書くだけの余裕が最近までありませんでしたが、なんとか短いながらも書く事ができました。
出来れば更新を再開できたらなと考えています。
……まぁ、転職がしっかりと出来たらとかな気がしなくもないですが。
「お、おはようダングイス。調子はまぁまぁ……かな」
「まぁまぁ……ね。ま、フォロン君にはそれがピッタリかもしれないね!」
普段より、まともな挨拶をすることもなく自身の自慢話を繰り広げていたダングイスが挨拶をした。
その一点を見るだけでも何かがあったと思うだろう。
現に、普段は苦笑しながら話をしているはずフォロンが目を白黒させながらよくわからない感想に対して礼を言っている。
その様子を見ていたコーティカルテなど、小声でとうとう壊れたかと呟いてしまった程だ。
「ちなみに僕は絶好調さ!」
幸いな事に機嫌がかなり良いらしいダングイスにはその言葉が聞こえなかったらしく、その口が閉じられる事はなかった。
「ん?なんでそんなに絶好調かだって?聞きたいんだね、聞きたいんだろう?」
因みにではあるが。
彼が喋っている間、フォロンはおろか教室内にいる後輩ですら一言も喋ってはいない。
「それはだね、ようやく本当の神曲を理解してくれる存在が現れたからさ!」
「本当の神曲?」
止せば良い物を、フォロンは思わずと言ったようにダングイスに聞いてしまった。
彼の言う本当の神曲とは自身の神曲に他ならず、それを理解することのできない精霊は質が悪いという事なのだとか。
「そして、昨日ようやく出会ったのだよ!紹介しよう、バルゲス・ゴルト・グリディアムだ」
そういって彼は自身の肩に乗せていた精霊に目をやった。
その体毛は全体的に黒味を帯びた茶褐色。しかし、鼻の周りや腹の周りに掛けては黒みが薄れ、枯葉色に染まっている。
また、耳は側頭部ではなく頭頂部に一対丸いものが付いており、両手足は短く、胴体は丸みを帯びている。
その姿はまさに――
「……たぬき?」
「狸じゃねぇ!?」
まごう事なき狸であった(断言)。
「だから……狸じゃねぇ!」
◇◆◇
チッ……
挑発を繰り返しても乗ってくるのは俺たちが探していたと思われる精霊一柱のみ……。
標的のガキはどっちも反応すらしやがらねぇ。
片方は争い事にならないように気を使っている節があるが、もう一人のガキが厄介だ。
言葉の綾で出てきたコーティカルテ・アパ・ラグランジェスの本当に契約したのかという言葉に対して疑いの目で見てきやがった。
契約したかどうかなんて、普通の神曲楽師どころか精霊にすら見抜けねぇっていうのにだ。
紅の殲滅姫の選んだ契約者と奴の秘蔵っ子とやらを調査するだけの筈だったが……一筋縄じゃいかねぇな。
先程、奏希に狸と例えられた精霊――バルゲス・ゴルト・グリディアムは内心でそう毒づいた。
実習室で奏希達と会った彼は、偽りの契約者であるコマロ・ダングイスを嗾け、あわよくばその実力を見ようとした。
だが、神曲を奏でていると思わせたのにも関わらず、彼等は戦闘態勢に入ることはなく、講師による静止という形で幕を閉じた。
「さて、どうすっか……なぁ、どう思うよ?」
夕暮れ時の通学路を歩きながら、バルゲスはダングイスの少し後ろに向かって声をかける。
返事が返ってくる事はない。
そこは誰もいない空間なのだから。
にも関わらず、バルゲスは返事を得たかのようにニヤリと笑った。
「そうだな、お前にはもう一働きしてもらうか」
そう言って、バルゲスはダングイスを見る。
『さぁ、フォロン。どちらの方が優れているのか、雌雄を決しようじゃないか。ケッシヨウジャナイカ……じゃなイカ』
……おいおい、こんなんで大丈夫かよ。
虚ろな目で同じ事を繰り返し言い続けるダングイス。
それを冷や汗をかきながら見守るバルゲス。
彼等の先行きは非常に不安であった。
次の話がいつになるかわかりませんが、気長に待っていただけると幸いです。