――旧市街地エリアの安全が保障されている地帯。
「……さて、今回のミッションはシユウの討伐だ」
(シユウか……。前に戦ったばかりだし、挙動の全ては完璧に頭に入っているからいけっかな)
どうにもシユウのフォルムが嫌いなんだよな。
背中に巨大な両腕羽を生やしていて、まさに鳥人間。みたいな感じの外見がさ。
その逞しい羽を最大限に使用する滑空攻撃や、掌にある穴からエネルギー弾を放ってきたりな。滑空攻撃は予備動作があるから飛び越えたりくぐり抜けたり出来そうだけどさ、エネルギー弾の場合は予備動作が地面に掌を叩きつけて、周囲に衝撃波のようなものを起こす攻撃と似ていて紛らわしいんだよな。
後は、遠近共に隙がほとんどないから面倒って感じかな。
「今日は新型二人との共同任務だな……。まぁ、足を引っ張らないようにするからよろしくな」
リンドウさんが足を引っ張るなんて、滅多にないでしょ。
前にも言った気がするけど、新しい能力よりも古くから培った経験の方が重宝されるのだから。
ましてやその発言を行ったリンドウさんにも問題がある。彼は最古参のゴッドイーターとも呼べる人だぞ。冗談混じりに一人前ではない俺らをリラックスさせるためかな。
「――旧型は、旧型なりの仕事をしてただければ良いと思います」
「はぁ……」
そんな言葉の意図を掴み取ろうとしなかったアリサは、リンドウさんに暴言とも取れるキツイ言葉をあげていた。
「ははっ、まあ気楽にやらせてもらうさ」
「きゃあ!!」
リンドウさんはまったく気にもしない様子で笑い、何気なくアリサの肩に手を置いた瞬間。
アリサは割とガチな悲鳴をあげ、リンドウから飛び退いた。
「……あーあ、随分と嫌われたもんだな」
「セクハラで訴えますよ。サクヤさんに」
手にしている新たな神機を強く握り締めながら声を掛ける。
こんなのんびりとした時間を過ごしている間に、シユウは……。と俺の内心は焦っていた。
「は、ハヤト、それはやめてくれ。俺が殺されちまう」
「冗談ですよ」
微笑を浮かべながらそう答える。
「……すみません。もう、大丈夫です」
「緊張してるみたいだな……。そうだ、アリサ。そういう時は空を見ろ。そして、動物に似た雲を探すんだ、そうすれば落ち着くぞ。それを見つけたら俺達と合流しろ、それまでは動くなよ?」
「ちょ、なんで私がそんな事を――」
「いいから探せ、これは命令だぞ」
一方的に指示を出したリンドウさんは、俺の肩を抱き、連行するかの如く旧市街地の方へと歩を進める。
不意にアリサが気になり、視線を送ってみると、必死になって空を見上げていた。
そこは律儀にリンドウさんの指示には従い、動物の雲を探すんだな。俺らと合流した時にどの動物を紹介してくれるのか楽しみだ。
「……あの子な、ちょっとワケありらしい」
二人で市街地を歩いていると、リンドウがふと口を開き呟いた。
「えっ?」
「さっき姉上が言ったように、演習の成績は優秀なんだが精神が不安定ならしいんだ。……まぁこのご時世、コウタみたいな真っ直ぐなこの方が珍しいんだがな」
意識だけは索敵に持っていきながらも、リンドウさんの話を真剣に耳に入れる。
「主治医によるメンタルケアが組まれてるぐらいだ。……だから、さっきみたいな暴言とかも許してやってくれや」
「あれは少なくともリンドウさんに対する暴言でしたけどね」
俺、一応新型というジャンルに属しますし。銃なんて滅多に使わないっスけど。と、笑みを浮かべながら告げると、リンドウさんは痛いところを突かれたなと頭を掻いていた。
そんな和やかな会話を行っていると、不意にシユウの鳴き声が聞こえた。
一気に戦闘体勢に切り替え、神機を更に強く握り締める。
「……ホント、今回はリンドウさん気楽にやりますか。新しい神機のお試しもしたいですし」
「それも良いな。今回はアリサのサポートに入るとしますか」
一見ふざけた会話を行っているようにも見えるが、きちんとシユウの鳴き声が聞こえた場所までは向かっており、索敵範囲には常に捉えていた。
物陰に隠れ、突撃する瞬間を伺っていた俺達のところへアリサがやって来た。
「やっと見つけました」
「おう、アリサか。何の動物を見つけた?」
「ほら、あれですよ。ザイゴードです!」
そう言いながら遥か高い空を指すアリサ。
だが、その先にあったのはただの丸い雲だ。まぁ、あいつらを後ろから見たらあんな感じかも知れないけどさ、その場合でも管はあっただろ管みたいなやつ!
正直、中々見つからなかったから適当に見繕ったろ。
「ま、まぁ、それでいい。手短に作戦を説明するぞ」
俺が先頭に立ち、物陰から敵を視界に捉え続ける。
そんな警戒態勢をバリバリ取っているが、リンドウさんの会話にはきちんと参加する。と言っても、さっき話した試し斬りを俺は行うだけだがな。
「――まず、最初に基本的なフォーメーションを説明する。フォワードは俺とハヤト。サポートにアリサが入ってくれ」
了解です。と二人揃って返事を行う。
その返事に伴い、アリサは新型特有の神機変形を行い銃形態へと移行していた。俺とは真反対の銃メインの新型か。これは戦いが楽になりそうだな。本当に戦力として見込めるのならば、だけどな。
「んで、作戦だが……」
「作戦なんていらないですよ。とにかく隙を突いてぶっ殺せで行きましょ」
真剣そのものな声音でリンドウさんの代わりに作戦の内容を発言する。
そんないい加減な作戦を告げる俺に、アリサは驚愕の面持ちを見せ、絶句した。
「あ、あなた、良くそんな適当な思考で……」
「まぁ、見てろって。行って良いぞ。最初から神機の試し斬りはさせるつもりだったしな」
隊長の突撃オッケー指示が貰えたと同時に、気付かれないように全速力でシユウの下へと向かい、完璧に気付かれていない事を確認した後、背後から奇襲とばかりに『
直前に動かれたため、羽の欠片しか捕食出来なかったし、挙句の果てに背後に忍び寄った俺は気付かれた。
「ま、最初からこうするつもりだったし……良いけど、ねっ!!」
シユウの羽の欠片という身体の一部を喰らった俺は、その力を取り込み『
榊博士によると、この神機解放によってゴッドイーターの能力が一時的に向上し、消費する体力が少なくて済むらしい。
簡単に説明すると攻撃は最大の防御。という無茶な作戦を実行させる時に使えるな。時間短縮にも使えそうだ。
「神機……解放っ!!」
俺の神機から黒いオーラのようなものが発せられ、紅の刀身に黒いオーラが纏うだけで、結構禍々しい雰囲気がした。……が、そんな禍々しさが俺にはピッタリだ。
復讐を生き甲斐とし、『