ジョルノが4部に出るようです   作:アズマケイ

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シャドウギャラリー2

僕はゴールド・エクスペリエンスでまだカラスを作ったことはない。理由はいくらでもあるが、あえて言うならば知能が高すぎるために忠実に動いてくれないのだ。

 

それはカラスが嫌われる原因でもある。主な理由は「ズル賢さ」と「人に対する攻撃」だろう。カラスは賢い採食活動を行っており、「レバー式の水道の蛇口を、クチバシで開けて水を飲む」こともあれば、「木の枝を使って倒れた幹の奥深くにいる虫を捕獲する」こともあれば、「クルミを道路におき、車に踏ませて割らせる」こともある。なんとも賢い鳥なのだ。

 

人に対する攻撃は理由があり、なにも無差別に攻撃してくるわけではない。人を襲うのは「巣に興味を持たれた」と判断した場合のみ。ヒナの近くや、巣より高い場所から巣を覗き込んでいると誤解されなければ襲われることはない。ゴミ箱をあさっている最中のカラスと目が合うと襲ってくる、というような勝手なイメージも先行するが、そこまで好戦的な鳥ではない。

 

平和の象徴とされるハトの死骸を食べる光景(時として生きたハトを襲う事も)が残虐な鳥とのイメージを高めさせてしまうが、動物が動物を食べるという食物連鎖をカラスの場合にのみ嫌悪するのは酷だ。カラスが嫌われるのは、セールスポイントが無いから。「ココがキュート」と売り出すポイントを持たずに、人間の生活にずけずけと踏み込んでくるから、どこまでも嫌われてしまうカラスはむしろ「カラスは現代人の写し鏡」だ。

 

カラスは理由がないと人を襲わない。

 

カラスは、繁殖時期に巣を作る。巣を作るときは、天敵から身を隠せるような高い場所へ巣を作る。僕たちが普段何気なく通っている歩道橋や階段にカラスが巣を作っていることもある。そうなると、カラスにとっては巣を脅かす天敵に見えている。カラスが人間のことを「巣を脅かす敵」だと認識してしまったときは、襲われてしまうおそれがある。

 

カラスを昔攻撃した場合、カラスは大変頭のいい鳥だ。そのため、一度自分を攻撃した人間を少なくとも約5年は忘れないといわれている。

 

カラスに敵と認識されるような行動をとったことがある場合、その人はカラスから攻撃をされるおそれがある。

 

カラス同士でも「この人間には前に攻撃された」と伝達することもあるため、カラスに何回か襲われたことがある場合は自分の行動を見返すことも大切だ。

 

光物を身に着けていた場合、カラスは光物を集めることで有名だから、光るバレッタなどを頭に着けていると太陽が反射してカラスの目にも止まりやすくなる。カラスが巣に光物を持ち帰ろうと襲ってくるおそれがあるので、カラスが近くにいるのなら光るものを頭につけることは避けたほうがいい。

 

カラスが特に襲ってくる時期があり、カラスに攻撃されやすいのは、2月~8月くらいの繁殖時期だ。カラスは繁殖ができる大人のカラスになるまで、3~4年かかるため、若いカラスには繁殖時期がない?そのため、私たち人間を襲ってくるのは大人の親ガラスであることが圧倒的に多いといわれている。

 

せっかく産まれた雛を守ろうと、親のカラスは繁殖の時期に警戒心をむき出しにしているため、攻撃性も高くなる。

 

カラスは自分たちの巣にとても敏感な生き物だ。警戒心がピークに達する繁殖期にカラスを見かけたときは、警戒心を刺激しないようしなければならない。また、カラスの巣を見かけたり雛を見かけたりしても、近寄らないようにした方がいい。

 

カラスの攻撃から身を守るために、まずは私たち人間がカラスから発せられる警告のサインを知っておくことが大切だ。

 

カラスは、威嚇しているときには鳴き方が変わり、威嚇しているときには、「カァァ……カァァ……」という鳴き方で警告して、鳴き声を4回に分けて発する。

 

それでも威嚇対象が立ち去らない場合には、鳴く感覚を徐々に短く早くしていく。カラスが「ガァッ!ガァッ!」と鳴いたら「襲うぞ!」という合図なので、この鳴き方をされる前に立ち去った方がいい。

 

