魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~   作:DragonWill

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転生者対決

「おい、聞いてんのか!?」

「一体何だ?」

 

龍一は現れた皇治に対し、気怠そうに聞いてきた。

 

「とぼけんな!?てめえも転生者だったんだな!?」

「何のことか分からんな?」

「ふざけんじゃねえ!?」

 

とぼけて答えると、激昂した皇治が殴り掛かってきた。

 

まあ、全然腰の入っていない大ぶりなテレフォンパンチなので、あっさりと躱した。

 

「何すんだよ?」

「黙れ!?踏み台ごときが、オリ主の俺様の攻撃を避けるんじゃねえ!?」

 

何と言う暴論。

 

「ったく。それで、僕が転生者なら君は一体どうするつもりなんだい?」

「決まっているだろ!?てめえをぶっ倒して、なのはたちにまとわりつく害虫を駆除するんだよ!?オリ主は俺一人で十分だ!?」

 

この男は完全に他人を人間とはみなしていない。

 

前世の記憶に引きずられ、この世界の他人はただの登場人物、ただのキャラクターとしか見ていないのだ。

 

この世界は自分だけがすべてであり、それ以外はただの非現実的な存在にしか見えていないようである。

 

(確か専門用語で『シュミレーディッドリアリティー』だっけ?)

 

どうでもいいことを考えながら、龍一は皇治を見る。

 

構えも隙だらけだし、魔力も全く効率よく運用できてない。

 

典型的な力任せの猪野郎のようだ。

 

「死ね!?」

『ゲート・オブ・バビロン』

 

皇治の後ろに黄金のゲートが出現し、大量の剣が向かってくる。

 

「ちょっ!?『封鎖結界』!?」

 

龍一はいきなり攻撃してきた皇治に驚きながらも、結界であたり一帯を隔離した。

 

大量の剣群が龍一がいたところ一帯を薙ぎ払い、砂埃が立ち込める。

 

「どうだ!?モブの分際で調子に乗るからだ!?」

 

皇治が勝ち誇った笑みを浮かべるが・・・。

 

「この馬鹿野郎!!」

「何!?」

 

砂埃が晴れたところに無傷の龍一がいた。

 

彼の前の前には大量の防御魔法陣が曼荼羅のように多重多層に展開されていた。

 

「多重多層障壁!?『ネギま!』系の能力の転生者か?」

 

皇治が自分の攻撃を防いだ事実に激昂し、更に攻撃を加える。

 

しかし、龍一の頑丈な障壁はびくともしない。

 

「お前は何考えてやがる!?さっきと言い今回と言い、ちったあ周りの被害を考えて行動しやがれ!?」

「喧しい!?モブの分際でオリ主の俺様に説教か!?」

 

皇治は龍一の話をちっとも聞こうともしない。

 

彼の頭の中には目の前の邪魔者を排除することしかない。

 

「ああ!?うざってえな!?モブの分際でしつけえんだよ!?オリ主の俺様の一撃でいい加減にくたばりやがれ!?」

天地乖離す開闢の星(エヌマ・エリシュ)

 

皇治のデバイスが回転を始め、莫大な魔力を込めた砲撃を龍一に放つ。

 

だが、その光景は龍一にとっては、あまりに隙だらけであった。

 

「行け!?」

 

龍一は飛穿・二式から矢を放つ。

 

その矢に施された加工と龍一に腕により、矢は弧を描いて皇治の背後に突き刺さるが、皇治はそれに気づいていない。

 

「『トリックルーム』」

 

詠唱が完了した瞬間、砲撃が着弾しあたり一面が吹き飛ぶ。

 

「どうだ!?これでくたばったか!?」

 

皇治は今度こそ勝利を確信するが・・・。

 

「はい残念♪」

 

皇治の肩に手が置かれる。

 

「何だ・・(ボカッ!!)」

 

振り返ろうとした皇治の顔面に思いっきり拳を打ち込み地面に叩き付ける。

 

「て、てめえ・・・・今のを・・・・・どうやって?」

「言うと思うか?」

 

龍一が使った『トリックルーム』とは二つの結界の中身を入れ替える結界魔法である。

 

彼の持つ礼装飛穿・二式を起点とした結界と、皇治の後ろに突き刺さった矢を起点とした結界の中身を入れ替え、皇治の後ろに転移したのである。

 

「ふざけんな!?」

「ふざけているのはおまえだ!?オリ主?モブ?俺の嫁?ここはアニメの世界じゃない、れっきとした現実の世界だ!?全てが自分を中心に回っているとでも思っているのか!?高町たちにも迷惑がられていることにも気づかないで、他人を見下して生きてんじゃねえぞ!?」

「黙れええええええええええええええええええええええええええええええええええええ!!??」

 

完全に冷静さを欠いた皇治が殴り掛かて来たが、飛穿・二式で下から顎を打ち上げた。

 

「がふっ!!」

 

皇治はその一撃であおむけに倒れ、気絶してしまった。

 

(打たれ弱!!)

