魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~   作:DragonWill

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久しぶりの更新です。今回は少し短めです。それと活動報告にも書きましたが、剛の過去で『母に連れられて家を出た』といった描写を『家を出た後、母の親友の家に世話になった』に変更しました。



時の庭園・後篇

「「はああああああああああああああああ!!」」

 

戦況は拮抗していた。

 

片やジュエルシードの魔力を利用した莫大な魔力弾。

 

もう片や血壊の音速駆動を利用した空気弾。

 

周囲にあたりを埋め尽くし一片の避ける隙間のない雷撃を空間ごと殴りつけて逸らすという荒業を見せていた。

 

しかし、互いに追い詰められているのも事実である。

 

病魔に侵されたプレシアは本来なら絶対安静を強いられる状況であり、剛も血壊の発動により刻一刻と命を削り続けている。

 

殆ど互いに意地で立っているようなものである。

 

「どうしてなの!?どうしてそんなになっても私の邪魔をするの!?」

 

プレシアの声が広場に響く。

 

それは怒っているようにも泣いているようにも聞こえた。

 

「私はただ娘にもう一度会いたいだけなのよ!?たったそれだけの願いも叶えられないの!?」

 

気が付けばプレシアの攻撃は止んでいた。

 

「確かに、君の境遇には同情するし・・・亡くした人にただ会いたくてここまできた君の執念と愛には素直に敬意を表する。私も愛する妻を亡くした身であるからよく痛感するよ」

「だったら・・・!?」

「だが!!だからこそ、私は貴女の行いだけは認めることは出来ない!!」

「!?」

「もう二度と会えぬ愛する者にもう一度会える・・・・なるほど、それはきっと素晴らしいことなんだろう・・・それはきっと甘美に違いない。だが、冗談じゃない!!いかに理不尽であろうとも、私たちはそれを乗り越えていかねばならない!!悲しいのは君だけだと思うな!!君の行いはそれを乗り越えたすべての人間に対する冒涜だ!!私も息子も、何よりも妻本人がそのように甦らされることなど思いなどしない!!」

「・・・黙れ」

「だからこそ、私は貴女の行いを心底憎む。大魔導師プレシア・テスタロッサを認めない!!」

「黙れえええぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!」

 

この二人はある意味似た者同士だ。

 

理不尽な事故で娘を失ったものと理不尽な病で妻を失ったもの。

 

どちらもその痛みをよく知るし、それを取り戻すことの甘美もよく知っている。

 

だからこそ、それは互いに認められることではないのだ。

 

再び先ほどの比じゃない魔力弾を放つプレシア。

 

その魔力弾の一部を殴りつけて、ビリヤードの様に他の魔力弾の軌道を逸らして、そこに生まれる僅かな隙間を掻い潜ってプレシアに近づく剛。

 

「貴方に何が分かる!!私にはアリシアしかいなかった!!私の残りの愛も時間も全て彼女にあげるはずだった!!あの娘さえいてくれればそれでよかったのに!!」

「どうして・・・どうしてあの娘を、フェイトを娘と認識してあげられない!!」

「あんな出来損ないの「違う!!」・・・何?」

「ただ怖いだけだろ!!怯えているだけだろ!!フェイトの存在を認めて、アリシアとの思い出が薄れるのが怖いか!?アリシアとの思い出よりフェイトとの思い出が増えるのが怖いか!?フェイトに与えられた愛情をアリシアに与えられなかったことが怖いか!?違うだろ!!どうしてフェイトの肯定がアリシアの否定に繋がる!?どっちもあんたの娘で否定なんかできやしないんだ!!」

「何を馬鹿な・・・」

「ならば何でさっき咄嗟にフェイトを助けようとした!?」

「「「「!?」」」」

 

その言葉にその場の全員が驚いた。

 

「何を・・・」

「私の眼をごまかせると思うな!!さっき貴女は崩れ落ちる柱に対し咄嗟に砲撃魔法を放とうとしていた!!本当は貴女も心の奥底ではフェイトを娘として愛していたんじゃないか!?」

 

その一言にかつての記憶がよみがえる。

 

かつて研究で忙しく、アリシアにあまり構ってあげられなかった頃。

 

アリシアの誕生日に何が欲しいか聞いたことがあった。

 

普段の罪悪感からかできるだけ娘の願いを聞いてあげたいと意気込んでいたのだが、よりによって娘の答えは・・・・。

 

『じゃあ、私は妹が欲しい』

 