また、カラスは血の気が多い鳥だ。エサをほかのカラスや生き物に取られたりすると怒って態度が変化する。タイミング悪くそのときに通りがかってしまうと、襲われてしまうかもしれない。怒ったカラスは、濁った鳴き声を出し、木の枝でつついたり葉をくわえていたりしている。

 

カラスは普段慎重に行動をする鳥だが、何がきっかけで過激な行動をとるかわからない。いつもと様子が違うカラスを見かけたら、攻撃される前にそっと傍を離れた方がいいだろう。

 

なお、僕とじゅんを見下ろしているカラスの声はいずれでもなく、勇ましさはない。まるで好奇心の旺盛な考古学の学生のようだ。暗い押しつけるような声を出す烏だ。

 

くちばしの大きなカラスが一羽、水銀灯の上にとまって、あたりを用心深く見回しながら、さてこれから何をしようかと思案していた。輪を描いてまわりを啼きながら、飛びまわっている。そのうち電柱のてっぺんに止まる。クレジット・カードのようにつるつるとした翼をぱたぱたと上下に振っていた。

 

「あれがカラスに見えるの、お兄ちゃん?それとも最近のカラスってみんなああなの?」

 

「そんなわけないでしょう。カラスみたことないんですか?」

 

「ぼくここしか知らないし、誰もいない時は寝てるからね。わかんないよ」

 

「なら違いますね。便宜上カラスとは呼んでいますが、あれはカラスじゃあない。もっとおぞましいなにかだ」

 

「そっかあ、よかった。じゃああいつさえいなくなれば大丈夫なんだね?」

 

「そうですね。できれば、だけれど」

 

僕は慎重に距離をとりながら、あの奇妙なカラスから落ちたと思われるカラスの羽を拾い上げた。

 

「ぼく、いつもみたいに食べられてあげようか?」

 

「いや、いいよ。君にはこの羽を億泰先輩......ああ、これからくる学ランのお兄さん達に渡す大事な仕事を頼みたいんだ。いいかい?」

 

「うん、いいよ。いいけどさ、ぼく公園から出る気ないからね」

 

「わかってる、わかってるさ。時間稼ぎをしなくちゃあいけないな」

 

公園に街灯がつく。影が伸び始める。まずいな、影が幾重にも重なり始める。

 

「お兄ちゃん、食べられないでね」

 

「もちろん」

 

カラスがカラスとは思えない気持ち悪い声を出す。僕が気付いた時には既に周りは影がたくさんある。ベンチや街灯、遊具、置き忘れのおもちゃ、放棄された自転車、ゴミ、小さなものがより集まり、スタンドが実体化させた影が僕の周りを取り囲んでいた。

 

公園を覆う程の影の大群だ。暗闇なんてものは人工灯の前には無力だ、どう足掻いたって影ができる。面倒なことこの上ない。

 

「なるほど......じゅんくん、君はこいつら相手にみんなを守ってたってわけですか。座敷わらしも大変だな」

 

影が融合し、肥大化していく。折り曲げたナイフのような姿勢でプールに飛び込みたい気分になるのは、このスタンドの効果だろうか。たぶん水を滑るように進むことなく沈む。ターンもなく、距離表示もない泥沼のような液体を全力で泳ぎきるという作業は救いのない暗黒の地獄であるに違いない。

 

僕は足元に転がっていた石を魚に変えてみた。魚が、規則正しく水面に出る。その周囲を不規則な形の水の輪が取り囲む。手足で水をかき始めたはいいが、水に落ちるアリのように、ばらばらと水底に落下する。

 

水面すれすれに蝶の羽のように美しく動いた。無駄のない美しい泳ぎだった。しぶきも立てないし、無駄な音も立てない。美しくすらりと宙に持ち上がり、静かに入水する。決して急いではいない。求心的な静けさを保つことがその泳ぎの基本的なテーマになっている。

 

それがいきなりめちゃくちゃになった。どうやら深いところになにかいるようだ。滅茶苦茶に体をゆらめかしたが、パタリと音がなくなった。まるで海月が漂っていると言った方が当っている残骸がうちあがる。

 

別の水中生物を作ってみる。まっさかさまに水にとび込んで、青白いらっこのような形をして底へもぐっていったそいつは、行き倒れたみたいに寝転ぶと身体は少しだけ浮き、耳は海にある洞窟みたいに波のリズムに合わせて穴の水位が上がったり下がったりした。どうやら死んだらしく、石に戻って沈んでいく。

