魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~   作:DragonWill

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アースラ

アースラに転送された一同は廊下をクロノに案内され歩いていた。

 

「ねえ、ユーノくん。ここって一体?」

「時空管理局の次元航行船の中だね」

「そ、そうなんだ」

 

なのははユーノに尋ねてみたが、聞いても分からなかったようで、適当に相槌を打っておく。

 

「ああ、バリアジャケットは解除してくれ」

「は、はい」

 

クロノの指示でなのははデバイスを待機状態に戻し、剛と小林もホルスターと武器一式をクロノに預けた。

 

「君もだ」

「「「「「「?」」」」」」

 

すると、クロノはユーノにも声を掛ける。

 

一同は意味が分からずに首を傾げた。

 

「そっちが本来の姿じゃないんだろう?」

「ああ、そうでしたね。ずっとこの姿でしたから忘れていました」

 

そして、ユーノは変身魔法を解除し、翠色の光に包まれて人間の姿に戻って行った。

 

「なのはたちにこの姿を見せるのは久しぶりだね」

「「「・・・・・」」」

 

なのはたち3人は開いた口が塞がらず、ユーノを凝視していた。

 

そして、もう一人驚きを隠せない人がいた。

 

「そんな、まさか・・・」

 

それは剛であった。

 

「え!?俺達ならともかく、警部が気付いてなかったのですか!?」

 

小林が驚きの声を上げた。

 

それはそうだろう。

 

剛は天眼の力で、魔法を用いた変装なら間違いなく初見で見破ることができる。

 

その彼でさえ、まったく気づかなかったのだから。

 

「「「え~~~~~~~~~~~~~~~!!」」」

 

そこで3人が我に返り、驚きの絶叫の声を上げた。

 

「ユ、ユユユユユーノくんって、ユーノくんって、普通の男の子だったの~~~~~!?」

「あれ?僕は最初この姿だったんじゃ・・・・」

「最初からフェレットだったよ」

 

なのはの叫びに聞き返し、すずかの指摘に当時を回想するユーノ。

 

そして・・・・。

 

「あ、そう言えばそうだったね。ごめん。怪我のせいで記憶が混乱していたみたい」

「『記憶が混乱していたみたい』じゃないわよ!!」

 

アリサが激昂し、ユーノの肩を掴んで前後に激しく揺さぶりだした。

 

「あんた人間だったの!!それで今まで、あたしの指をなめたり、お腹擦り付けてきたり、膝の上に乗ったり・・・・むき~~~~~~~!!責任取りなさいよ!!」

「あわわわわ~!!アリサ落ち着いて!!フェレットモードだと感性が動物寄りになっちゃうんだよ」

「知ったこっちゃないわよ~~!!」

 

更に激しく揺さぶり始めたアリサ。

 

「ア、 アリサちゃん落ち着いて!!」

「ユーノくんが目を回しているよ!!」

 

なのはとすずかに止められ、ようやくアリサから解放されたユーノ。

 

「とりあえず、艦長を待たせているので、こちらの方を優先してくれないか?」

「「「「はい、すみません」」」」

 

クロノの一言で先に進みだす一同。

 

「失礼します」

 

一つの扉の前に立ったクロノが中に声を掛け、扉が開いた。

 

「「「「「「・・・・・・・・・・・・」」」」」」

 

地球組はその光景に言葉を失った。

 

なぜなら、その部屋の中には、盆栽、桜、茶道道具、鹿威しと言ったいかにも日本かぶれの外国人と言った風の部屋だったからである。

 

と言うより、いくら艦長と言えど、これほどの自室の改造は許されるのだろうか?

 

いかにも謎である。

 

「ねえ、ユーノ」

「どうしたの龍一?」

「地球は管理外世界、要するにまったく交流がない世界なんだよね?」

「そうだけど、どうしたの?」

「いや。何でもないんだ、何でもね・・・・・」

 

これ以上聞いても無駄だと悟った龍一はそれ以上聞くのを放棄した。

 

「みなさんも楽にしてください」

 

リンディの一言に一同は各々座りだす。

 

そして、全員の口から情報が語られ、事件の全体像が見えてくる。

 

「そう。あのロストロギア、ジュエルシードを発掘したのは貴方だったの」

「はい。それで、管理局が到着するまでの間、被害を抑えるために回収しようと」

「そう。立派だわ」

「だが、同時に無謀でもある」

 

クロノの言葉に、子供たちは非難の目を向ける。

 

「クロノ君!?いくらなんでも!?」

「確かに、対応が遅れた管理局に非がある。その点は謝罪しよう。だが、それとこれは別だ」

「でも!!ユーノくんは被害を出さないように動いていたんだよ!!」

「いや。この場合はクロノ執務官の言葉が正しい」

「警部さん!?」

 

なのはの反論に剛が諭す。

 

「被害を抑えられたのは結果論に過ぎない。それよりも、今回ユーノくんが一人でやってきたのはやっぱり無謀としか言いようがない」

「そうだ。事と次第によれば、君が命を落としていても不思議じゃない。そこは反省してくれ」

「す、すみません」

「あ、あの~、ロストロギアって?」

 

