神器作りし吸血鬼~Vampires that made God's weapons~ 作:ぱる@鏡崎琴春夜
家族みんながつく食事の席。
私とお父様お母様にレミリアとフランの総勢五人がつくには少し大きすぎるテーブル。
「ジェニー、お前いくつだ」
そうお父様は尋ねてくる。
「えーっと・・・今年で三十歳になりました」
ドグウェルの本を翻訳したりしているうちに時間はあっという間に過ぎていた。妹も一人増えたしね。
お父様はそうかと少し考え込むような感じで話を打ち切った。
「ねぇ、ジェニーお姉様」
そしてお父様と変わるように今度はレミリアが尋ねてくる。
「なにかな?」
「あのね?お姉様がしてるお仕事をね?私もやってみたいの」
幼さ残る口調でレミリアはそう言ってくれる。
だけど、それはだめだ。
「だーめ。鍛冶は危険が一杯なの、軽く見てると大怪我するんだから」
レミリアはでもーと食い下がろうとしたが、お父様が横からそうだと肯定し仕方なくレミリアは引き下がる。
そして少しして私は食事を終えて自室に戻った。
紅魔館当主の間。そこではふたりの吸血鬼が語り合っていた。
「なぁ、ジェニーのことどう思う」
そう当主は傍らにいる公妃に語りかける。
「・・・少し心配と言うべきでしょうか」
そう公妃は答えた。
二人が頭を悩ませるのは、ジェニーの趣味だった。
日が沈む頃より少し早くに起きては工房の方に行って帰ってくるのは食事のときぐらい。
最初はおとなしげなジェニーがこんな趣味を持つなんてと思っていたがさすがに最近はいささか度が過ぎているとも思えてきた。
「ふむ、では少し控えるように言っておくか」
「やっほー頭領今日も来たよー」
扉を開けて、炉の方にいるであろう頭領たちの方へ行く。
「なんだ今日も来たのかい嬢ちゃん」
案の定頭領は紅く燃える炉を見ながらお茶を飲んでいた。
「それはそうでしょう。もうすぐ翻訳も終わるんでしょ?」
その問いかけに頭領は少し顔を曇らせた。
「どうしたの?」
その陰りが気になり私は尋ねる。
「いや、あの本の最後の章の題がな・・・万物再構築の項だとさ」
「万物再構築?」
聞いたことが無い言葉だと首をひねる。
「読んで文字の通り万物を再び構築し直す技だな。ある意味嬢ちゃんにはぴったりなもんかもな」
頭領の言葉にふむふむと相づちを打つ。
「それで、それがなにか問題が?」
「あぁ、この万物は文字通り万物だってことだ。たとえ生物だといても無機物にすらしちまえる禁術みたいなもんだ」
私は頭領の顔の陰りの理由がやっと理解できた。
「・・・まぁ、探求は飽くなき物ですし、知るだけなら問題ないはずです」
私は小さくつぶやいた。
「ん?何か言ったかい嬢ちゃん?」
「いえ、なんでも。それよりお仕事ありませんか?」
頭領はあるよといって工場のすみに置かれたインゴットの山を指した。
「あいあい、いつものソードですね了解」
そういって私は着替えるために炉とは逆の方向に向かう。
さて、お仕事お仕事。