 

その脆さに、逆に龍一の方が驚いてしまった程である。

 

その後、龍一は皇治を隔離型の封印魔法に閉じ込め、零課の人間に引き渡すために海鳴署に向かった。

 

 

 

 

 

一方その頃。

 

「はあはあはあ・・・ここまでくれば大丈夫かも・・・」

 

なのはとユーノは最初に出会った公園まで逃げていた。

 

「すみません。巻き込んでしまって」

「いいよ、別に」

 

腕の中のユーノが申し訳なさそうに謝罪してきたが、なのはは笑って答えた。

 

「そう言えば、怪我の方は大丈夫なの?」

「あ、はい。怪我の方は平気です。もうほとんど治っているから」

 

そういうと、ユーノは全身を震えさせ、体に巻かれた包帯を解いた。

 

「本当だ。怪我の跡がほとんど消えてる。凄い・・・」

「助けてくれたおかげで、残った魔力を治療に回せました」

「良く分かんないけど、そうなんだ。・・・あ!?自己紹介がまだだったね?」

 

なのははそういうと、『えへん!?』と咳払いし、自己紹介を始めた。

 

「わたしは高町なのは。小学校三年生。家族とか仲のいい友達は『なのは』って呼ぶよ」

「僕はユーノ・スクライア。スクライアが部族名だから、ユーノが名前です」

「ユーノ君か・・・かわいい名前だね」

 

お互いに自己紹介を終え、なのはが先ほどの事について聞き始めた。

 

「そう言えば、さっきのって一体何なの?」

「・・・・それは・・・「その話、私にも詳しく聞かせてもらおう」」

「「!?」」

 

なのはとユーノの会話に乱入してきた声に1人と1匹は驚いた。

 

声のした方に視線を向けると、そこには、放課後に出会った守宮剛警部がたたずんでいた。

 

「えっと、その・・・・龍一くんのお父さんの警部さん?」

「やれやれ、駄目じゃないか、なのはちゃん。こんな夜遅くに一人で外出なんてしちゃ」

「す、すみません!?」

「まあ、先ほどの話は少し聞かせてもらった・・・・そこのフェレット君」

「キ、キュー?」

 

剛に指名され慌てて取り繕うユーノ。

 

「安心したまえ。私は魔法や超常現象がらみの事件捜査を担当する『零課』の人間だ。喋る小動物や魔法といった事情も知っている」

 

警察手帳を見せながら説明をする剛。

 

(現地の警察機構の人間!?でもこの世界には魔法文明がないはずなのにどうして魔法絡みに対処する部署が?)

 

先ほどから前情報と食い違う事情に混乱するユーノ。

 

「あうあうあう・・・・・・」

 

状況についていけずに目を回し始めるなのは。

 

「実は先ほど、動物病院前で発生した魔法戦闘の痕跡をたどってきたんだ。あの戦闘を行ったのがなのはちゃんとそこのフェレットなのは分かっているから詳しい事情を説明してくれないかね?」

「「わ、分かりました・・・」」

 

言い逃れできない状況に、なのはとユーノは先ほど起こったことについて説明しだした。

 

「・・・・・・・・・・なるほど、事情は分かった」

 

なのはに剛と別れてから今までの経緯を説明され、状況を把握したようだ。

 

「そう言えばユーノくん。さっきも聞こうとしたけど、あれは一体?」

「実はですね・・・」

 

ユーノは自分の事、そして先ほどのモンスターと宝石について説明した。

 

「信じてもらえるか分からないけど、僕はこの世界の外、別の世界からやってきました」

「別の世界?」

「はい、先ほどなのはに使ってもらった魔法は僕の故郷の技術です」

「別の世界の君がどうしてこの世界に?」

「僕がいる部族『スクライア』は代々考古学に携わって遺跡発掘なんかを生業にしている一族で、先ほどの宝石、ジュエルシードはある古い遺跡での発掘作業中に僕が発見したものなんです。」

「ジュエルシードとは一体?」

「なのは、レイジングハートをこっちに」

「う、うん」

 

なのははレイジングハートをユーノに渡し、ユーノはレイジングハートから一つの蒼い宝石を取り出した。

 

「これがジュエルシード。僕たちの故郷の危険な古代遺産です」

「ほう?これは・・・」

 

剛が興味深げにジュエルシードを見つめる。

 

「ちょっとした刺激で暴走することがあって、さっきみたいに突然暴れだすこともある、危険なエネルギー結晶体なんです」

「本来は時空間に干渉するための膨大な魔力を結晶型に圧縮した小型エネルギー源といったところか。それに応用法として、一種の願望器としての機能もあるようだな」

「どうしてそれを!?」

 

剛のジュエルシードについての的確な説明にユーノが驚いた。

 

それに対し、剛は紫色の瞳(、、、、)をユーノに向けて答えた。

 