すずかがリンディに尋ねた。

 

「う~ん。遺失世界の遺産って言っても分からないわね。次元空間の中にはいくつもの世界があって、その中にはよくない形で進化しすぎてしまう世界があるの。進化しすぎた科学や技術が自分たちの世界を滅ぼしてしまって、その後に取り残された危険な遺産」

「それらを総称してロストロギアと呼んでいる。使用法は不明だが使いようによっては世界どころか、次元空間さえも滅ぼしかねない危険な技術。然るべき手続きを踏んで、然るべき場所に保管されていなければならない品物だ」

 

スケールが大きすぎてピンと来てないなのはに龍一が『要するに、オーパーツが実は小型核爆弾でした~みたいなもんだ』と強引に説明する。

 

「ジュエルシードとは次元干渉型のエネルギー結晶体。いくつか集めて特定の方法で起動させれば、次元震を引き起こし、最悪、次元断層さえも引き起こしかねない」

「君があの黒衣の魔導師とぶつかありあった際の振動と爆音、あれが次元振だよ」

「え?」

「たった一つのジュエルシードの全威力の何万分の一の発動でもあれだけの影響があるんだ。複数個集まって動かしたときの影響は計り知れない」

「聞いたことあります。旧暦462年、次元断層が起こった時の事」

「ああ。あれは酷いものだった」

「隣接するいくつもの次元世界が崩壊した、歴史に残る悲劇。繰り返しちゃいけないわ」

「そういうわけだから、できれば君たちが保管しているジュエルシードも引き渡してくれるとありがたいんだが」

「無理だ」

「理由を聞いてもよろしいかしら?」

「我々はユーノ・スクライアから正式に遺失物捜索の依頼を受けて回収作業にあたっている。故に我々が回収したジュエルシードはユーノくんに引き渡すことになるから他の人間に引き渡すのは問題がある。彼に引き渡した後なら好きにするといい」

 

こうして、ジュエルシードについての話が一通り終わり、次は剛たち地球組に魔法事情について話された。

 

「ったく、どこが魔法文明0だよ」

「確かに」

「前から不思議に思っていたんですけど、どうしてこんなに魔法技術が発展しているのに、一般には普及していないのでしょうか?」

「ふむ」

 

ユーノの質問に剛が答える。

 

「まあ、この世界では古今東西、小説や漫画の世界でも魔法とは秘匿されるものとされているが、それにはれっきとした理由がある」

「理由ですか?」

「今と昔ではその理由も違うが、最近の主な理由は、言ってしまえば『必要のない技術』だからだ」

「「「!?」」」

 

ミッド組が信じられないと言った表情で剛を見る。

 

当然だ。彼らにとって、魔法は社会の中心の技術であり、それが必要ないなどとはとても信じられないことである。

 

「知っての通り、魔法はリンカーコアが無ければ使用できない。技術において最も重要なのは何か分かるか?」

「何ですか?」

「『万人に万遍なく使用できる』ことだ。貴族社会が当たり前だった時代、つまり『生まれながらに持つ者、持たらざる者』が存在し、それが『当たり前の事』として受け入られていた時代ならば特に問題はなかったが、魔導技術の様な使用できるものとできないものが明確に分かれ、なおかつ、使用できる者にさえ激しい適性分別が存在するような不安定な技術は、現代の『万人が平等である』と言う民主主義に真っ向から反発するものだ。故に、世界は魔導の存在を隠してきた。それに産業革命以降の科学技術の発展によって、魔法技術が必ずしも必要な技術ではなくなったのも大きい。昔は魔法でしかできなかったことが科学でも代用できるのだからな。未来予想をしたいなら占術を使うよりスーパーコンピューターのシミュレーションをすればいい、連絡を取り合いたいなら念話じゃなくて携帯を使えばいい、そして、敵を打ち倒すなら射撃魔法ではなく銃を使った方がいいといった具合にね。その方が楽だし効率もいい。限られたものが極端にしか利用できない魔法技術と万人に万遍なく利用できる科学技術、どちらが世に淘汰されるかは明白であろう」

 

彼らには信じられなかった。

 

彼らにとって『万人に使える技術』とは禁忌の存在、つまりは質量兵器そのものの技術であるからだ。

 

彼らにとって肯定される技術が否定され、否定される技術が肯定される。

 

これは非常に大きなカルチャーショックである。

 

「そうですか」

 

リンディは辛うじて、その一言を呟くだけで精いっぱいだった。

 

その際、抹茶に砂糖とミルクを流し込み、口にしたため、地球組がドン引きしていたのは余談であろう。

 

「本来なら、この後の捜査は我々管理局が全権を持ちますと言うべきなのですが・・・・」

「当然、我々警察の管轄だ。我々が対処する」

「では、外部協力者という形で、協力させてくれませんか?このまま帰ってしまっては、我々の面目が立たないので」

「いいでしょう。情報提供と回収作業の手伝いと言うことで協力してもらおう」

「あ・・あの~」

「「?」」

 

二人の会話になのはが割って入った。

 