 

こぼぼ、と泡ぶくがのぼった。

 

その間にも公園は影に侵食されていく。砂ではなく、やわらかくあたたかい泥だ。波に圧されるたびに踵が泥の海底を掘り、碇を下ろしたみたいなる。僕は同じ場所に停まり続けるわけにもいかず、ジャングルジムによじ登る。進んでいるのか退いているのか、ただ無限の中に手足を動かしている気がし出した。

 

ひたすら泥が進み入ろうとするその世界は、果てしも知らぬ濁流が砕けては返す波の彼方かなたの渾沌未分の世界である。どこまでもどこまでも白濁無限の波に向って抜き手を切って行く。蛇じゃのように荒れ狂う影のかさはましていく一方だった。

 

「......まるで洪水だな」

 

まさか陸上で溺れる恐怖と対面するハメになるとは思わなかった。ジャングルジムの中ほどまで泥があがってきたのだ。

 

「ゴールド・エクスペリエンス」

 

木を生やして足場を増強し、高さをかせぐ。一心不乱に動かす手足と同じほどの忙しさで、押し迫った死からのがれ出る道を考える。

 

「参ったな、個体が襲って来ると思ってたのに......まさか人海戦術ならぬ物理でくるとは思わなかった......」

 

よみちがえたな、と僕ははっきりと自覚せざるをえなくなる。冷や汗が浮かぶ。きっとこのスタンドに飲まれた生物の大部分は溺死するか、深いところで待ち受けるなにかに食われて死ぬのだろう。そんな予感がある。世界でも一二を争う醜い最期だけはごめんこうむりたい。

 

溺死体の爪は残酷なことにはみな剥がれている事がよくあるらしい。それは岩へだけついては波に持ってゆかれた恐ろしい努力を語るものだからだろう。

 

僕はごくりと息を飲んだ。

 

「ゴールド・エクスペリエンス!」

 

僕は木々を伸ばして足場を増強し、移動を始める。生い茂り始めた木々から葉っぱをたくさんちぎり、ばらまいた瞬間に様々なカラスの天敵が出現する。

 

猛禽類のフクロウもカラスの天敵だ。夜行性のフクロウに対して、カラスは昼行性。夜になって周りが見えにくくなり、周囲への警戒が鈍くなったときにフクロウに捕食されてしまうことがある。あいつがさっきから動かないのはスタンドに任せているんじゃないかと僕は考えているのだ。

 

そしてスズメバチ。これはあくまで説だが、「スズメバチもカラスの天敵ではないか」という説がある。スズメバチは黒いものを激しく攻撃する習性があり、全身真っ黒のカラスはスズメバチにとって絶好の的なのではないかといわれている。

 

果実にハチが群がっているときはカラスが寄ってこないという話を聞いたことがあった僕は試してみようと思ったわけだ。世界は広いもので、夜行性のスズメバチも東南アジアにいるのである。

 

僕の予想通り、不気味な声をあげながらカラスが飛んだ。スタンドのヴィジョンは見えないが、あの影の沼と一体化しているやつがそうなのかもしれない。

 

警戒を滲ませた鳴き声と共に己の影を放つ。タカは避けたがスズメバチの大軍は飲み込まれて静かになってしまう。僕は後衛部隊を生成しにかかる。

 

「......まずいな、億泰先輩たちまだ気づいてくれないのか......いや、ここまでこれないのか......下手に近づけないから......?しまったな」

 

じゅんと会うために公園から離れてしまったのが露骨に裏目に出ていた。

 

すっかり公園は影の池となって、街灯に照らされている。池の水は泥のようだから、死んだように青い水をたたえるわけもなく、ただただ底なしだ。酷薄な女の目のように冷たそうに黒く光る。溶けた小倉アイスのように雪混じりの泥水にも似た波を出す。水が濁りに濁り、公衆便所に生じたかびの色になる。湖のような広い池の面が黒く鉛のように輝いた、どぶだめのような池だ。

 

だいぶ水位があがってきたが公園からでる気配がない。どうやらある程度の平地が必要らしい。

 

漆のような黒い水に、枯れた木々の茎や葉が一層くろぐろと水面に伏さっているのが窺きはじめる。曲った茎だけが、水上の形さながらに水面に落す影もろとも、いろいろに歪みを見せた。いろんな字の姿を池に並べ重ねている。