『妹がいれば一人でのお留守番も寂しくないもん』

 

などと言ってきて途方に暮れたものだ。

 

なぜ、今になってこのことを思い出したのか。

 

それは彼女本人にも分からなかった。

 

「!?」

 

ふと気が付けば剛はもうあと数歩でプレシアに拳が届く距離まで来ていた。

 

「あああああああああああああああああああ!!死になさい!!」

 

そして、プレシアは杖を剛に叩き付ける。

 

なぜそんな行動を取ってしまったのか彼女にも分からない。

 

この行動はどう考えても失策であり無謀な行動である。

 

しかし・・・・。

 

(ああ、そうか・・・)

 

プレシアの泣きそうな表情を見て、剛だけは気付いていた。

 

小林のレアスキルを使うまでもなく彼女の心が手に取るように分かった。

 

(もう、自分の意志では止まれないのだな)

 

そう、言うならば彼女はブレーキを無くした暴走列車だ。

 

自分の意志では止まれず、終点に突っ込む(自滅する)脱線させる(誰かに止めてもらう)しか止めることは出来ない。

 

(ならば貴女を止めてちょっとだけ救ってやる)

 

そして剛の拳がプレシアの顔面に吸い込まれる。

 

(もう一度やり直してこい!!この大馬鹿野郎!!)

 

そして彼女はノーバウンドで吹っ飛びそのまま動かなくなった。

 

 

 

「はあ、はあ・・・・」

 

血壊でボロボロの体を引きずり、剛はプレシアの近くに来た。

 

「私の負け・・・なのね」

「そうだ。貴方の負けだよ」

「・・・・・そう」

「鏡があれば見せてみたいよ」

「?」

「今の貴女すごくすっきりした顔をしているぞ」

 

プレシアはアリシアのポッドに寄りかかりながら立ち上がる。

 

「初めて貴女の顔が美しいく感じたよ」

「な!?」

「そんな表情もできるんだな」

「なななな、何言ってるのよ!!もう!!」

 

そう言ってプレシアは剛を殴りつけるが、体がボロボロなのでポカポカ程度の威力しかない。

 

「「フフ、アハハハハハハ!!」」

 

そしてどちらともなく笑い出す。

 

しかし・・・・・。

 

その笑顔は。

 

アリシアのポットの床に入ったヒビで途切れる。

 

「あ!!アリシアが!!」

 

プレシアはアリシアのポットに手を伸ばすもその手は届かない。

 

「いやああああああああああああああああああああああああああ!!アリシア!!アリシア!!アリシアァァァァァァァァアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!」

 

そして虚数空間に落ちていくアリシアのポッド。

 

しかし・・・・。

 

「ふっ!!」

 

剛がそれを追うように虚数空間に飛び込み、床に鬼切を突き立ててポットを掴んで落下を防ぐ。

 

「ぐあああああ!!」

 

しかし、全身の激痛に手を放しそうになるのを気力だけで防ぐ。

 

「ああ、アリシア!!」

「母さん!!」

 

プレシアとフェイトが近寄ろうとするが、プレシアにはもう体力など残っておらず、フェイトも崩壊により床の崩れで近づけない。

 

(あれ?これって本気でやばい?)

 

剛が本気でどうしようか思案していると、天井が砲撃により破壊され天使(なのは)が舞い降りた。

 

「フェイトちゃん!!」

「(チャンス!!)・・・なのはちゃん!!この娘を頼む!!」

「へ?・・・・って、にゃああああああああああああああああああああああ!!」

 

剛はもう一度血壊を使用し、アリシアをなのはに向かって投げた(、、、、、、、、、、、)

 

何とか空中でキャッチしたなのは。

剛はフェイトとクロノによって引き上げられた。

 

「でも、どうしてこんなことを?」

「なに?」

「貴方の命も危なかったのに」

「知らん。体が勝手に動いてた」

「勝手にって・・・」

「でも、ただな・・・・・」

「ただ、何?」

「あんな場所にアリシアちゃんの遺体を残していったら、寂しいだろ?」

 

その言葉にプレシアは呆気にとられてしまった。

 

その後はアルフがプレシアを、フェイトとクロノが剛を、なのはがアリシアを運びアースラへと戻って行った。

 




ようやく次回で無印編のエピローグです。
擬似サーバントシステムでアリシア生存ルートも考えていましたが、それではあまりのも御都合主義がすぎるのでボツにしました。
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