「わたしはどうすれば?」

「話を聞いていらだろう?君たちがこれ以上危険に巻き込まれる必要はない。元の世界でいつもの日常に戻るといい」

「でも、そんな・・・・」

「次元干渉が関わる事件だ。民間人に協力してもらうレベルをはるかに超えている」

「でも!!」

「まあ、急に言われても気持ちの整理もつかないでしょう?今晩ゆっくり、家族全員で話し合って、それから改めてお話をしましょ?」

「送っていこう、元の場所でいいね?」

 

クロノは立ち上がり、みんなを元の場所に送ろうとする。

 

「先に行っていたまえ。私と小林はこれからリンディ艦長と、今後の捜査方針で打ち合わせをさせてもらう」

 

そう言って、剛と小林を残し、子供たちは先に帰って行った。

 

「さて、リンディ艦長。一つ確認しておきたいことがある」

「何かしら?」

「先ほどクロノ執務官は言いましたな?『民間人に協力してもらうレベルではない』と」

「ええ」

「なのに貴方は『一晩ゆっくり考えて』と言った。なぜだ?我々は彼女のあまりもの警告無視による介入により封印処置を考えていた。貴方たちもそのように警告する、もしくは強制的にデバイスを取り上げるのが正しい対応のはずだ。なのになぜ、考える猶予を与える必要がある?」

「警部?」

「私にはあの娘を利用しようと考えているようにしか思えん」

「その根拠は?」

「まず、貴方たち管理局は慢性的に人手不足と聞きます。そこに突如現れた高い魔力の持ち主、喉から手が出るほど欲しい人材でしょう。さっき通り過ぎた乗組員がべた褒めしていましたよ。それに、クロノ執務官がいい証拠です。あれほどの幼い人物を就業させ、しかも、そちらにとっては何の後ろ盾もない世界にたった一人で派遣し、援護もない。それだけで、どれ程人材不足か分かります。責任問題の都合で、彼女に自主的に協力を申し出るように仕向けているとしか、私には思えてしょうがないのですがね?」

 

剛は殺気を放ちリンディを睨みつける。

 

本当ならば、今にでも縊り殺しそうな視線をリンディに向けるが、リンディは飄々と受け流す。

 

「それは邪推と言うものです。確かに、私たち管理局は人手不足。この艦でも、先ほどの戦闘に対応できるほどの権限と実力の両方を兼ね備えているクルーがクロノ執務官しかいないのが現状です。しかし、仮にも私たちは司法組織なのですよ?まあ、あの娘が望むなら管理局に入局するための口添えくらいはなさいますが、利用しようという魂胆など皆無ですよ」

「では、先ほどの言葉の理由は?」

「提督と言う地位は飾りではありません。私はこの地位に着くまでに多くの人を見てきました。あの娘のようなタイプは、他人にしつこく頭ごなしに押さえつけるとかえって危ないのですよ。だから、私は『家族と話し合って』と言ったのです。自分の娘が危険に首を突っ込もうとしていると知って、反対しない親はいないでしょう?あの娘も両親や家族に反対されれば、渋々引き下がってくれると思ったまでですよ」

「なるほど。そういうことにしておきましょう」

 

剛は殺気をおさめ、捜査方針について話し始めた。

 

「まず、今回の重要参考人のフェイト・テスタロッサさんですが・・・」

「なのはちゃんの証言や小林のサイコメトリーだと、自主的に犯罪を行っているのではなく、利用されているといった感じですかね・・・」

「それなら、幼児誘拐や犯罪組織を洗ってみるべきかしらね?・・・」

「でも、『母の為に』って言う強い想いも感じました・・・」

「それなら、彼女の母が人質になっているという可能性も・・・」

「それならテスタロッサ姓の女性の誘拐とかも当ってみましょう・・・」

「レイジングハートの記録映像なんですが・・・」

「彼女のデバイスは専用調整が施された特注品のようね・・・」

「そこから当たれないのか?・・・」

「一応調べてみましょう・・・」

「それと、今回のメンバー編成は私が決めたいので、この艦のクルー全員の情報提示をお願いしたいのですが・・・」

「分かりました。明日までには準備しておきます・・・」

 

こうして、彼らの会議は過ぎていった。

 

 

 

 

 

子供たちは先ほどの場所に返されていた。

 

「とりあえず、帰ろうか」

「うん」

 

なのはとユーノが互いに見つめあう。

 

「ああ~、もう!!何、甘い雰囲気出してんのよ!!」

 

そこにアリサが割って入ってきた。

 

「アリサちゃん」

「やれやれ」

 

すずかが止めようとし、龍一は呆れていた。

 

しばらくアリサが暴走した後、子供たちはそれぞれの帰路に着いた。

 

家に着いた時、ユーノの事を家族に説明し、驚愕されたものの、桃子はすぐに、ユーノの為に新しい食器と服と布団を用意してくれた。

 

ちなみに、その後、ユーノは恭也の部屋で寝ることとなった。

 




そう言えば、剛の声はクロノの父と同じ中田譲治だったな(一部に声優の無駄使いと言われているが)
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