GOD EATER ―深紅の復讐者―   作:片桐 奏斗

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残り2~4話ぐらいで終わります。

エイプリルフールだから嘘か~ってことではないですよ?
ただ今日から社会人ですので、物語を書く余裕が出来てから再会することにします。

せめて、キリ良く終わらせたいのでご了承ください!


第9話 自己犠牲

 

 ――オレは例の新人を見たとき、替えの利く神機使いだと思っていた。

 

 いくら新型といっても、所詮あいつらは人間。人間には限度がある。無制限にアラガミを殺し尽くせるわけではない。

 オレが少し特殊なだけで、あいつらには無理をして欲しくない。あいつらが無理をしなければいけない理由はオレが片っ端から殺し尽くしていくから無理はするな。そう思ったことも何度かある。

 ……例の新型が来てからオレはそう思うことが頻繁にあった。

 

 オレに合わせることが出来る新入り、先走ったり色々と文句を言いたい場面は多々あるが、こいつとならどんなアラガミも喰い殺せる、とこの時までは思っていた。

 

 

 

「ソーマ! 今だっ!!」

 

 自身に向かって振りかざされた鋭い爪を回避しつつ、捕食して手に入れた『アラガミバレット』をオレに向けて射出するハヤト。

 『アラガミバレット』は『アラガミ』の『オラクル』を込めた弾のことで、捕食した『アラガミ』の特徴を色濃く継いでいる。そんな『アラガミバレット』は新型しか使えない。それを旧型に渡したとすればどうなるか。

 答えは渡された旧型の神機も『神機解放』されることとなる。

 その性質を戦略に組み込み、味方の援護をしつつも味方を活かす戦い方を好んで行うハヤトは、オレが極東支部で最も頼りにしている神機使いでもある。

 

 そんな相棒《パートナー》に力を受け渡され、託されたのなら、絶対にやってやるしかない。

 ハヤトの声に応えるように敵《ヴァジュラ》に突っ込む。

 独断専行も甚だしいところだが、新人が無理をしてアラガミを喰いまくってるんだ。年長者はそれ以上にやってやらねぇと。絶対に口には出さないがな。

 

「……危ないことをするわね。ソーマ」

 

 オレの突撃に合わせるように左右から射撃を行うサクヤとコウタ。

 

「ソーマ。迷わずぶちかましてやれー!」

「……ふん」

 

 幾度にも渡る銃撃に苛立ったのだろうヴァジュラは大きな雄叫びをあげ、外敵を一掃しようと攻撃を行うオレらに向けて電気の球体を無数に作り上げる。

 しかし、その電球はオレらに届くことはなかった。正確に言えば作り上げることすら出来なかった。

 

「はぁぁぁーーっ!!」

 

 側面に忍び寄り、全身全霊の力を持って神機をヴァジュラの体に刺した神機使いがいたからだ。

 そいつは真っ黒の髪をたなびかせながら、風のように現れ……疾風の如く敵を切り裂く。

 縦横無尽に戦場を奔る姿から、文字通り疾風のようだ。

 

「ソーマっ!!」

 

 本日二度目の合図。

 ハヤトによってそれが齎される前にオレは既に行動を開始していた。

 あいつならこうするだろうなと考えた結果だ。奴は人を頼りにしていても、保険を掛けて自身も行動する。

 仲間に託したなら、自分はその攻撃を手助けする。そんな考え方の奴だ。

 

「わかっている」

 

 ハヤトがヴァジュラの動きを止めている間。その反対側でオレはトドメの一撃を喰らわせるため、身の丈を遥かに凌ぐデカさの神機……『バスターブレード』を担ぎ上げ、力を一点に集中させる。

 魂の篭った一撃を脳内で想像し、放つ直前にハヤトに向かって視線を送る。

 

 

 ――直後。

 

 

 動きを押さえているハヤトを気遣うことなく一気に振り下ろす。

 力が凝縮された刃はザクザクッとヴァジュラの肉を削ぎ、物言わぬ『オラクル』の塊と化した。

 ハヤトはオレが送った指示通りに上手く回避したようだった。ちゃっかりと避ける前に捕食を行うことでより回避成功率を上げているところが少し憎らしいな。

 

 

 

 

「……ナイスっ。ソーマ」

「特に問題はなかったな」

 

 オレを称えるコウタの言葉とハヤトの言葉を耳にしたとき、オレは異変に気付いた。

 

「何……?」

 

 オレの視線に入ったのは――。

 

「どうして、同一区画に二つのチームが……!?」

 

 紛れもなく第一部隊の隊長であるリンドウと新しく来た新型だったからだ。

 同一区画に神機使いのチームが派遣されることは有り得ない。任務の妨げになるやもしれないと考えた人達によって回避されるはずだ。

 

