魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~   作:DragonWill

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久しぶりの投稿です


親子の条件

アルフの口からフェイトを取り巻く現状を伝えられた剛たちは『プレシア・テスタロッサの捕縛』を最優先に動くことを決定した。

 

「あの、剛さん」

「どうしたんだい?」

 

なのはが剛に話しかけてきた。

 

「お願いします!!わたしにフェイトちゃんの相手をさせてください!!」

 

なのはは頭を下げ、そう懇願してきた。

 

「しかしだな・・・」

「父さん、この問題はなのはももう無関係という訳にはいかないよ」

「龍一?」

「それに多分ここにいるメンバーの中ではなのはが一番彼女を説得するのに向いていると思う。最初に出会ってから、馬鹿みたいにずっとあの娘に話しかけ続けていた彼女にしか・・・」

「分かった。そこまで言うのなら、一緒にあの娘を助けようじゃないか」

「「「「「はい!!」」」」」

 

子供たちは剛の言葉に頷いた。

 

 

 

 

 

翌日の早朝。

 

なのはたちは臨海公園の噴水前にいた。

 

「出てきて!!フェイトちゃん!!」

 

なのはがフェイトに呼びかける。

 

暫くして、背後に気配を感じたなのは。

 

振り返るとそこには、噴水の上に立っていたフェイトがいた。

 

「フェイト!!もうやめようよ!!」

 

アルフがフェイトに呼びかける。

 

「これ以上あの女の言いなりになっていたら・・・」

「だけど・・それでも私は・・あの人の娘だから」

「フェイト!!」

 

フェイトはアルフの必死の呼びかけにも止まらずにバルディッシュを構える。

 

「フェイトちゃんは止まれないし、私はフェイトちゃんを止めたい。きっかけはジュエルシード・・・・だから賭けて!!お互いの持っているすべてのジュエルシードを!!」

 

その一言をきっかけに、フェイトとなのはが戦いを開始する。

 

アルフ、ユーノ、龍一は結界を張って戦闘に備える。

 

 

 

 

 

「戦闘が始まったか・・・・」

「うん・・・」

「なのは」

「なのはちゃん」

 

クロノ、エイミィ、アリサ、すずかがモニタールームでなのはたちの戦闘風景を眺めていた。

 

「戦闘空域の固定化は大丈夫かい?」

「大丈夫。あの三人の三重結界の中にアースラ自慢のダミー建造物付の戦闘訓練場を用意したから、中でどんなに壊されても平気だし、周囲に絶対に気付かれることもないよ」

「そうか」

「でも珍しいね」

「何がだ?」

「クロノ君がこういうギャンブルを許可するなんて・・・・それに剛さんも」

「警部が?」

「あの人、あんなになのはちゃんが事件に関わることを拒んでいたのに」

「事件にはな・・・・『喧嘩』なら別みたいだ。あの娘たちには時にぶつかり合った方が分かり合いやすいだろうってな」

「これを『喧嘩』って」

 

エイミィも目の前にはAAAランク同士の戦いが繰り広げられていた。

 

正直こんな戦い、管理局でもそうそう見られない。

 

「それに、この戦いはどちらに転んでもマイナスにはならないからね」

 

実際そうである。

 

すでに全てのジュエルシードがどちらかに捕獲されている以上、フェイトがこれ以上ジュエルシードを求めるなら管理局に直接乗り込むしかない。

 

だが、いくらなんでも彼女一人では、それは無謀でしかない。

 

そこでなのはと言う餌を用意したのである。

 

管理局を相手にするのは無謀でしかないが、10にも満たない少女ならやりようがある。

 

そこに食いついて来たのである。

 

警察にとっての勝利条件とは犯罪者に勝利することではなく、犯人を逮捕することである。

 

引きこもり続けるモグラの巣穴を発見するのは困難でも一度出てきたモグラを追えば簡単に見つけ出せる。

 