 

僕はさらに木々を伸ばした。

 

「これじゃあ埒が明かないな......どうするか」

 

カラスはなかなかにしぶといようで、まだ天敵相手に粘っている。

 

「......ん?」

 

攻撃される瞬間、カラスの表面が岩のように硬質化した瞬間を僕は見逃さなかった。

 

「まさか......まさかあのカラスも奇病に感染しているのかっ......!?どおりで頭がいいわけだ!」

 

「エコーズACT2ッ!!」

 

康一先輩の叫びが聞こえたきがした。

 

発光体のように眩しい発光体が凄まじい勢いでこちらに飛んでくる。ピカアアアアアという特大の擬音がこちらに向かって滑り込んでくるではないか。さながらモーゼの海渡りさながらの光景だった。底なしの特大沼が2つにわれていく。接触したところから本来の影が分離してじゅわじゅわと溶けていくのが見えた。

 

ギラギラギラというさらに特大の擬音がさっきの擬音の上から出現する。目がチカチカしてしまうほどの怪しい光が飛ぶ。強い光によって、くらんだ目の網膜には閃光と点滅する星が飛び交った。たまらず目を閉じたときに視野を満たす灰色の薄暗い光が残る。

 

ピカピカという擬音がまた追加された。いきなり目の前で白い爆発を起こしたみたいに明るくなる。まぶしくて何も見えない。目に沁みるほどの強烈な光だ。輝きの色艶はたまらなく眩しい。下手をしたらその閃光は太陽のコロナほど眩しかった。

 

「がああああっ!」

 

カラスが何かに襲われる鳴き声がした。

 

「康一先輩が影すら出来ないくらい照らしてくれているんだろうが......参ったな、僕まで見えなくなっちまった」

 

いきなりの光源を得た植物がいきなり元気になる。そうだ、目隠しが必要だ。僕は木の幹にゴールド・エクスペリエンスから生命エネルギーを注ぎ込む。少しずつ瞼の向こう側に影がさしていく。

 

乱反射している水面みたいに眩しい

急な眩しさで、頭を思いきり殴られたみたいに目の前が真っ白になり何も見えなくなっていたのが、だいぶマシになってきた。

 

康一先輩たちの声が近くから聞こえてくる。

 

「エコーズACT3ッ!!」

 

ドジャア、という音とカラスの断末魔が響き渡る。康一先輩が能力を解除したのか、さっきまでの強烈な光は一瞬にしてなくなってしまった。

 

僕はようやく目を開ける。やはり人工的な光ってのはすごい。いきなり眼の前がぱっと明るくなった。もし僕が再現するならば、まるで億万の蛍烏賊の火をいっぺんに出現させる必要がある。

 

今までに見たどの光よりも 凄烈だった。想像して言うなら、苦しみのうちに胎道を通りぬけて、初めてこの世に生まれ出る瞬間のまぶしさのようだった。それくらい美しく、清らかで、くりかえせない発光だった。

 

ようするに影ができる余地すらない強烈な光だったってことだ。

 

「ジョルノー、大丈夫かあ?」

 

億泰先輩の声が聞こえてくる。

 

「はい、大丈夫です。まだちょっと目が残像に邪魔されて見えませんがね」

 

「治してやるから来いよ」

 

「ハハ、さすがに満遍なく万能なゴールド・エクスペリエンスも今回ばかりは危なかったね」

 

「さすがに広範囲攻撃は無理ですよ。それは仗助先輩だって、億泰先輩だって同じはずだ。助かりました、康一先輩。ありがとうございます」

 

「いやあ、それほどでも。間に合って良かったよ」

 

僕は足場を緩やかに自壊させながら、久しぶりの地面に足をつけたのだった。

 

「カラスはどうなりました?」

 

「それがよォ......」

 

「見てみろよ、これ」

 

「......これは」

 

そこには岩になったカラスが堂々と鎮座していたのである。

 

「えっ、このカラスがペットってまじかよ」

 

「スタンドの矢でいられたんじゃなくて?」

 

「野生じゃあない。僕らの吉良吉影の家の動向を追っていたじゃあないですか。それにこれ......」

 

「ん?」

 

「なんか機械みたいだね」

 

「仗助先輩、これだけ戻せませんか?」

 

