神器作りし吸血鬼~Vampires that made God's weapons~ 作:ぱる@鏡崎琴春夜
妹が生まれ数年の後───私は、能力を会得していた。
物の形を変える程度の能力、そう便宜上は呼んでいるが、その実は水を氷にしたり鉄塊をインゴットに変えたりする程度しかできなかった。
「うーん・・・やっぱり私───才能無いのかな?」
そうぽつりとこぼしながら自分の手のひらの上に輝く金色のコインを放り投げる。
すると放り投げたコインはドロリと溶けた後また、金色のコインへと戻る。
「触れること無く変えれる範囲は二メートル半ね・・・」
落ちてきたコインをつかみ、落胆を見せる。
やはり私は才能が無いのだろう。
偉大なるスカーレット家の一員として恥ずかしいが、こればかりはどうしようも無い。
「図書館でも行きますか・・・」
せめてまだなにか方法が無いか探そう。もしかしたらなにか手がかりがあるかもしれないのだから。
大図書館・・・お父様が集めた魔術や科学、園芸など恐ろしいほど多岐にわたるジャンルの本が集まったこの部屋はなにか探すときにはもってこいの場所だ。
まぁ、何か見つかる代わりに何かなくすことも多い場所だけど・・・そう重い扉を開けてはじめに目に入る光景を見て思う。適当に積まれた本やそこら辺に落ちているメモ。書架ではあるのだが、手入れはおざなりで特に資料を大事にしていないことが理解できる。
「埃っぽいなぁ」
コホコホと咳がでる。あぁ、全くもって嫌になる。
どんなものが私に合うのかわからないため適当に選ぶ。
「ん?これなんだろ?」
ふと目にとまった一冊の本。
手に取れば、ザラザラとした触感がある紅い本。タイトルは【錬金と鍛冶】・・・なぜか心が引かれるタイトルだった。
羊皮紙に一文字一文字丁寧に書かれた理論。その文字はおそらく北欧のあたりのだろう。
これはいつの時代の物なのだろう?
本に書かれている内容は少し幻想的な内容が混じっている。おそらく所々を神話などになぞらえて暗号にしているのだろう・・・
あぁ、続きが気になる。
もしかしたらこの中に私の気に入る物があるかもしれない。
「あぁ、こんなにわくわくしたのはいつぶりだろうな」
右目を隠す髪の毛を左目の方に寄せる。
「やっぱこういうわくわくは気分がたかぶってしょうが無いな」
ニマニマが止まること無く私は部屋に戻る。
部屋にあるテーブルに本を広げ、横にはペンとインクにノートを広げる。
「さぁ、翻訳してやろうじゃ無いか」
ジェニーは気づかなかったが、普段の深い紺碧の左目は隠され、今は獰猛な猛禽類のような迫力を持つ琥珀色の左目が爛々と輝かせていた。