魔法少女リリカルなのは~結界使いの転生者~   作:DragonWill

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転校と邂逅

春休みが終わり、新学期が始まった。

 

今日は龍一が聖祥大附属小学校に転校する日である。

 

「みなさん、おはようございます!!」

「「「「おはようございまーーーす!!」」」」

 

龍一は教室の外で待機していると、教室内から担任の先生の声とその後から、これからクラスメートとなる子供たちの元気いっぱいの声が続いてきた。

 

「早速ですが、今日から皆さんと一緒にお勉強する新しいお友達を紹介します!!」

「先生!!男の子ですか!?女の子ですか!?」

「男の子ですよ!!みなさん仲良くしてあげてくださいね!!それでは守宮君、入ってきてください!!」

 

先生の呼ぶ声が響くと、扉が開き、龍一は教室に入っていった。

 

 

 

 

 

時は少し遡り、教室内では・・・。

 

「それで、どうなの?春休みに助けてくれた男の子は見つかったの、なのは?」

「ううん。いろいろ探してみたけど、やっぱり顔だけじゃ見つからないの」

「せめて、名前だけでも聞いていれば探しようがあるのにね」

 

アリサ、なのは、すずかの三人が談笑していた。

 

議題は『春休みになのはを不良たちから助けた少年』についてである。

 

勘のいい読者にはお分かりだろうが、春休みに龍一が助けた女の子こそ、ここにいる高町なのはその人であり、あれから、なのはは龍一に対して、一言お礼が言いたくて、いろいろ探していたが、結局は見つからずじまいで、今に至るわけである。

 

図らずしも、龍一の知らないところで、『原作に関わらない』という方針は打ち砕かれていたようである。

 

「話は変わるけど、今日転校生が来るみたいなんだけど、聞いた?」

「え?そうなの?初耳なの」

「鈍いわね、なのは。クラス中その噂でもちきりよ」

「まあ。なのはちゃんは白馬の王子様探しでそれどころじゃないみたいだしね」

「す、すずかちゃん!!そんなんじゃないよ!!」

「あはは、案外その転校生がその王子様だったりして」

「すずか、本の読みすぎよ。そんなドラマみたいな展開あるワケないでしょ」

「アリサちゃんも。そんなんじゃないよ!!」

 

顔を真っ赤にしながら反論するなのは。

 

「はーい。みんな席について!!」

 

そうこうしているうちに、チャイムが鳴って、先生が入ってきた。

 

「早速ですが、今日から皆さんと一緒にお勉強する新しいお友達を紹介します!!」

「先生!!男の子ですか!?女の子ですか!?」

「男の子ですよ!!みなさん仲良くしてあげてくださいね!!それでは守宮君、入ってきてください!!」

 

先生の言葉と共に、一人の男の子が入ってくる。

 

(へ!?嘘なの!?)

 

なのはは、その男の子を見て驚いた。

 

すずかの言った通り、名前すら知らない、不良たちから助けてくれた恩人が転校生として現れたからである。

 

先生が黒板に龍一の名前を大きく書いていく。

 

「初めまして。守宮龍一です。お父さんの仕事の都合でこの海鳴市に来ました。特技は弓道で憧れの偉人はムハマド・ガンディーです。どうぞよろしくお願いします」

「それでは、この時間は守宮くんが早くみんなと仲良くなれるように、質問タイムとします。みんな、守宮くんに何か聞きたいことはないかな?」

 

先生がそう言うと、クラス中から様々な質問が龍一に向かって飛んできた。

 

「前の学校はどんなとこだったの?」

「今は何処に住んでるの?」

「守宮くんのパパってどんな仕事してるの?」

「『きゅうどう』って何?」

「『がんじー』って誰?」

「俺のなのは達に手を出すなよ!!モブが!!」

 

クラスメイトから矢継早に浴びせかけられる質問の山(最後だけ妙なものが混じっていたが)に龍一が項垂れていると。

 

Be quiet(静かにしなさい)!!そんなに一片に喋られちゃ答えられないでしょ!!」

 

リーダーシップに定評があり、常にクラスのまとめ役となる、アリサがクラスメイトを仕切り始めた。

 