 

 なら、何故――。

 

 

 

 ◇

 

 

 

 ソーマやサクヤの頭の中で疑問が堂々巡りしている間。

 ただ一人……ハヤトだけはこの事態の異常さと嫌な静けさを感じ取っていた。

 

 

 

 

(なにかがおかしい……)

 

 

 

 ハヤトの胸中にあるのは、怪しさ一色だ。

 任務に出発する前に感じた嵐の静けさ、不安要素はこれを意味していたのではないか。その思いがハヤトを縛っていた。

 

 

「とりあえず、さっさと終わらせて帰るぞ。俺達は中を調べるから、お前らは外を見張っておいてくれ」

「あ、俺も行きます。こんな事態じゃあ、チームなんて関係ないでしょ? これならちょうど三人ずつで分かれますし」

 

 彼がそう言ったのは単にこのメンバーで予想外な事態が発生するのであれば、おそらくこっちのメンバーに被害が来るだろうと直感で思ったからだ。

 向こうのメンバーを考えても百戦錬磨なソーマに、遠距離専門で尚且つ援護が得意なサクヤ。不安要素としてはコウタだが、コウタも新人にしては中々に動ける。

 ならば、強者に当て嵌るが連続して依頼に出ているリンドウと誰よりも新人なアリサの方がやばいんじゃないかと直感的に思ってしまったのだ。

 

「あぁ、そうだな。それじゃあ行こうぜ」

 

 ハヤト達が教会の中を調べに入った直後。

 教会の内部から獣の咆哮が響き渡った――。

 急いでハヤト達を救援しようとソーマ、サクヤ、コウタの三名は教会内へ進行しようとしたが、そんな彼らを逃がさないと言わんばかりに彼らを取り囲むように白いヴァジュラ――『プリティヴィ・マータ』が大量に姿を現した。

 

「こいつは……っ!」

「ハヤト君が戦ったアラガミね。でも、一度にこれだけの数……」

 

 

 困惑する一同。……だが、更に彼らを追い込む要素が発生した。

 

 

「いやぁぁぁぁっ、やめてぇぇぇっ!!」

「おいっ、ハヤト!! お前、何を……」

 

 教会の中からアリサの悲鳴と瓦礫の崩れる音。そして、隊長の焦った声が聞こえた。

 何が起こっているのか一刻も早く確認を取りたかった第一部隊の面々は、自分達を取り囲むアラガミのことは放置し、教会内へ足を踏み入れる。

 そんな彼らを待ち構えていたのは……。

 

 

 大量の瓦礫によって教会へと入る道が閉ざされており、その道の前で崩れ落ちるように座り込んだアリサと神機を力強く握り締めながらも何も出来ない自分を悔いているリンドウの姿。

 

 

「アリサ、あなた一体何を……!?」

「……サクヤ。それは後で俺の口から話すが、単刀直入に言うと、ハヤトが異変にいち早く気付いて俺を逃がしてくれた」

 

 リンドウの口より紡がれた「逃がす」という言葉に違和感を感じたサクヤ。

 ――だが、考えを纏める時間すら神様はくれない。

 

「うわぁっ!?」

 

 皆が一斉に入っては危険だと考えたコウタが入口を守っていたが、数の暴力を受けて教会の入口へコウタごと侵入してきた。

 

「……っ」

 

 偶々近くにいたソーマとサクヤの両名が『プリティヴィ・マータ』の侵入を一次は防ぐが、それも長続きはしない。

 ざっと見ただけでも外に数十体はいた。それらを巻きながら撤退しなければいけないのだ。

 

 

「リンドウさん。部隊の皆を連れてアナグラに戻ってください」

「だが、それだとハヤト…お前が……」

「良いから、とっとと部下を引き連れてアナグラに戻れっつってんだよ。馬鹿隊長が!!」

 

 いきなり言葉使いが豹変したハヤトに軽く驚いたリンドウだったが、続いて発せられた言葉を耳にした直後。後ろ髪引かれる思いではあったが撤退することを決めた。

 意気消沈しているアリサをリンドウが担ぎ、ソーマとサクヤとコウタが道を開く。

 最初の勢いに乗った表情を今も浮かべている者は誰一人としていない。

 

 コウタは自分達なら何でも出来ると少しながら慢心した結果、親友を残して自分達だけ安全な場所へ戻ることに、ソーマやサクヤは自分達より小さい子供に殿を任せることが歯痒くて、自分の無力さを内心嘆いていた。リンドウは自分の身代わりとして閉じ込められたのだと、絶体絶命の危機に陥っているのだと思うと悔しくて、二人と同じように嘆いた。

 

 

 ――いつの間にか皆の中心にいた人物が無事であるようにと願いながら、彼らはアナグラへ帰還する。

 

 

 

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