なのはが勝利すればフェイトのジュエルシードが手に入りフェイトから情報を聞き出せる。

 

フェイトが勝ったとしても、帰還場所を追跡することで一網打尽にできる。

 

どちらに転んでも、彼らにはメリットでしかないのだ。

 

「なのはちゃんが時間を稼いでくれている間にフェイトちゃんの帰還先追跡準備っと・・・」

「頼りにしているんだ、逃がさないでくれよ」

「分かってるよクロノ君」

 

着々とエイミィは追跡の準備を進めるていた。

 

 

 

 

 

一方、なのはたちの戦いも佳境に入っていた。

 

なのはの誘導弾とフェイトの魔法刃が空中を舞う。

 

『ライトニングバインド』

「あうっ!!」

 

なのはの四肢をフェイトのバインドが固定する。

 

「あれはライトニングバインド!!まずい!!フェイト本気だ!!」

「手を出すな!!」

 

止めようとするアルフを龍一が止めた。

 

「何で止めるのさ!?フェイトは本気だよ!!あのままじゃあの娘だって・・・」

「あれはなのはの戦いだ!!ここで手を出しては意味がない!!」

「でも!!・・・・お前も何で黙っているのさ!!使い魔だろ!?」

 

アルフは怒りの矛先をユーノに向ける。

 

「使い魔じゃないよ!!・・・・僕もなのはを信じているからね・・・」

 

激昂するアルフに対し笑みを浮かべて答えるユーノ。

 

しかし、ユーノは左手で右の腕を力いっぱい握りしめていた。

 

「お前・・・・・」

「ユーノ・・・・」

 

それに気づいた二人が声を漏らす。

 

本当は今すぐにでも飛び出したいはずだ。

 

でも、なのはを想い、あえて手を出さずに自分を抑える姿にそれ以上何も言えなくなってしまった。

 

「ファランクス・・・・・打ち砕け!!」

 

フェイトが展開した大量の魔力弾がなのはに殺到する。

 

「スパークエンド!!」

 

残った魔力弾を集め、槍の形に集束して放った。

 

雷槍はなのはに向かい、集束を解放して大爆発を引き起こす。

 

「はあ・・・はあ・・・・はあ・・・・・・・」

 

フェイトは勝利を確信していた。

 

しかし・・・・・・・。

 

「なあっ!?」

 

なのははボロボロになりながらも戦意をしっかり保っていた。

 

「今度はこっちの番!!」

 

なのははレイジングハートをカノンモードに変形させ、その砲口をフェイトに向ける。

 

「させない!!」

 

阻止しようと動くフェイトだが・・・・。

 

『レストリクロック』

 

バインドにより動きを止められてしまった。

 

「まさか、一度見ただけで!?」

 

なのはは一度見たバインドを模倣し、フェイトの弾幕を受けながらもバインドを設置していたのである。

 

「ディバイーーーーーンバスターーーーーーーーーーーーーーーー!!」

 

なのはの魔力砲がフェイトに襲い掛かる。

 

フェイトはラウンドシールドを展開してそれを防ぐ。

 

(あの娘も耐え切ったんだ。あたしだって!!)

 

熾烈を極めた攻防であったが、フェイトは遂になのはの攻撃を耐え切った。

 

(なんとか・・・・・耐え切った・・・)

 

安心したフェイト。

 

しかし、直ぐに気付いた。

 

周りの魔力が一か所に急速に集められていることに。

 

「まさか!?集束砲撃!?」

『スターライトブレイカー』

「(使い切れずにばらまいちゃった魔力をもう一度自分の所に集める。レイジングハートと考えて最後の切り札)受けてみて!!ディバインバスターのバリエーション!!」

 

なのはの前に集まった魔力の塊は徐々に大きくなっていく。

 

「これが私の全力全開!!」

「うう・・ああああああああああ!!」

 

フェイトは自分の前に5重の魔法陣を展開し、防御力を最大限にまで高める。

 