「はいはい。質問は一人一つずつで、順番にお願いね」

 

アリサ仕切りで一つ一つ、順番に龍一にクラスのみんなが質問していく。

 

そして、あらかたの質問が出尽くし、誰も質問しなくなったころ。

 

「あ・・・あの・・・」

「?」

 

なのはは思い切って、龍一に話しかけた。

 

「この間は助けていただいてありがとう」

「君は・・・まさかこの間の?」

「うん。あの時は助けてくれてありがとう。わたしの名前は高町なのは。なのはって呼んで」

「っ!?」

「なのはちゃん?もしかして、春休みに不良たちから助けてくれた男の子って?」

「うん。この人だよ、すずかちゃん」

「っ!!??」

「へえ、まさかすずかの言う通りになるなんてねえ。あたしはアリサ・バニングス。なのはの友達よ」

「私は月村すずか。よろしくね」

「あ、ああ・・・・・よろしく」

 

こうして、この日一日は過ぎていった。

 

 

 

 

 

(はー。しくった)

 

放課後、龍一は項垂れていた。

 

(まさか、あの時助けた女の子が高町だったとはなあ)

 

実を言うと、龍一はあの時、助けた女の子と今後関わることになるとは思っておらず、ろくに相手に顔を見ておらず、言うことにも耳を貸さなかったので、相手がなのはだとは最後まで本気で気付かなかったのである。

 

(まずい。このままだと高い確率で原作に関わる羽目に・・・)

 

前世での原作知識の感想として、高町なのはという人間は幼少期のトラウマのせいか、男女の違いのせいかは分からないが『人との関わりを何よりの大切にする』タイプの人間である。

 

一度何らかの形で縁ができれば、積極的に相手の奥に入りこんで、多少強引でも、その相手のことをよく知ろうとする性格のようだ。

 

しかも、今回はクラスメイトとしてだけではなく、不良から助けた恩人として彼女に関わってしまったのだ。

 

確実に、今日挨拶してそのまま縁が切れることはないだろう。

 

(まあ、仕方ないか)

 

気持ちを切り替え、これからの事に対して『どのように関わらないようにする』のではなく『どのように切り抜けるか』を考えるようにしようとしたその時・・・。

 

「おい、モブ野郎!!」

 

突然、後ろから声を掛けられた。

 

「?」

 

声の方を振り返ってみると・・・。

 

銀髪にオッドアイの少年がこちらを睨みつけていた。

 

「あの・・・何の用?」

「俺のなのはたちに話しかけんなよ!!」

 

いきなり意味不明なことを叫ぶ少年に龍一は困惑する。

 

(うん?待てよ、銀髪オッドアイにこのダダ漏れも魔力・・・もしかしてあの糞ババアの言ってたもう一人の転生者か?)

「・・・・・・・・・・・・・ってことだ!!だから俺の嫁たちにちょっかい出すんじゃねえぞ!!いいな!!」

 

適当なことを考えているうちに、少年は言いたいことだけ言い終えて、とっとと帰ってしまった。

 

「何だったんだ、一体?」

「龍一くん、大丈夫だった?」

「あんたも災難ね」

「なんかごめんね。私たちのせいで」

 

オッドアイの少年が去った後、なのはたちが声を掛けてきた。

 

「彼は?」

「ああ・・・あいつは(とどろき)皇治(こうじ)っていうの」

「(凄い名前だな・・・)君たちが自分の嫁って・・・」

「あれはアイツがそう言い張ってるだけよ!!」

「そうだよ!!何度違うって言っても聞いてくれないし!!」

「やめてって言っても、何度も頭を撫でようとしてくるの!!」

 

どうやら三人娘からは大変不評である。

 

「君たち、苦労してるんだな・・・」

 

とりあえず同情だけはしておこう。

 

「それでね、龍一くん」

「どうしたんだ、高町?」

「なのはって呼んでよ」

「今日会ったばかりの人に・・・ましてや女の子に対していきなり下の名前で呼ぶなんて出来ないよ」

「あたし達はそんなこと気にしないわよ」

「そっちはそっち、こっちはこっちだ。前の学校じゃ、親しい間でも名字で呼び合ってたんだから、勘弁してくれよ」

「むー」

 

