我、此処にて舞い奏でる   作:音原織那

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 今回は最後にアンケートがあります。
 御協力お願いします。


第五楽章

(どうして……?!)

 

 ユフィンリーは予想外の状況に焦りを感じていた。

 とにかく単身楽団を展開して、神曲を奏でる事ができればなんとかなると思っていた。

 幸運にも神曲を奏でる事ができた。

 だが、集まった精霊は数柱のボウライのみ。

 飢餓状態の上級精霊相手では時間稼ぎにしかなりはしない。

 

(早く、早く警備員の精霊を呼び出さないと……)

 

 頼みの綱である学院常駐の精霊も現れず、刻一刻とユフィンリーの精神は削られていく。

 焦りは思考の低下を生み、思考の低下は神曲を奏でる能力にも影響を及ぼしていた。

 そもそもの問題として、暴走精霊を倒したいのか助けたいのかもはっきりと考えていない状態で奏でられた神曲では、雑食と言えるボウライといえども時間稼ぎ程度にしか行動する事はできない。

 

 ボンッ

 

 また一柱のボウライが傷付き、慌てて物質化を解除させる。

 もはやボウライ達は好き勝手に攻撃するだけとなっていた。

 

「ツゲさん、落ち着いて下さい!」

 

「煩い!なら、あんたがやりなさいよ!」

 

 学院長が見いだし、連れてきたという少年。

 本当にそうだというのならば、神曲を奏でる事くらい出来るだろう。

 そうして、普段の彼女なら絶対にしないであろう考えを口にする。

 

 

◇◆◇

 

 

「煩い!なら、あんたがやりなさいよ!」

 

 その神曲に、先程のような意思(ココロ)は込められていない。

 あるのは焦りと苛立ち。

 とてもじゃないが、神曲を奏でられる状態ではない。

 それでも彼女が奏でる旋律が神曲として成り立っているのは、単に彼女の才能のお陰だろう。

 だが、それでは足りない。

 目の前の暴走精霊を押さえるにしても、倒すにしても。

 力が。

 心が。

 神曲が。

 何もかもが足りない。

 足りないのなら、新しく足せばいい。

 今、それが出来るのは僕だけだ。

 だけど、つい先程まで神曲のなんたるかを理解していなかったような僕が、神曲を奏でる事が出来るのか?

 旋律に霊気を乗せて奏でれば、確かに似たような物にはなるだろう。

 だが、想いを込める。

 僕は精霊が答えてくれるような想いを込めた事がない。

 それに加えて、補助としての機能を持つ筈の単身楽団の展開方法もわからない。

 演奏をするのなら式紙として持っている楽器を使う事になる。

 ……出来るのだろうか、僕に。

 

『家の事なんて知らない。僕は僕のやりたい事をする』

 

 式符を見て、僕が父さんと母さんに言った言葉を思い出した。

 それを認めてくれたからこそ今の僕があり、この式符が此処にある。

 

『故に奏でよ。汝が魂の形を』

 

 そして、トルバス神曲学院が掲げている言葉の一節を、精霊達の契約の文句の一部分を思い出した。

 ただ、自由に。

 自分を表し、やりたい事を曲に込めればいい。

 気がつけば、自然と持っていた式符に手を伸ばしている自分がいた。

 その手にトランペットを呼び起こし、自分のやりたい事を思い浮かべる。

 その意思(ココロ)は――

 

 

◇◆◇

 

 

 ユフィンリーは信じられない気持ちでいた。

 咄嗟に口をついて出てしまった言葉だった。

 確かに学院長に才能を見いだされたのかもしれないが、学院に入学もしていないような少年が――それも自身よりも四つも年下の少年が――神曲を奏でる事が出来るとは思っていなかったのだ。

 だが、目の前にある光景はどうだ?

 

 天から響くような金管楽器特有の音が、軽快な、テンポの早い旋律を奏でているではないか。

 単身楽団も展開していない、そんな楽器など何処に持っていたと思う余裕すら今の彼女には無い。

 その旋律に思わず手を止めてしまったが、それに気がついた彼女は再び神曲を奏で始める。

 今度は意思を込めて、少年の奏でる旋律に合わせるように。

 

 その効果は劇的であったと言える。

 あれほど待ち望んでも来る事のなかった警備員の精霊が、近くにいたであろう下級精霊が現れては暴走精霊に立ち向かっていく。

 

 そうして、暫くたった頃。

 暴走精霊が身に纏っていた精霊雷(スピリチュアルライトニング)――精霊がその力を行使する際に用いるエネルギー体であり、その見た目は雷の様である――が薄れ、その姿を明確にさせた。

 銀色の毛並みが美しい、獣形態の精霊、ベルスト。

 その形状は猫だろうか。

 精霊は暴れる事をやめ、ゆっくりとその姿を薄れさせる。

 それは、死んだのではなく物質化を解除したのだろう。

 それを理解した瞬間、ユフィンリーは大きく息を吐き出しながら床に座り込んだ。

 

「終わった……みたいね」

 

「…………はい」

 

 横を見れば、少年――奏希といったか――は精も根も使い果たしたというかの様に床に倒れ込んでいた。

 その姿を見て、終わったのだとユフィンリーは実感した。




 さて、今回の話でポリフォニカをクロスさせるに当たって、一番必要な設定は出し終わったと思います。
 そこで、作品の今後についてアンケートを取りたいと考えてます。

 1、このままポリフォニカシリーズのストーリーを書ききってから東京レイヴンズのストーリーに移行する。

 2、東京レイヴンズのストーリーをポリフォニカとは別に章立てをして、ポリフォニカと同時進行で書いていく(どちらのストーリーが投稿されるかは私の気分になります)

 どちらがよろしいかを感想に書いていただければ幸いです。
 尚、投票期限は明日の十二時までとなります。
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