魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~   作:DragonWill

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今回でいままでの剛のイメージが少し崩れるかもしれません


海上の決戦

なのはたちが協力することになった翌日。

 

アースラの会議室に子供組5人と剛、小林、そしてアースラ職員が集合していた。

 

「・・・・という訳で、本日0時をもって、本艦全乗組員(クルー)の任務は『ロストロギア、ジュエルシードの捜索と回収』に変更されます。また、今回の任務は現地組織の警察特務捜査機関が主導で行い、私たちは外部協力者と言う形でこの任務に当たるため、全乗組員(クルー)は捜査責任者である彼、守宮剛警部の指示に従うようにお願いします」

「「「「「「了解しました!!」」」」」」

 

リンディの言葉に頷く、アースラの面々。

 

「それと、今回は特例としてジュエルシードの発見者でもあり、結界魔導師でもあるユーノ・スクライアさん、現地協力者の高町なのはさん、アリサ・バニングさん、月村すずかさん、守宮龍一さん、以上5名が臨時局員の扱いで事態に当たってくれます」

「「「「「よろしくお願いします!!」」」」」

 

子供たちがアースラ組に挨拶した。

 

その際、なのはがクロノに微笑みかけたところ、クロノが赤面して顔を背け、ユーノがそれを面白くなさそうに眺めていた。

 

それをアリサとすずかが微笑ましそうに眺めていたのは余談であろう。

 

 

 

 

 

その後、子供たちはモニターがたくさん並べられてある部屋に移動した。

 

「ここは?」

「ここはモニタールームだ」

 

なのはの質問に剛が答える。

 

「昨日警察の要請でここら一帯の監視カメラの映像をここに送ってもらっている」

「それで?どうすればいいんですか?」

 

アリサが質問した。

 

「今回の事件の重要参考人であるフェイト・テスタロッサちゃんを近くで何度も目撃した君たちだからこそ頼みたい仕事だ。この部屋には随時町中の監視カメラの映像が流れてくる。その映像を君たちにチェックして、フェイトちゃんがいないか探してほしいんだ。見つけたらすぐに知らせてほしい」

「それだけですか?」

 

すずかが聞いてくる。

 

「それだけと言っても、送られてくる映像の量は膨大でそれをくまなく調べるのは根気のいる作業だ。でも、これは君たちにしかできないことなんだ。頼めるかい?」

「「「「「はい!!」」」」」

 

彼女たちが席についている一方で、剛は龍一を呼び出す。

 

そこに、何かに気付いたユーノも付いて来た。

 

「警部さん。この作業の目的って・・・・」

「気付いたかね?」

「しらばっくれるなよ。どうせ、フェイトが映っていない映像を選別して延々流すんだろ?」

 

ユーノと龍一は剛の目的に気付いた。

 

恐らくアリサも気付いているかもしれないが、なのはに傷ついてほしくない彼女は、たとえ気付いたとしても彼女に言う気はないだろう。

 

始めから顔認識システムで判別した、フェイトが映っている映像以外を延々と流すことで、彼女たちをこの部屋に釘づけにするのが彼の狙いなのだ。

 

彼女は名目上捜査に協力していることになるので、与えられた役割に満足感を覚えさせることができ、余計な行動を起こそうという気がなくなるのである。

 

「君たちにも、彼女が本当の目的に気付かないようにフォローしてほしい」

「「分かりました」」

 

男の子たちは剛の言葉に頷いた。

 

「ちょっと!!これは一体どういうことですか!?」

 

そこに、クロノが血相変えて入ってきた。

 

「一体どうしたと言うのかね?クロノ執務官?」

「どうしたもこうしたもない!!この人員配置表です!!」

 

そう言ってクロノはモニターを表示する。

 

その配置表には封印処理班に小林と機動隊の結界部隊、それにアースラの結界魔導師数名、そして被害を抑えるための戦闘実行班は剛とアースラの武装官数名・・・・クロノの名前がどこにもなかったのである。

 

「どうして僕の名前がないのですか!?僕の魔導師ランクはこの表に載っているどの武装官よりも高い!!なのになぜ、僕は参加できないのです!!」

「簡単な理由さ。この国はバイトを除けば原則として『18歳未満の人間を働かせてはならない』と決められている。特にこのような命の危険があるような仕事なら尚更、未成年である君を参加させるわけにはいかない。君には書類仕事と捜査を担当してもらいたい。本当ならそれさえタブーなのだが、これが妥協点だ」