ふくれっ面のなのはが名前で呼ばせようと催促してくるが、龍一が頑として反対していると、諦めたらしく話を切り出してきた。

 

「それで、さっきのお詫びとこの間のお礼がしたいから、今日うちに来てほしいの」

「いや、別に気にしてないし、高町が責任を負う必要なんかないだろ。それにこの間は、僕が不愉快だったから勝手にやっただけで、君に会うまで忘れてたくらいなんだから」

「まあまあ。減るもんじゃないしいいでしょ?なのはちゃんの実家は『翠屋』って言うお菓子屋さんだから、シュークリーム食べさせてくれるよ」

「そうよ!!Lady(レディー)の誘いを断るなんてGentleman(紳士)のすることじゃないわ!!」

「ああ。分かったよ」

 

梃子でも動かなそうな3人の態度に、特に断る理由もない龍一は頷いた。

 

 

 

 

 

3人に誘われて、龍一は翠屋にやってきた。

 

「ただいまー」

「「おじゃましまーす」」

「どうも・・・」

 

今の時間帯は午後4時。

 

翠屋の顧客対象である中高生は、まだ授業中で翠屋はそんなにお客はいない状態である。

 

「お帰りなさい、なのは」

 

店の奥から、どう見ても20代前半にしか見えない女性が出てきた。

 

「あれ?珍しいわね。なのはが皇治くん以外の男の子を連れてくるなんて」

「そうなのか?」

 

龍一はなのはに聞いた。

 

「皇治くんが他の男の子たちを怒鳴り散らすから、みんなあまり近寄ってこないの」

「なるほど」

「それで君は?」

「あ、はい。初めまして。この間引っ越してきた、守宮龍一です。今日高町たちのクラスに転入してきました」

「あらそうなの。わたしはなのはの母の高町桃子よ。みんなと仲良くしてあげてね」

(原作知識で知ってたけど、生で見るとやっぱり若いな・・・)

「おかえり。なのは」

「あ。お父さん。ただいまー」

「「「おじゃましています」」」

「その子は?」

「今日転校してきた子なんですって」

「そうか。なのはの父の高町士郎だ」

「守宮龍一です」

「それでお父さん。龍一くんがこの間なのはを助けてくれた男の子だったみたいなの」

「それは本当かい?」

「まあ。その通りです」

「ありがとう。なのはを助けてくれて」

「いえいえ」

「それで、お礼がしたくて家まで来てもらったんだけど」

「よし。分かった。今日は好きなものを食べていきなさい。アリサちゃんとすずかちゃんも一緒のどうぞ」

「「「ありがとうございます」」」

 

 

 

 

 

みんながお勧めするシュークリームを食べながらお話していると、気が付いたら7時になっていた。

 

お話もお開きとなり、龍一は帰る支度をする。

 

「ごめんね。こんなに遅くまで引き留めちゃって」

「大丈夫だよ。この時間ならまだ家には誰もいないし」

「「「え?」」」

 

3人の驚いた声が聞こえる。

 

「えっと、龍一くん。両親は?」

「母さんは俺が生まれてすぐ死んじゃって、父さんも仕事で遅いから、基本的にいつも学校から帰っても誰もいないんだ」

「ご、ごめん!?でも・・・その・・・寂しくないの?」

 

恐る恐ると言った感じでなのはが聞いてくる。

 

きっとかつての彼女と龍一を重ね合わせているのだろう。

 

「別に。一人の方が落ち着くし」

「そんな・・・」

「そんな悲しそうな目で見るなよ、僕は一人が好きな性格だから、むしろ好都合だよ。それに休みの日にはよくドライブに連れてってくれるし」

「そうなんだ」

「それじゃあ、また明日」

「うん。良ければまた来てね」

 

こうして、僕の転校初日は終了した。

 




次回からちょっと本気だします。
主人公の憧れの偉人がガンディーなのは、彼の『非暴力』という志に感銘を受けたからです。(彼は自分の事を『物事を暴力で解決することしかできない愚か者』と常々考えています)
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