「ああ、いいぜ」

 

クレイジー・ダイヤモンドが岩とかしていた機械を復元していく。

 

「これは......」

 

「カメラかな?」

 

「発信機にも見えますね」

 

「あ、電池式だぜこれ」

 

「......なにかはいってますね、チップかな?」

 

「監視カメラ?もしかして」

 

「こんなちっちゃいのにかあ?」

 

「ほら、コナンの映画で出てこなかった?鳩の足についてたカメラ」

 

「あー、みたみた!やべー、まじであんのかよ、すげえ!」

 

「泥棒に飼われてるって訳じゃあなさそうですね」

 

「何が写ってんのかな」

 

「調べてみないとわかりませんが、高いところから落ちたり岩になったりしてる。壊れてるかもしれませんね」

 

「じゃあ承太郎さん待ちだな」

 

「つーかよォ、ジョルノ。そもそもカラスって飼えるような鳥なのかァ?」

 

「飼えるみたいですよ。実はゴールド・エクスペリエンスで作るために飼おうか本気で考えたことがありまして、調べてたんですが」

 

NPO札幌カラス研究会によると、カラスを含める野生動物をペットとして飼育することはできないそうだ。ただ、傷ついたカラスを「傷病鳥獣」として保護した場合、元気になるまで飼育することは仕方がないとの見解を示している。ということは、やはりカラスをペットにするなんて貴重な経験なのだ。誰も飼おうと思わないだろうから、うらやましく思うこともないだろうけれど。

 

カラスがいかにペットに向かないかは調べれば調べただけがよくわかったから断念したと僕はいった。スズメの巣の下がフンだらけであることからわかるように、鳥類はよくフンをする。空を飛ぶときに身を軽くするため、ひんぱんに排泄を繰り返すのだ。

 

カラスも例外ではなく、処理に日々明け暮れるハメになる。鳥の特徴である尿と便が一緒になったものを所構わずべちゃっと落とす。

 

さらに、きれい好きのため、寒い冬でも天気が良い日にはベランダで水浴びをするそうだが、それでもスパイシーで野性的なにおいが消えないという。そもそもカラスは墨汁とキュウリを足して2で割ったようなニオイがするそうだ。

 

残念ながら、とても飼おうとは思えない。

 

「変わった人が飼い主なんだね、きっと」

 

「スタンド使いで岩になるカラスだもんな」

 

「ネズミじゃないだけマシだぜ」

 

「うわあ......嫌なこと思い出させないでよ......」

 

「スタンドに目覚めて賢くなったから、飼えているのかもしれませんね」

 

僕は補足する。もともとカラスはとても頭がいい。ある研究によれば犬よりも賢いそうだ。だから僕が作り出したカラスはまだ忠実じゃあないんだ。

 

言うことを聞くようになれば大好物の生肉をちらつかせると、すかさず甘えてくるまで愛着を持って育てられるかもしれない。エサの器や小屋の床を壊すほどの破壊力を持つくちばしで、手をつんつんと優しくつついて肉をおねだりする。そして、幸せそうな声を発しながらガツガツと食べる。そんな生態を本じゃなく実際に見られるかもしれないが無理そうだ。

 

従順な犬よりも独立心の強い猫よりも、怒ったり喜んだり感受性がとても豊かで、害鳥として凶暴性ばかりが目立ち、実は心をもった生き物であるこいつを忠実な下僕として作り出すのは今の僕には無理というものである。

 

「じゃあ、飼い主を探せばいいってわけだ。こいつ、俺たちを監視してたもんな!」

 

「で、どうやって飼うんだ?カラスなんてよ。手に入れる方法から考えた方が早そうだぜ?」

 

僕はまだ記憶に新しいカラスの雛の入手先について話し始めた。まずは里親募集を探すことだ。最も簡単にカラスを入手することができるのは、やはり里親募集を探すことだ。

雛を保護したけど飼育しきれない人や、雛が大きくなって飼育が困難になった人などが無料で里親を探していることがわりとある。ホームページやペットショップ、動物病院、里親募集サイトあたりを調べればスグに数件がヒットするはず。

 

それまで飼育されていた方に個体の特徴や性格などを聞くこともできますので、個人的には最もオススメしたい入手ルートだと本には書いてあった。

 

「犬や猫と変わらねーんだな」

 

