不幸学生   作:ヤザヤザ

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長く時間待たせて、申し訳ありません。



第3話

 降りようとしたバスにハイジャックが起きてしまい、一人だけ降りられなかった昴。

 

 当然、昴は焦っていた。

 

(ヤバイ……マジでヤバイぞ!)

「おい、運転手! 速くバスを出せ!」

「は、はい!」

 

 バスジャックの男の言う通り、運転手はアクセルを踏んでバスを出す。

 

「もっとスピードを出せ! あと、そこのお前、こっちに来い!」

 

 バスジャックの男は、昴を呼ぶ。

 

 昴はビクッと震え、さらに焦りだす。

 

(クソおおおおおお! どうする! 大人しくバスジャックの男のところに行くか? いや駄目だ、人質にされて逃げれる可能性が低くなる。それなら、運転手と一緒にバスジャックの男を拘束すれば……無理だ、俺は力がないから足手まといになる。クソ、どうすれば……)

 

焦りながらも必死に、昴は解決方法を考える。

 

「おい、お前聞こえてんだろ! こっちに来やがれ!」 

 

バスジャックの男の怒声は強くなっていく。

 

昴は自分の頭を抱え込む。

 

(聞こえてるよ! ……ん、そうだ思いついた、思いついたいたぞ解決方法! だがこれは、あまりにも危険でうまくいく保証はない。どうするやるか?)

 

その解決方法を実行するか悩んでいると、バスジャックの男が近くの席を蹴り激怒する。

 

「聞こえてるだろ! 速くこっちに来いクソガキ!」

 

先にほどより、さらに強い怒声でバスジャックの男は脅すように言う。

 

昴は瞼を閉じる。

 

(もうやるしかないこの方法で!)

 

昴はその方法を実行することに決めた。

 

その方法はあまりにも危険で、失敗する可能性が高い。

 

それでも、昴はこの方法に賭けることにした。

 

生きるために。

 

大きく息を吸って、昴は瞼を開ける。

 

今の昴からはバスジャックに怯えていた恐怖が消え、剛毅(ごうき)な覚悟があった。

 

(行くぞ、俺!)

 

昴はバスジャックの男の方に振り向き、

 

「ううううううっ!? 頭が痛くて聞こえなーい! うああああああ!」

 

強い頭痛で苦しむ演技をした。

 

そんな昴の演技を見た、バスジャックの男は、

 

「ふざけてんじゃあねえぞ、クソガキ!」

 

昴の演技を簡単に見抜いた。

 

(ですよね! 無理ですよね! わかってました)

 

 昴の演技のせいか、強烈な怒りと殺気を出しながらバスジャックの男は、昴に近づいてくる。

 

「お前……、ふざけてんじゃねえぞ!」

 

(あ、終わった俺の人生。母さん、父さん今まで育ててくれてありがとう。神、俺が死んだ後は不幸体質を取り除き、今度は普通の人生を過ごさせろ)

 

最期を感じた昴は瞼を閉じて、心の中で遺言を言った。

 

そのとき――

突然、バスが急ブレーキをして止まる。

 

「「うおっ!?」」

 

大きく揺れるバスに、二人は驚く。

 

昴は咄嗟に近くの手すりに掴まるが、バスジャックの男は反応が遅れ、手に持っていた包丁を運転席の方に手放し後ろに倒れ、後頭部を強く打つ。

 

「ぐげっ!」

 

バスジャックの男は呻き声をあげた。

 

(……た、助かった!! 何故、急ブレーキをしたかわからないが、まあ助かったから理由なんてどうでもいいか)

 

昴は安堵(あんど)する。

 

「す、すみません! 猫が急に飛び出して止まって――」

 

運転手は運転席から出て、バスジャックの男に急ブレーキの理由を話そうとする。

 

その運転手に包丁が飛んでくる。

 

「運転手さん、危ない!」

 

昴は 運転手に危急(ききゅう)を知らせる。

 

「え? うおっ!」

 

飛んできた包丁に運転手は驚き、サッと避ける。

 

しかし――

 

「ぐわっ!?」

 

避けた先には段差がある席があり、運転手はその席に側頭部をぶつけ俯せに倒れた。

 

「運転手!? せっかくバスジャックの男が気絶したらしいのに!」

 

昴は運転手のところに行き、声をかけたり、揺すったりする。だか、起き上がらない。

 

(クソ、バスジャックの男が起き上がる前に脱出しなきゃいけないのに……ん、これは)

 

そのとき、昴の足元の近くに包丁が落ちてあった。

 

(一応拾っておくか。バスジャックの男が拾ったらヤバいし……)

 

念のため、昴は包丁を拾う。

 

そのとき、運転手が起き出した。

 

「いてて。何でこんなに痛いんだ? 確か俺はバスジャックにあって……」

 

意識を取り戻た運転手に、昴は喜悦(きえつ)する。

 

「あ、よかった無事でしたか。今のうちに脱出しましょう。バスジャックのお――」

 

「観念しろ、このバスジャック野郎!」

 

状況を説明する昴を、()()()()()()()()()()()()()()

 

「…………はあ?」

 

昴は混乱した。

 

いきなり、自分のことをバスジャック野郎と言って襟を掴んできたのだから。

 

(は? 今、何て言った? 俺のことをバスジャックって言ったのか。……はああああああ!? 俺がバスジャック!?)