「ふざけないでください!!魔導師でもない貴方が作戦に参加する方が危険です!!貴方こそ書類仕事に回ってください!!」

 

そこからは『未成年者が戦闘に参加すること』を問題視する剛の主張と『非魔導師が戦闘に参加すること』を問題視するクロノの主張の平行線であった。

 

しかし、しばらく続いたその話し合いは、龍一が漏らした『じゃあ模擬戦で決めたら?』の一言であっさりと決着した。

 

彼らは、訓練室に移動し、模擬戦で雌雄を決した。

 

子供たちだけでなく、何処からか話を聞きつけたリンディとエイミィも観戦している。

 

そこから先は終始一方的な展開だったので割愛しよう。

 

勿論、剛の勝利で終わった。

 

クロノのブレイズカノンを外功で防ぎ、スティンガーブレードを内功でへし折り、虚空瞬動で自由自在に空中を飛び跳ね、いくら攻撃しても、まるで意に返さず向かってくるさまはまるでホラーであった。

 

目の錯覚か、顔が真っ黒の影で覆われ、目が光り、口から蒸気を吹きだしているようにも見える。

 

天眼で見極めた防御魔法の構成が甘い部分を麻婆神父のマジカル八極拳のような正拳突きで砕かれ、音もない瞬動で背後に回られ、当身の衝撃をバリアジャケットの内側に通され、クロノはほとんど手も足も出なかった。

 

勿論、クロノもただやられていたわけではない。

 

戦略を立てて反撃もしたし、実際惜しい攻撃もあった。

 

しかし、年季が圧倒的に違うため、完全には通用せず、結局28分でダウンしてしまった。

 

剛が元いた特別機動隊で、トップクラスの実力だったことを考慮すれば、クロノは大分もった方である。

 

「ねえ、龍一くん?」

「何ですか?」

「お父さんって非魔導師よね?」

「そうですが?」

「あの動きは何?」

「次元世界には『気功術』がないんですか?」

「気功術?」

「『気』を用いて行う瞬動、外功、内功の3つの業の事です。魔力でもできますが」

「気って何?」

「魔力は空中の魔力素をリンカーコアで取り込んで変換したもの、要するに外から取り込んだエネルギーです。それに対して、気とは人間が生命活動をすることで発するもの、つまり体の内に持つエネルギーのことです。魔力はリンカーコアが無ければ使えませんが、気は生きてさえいれば誰もが持つ力です」

「誰でも?便利そうね」

「ぜんぜん便利じゃありませんよ。元々体内にあることを前提としたエネルギーですから、魔力と違って空中に放出するとすぐに霧散して使い物にならない上に、扱いが難しくて、さっき言った気功術以外に使用できないんです」

「そうですか・・・・・エイミィ、データは取れた?」

「バッチリです!!少し驚きましたけど、しっかり観測できてます!!」

「そう。剛さんはどうだった?」

「今出ます・・・・・・・出ました!!・・・・・・・・・・へ?」

「どうしたんですか?」

「・・・・です・・・・」

「?」

「・・・・・・陸戦・・・S+・・・・です」

「え、S+?」

「はい。間違いありません」

 

何と言うことか。

 

非魔導師でありながらオーバーSをたたき出してしまった。

 

しかも、明らかに手加減し、機動隊を離れたために若干現役より衰えている状態でこれである。

 

リンディとエイミィはその結果に呆然となった。

 

ちなみに、この模擬戦の後、クロノは剛の方針に素直に従い、その後も訓練室で剛に稽古をつけられるクロノの姿がしばしば目撃されるようになった。

 

 

 

 

 

アースラでの捜索が始まってしばらく経ち、ユーノとなのははアースラの食堂でクッキーを食べていた。

 

他の皆とは入れ替わり休憩中である。

 

「なかなか見つからないねー、フェイトちゃん」

「そうだね」

 

真相を知るだけに心苦しいユーノ。

 

「ごめんなのは」

「うん?」

「寂しくない?」

 

なのはたちは剛の方針で学校には通っているが、家には帰宅していない。

 

家族に会えずにさびい想いをしているのではないかと考えると、協力を提案したユーノは心苦しかった。

 

