後、作品情報の方にも付け足したのですが、主人公は兄と妹のどちらもということでダブル主人公に近いですが、世界観作り以外では結構妹視点の方が多くなると思うので、実質的な主人公は妹です。
日記形式の兄視点は、妹視点が追いついてから投稿される予定です。
最近、兄の気分があまり良くない。
エリカとの仲がギクシャクしてたらしいけど、航空祭に来れなかったことをちゃんと謝って関係は良くなったらしい。
未だにエリカのクロト兄に向ける視線は鋭いままだけど。
気分が良くないのは単純に忙し過ぎるのと、戦車整備の担当で私たちの乗る戦車を担当できなかったことらしい。けど、クロト兄は隊長車の整備担当だからそっちの方がすごいと思うんだけどなぁ。
なんでも、私たちの考えた最強の戦車作戦という物を実行しているらしく、整備チームはいつにも増して忙しそうにしている。その中でも整備チームのリーダーを任されているクロト兄は特に忙しそうだ。
隊長ともずっとどう整備するか話込んでる事が多いし、隊長車以外のとこにもヘルプに出ることが多いと聞く。
自ら仕事を増やしていく整備チームには脱帽するしかない。
まあ、それであまり寝れてないクロト兄はピリピリしてるし、気分も悪いように見えるということだ。
そんな気分が悪いクロト兄だが、最近更に気分を害している連中が沸いてるらしい。なんでもまほ様親衛隊とかなんとか。
私が見た感じでは結構キャラの濃いメンツが集まっているストーカー集団に近かった。
クロト兄はそんな危険な集団を見逃す訳にもいかないから対処しなくちゃいけないらしくて頭を抱えている。
戦車道でも忙しいのに、そんな雑用までしなきゃいけないなんて…そりゃ成績もとんでもないことになる訳だ。ご愁傷様である。
そんなことよりも、私とみほとエリカは無事にスタメン入りだ。
予想通りである。
みほは一度戦車に乗れば鬼神の如き指揮をとるし、エリカはエリカで堅実ながら西住流を体現するような指揮をとれる。車長としての実力は二人とも充分な程ある。
私は私単品でも決定力は言うまでもなく天元突破だが、みほが駆る戦車に乗ればもはや超絶天元突破天地も海もパッカーンな最強美少女クロエちゃんが爆誕するのだ。
ふふーん、初弾以外ならほとんど着弾されられる超感覚型のクロエちゃんは経験値が圧倒的に高いので計算しなくても感覚的に当てられるのだ。だから停止射撃において他を圧倒するスピードで狙いを定められるのだ。
ヤベーだろ?すげーだろ?にゃはははは!!褒めるがよい!我を褒め称えるがよい!!そうだぁ、もちあげろ〜、もちあげまくれ〜!!
そんな感じであっという間に夏休みになった。
ちょびっとだけ有った事を言うと、高校の祝賀会ではエリカとクロト兄の仲がさらに改善されて結構仲良くなってたり、クロト兄がみほに私の暴走を止めて欲しいと頼んでで、クロエさんとは雲台の差ですねとか冷たい視線を向けてきたり、毎年恒例らしいクロト兄を拉致しての討論会があったらしい。あれを初めて見たのだが、毎年あんな事になってたのかと驚嘆した。みほも頰を引きつらせてひいていた。
仕方がない、いくら捕まったら最悪な目にあうと分かっていても、兄も最低な性格全開で逃げたらひかれるのは必然である、という感じだった。
その他のイベントなどは全カットである。
■
夏休み前、それは緊張の夏、私たちはそう言っても過言ではなかった。
何故なら、中学戦車道の全国大会は夏休みではなく、夏休み中に実施されるのである。
高校は他の部活より早く全国大会、中学生は他の部活より後。
こう他の部活とずらしているのは意図的だ。
戦車道をするにあたってなにより必要なのは金である。
履修者から集金するのにも限界がある。
だから、集客して少額ではあるが入場料や出店などで稼がないといけないのである。
高校では運営側の出店とアンツィオ高校の出店が毎回どちらが客を呼べるがバリバリの戦いを繰り広げているらしい。
意味不明な戦いである。
まあ、話を戻すが、まだ大会が終わってない私たちは毎日過酷な練習をこなしている。
マニュアル戦術がデフォの西住流ではあるが、それも高水準になれば強力な戦力になる。そのかわり、個の強さがあまり目立たなくはなるが。
まあ、基本的に戦車道も数の多い方が勝つのだ。
そう、戦いは数だよ!兄貴!!
