「なぁ、ハヤト!! 今日、極東支部に新人が来るって知ってるか!?」
「そうなのか? 別に新人だろうがベテランだろうが、人手が増えるなら良いんだけど」
「個人的な興味は沸かないのか? お前は」
俺の前にしゃしゃり出て、はしゃいでいるのは『
ほぼ同時期に神機使いとして適合した言わば同期みたいなものだけども、俺の方が一週間は早かったとだけ言っておこう。
ちなみにここは極東支部――通称『アナグラ』だ。
ミッションを受注する事が出来るエントランスに俺達は今いるが、その他には新人区、ベテラン区、役員区画、ラボラトリなどの構成となっており、エレベーターで移動が可能だ。
――まぁ、それはさておき、本当に誰が来ようが知ったこっちゃないんだよな。俺としては戦力が増えてくれればそれだけで。
俺の目標であるアラガミを殺すまでの手順がより一層、簡単になるだけの事。
「聞いて驚くなよ! なんとまたまた新型なんだって!!」
「……ふーん。それじゃあ、戦力にはなりそうだね」
新型っていうだけで、使い物になるかならないかはわからないけれどもね。旧型が悪いってわけじゃないし、経験と機能では、経験の方が圧倒的に戦力になる場合があるからな。
第一部隊で言うのであれば、隊長であるリンドウさんは前に言ったから今回は放置するとして、『
この通り、旧型でも経験があるゴッドイーター達は強く戦力になる。
ん? 同じ旧型のコウタ?
(え、そんな奴いたっけ? ってのは、冗談だけど)
あいつはまだ俺と同じで圧倒的な経験不足が否めないね。
もっと先輩達と一緒にミッションへ赴き、努力を怠らなければきっと彼らのような高みに追い付けるだろうさ。
「……よし、第一部隊は全員集まったな」
教官である『
苗字の時点で予想が付くと思うが、この人はリンドウさんの実の姉でもある。裏では鬼教官という称号まで欲しいままにしてる教官だ。
その教官の前で第一部隊の面々が整列をしているわけだが、エントランスの出撃ゲート前で行う事は決してないと思うんですよね。
今から出撃する第二部隊や第三部隊がいたらどうするんだと言う話だよ。まぁ、彼らは防衛班に当てられているから出撃はないに越した事はないんだがな。
「今から新しい仲間を紹介する」
ツバキ教官の後ろにいる面影は一人。それもぶっちゃけ美少女だった。
肩下ぐらいで切り揃えられている白銀の髪と、大きく開かれた青色の瞳。ヘソ出しの服――ちなみにファスナーは全部締める事なく三分の一しか締めていない。もう既に腹の辺りまではチラッと見えてしまっているのだが、この様子だと着けてなさそうだけど、本当に戦えるのかな。邪魔になると思うんだけど。最も俺にはないから苦労とかしてるにしても理解出来ないけど。神機を用いて戦いを行う上で動きやすい格好って事でなのか知らないが、彼女が着ているスカートも裾が短い。それをカバーするためのタイツやブーツと考えるべきかな。
まぁ、何にせよ。きちんと戦ってくれるのならどうでも良い。
「本日付けでこちらに配属になりました、アリサ・イリニーチナ・アミエーラと申します」
「…………」
「女の子ならいつでも大歓迎だよ」
俺らが何にも喋らなかったにも関わらず空気を読まないで定評があるコウタがチャラ男のような発言をハイテンションな身振り手振りと合わせて放っていた。
だが……。
「……よくそんな浮ついた考えで、今まで生き残れてきましたね」
心底侮辱しているような冷たい視線をコウタへ向ける。
超美少女とも言える女の子から冷ややかな視線を受けたコウタは、思わず顔を顔が引き攣っていた。
「彼女は実戦こそ少ないが、演習では優秀な成績を残している。追い抜かれないように気を引き締めるんだな」
「……了解です」