「ううん。ちっとも寂しくないよ。ユーノくんやアリサちゃん、すずかちゃん、龍一くんと一緒だし。一人ぼっちでも結構平気。ちっちゃい頃はよく一人だったから」

 

昔を思い出したのか暗い表情でなのはは語りだす。

 

「昔ね、わたしが小さい頃、お父さんが仕事の事故で大けがを負って、暫くベットから動けなくなったことがあるの。喫茶店も始めたばかりで、今ほど人気もなかったから、お母さんもお兄ちゃんもずっと忙しくて、お姉ちゃんはずっとお父さんの看病で、だからわたし、割と最近まで家で一人でいることが多かったの。だから、結構慣れてるの」

「そっか・・・」

「そう言えば、わたし、ユーノくんの家族の事とかあんまり知らないね」

「ああ・・・僕は元々一人だったから」

「え?そうなの?」

「捨て子だったみたいでね。どこかの遺跡に捨てられていたのをスクライアの部族に拾われて育ててくれたんだ。覚えている限りの最初の記憶は一面の雪景色と空から降り続ける雪だけ。だから両親はいなくてもスクライアの部族みんなが僕の家族なんだ」

「そっか・・・ねえユーノくん」

「?」

「いろいろ片付いたら、もっと色んなお話ししようね」

「うん。いろいろ片付いたらね」

 

二人は微笑みあい、またクッキーを食べ始めた。

 

(そうだよね。いろいろ片付いたらユーノくんは帰っちゃうんだよね・・・)

 

その可能性に気付き、無意識に表情が曇るなのは。

 

しかし・・・・・。

 

「くお~~~~らあ~~~~~!!」

「ふぇっ!?」

「うおっ!?」

 

それも突然のアリサの大声に吹き飛ばされた。

 

「なになに?どうしたの、アリサちゃん?」

「『どうしたの?』じゃないわよ!!なかなか帰ってこないから心配して探しに来てみれば、なにユーノとイチャイチャしているのよ!!」

「そんなんじゃないよ!!」

「なのはちゃん、その言い訳は苦しいよ」

「バカップルめが」

「はううっ!?」

 

一斉に指摘され真っ赤になるなのは。

 

ユーノはアリサの方に締め上げられていた。

 

その時・・・・・。

 

ビーーーーー!!ビーーーーー!!ビーーーーー!!

 

『エマージェンシー!!捜索範囲の海域にて大型の魔力反応を感知!!』

「「「「「!?」」」」」

 

突然警報が鳴り、なのはたちはデッキに移動する。

 

 

 

 

 

フェイトは洋上の魔法陣の上に立ち、大規模儀式魔法の準備をしていた。

 

「アルタス、クルタス、エイギアス、煌めきたる電神よ、今導きの元降り来たれ、バルエル、ザルエル、ブラウゼル」

(ジュエルシードは多分海の中、だけど細かい位置は特定できない。だから、大きな魔力流を叩き込んで強制発動させて位置を特定する。そのプランは間違ってないけど、でも、フェイト・・・・)

「撃つは雷、響くは轟雷、アルタス、クルタス、エイギアス」

 

儀式魔法が完成し、天空から雷光が降り注ぐ。

 

「はああああああ!!」

 

雷が海に降り注ぐと、海面からジュエルシードの光が立ち昇る。

 

「はあはあはあ・・・・見つけた。残り6つ」

(こんだけの魔力を打ち込んで、その上全部のジュエルシードを封印して、こんなの絶対にフェイトでも限界を超えているよ!!)

「アルフ!!空間結界とサポートをお願い!!」

「ああ!!任せな!!(・・・・だから、誰が来ようが、何が起きようが、あたしが絶対に守ってやる!!)」

 

ジュエルシードの魔力が暴走を始め、巨大な竜巻が発生した。

 

 

 

 

 

「なんて無茶をする娘なのかしら!!」

「無謀ですね。間違いなく自滅します。あれは個人が出せる魔力の限界を超えている」

「フェイトちゃん!!」

 

なのはたちがデッキに辿り着いた。

 

「あの!!あたし急いで現場に「その必要はない!!」え?」

「放っておけばあの娘は自滅する」

「「「!?」」」

「仮に自滅しなくても、力を使い果たしたところで叩けばいい」

「でも!!」

「今のうちに捕獲の準備を」

「了解」

「私たちは常に最善の選択をしなければならない。残酷に見えるかもしれないけど、これが現実」

「そんな・・・」

「なのはちゃん」

「なのは」

 