「スター――――ライト―――――ブレイカ―――――――――!!」

 

レイジングハートが振り下ろされ、魔力の塊が弾ける。

 

その流れはフェイトの方に向かい、莫大な魔力流となって襲い掛かった。

 

撃ち下ろされた砲撃はフェイトの防御を一瞬で叩き潰した。

 

 

 

 

 

「なんつー馬鹿魔力だ・・・・」

「うわああ・・・・フェイトちゃん・・・・・生きてるかな・・・・」

「物騒なこと言わないでよ!!」

「フェイトちゃん」

 

アースラではなのはの潜在能力に慄いていた。

 

「これからはなのはのこと怒らせないようにしないとね」

「そうだね」

 

 

 

 

 

「フェイト――――――!!」

 

アルフは叫びながら、気絶し海に落ちていくフェイトの元に向かった。

 

「何あの人間核兵器?」

「女の子にかける言葉じゃないよ」

 

なのはを擁護しながらも、ユーノの顔は引き攣っていた。

 

資質はあると思っていても、まさかこれほどだとは思わなかったであろう。

 

その表情に『難儀な奴に惚れたな』と思いながら、生暖かい表情を浮かべ、ユーノの肩に手を置く龍一。

 

「まあ・・・・その・・・・・なんだ・・・・・とりあえず頑張れよ」

「何を!?」

 

 

 

 

 

「クロノ君!!来たよ!!」

 

アースラ内にアラーム音が鳴り響く。

 

モニターにはジュエルシードを放出したフェイトに対し、雷撃が襲い掛かる様子が映し出されていた。

 

そして、そこにはジュエルシードが転送される様子も映し出されていた。

 

「エイミィ!!追跡を!!」

「もうやってるよ!!座標特定、送ります!!」

 

艦長室からリンディの指令が飛ぶ。

 

「全武装局員は転送ポートから目標座標ポイントへ転送!!任務は容疑者プレシア・テスタロッサの拘束です!!」

「「「「「「了解!!」」」」」」

 

小林を含む機動隊と管理局員が突入していった。

 

「リンディ提督、来たみたいだ」

 

剛の声に振り替えると、簡単な拘束具を着けられたフェイトとアルフがなのはたちに連れられてやって来ていた。

 

「お疲れ様」

 

リンディがフェイトに近づいていく。

 

「初めまして。フェイトさんでいいのかな?」

「・・・・・・・・・うん・・・・・・・・」

 

丁度その時、モニターがプレシアの場面に切り替わった。

 

「高町、場所を移すよ」

「え?でも・・・」

 

不思議そうにこちらを見るみんなに対して、フェイトに聞こえないように小声で話す。

 

「(あの娘に母親が逮捕されるところを見せる気か?)」

「(あ、うん。そうだね)・・・・・フェイトちゃんよかったら・・・」

『私のアリシアに近寄らないで!!』

「「「え?」」」

 

なのはたちはモニターを眺めて驚愕していた。

 

そこにはフェイトそっくりの、しかし少し幼い少女が浮かぶカプセルが鎮座していたのである。

 

『もう駄目ね。時間がないわ。・・・たった9個のジュエルシードでは、アルハザードにたどり着けるかどうか分からないけど・・・。もういいわ、終わりにする』

 

そのカプセルに寄り添いながらプレシアは喋り出す。

 

『この娘を亡くしてからの時間も、この娘の身代わりの人形を娘扱いするのも・・・』

 

最初、なのはたちには彼女が何を言っているのか全く理解できなかった。

 

『聞いている?あなたの事よ、フェイト。せっかくアリシアの記憶をあげたのに、そっくりなのは見た目だけ。役立たずでちっとも使えない、私のお人形』

「かつて、プレシア・テスタロッサが引き起こした事故で娘のアリシア・テスタロッサが亡くなった後、彼女が行方をくらませるまで行っていた研究。それは、使い魔を超えた人造生命の生成と死者蘇生の技術」