すっかり意気消沈した様子のコウタが、ツバキさんからの厳しい言葉にガックリと肩を落としながら返事をする。
「……実戦で優秀でなければ例外なく死ぬがな」
体勢を崩しながら小さく呟く。
少なくとも俺は数週間しかゴッドイーター生活を送っていないが、浮かれた奴、演習では優秀だったという奴、何人も死んだのを見たり聞いたりした。
「何か言ったか? ハヤト」
「いえ、何でもありませんよ。教官殿」
聞かせるつもりは更々なかったのだが、思ってた以上に声が大きかったようだ。
隣にいたコウタならともかくとして、距離がある新しいメンバーやツバキさんのところまで声が届くとは思わなかった。
俺の小さな言葉すらも聞き逃さなかったアミエーラは、本音の混じった呟きを聞き、顔を顰めていた。演習で優秀な成績を残しているが故に慢心が全くないというわけではなく、少なからずあるのだろう。そのプライドを侮辱しているような言葉を聞き多少なりとイラついた感じかな。
「アリサ、お前は暫くリンドウの下に付け。そして、ハヤト」
「はい」
「お前はこちらではアリサよりも先輩の新型だ。それに、新人の中では一番の実績も残している。しっかりと面倒を見てやるんだ、いいな?」
了解です。と短く言葉を返しつつ、こくんと頷く。
「よろしい。では、リンドウ、書類の引き継ぎがあるから、私と一緒に来い。早速だが、アリサにはリンドウとハヤトが行くミッションに同行してもらうぞ?」
「……了解しました」
「よし。じゃあ、新入り。わりぃがミッションの受注をしておいてくれ。俺もこっちの事が終わったらすぐ戻る。戻るまでここで待機しててくれ」
そう言って、リンドウさんとツバキさんはこの場から去っていく。
続いて用事がなくなったサクヤさん、ソーマさんは自室へ移動するためのエレベーターの乗り、戻っていった。
二人のように自室へ戻る事を選ばなかったコウタは、先程の失敗など気にも止めていないのか早速アリサに話し掛けていた。ゴッドイーターとして仕事上の会話ではなくて、個人的なプライベートな会話なら成功するとでも思っているのだろうか。この
次からこいつの事を俺は愛すべき馬鹿と言おうかな。
「……すみません。ちょっと良いですか?」
「ん?」
そんな事もいざ知らず、アリサは自身に話し掛けてくるコウタを華麗に無視し、俺に声を掛けてきた。
新型同士で仲良くしろ。と暗に伝えてきたツバキさんの指示を律儀に守っているのかな。
「別に良いけど。どうした?」
「……あなたが、この極東支部で唯一の新型ですね?」
「まぁ、
「ええ、よろしくお願いしますね。ハヤトさん。私の事もアリサで良いです」
「よろしく、アリサ」
アリサに向かって手を差し出すと、素直に握手に応じてくれた。
外見や言動の端々にトゲがあるけども、思っていた以上に悪い奴ではなさそうだな。言うなれば薔薇の花にソックリだ。
綺麗な花だと思って手に取ってみたら、気付かなかったトゲにグサッと刺されるけど、遠目に見ているだけや扱いをしっかりとしていればそのトゲの被害は受ける事がないってね。
「……あなたはやっぱり頼りになりそうですね。少なくともあの人よりは」
ナンパ師並みに声を掛けてきたコウタを指差しながら言う。
気にも掛けていないと俺的には思っていたのだが、やっぱり視界には入っていたんだな。良かったなコウタ、完全に脈がないってわけじゃなさそうだぜ。
「取り敢えず、身支度を済ませて十分後にここへ集合な。俺は新しい神機を受け取ってくっから」
「了解です」
アリサの返事をきちんと聞いてから、俺は極東支部を誇る神機のサポートを行ってくれる整備士のところへ向かう。
……この時間は神機の保管所にいそうだな。
感想、誤字脱字等ありましたら是非、くださいませ。
真剣に見てくださってると作者は喜びます故に……。