次はペットショップに取り寄せてもらう。

 

「えっ、売ってんの?」

 

「大手チェーン店のペットショップ等であれば難しいかもしれませんが、ペットショップで取り寄せてもらうのもひとつの方法らしいですよ」

 

個人経営を行っているようなペットショップが近くにある場合には、一度カラスの入荷が望めるか確認してみても良いらしい。もしも取り寄せが可能と言う場合には、値段が一羽20,000円~30,000円と言うのが相場となっており、比較的手の伸ばしやすい価格帯。

 

「でも......高くね?」

 

「カラスだもんね、うーん」

 

ペットショップからの購入であれば、ある程度飼育方法についても教えてもらうことができるし、今後も何かあれば質問ができる体制が整うのは助かるという。

 

「他にカラスの飼育を始めたキッカケとして意外と多いのが、巣から落下したカラスを保護したと言うものですね。カラスの巣がある場所を意識して探し、その周辺にカラスの雛が落下していれば保護すると言うのも、命を助けることにも繋がる感じみたいですね」

 

「もしそうならいい人だね」

 

「たぶんなー」

 

「もちろん保護だからお金はかかりませんが、落下の際に骨折などの怪我をしている可能性もありますので、病院代はかかってしまいます。もしこいつが拾われたなら言うこと聞くまで懐くかもしれないですね」

 

「じゃあ、そのあたりを中心に行きゃあいいってことだな」

 

「カラスを飼うなんて珍しいですからね、話を聞いて回れば何かわかるかもしれません」

 

「とりあえずこいつは......回収だな」

 

「どこに?」

 

一瞬沈黙が訪れた。

 

とりあえず康一先輩が公衆電話を探しに行くのを見届けて、僕はカラスの石像をみる。

 

あえて黙っていたのだが、カラスの巣は太い木の枝や、送電線の鉄塔などに作ることが多いため、普段の通り道も確認しながら歩いてみると良いのだが、もっといい入手先があるのだ。それは電力会社にもらうことである。

 

近所の電信柱に作られたカラスの巣を撤去してもらうには、電力会社に連絡しなければならない。よくCMでやっている。だからその人に雛を譲ってもらえばいいのだ。

 

電力会社の人も停電の可能性があるために駆除しているだけであって、カラスの雛をみすみす殺処分してしまうのは心が傷むらしいから。

 

どのみち『鳥獣保護管理法』により野生カラスの飼育・保護には届け出が必要なので、その確認はされるかもしれないが、作業員が勝手に見つけて持ち帰った場合はその限りではない。

 

こんな奇妙なカラス、飼えるのは限られているだろう。明日、きっと町中を探し回らなきゃいけなくなる。帆波夏帆に声をかけなければならないな、と僕は考えていた。彼女の父親は電柱で作業する職業についているのだ。

 

 

 

 

 

スタンド名:シャドウ・ギャラリー

本体   :奇病にかかったカラス

 

破壊力  -E

スピード -C

射程距離 -A

持続力  -A

精密動作性-C

成長性  -C

 

能力:自分の影がスタンド。スタンドに触れた影は、吸収されてだんだん大きな池、あるいは沼となる。生き物を襲って捕食しようと目論むも、座敷わらしに邪魔されて飢える寸前だった。強烈な光で影すら出来ない空間を作らなければ復活する。

 

 

 

座敷わらしのいる公園

 

カフェ、ドゥマゴ近くの公園。雪山山荘の都市伝説に似た現象がよく起こり、最後まで1人になるとどこかに連れていかれるから、1人になってはいけないといわれる。実際は赤い服を来た小学生が遊びに誘うので1人にはなれない。昔庄屋があったがそこの座敷わらしが今も住んでいる。その昔臼殺(うすごろ)といって、口減らしのために間引く子を石臼の下敷きにして殺し、墓ではなく土間や台所などに埋める風習があった。その時の犠牲者が座敷わらしになると格は高くない。赤い衣着たら庄屋が傾いて潰れたはいいが、引越し先まで再開発で潰れたため行くところがなくなり公園にいる。なお公園の管理者は社王町であり、座敷わらしがいなくなるとどうなるかは不明。

 

行き方......交番に聞いてみると教えてくれる。ゆるキャラブームが到来したら公募でだい2位になり惜しくも宣伝キャラになる機会を逃すことになる。

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