不幸学生 作:ヤザヤザ
朝日から逃げ、学校の近くのバス停までたどり着いた昴たち。周りには枯れた桜の花びらが散乱していた。
激しく息切れをする昴。そんな昴をタケルと結菜は呆れた様子で見る。
「昴、もう息切れかい? だらしないな」
「それでも、男ですか? 昴さん」
「うる…さい…ぞ。この運動バカ共…」
昴は異常すぎるほど体力がない。恥ずかしいことに、小学生と徒競走しても
それにひきかえ、結菜は普通の人より少しあり、タケルは昴と逆に異常なほどある。
「そういえば、荻縄は追いかけて来ないな」
「そうですね、荻縄さん追いかけて来ませんでしたね」
後ろを振り返ってみるタケルと結菜。呼吸を整えた昴は言う。
「
荻縄朝日は異常なほどな熱心で正義感が強く、曲がったことが大嫌いな性格である。そんな彼が、急に掃除当番になってしまったとはいえ当番から逃げ出した昴を追いかけて来ない。
昴は不思議に思うがその不審を心の奥底に押しこむ。
「まあ、追いかけてこないならそれに
「確かにそうだね。そんなことより、走ったら小腹が空いたからコンビニ行こう。昴、奢って」
「そうですね、確か近くにローゾンがあるから、そこに行きましょう。昴さん奢ってください」
「奢るか! というかお前ら、なんで俺が逃げたと思ってるんだ!」
タケルと結菜は首を傾げて言った。
「「奢ってもらうため?」」
「違う! プラモを買いに行くためだ!」
「そんな……昴さんは酷いです。私達の小腹よりもプラモデルを優先するんですか! 人としておかしいです!」
「そうだ! 昴、君はどうかしてる!」
「俺が奢らないことを
呆れた昴は二人を無視して、ポケットからスマホを取り出しバスの時刻を調べる。その結果、バスがもうすぐで来ることがわかった。
(お、珍しい。いつもなら、数十分後や遅延するのに今日は時間通りかつもうすぐで着くなんて……)
「昴さん昴さん、聞こえてますか?」
バスの時刻を調べてた昴に、結菜が話しかけてくる。また奢りの話かと昴は思い怒気を込めて答える。
「何だ? 奢りなら―」
「バスと荻縄さんがきましたよ」
「……は?」
昴は後ろを振り向く。そこにはバスとそのバスを追い越す朝日の走ってくる姿があった。
「横花君! 見つけたぞ!」
朝日は怒鳴りつけた。
朝日の表情はすごい剣幕で、激怒してることがわかる。
そんな彼を見た、昴は青ざめた。
(ふ、不幸すぎる! バスと一緒に荻縄も来るなんて! というか、何故、荻縄はバスを追い越せてるんだ⁉)
「そういえば、荻縄さんってタケルさんと同じくらい運動神経がありましたよね?」
「違うよ。同じくらいじゃなくて、僕の方が上なんだ」
「マジか……って
「え? 嫌です」
「なっ!? ……ならタケル! お前が―」
「は? 嫌だよ」
「そんな……もういい。自分で何とかする」
二人に拒否された昴。
朝日が追いかけて来てることに恐怖を感じながらも、昴は必死に耐え考える。
(クソ、どうする⁉ 次のバス停まで逃げるか? いや、駄目だ絶対に捕まる。なら掃除を明日にしてもらうとかは? 不可能だ、今の荻縄には何言っても通じないだろう。せめて誰かが協力してくれれば……ん? 協力?)
何か思いついた昴は顎に手を触れ、冷静に考える。
(協力………は! そうだ、思いついた‼ この状況を解決する方法が!)
「なあ、結菜。俺を助けてくれないのか?」
昴は暗い表情で、結菜に言った。
しかし、嫌な予感を感じたのか、結菜は睨みつけ警戒する。
「は? 助けませんよ。『それに自分で何とかする』って言ったじゃあないですか」
「ああ、確かに言った。だが、考えても思いつかないんだ。……頼む! 俺を助けてくれ! もし、助けたら今日奢るから!」
「奢る! 分かりました。何すればいいんですか?」
警戒心が消え、キラキラと目を輝せる結菜。そんな結菜を見た昴は表情が明るくなる。
「ありがとう結菜。荻縄に『助けてください』と嘘泣きをしながら言い続ければいい」
「分かりました、任せてください。奢りの件、忘れないでくださいよ」
結菜はすぐに走って朝日のところに行く。
そして朝日の前に立ち塞がり、昴に指示されたとおりに行動する。
その行動に朝日は
それを見た昴はニヤリと笑う。
(馬鹿だな結菜。今日はもう会わないだろうに)
結菜は馬鹿である。テストではいつも赤点、普通は気付ける嘘に騙されたり、物に釣られてしまう。
昴はその馬鹿なところをつけ込んで結菜を騙した。
「結菜を騙すなんて、君は酷いヤツだな」
引いた表情でタケルが言った。
「普段から俺に迷惑かけてるんだからいいだろ。というか、気付いてたら教えてやればよかったんじゃないか?」
「騙されてる結菜が面白かったから、黙ることにしたんだ」
「お前のほうが酷いヤツじゃねえか!」
昴が言った瞬間、バスが到着する。
昴は後ろを振り向き、朝日と結菜を確認する。嘘泣きしている結菜を本気で泣いてると思い、慰めようとしている。
「ほら、結菜が時間稼ぎしているうちに乗ったら?」
「わかってる。急げ、今の内に乗って行くぞ」
「了解」
タケルと昴はバスに乗る。
バスの中は人は多かったが、入り口の近くにある少し段差がある席が二つ空いていた。
タケルと昴はそこに座る。その瞬間、ドアが閉まりバスが動き走り始めた。
(よし、これで問題無し。あとはらんらんぽーとの近くのバス停まで待つだけだ。結菜、お前の犠牲は無駄ではなかったぞ。さて、もう俺を阻む者はいない。フフフハハハハ)
心の中で昴は笑った。
☆ ☆ ☆
タケルと昴がバスに乗って数分後、バスはデパートの近くのバス停にたどり着く。
そしてバスのドアが開き、乗客達は一斉に降りる。
「やっと着いたね」
「ああ」
タケルと昴は椅子から立ち上がり、バスの出口に向かった。
その瞬間―
「動くな! このバスは俺が乗っ取った!」
黒いパーカーにジーンズ、ちょっと太った体型をした中年ぐらいの男が言った。
その男の手には包丁が握られており、それを運転手に向ける。
「おい、運転手。バスのドアを閉めろ!」
「は、はい!」
その光景を見ていた昴は
(……はっ、まずい! ドアが閉められる)
ドアが閉められることを知った昴は急いで降りようとする。しかし、タケルが降りた瞬間にドアが閉まった。
「は?」
昴は周りを見る。だが彼の他に誰もいない。つまり、昴はバスジャックされたバスに一人取り残された。
「……ふ、不幸すぎるぞおおおおお!」
昴は絶叫した。
この小説を読んでいただき、ありがとうございます。
初めまして、ヤザヤザです。
最近、コーヒーにハマり、百均でコーヒースプーンを買ってしまったんですが、家に大量にあってちょっとだけ、ショックをしてしまいました。
そんなことより、一話から約一ヶ月間執筆がかかってしまい申し訳ありません。まだまだ力不足で時間がかかったり、文章がおかしかったりするかもしれません。
それでも、最後まで読んでいただければ幸いです。