 

運転手の言ったことを、やっと理解した昴は弁解する。

 

「な、何言ってるんですか! 違いますよ!」

「嘘つけ! 俺を騙せると思うなよ。証拠にお前の手には包丁があるじゃねえか!!」

「この包丁はバスジャックの男が、拾わせないようにしただけです!」

「そんな嘘で騙せると思ってんのか、馬鹿じゃねえの!」

 

昴の言っていることを全く信じない運転手。

 

そのとき、気を失っていたバスジャックの男が呻き声をあげ、起き上がり始める。

 

「いたたた、あれ俺は……」

(マ、マズイ!)

 

バスジャックの男が起き上がっていることに昴は気付く。

 

昴は焦りだし襟を掴んでる運転手の手を、引き剥がそうとする。

 

「離せ! ふざけてる場合じゃないんだぞ!」

「離すかよ! このまま、お前を拘束して警察に引き渡してやる!」

「離せ! このクソジジイ!」

 

自分のいってることを信じない運転手に、昴は激怒した。

 

(早くこの運転手をどうにかしないと、バスジャックが起き上がってしまい、今度こそ俺は終わる)

 

昴は抵抗しながら、対処法を考えようとしたとき、

 

「おい、てめえ! 何してやがる!」

「し、しまった!?」

 

バスジャックの男の方に昴は目を向ける。

 

バスジャックの男はすでに起き上がり、昴を睨みつけていた。

 

(今度こそ、終わったな、俺……)

 

バスジャックの男は昴たちのところに走ってくる。

 

昴は瞼を閉じ、死を覚悟した。

 

バスジャックの男は昴に抱きつき、言う。

 

「バスジャック! その包丁を離せえええ!」

「…………え? ええええええ!?」

 

昴は驚愕(きょうがく)する。

 

「は、はああああああ!? 何言ってるんだ! バスジャックはお前だろ!」

「違う! 俺はお前と違ってバスジャックなんて()()()()()()()()()()()()()!」

「は!? お前何言ってんの!」

 

バスジャックの男の発言と行動に、昴はする。

 

「助かったぜ! ()()()()()()()()()。ちょっとコイツを抑えていてくれ」

 

運転手は昴の襟を離し、自分の上着とシャツを脱ぐ。

 

その間に昴は包丁を離して両腕で、抱きついているバスジャックの男に全力で抵抗する。

 

だが、全くビクともしなかった。

 

「クソ、なんて力だ」

「お前、力弱すぎだろ」

 

バスジャックのは言った。

 

(く、俺は何で力が無いんだ…… そういえば、運転手は何してんだ?)

 

昴は運転手を見る。

 

運転手は自分のシャツを破って紐を作り始めた。

 

「おい、運転手、俺は本当にバスジャック犯じゃない。 コイツなんだぞ、コイツが本当のバスジャック犯なんだぞ!」

「何言ってるんだ、馬鹿かお前?」

 

運転手は呆れ果てる。

 

「本当だ、運転手! 俺はバスジャック犯じゃない! コイツがバスジャック犯だぞ」

「違うって言ってんだろ! 運転手さん、早く!」

「ああ、バスジャック犯。お前はもう終わりだ」

 

運転手は昴に近づいていく。

 

そんな運転手を見て、昴は競々(きょうきょう)する。

 

「や、止めろ、来るな……、ふ、不幸すぎる! 不幸すぎるぞおおおおおお!」

 

こうして、運転手とバスジャックの男によって昴は拘束された。

 

拘束されてる途中、昴は気づいた。

 

二人は頭をうったときに記憶を失っていたことに。運転手は、バスジャックの男が誰だったのか。バスジャックの男はバスジャックをしたことを。

 

 




どうも、ヤザヤザです。
ついに、四月も終わり令和ですね。
この四月、交通事故に遭いかけ自分も横花昴のように、不幸体質になってしまったのかと思いました(笑)
そんなことはさておき、不幸学生はいよいよ終わりに近づいてきました。
こんな小説を三話まで、読んでくれてありがとうございます。
四話も家庭の事情とかで執筆に時間を掛けてしまうと思いますが、引き続き不幸学生をよろしくお願いします。
それでは。
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