モニターには疲労困憊で今にも崩れ落ちそうなフェイトが映し出される。

 

なのはは最後の頼みの綱で剛を見るが。

 

「・・・・・・・・・」

 

剛は黙っているだけで何も答えない。

 

これが現実なのかとあきらめかけたその時・・・・・・。

 

(なのは、行って)

「!?」

 

ユーノからの念話に驚いてユーノを見つめるなのは。

 

(僕が何とかするから、行ってあの娘を・・・)

(でも、ユーノくん。わたしがあの娘と話したいのはユーノくんとは何の関係も・・・・・)

(そうだね。だけど、僕はなのはが困っているなら力になりたい。君が僕にそうしてくれたように・・・・)

 

そして、ユーノの背後のゲートが起動する。

 

そこになのはと龍一は飛び込んだ。

 

「君は!!」

 

クロノが止めようとしたが・・・・。

 

「チェーンバインド・エルキドゥ!!」

 

その前に、ユーノの長大なチェーンバインドがデッキ内を縦横無尽に駆け巡り、なのはと龍一の元へ行かせまいと立ち憚る。

 

「ごめんなさい!!高町なのは、指示を無視して勝手な行動を取ります!!」

「後は任せたよ、ユーノ」

「龍一のマンガにあったこのセリフ、一回でいいから言ってみたかったんだ・・・・・・『ここは僕に任せて先に行け』ってね!!」

 

ユーノは座標計算を終え、転移魔法を起動させる。

 

「ま、待て!!」

 

クロノが叫ぶがその肩を剛が掴み、首を左右に振り否定の意を示す。

 

「あの娘の結界内に転送!!」

 

そして、なのはと龍一は転送されていった。

 

 

 

 

 

「剛さん!!どうして止めたんです!!」

 

クロノが剛に突っかかる。

 

「自分でも最低の事をした自覚はある。幼いあの子たちが戦場に向かうのを許してしまったんだ、地獄に叩き込まれても文句を言えない大罪だろう」

「ならば、どうして!?」

「それでも、『これでよかったんじゃないかな』と思う自分もいるんだ」

「!?」

「君のやり方は賢し過ぎる(、、、、、)

 

剛の言葉に目を見開くクロノ。

 

「確かにこれは最善の方法だろう。私だっていつもなら同じ方法をとっていただろな。だが、これは違う。違いすぎる。ただ、母のためだけを思い、自分の身すら顧みずに血反吐吐いて奮闘する子供を見捨てる?見捨てるだと!!我々警察が!?我々零課が!?そしてこの私が!?否!!否!!断じて否だ!!舐めるなよ!!たかが天変地異ごときが、この私を止められると思うな!!」

 

途中からクロノに話しかけるのではなく完全に自分に言い聞かせるように叫び始めた。

 

「私も出よう。あの子を止めなかった責任は果たす。手足の一本や二本持っていかれても必ず生きて連れ戻す。リンディ提督」

「何ですか?」

「一時指揮権をあなたに託します。そのまま捕獲の準備をしてください。これは自分の我儘、付き合う必要はありませんので」

「分かりました」

「介入のタイミングは見誤らいでくださいよ。フェイトちゃんに死なれる訳にはいきませんし、事態を放置しすぎて、ジュエルシードが手が付けられなくなったらそれこそ本末転倒ですから」

 

そして、剛はユーノと共にゲートに向かう。

 

「まーた警部の悪い癖が出ましたね」

「癖?」

「警部はね、子供好きなんですよ。それも異常なほど」

「ロリコンなんですか?」

「そうじゃありません!!・・・・・いや、その可能性もあるかも?・・・・いやいや、今はその話ではなく!!あの人は子供の命と自分の命を天秤にかけて一秒も迷わずに子供の命を選ぶ人なんですよ」

「そうなのですか?」

「噂じゃあ、子供が人質に取られて、腹切りを犯人に要求されたとき、一瞬も躊躇せずに切腹したそうです」

「嘘ですよね?」

「普通腹を切ったら死んでしまうんで、嘘だと思うんですが、あの警部なら事実でも別に自分は驚きませんよ」

 

そして、小林の目線の先では、剛とユーノが転移していった。

 




タイトル詐欺です、すみません
実際の決戦は次回です
次回は最近影が薄い龍一が活躍予定です
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