GOD EATER ―深紅の復讐者―   作:片桐 奏斗

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第4話 恐怖の差

 

 次元が違う――。

 

 逸早くシユウの下へと突撃し、現在進行形で戦いを行っているハヤトを影から見ているアリサは強く唇を噛み締めながら思った。

 自分と同じ新型でありながらも、資料通りなら来て間もない新人のゴッドイーターだ。なのに、こんなにも実力に差があるなんて思いもしなかった。

 

「……あいつはな」

 

 そんな一方的な戦場を真剣な眼差しで見つめていたリンドウが独り言のように呟いた。

 

「新人の中では一番成長している。現に先輩に当たる俺やサクヤ、ソーマですら実力を認めている。だがな、圧倒的に怖いんだ」

「怖い?」

 

 成長幅が。という事なのだろうか、それとも、自身が抜かれてしまうという危機感にだろうかとアリサは疑問に思う。

 だが、リンドウの口から出た言葉はどれも違った。

 

「あいつは復讐に駆られ過ぎてるんだ。俺も聞いた話なんだけどさ、あいつの家族、アラガミに食われちまったみたいなんだ。それも目の前で」

「えっ……」

 

 自分の奥底に眠る記憶と少なからず類似点があり、アリサは更に驚いた。

 

「だからこそ、頼む。……俺らと一緒にあいつが危ない橋を渡りそうになったら止めてくれ」

 

 まだ幼い自分に頭を下げるリンドウの姿にすらも、驚いたアリサは慌てながらもリンドウの申し出を素直に受け入れた。

 自分と似た過去を持ちながら、復讐という形ではあるが、一生懸命に前へ進もうとする彼の事をもっと知りたいと思ったからなのか。本人ですらもわからないままに承認していた。

 

「さてと、そろそろ俺達も行きますか」

「はいっ!!」

 

 今はまだ、実力に差があり過ぎて勝てないし、後ろ姿を捉えるのもやっとだけど。多大な時間を経てでも、あなたの域にたどり着いて見せますから。と、シユウと戦っている最中のハヤトを視界に入れながら、アリサは決心した。

 

 ――絶対に負けない、と。

 

 ◇

 

「ガオオオオオオオオッ!!」

 

 アリサとリンドウさんが戦闘に参加して、数分が経っただろうか。

 シユウがけたたましい鳴き声をあげ、独特の雰囲気があいつの周囲に漂っていた。

 これはアラガミが活性化した時のサインだ。今回は活性化の際に攻撃を行っていなかったので、良くわかりやすかった。前回の時は、鳴き声をあげていた時、隙が出来たと全力で切りに行って、活性化のサインを見逃していて、手痛いダメージを受けたのは内緒だ。

 

「活性化だ! 気を付けろよ。アリサ、ハヤト!!」

「わかってます!」

 

 前回の失敗を糧に、ショートブレードの短い攻撃範囲ギリギリの線を保持(キープ)しながら切り続ける。

 俺とリンドウさんがシユウを囲むようにして、距離を取りつつ戦っていると、シユウは両腕羽を捻るような挙動(モーション)を取った。

 

「リンドウさんっ!」

「あぁ、わかってる。アリサ、接近して攻撃が終わり次第、捕食だ!」

「りょ、了解です!」

 

 ハイテンポな戦いに新兵のアリサは付いて来るので精一杯なのか、返事が遅れていた。

 俺とリンドウさんの予想は正しく、シユウの両腕羽による回転攻撃を受けないラインで捕食態勢を取る。

 

「今だっ!」

「喰らいやがれ!」

「神機、解放します!!」

 

 各々が捕食態勢を取り、神機解放に移行する。

 基本態勢となったシユウに合わせて、俺らは全員距離を取る。

 剣形態で固定されているリンドウさんは、シユウの隙を伺い。望んでいた事だが、誰よりも戦闘時間が長かった故に疲れが少し出てしまっていた俺は、ポーチの中から『レーション』を取り出し、口の中へ放り込む。

 『レーション』というのは、ゴッドイーターの中で有名なスタミナを回復する道具だ。疲労が完全になくなるわけじゃないが、ほんの少し疲れを和らげてくれる薬。俺はその薬をポーチの中に十個入れている。

 薬中ってわけじゃないからな。ただショートブレードで手数重視な戦法を取ると、どうにも疲れが出てしまうっていうね。これは防衛班の隊長であるタツミさんに聞いてみればわかる。うん、同感してくれるはず。

 

「受け取ってください! 行きますっ!!」

 

 シユウの一部を喰らった後のアリサは、俺とリンドウさんに向かって銃弾を撃ち込んだ。

 その銃弾を受けた俺らは体が今まで以上に軽くなるのがわかった。

 ――これって、確か……『神機連結解放(リンクバースト)』だったか。

 アラガミを喰らい得たアラガミバレットを味方へ撃つ事によって、そのゴッドイーターは一時的にバースト状態になり、更に既にバースト化していたならば、ワンランクレベルの高いバースト状態になる。

 俺らは同時にシユウを喰らって、既にバースト化していた。その上、アリサから受け取ったアラガミバレットのお陰でここまで強くなってるのが実感出来るのか。

 

「よし、一気に決めるぞ」

 

 リンドウさんの指示を受けた俺らは、一気に攻勢に出る。

 ロングブレードを使う二人がお互いの邪魔にならない範囲で敵を切り続け、シユウをダウンさせる。

 

「ハヤトっ!!」

「決めてくださいっ!」

 

 シユウがダウンする寸前に、ドッシリと構えていた建築物の壁を強く蹴り、高く飛び上がる。上空にいる俺に止めの一発と言わんばかりにアリサからアラガミバレットが飛来する。それが直撃した俺は今までに類を見ないぐらい奥底から力が漏れ出して来るのが実感出来た。

 この力なら、決められる――。

 

「これで、終わりだーーっ!」

 

 上空にいる間に神機を捕食形態にし、落下と共にシユウのコアを喰らう。

 それにより、シユウは断末魔をあげ、死んで逝く。前回と違いコアを抜き取られた事が死因なので、声はほとんど出ていないに等しかった。

 

 

「ミッション終了っと。お二人さん、怪我はないか」

「モチ」

「ありません」

 

 むしろ、最後の一撃の寸前に得たアラガミバレットのせいで、ピンピンして元気なくらいだ。怪我なんて一つもないんじゃないか。

 

「さ、帰投ヘリを呼ぶぞ」

 

 俺の新たな神機のお試しと、アリサの極東支部での生活は完全な白星に始まった。

 帰投ヘリが来るまでの間、新しい神機の機能を色々試してみた。やはり、今までの神機より回避距離が上がっている気がする。それにステップもやり易い。この神機、気に入った。リッカに報告を行わないとな。

 

 





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