「記憶転写型特殊クローン技術、通称『プロジェクトF.A.T.E』」

 

エイミィとクロノの説明に言葉を失う一同。

 

『良く調べたわね。そうよ。その通り。・・・・でも駄目ね。ちっとも上手くいかなかった。・・・所詮作り物の命は作り物に過ぎなかった。失ったものの代わりにはならないの。・・・アリシアはもっと優しく笑ってくれたわ。我儘も言ったけど、私の言うことをよく聞いてくれた』

「やめて・・・」

 

プレシアの言い様になのはが呟いていた。

 

これ以上喋らせてはいけない。

 

ここから先を聞かされては、もうフェイトちゃんの何かが決定的に壊れてしまう。

 

確信はないが、そんな漠然とした不安が胸によぎっていた。

 

『アリシアはいつでも私に優しかった。・・・フェイト、あなたはやっぱりアリシアの偽物。私の娘じゃないわ。せっかくあなたにあげたアリシアの記憶もあなたじゃ駄目だった』

「やめて・・・やめてよ!!」

 

なのはは泣きそうな声で叫ぶがプレシアは耳を貸さずに続けた。

 

『アリシアを甦らせるまでの間に私が慰みに使うだけのお人形、だからあなたはもういらないのよ。どこへなりと消えなさい!!』

「お願い!!もうやめて!!」

『いいことを教えてあげるわ。あなたを作り出してからずっと、私はあなたが大嫌いだったのよ!!』

 

その一言に、フェイトはバルディッシュを落とし、崩れ落ちてしまった。

 

「「「フェイトちゃん!!」」」

 

なのはたちが崩れ落ちるフェイトを支える。

 

「・・・・けんじゃ・・・・・・ないわよ・・・・・・」

「あん?」

「ふざけんじゃないわよ!!あんた何様のつもり!!自分で作っておきながら、気に入らないから捨てるって、それでも母親なの!?」

 

震える声でプレシアを怒鳴りつけるアリサだが、プレシアは彼女を虫けらを眺めるような瞳で見つめるだけであった。

 

「大変です!!時の庭園内に魔力反応多数!!」

「「「「「!?」」」」」

 

モニターに多数の魔力反応が出現する。

 

プレシアが保有する多数の魔導傀儡兵が庭園内に出現したのだ。

 

「魔力反応、いずれもAクラス!!」

「総数60・・80・・・まだ増えます!!」

「プレシアは一体何をする気なの!?」

『私たちの旅は誰にも邪魔はさせない。私たちは旅立つの。失われた都、アルハザードへ!!』

 

彼女の前にジュエルシードが出現し回転を始める。

 

回転は徐々に速くなり、それにつられて魔力反応が加速度的に上昇していく。

 

『この力で取り戻すの!!全てを!!』

 

その声を引き金に、異変が起こる。

 

「ジュエルシード9個発動!!次元振です!!」

「すぐに耐震動装置を!!」

「どんどん強くなっていきます!!このままだと次元断層が!!」

 

アラームが鳴り響き、局員が慌ただしく対処する。

 

 

 

 

 

一方、クロノと剛は転送ゲートに向かっていた。

 

「クロノ執務官!!アルハザードとは?」

「・・・・忘却の都、アルハザード。禁断の秘術が眠る土地。かつてこの世のありとあらゆる秘術を収め、出来ぬことはないとまで言われた栄華を誇ったと言われる伝説の都さ」

「伝説の?」

「あるかどうかでさえ定かではない。そんなところへ行って、一体何をするつもりだ!?」

「とにかく急ごう。私は沸点は低い方だと自覚はしているが、今回ばかりは、来るものがある」

 

そう言うと、クロノが胡散臭そうな目で剛を見つめてきた・

 

「何だね?その目は?」

「・・・・・いえ。何でも・・・・」

 

この間の海上決戦での暴走の件を思い出しながら、『本当か?』と考えていたクロノであった。

 

 

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