 

それはいわゆる計画停電というやつだ。

 

「お、いいんじゃね、それ」

 

「活動範囲を狭めていくってわけか。面白そうだな」

 

空条さんは首を振った。

 

「ストライキも電力不足も日本にはそぐわないな。今からは時間がなさすぎる」

 

「そうですか......非常電源があるところで待ち伏せしたらいけると思ったんだけどなあ......」

 

僕はがっかりした。さすがにスピードワゴン財団もそこまでの権力はないようである。時間があれば可能らしいがさすがにジョセフ・ジョースターさんの到着までを考えたらさすがに時間がなかった。

 

「やっぱり俺らが探すしかなくねーか?」

 

「急がなきゃまずいね。どうする?」

 

「まじかよ......どうやってみつけんだ?この社王町のどこかにいやがる犬をよー」

 

「それについては心配いらない、と思う。僕のスタンドを使えばいい。サクラの私物をかりればなんとでもなる。問題はどうやって捕まえるかです。僕は犬を飼ったことがないので全然わからないんですよ」

 

「俺もだぜ」

 

「俺もねえなあ......」

 

僕達の視線は空条さんに向くが、小さく首を振られてしまった。

 

「ついて行きたいのは山々だが、俺はジョセフ・ジョースターを迎えに行かなくてはならない」

 

「そりゃそうだ。レッド・ホット・チリ・ペッパーが現れた場所によっては承太郎さんがいねーとやべーぜ」

 

「どうします?」

 

「僕しか犬飼ってる人いないのかあ......わかったよ。僕も手伝う」

 

「ありがとうございます、康一先輩」

 

僕は早速途方に暮れている飼い主の所に行った。康一先輩の飼ってる犬に手伝ってもらってサクラ探しに協力すると伝えるといたく感謝されてしまう。よくもまあ、そんなことがぽんぽん思いつくねと康一先輩はいうが、僕はよくわからないという顔をして返したのだった。

 

「しかし、柴犬ってのは随分と元気なんですね。12歳ってそうとうおばあちゃんだろうに」

 

「いや......サクラが特別なんだと思うよ......僕んちはここまで元気じゃあない......」

 

お散歩コースとらやを歩きながら康一先輩はいった。走るのが大好きな家族に合わせて、ずいぶんと長距離を走るのが日課らしい。1人30キロとしてもそれにすべて付き合っているというのだから、そいつがだだだだだって走り出したが最後僕達が捕まえられないわけだ。

 

「ジョルノくんのいうことは聞くのかい、この子」

 

「ある程度は聞きますが、ここまで知能があるやつは作ったことがないのでなんとも......」

 

「ふうん、そうなのか。僕だったら真っ先に作るけどなあ......猫とか、犬とか」

 

「また走り出したら困るな......」

 

「ああいうのってリードを短くして興奮状態が治まるまで待つしかないんだよね。気をそらせるか、逃げる気を無くすか......」

 

「スタンドに自我があるって、そっちの方が本体では?」

 

「ほんとだよ」

 

わふわふ飛び跳ねながら柴犬が本来の持ち主目掛けて歩き続けている。僕たちは何度目になるかわからない角を曲がった。

 

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