まったくその通りである。
だから、私はもっと前にでてガンガン戦いたいのだが、周りと合わせた小隊編成などが鉄板なのでどうしようもないのだ。
「クロエさんはもっと有効的に活用できるはずなのに」
みほが満足のいかないような顔でぼやく。
「仕方ないさ、秘密兵器は温存しなきゃいけないんだから。それに大丈夫だよ、いざとなったらゴーサインがでるよ」
「お姉ちゃんの戦術でそこまでボロがでるでしょうか?」
「まほ隊長の西住流だからなぁ、ボロほとんどないかぁ…」
「全くないです!訂正してくださいクロエさん」
「本当にシスコンだよなぁ、みほは」
「シ、シスコンって!どうゆう事ですか!?クロエさん!」
「そのまんまさ」
そう吐き捨ててから自室に自分が持ってきて置いておいたちゃぶ台に置かれたココアを取り、グイッと飲み干す。チビチビ飲むのは性に合わない。
まあ、私も納得いかないが、黒森峰はチームプレーを尊重している。私のような個人の実力が突出した者を最大限に活かすわけではない。
エリカもみほもまほ様好き好きなので反抗しても仲間になってくれない……
なので、私は悔しみを押し殺しながらと耐え忍ぶしかない……くっ!
「多分クロエさんの実力を活かすのなら、遊撃ですね。上手く乱戦に持ち込むことができれば最大源の実力を発揮できると思います」
「私はロングアレンジも得意だけど?」
「そうですね、なら単独の敵を相手取るとかも得意かもしれません。どのレンジにも対応してきて、停止射撃のタイミングも早い。相手からしたら相当の脅威ですよね」
「あとみほ、私はタイマンは得意だけど遊撃はどうかなって思うよ?砲撃の大会と遊撃での撃ち方とは感覚が全く違う、目まぐるしく移動しながらの攻撃に関しては経験値が少ないね」
「そうですか」
みほが二段ベットの一段目から顔を出してションボリしている。
ちなみに、みほが一段目が良いと言い出したんだからね?強引に私が二段目に行った訳じゃないよ?ボコが落ちると大変だからって一段目が良いって言い出したんだからね?
「まあ、みほが指示を出せば百人力さ。遊撃が得意でない私でもバンバン敵を撃破してあげようぞ!」
「クロエさん…」
みほが感動したような顔でこっちを見る。
「そうですよね、クロエさんもなんだかんだ言って練習には真面目に参加してますから、遊撃時の練習もバリバリやってくれますよね?」
「へ?みほ?」
「大丈夫ですよ、ほんのちょっとみっちりと練習するだけですから」
「ハハハ、お手柔らかにね?」
そうきたか、マジでそうきたか。
ただでさえ練習量多いのにもっと増やす傾向でいきますかぁ。
みほの事だからオーバーワークにならないように調整はしてくれるだろうけど、その分中身がとんでもないものになりかねないからなぁ。怖いなぁ。結構怖いなぁ。
「さて、クロエさん、明日の予定も決まった事ですし、寝支度を始めましょう!」
「え!明日からすんの?」
「はい!練習メニューも今考えました」
「え?マジで言ってる?」
「マジですよ?おおマジです!」
「はは、ほんとに強かなになったなぁ」
「クロエさん、誰のせいだと思ってるんですか?」
みほは笑みを浮かべながらもそう言う。
みほがこんなに強かになったのは私のせいだろう、そうだろう。
まあ、練習するのも仕方ない、私が超絶なんでもこなせるスーパー天使クロエちゃんになるために必要な事なのだから。
「みほ」
「なんですか?クロエさん」
「大会、絶対優勝するよ」
「クロエさん…はい!絶対優勝しましょう!」
私たちは止まらない、強くなることを戸惑わない。
これが私の生きがいだから、これが物凄く楽しいから。
明日も戦車道をするんだ
さて、明日も元気に戦車道するために早寝しなければ。
健康の基本は早寝早起きだからね。
こうして私は、とりあえずマグカップを洗いにキッチンの方へ行くのだった。
夜遅くに飲もうと思い立つんじゃなかった……歯ブラシもしないと…………
みほがすごい強かに、これもクロエのおかげだ(脳死)