「私の数少ない特技だ」

「剛さん。眼が・・・」

「『天眼』と言ってね、魔法の特性や魔力の持ち主なんかを見分けられる力さ。君たちをすぐに発見できたのも、現場に残っていた魔力の痕跡をたどってきただけに過ぎん」

 

かつて、龍一たちの誘拐事件でも、龍一のマーキングを天眼で追ったのですぐに発見できたのである。

 

「凄い能力ですね。レアスキルの一種かな?」

「私にとって捜査とは答えが分かっている数式の方程式を探り出すようなものだ。なんたって、この眼で見つけ出した犯人に対しての証拠を固めていけばいいのだからね」

「それよりも、なんでそんな危険なものが家の近所に?」

 

脱線しかけた話がなのはの一言で元に戻る。

 

「それは僕のせいなんだ」

 

それに対し、ユーノは暗い表情(フェレットだから分かりずらいが)で答えた。

 

「詳しく聞こう」

「古い遺跡で見つけたジュエルシードを管理局に依頼して保管してもらおうと思ったんだけど、僕が手配していた次元船が途中で事故にあったみたいで、21個のジュエルシードはこの世界に散らばってしまったんです」

「管理局とは?」

 

ユーノから管理局について説明された。

 

正式名称は『時空管理局』と呼ばれ、この世界で言う、軍隊、警察、裁判所などがひとまとめになった巨大組織であること。

 

ユーノの故郷を始めとした様々な世界を取り仕切っていて、危険な古代遺産を回収して保管するのも仕事の一つであること。

 

ユーノの故郷のように管理局が取り仕切っている世界を『管理世界』、それ以外を『管理外世界』と呼んでいること。

 

地球は管理局では『97管理外世界』とされていること。

 

管理外世界では一般的に魔法や次元世界の存在が把握されておらず、次元航行技術が確認されていので低科学文明であるため、別世界の生命体の存在や高度な科学技術の流出による無用な混乱を避けるために、管理局も現地政府にも秘密裏に活動していること。

 

そのため、管理外世界の現地で活動しなければならない事態になると、管理局は孤立無援の中で活動しなければならないため、必要な物資、機材、人員を全て用意するのにより時間がかかり、動き出すまでに時間がかかること。

 

しかし、ジュエルシードはいつ暴走押してもおかしくない危険な状態であったため、管理局を待っているとどれだけの被害がでるか予想できず、低科学文明の地球では対処ができないと考えたユーノは管理局に渡航許可申請を行い、一人で先に現地入りしたことなどを説明した。

 

「あれ?でもそれだと、ユーノくんは全然悪くないんじゃ・・・」

 

ユーノの話を聞いて、ふと疑問に思ったことをなのはは口にした。

 

確かに今回の事件にはユーノの不手際は何一つなく、ジュエルシードが事故で散らばってしまったのなら、それを起こした輸送会社に責任がある。

 

「でも、あれは僕が見つけてしまったものです。ちゃんと全部回収して、本来あるべき場所に戻さないと」

「責任感があるのはいいことだが、一人できたのはいささか無謀ではなかったのかね?」

「他の人たちはちょうど別の用事で動けなくて、僕一人だけしかこれなかったんです。・・・すみません。そのせいでなのはを巻き込んでしまって・・・」

「巻き込んでしまったこともそうだが、あと一歩で君が死んでもおかしくなかったんだ。どちらかと言えばそっちの方を反省してほしいね」

「大丈夫だよ、ユーノくん。なのはは多分平気だから」

 

一通りの話をユーノから聞き終えた剛となのは。

 

「さて、今日はもう遅い。そろそろなのはちゃんも家に帰らなければいけない。私が送っていこう。ご両親に事情を説明しなければいけないしね」

「えっと、それって?」

「心配はない、魔法関連までは話すつもりはないし、なのはちゃんが不利になるようなことは喋らないから」

「はい」

「それで、ユーノはどうしようか?私の家で保護するのもいいが?」

「あの!?ユーノくんは家で飼うことをお父さんやお母さんにもう話してあるので、家で預かってもいいですか?」

「そうか?まあそれでいいだろう」

 

そう言って引き下がる剛は心なしか残念そうな表情であった。

 

守宮剛は無類の小動物好きなのである。

 

実は今この時も、ユーノ撫で回したいのを我慢しているのだ。

 

「明日もう一度詳しいことを聞きたいから、もう一度ユーノを連れてこの公園に来てほしい」

「はーい」

「ユーノ。この件は私たち『零課』が引き受ける。君は安心して回復に専念するといい」

「ありがとうございます」

 

その後、剛はなのはを高町家に送り、『なのはがユーノの事で心配になって出てきたところを保護した』と言う説明で誤魔化した。

 




後半のユーノによる説明が若干微妙な感じになってしまいました
きちんとした文章で説明できるだけの文才がほしいです
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