副作用に副作用があるのはおかしいだろ!!   作:おびにゃんは俺の嫁

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今回はちょい短めです。
感想、アドバイス、批評お待ちしてます。


第12話

酷い目に遭った…

 

待機任務は鈴鳴第1と合同だった。

ゲートを強制封鎖しているので任務は万が一に備えて支部で待機しておくというものだった。

 

「おっ来たか」

「佐藤先輩!お疲れ様です!」

「よろしくね佐藤くん」

「おう、よろしくな。鋼、太一、今。来間先輩もよろしくお願いします」

「うん。今日はよろしく夏樹くん」

 

任務が始まって最初はみんな警戒していたが、しばらくしてみんな気が緩んできたのかリラックスし始めた。

 

「あー、暇っすね」

「そう言うなよ。太一」

「でもゲートを強制封鎖してるから俺たちいなくても大丈夫なんじゃないですか?」

「それでもだよ。万が一があるかもしれないからね」

「でも〜、暇すぎません?」

「確かに、することがないな」

「そうね。何かに没頭するわけにもいかないものね」

「そうっすよね。鋼さんも今先輩そう思いますよね!」

「支部内でなら何かしててもいいんじゃないっすか?ずっと肩肘張っとくわけにもいかないでしょうし。どうですか?来間先輩」

「そうだね。夏樹くんの言うことも確かだし、何かしていようか」

「やったー!」

「じゃあ勉強でもしようかしら。佐藤くんもどう?」

「ん〜そうだな。そうさせてもらうよ」

「おっ、じゃあ俺もそうしよう。夏樹、わかんないところ教えてくれ」

「おう、いいぜ。でまず何からやる?」

「えー!先輩達真面目すぎませんか!?こんな時なのに勉強するんですか?」

「太一、お前成績大丈夫なのか?」

「そうよ。あんたたまには勉強しなさいよ。高校からは留年もあるんだから」

「わからないところがあったら教えてあげるからさ。一緒に頑張ろう。ね?」

 

と、勉強に取り組み始めたはいいものの…

 

「太一、この問題間違ってるよ」

「えっ!めっちゃ丁寧に計算したっすけど…」

「どれどれ〜。ちょっと見せてみなさい」

 

と今が太一のノートを覗き込む。

 

「そうね…特に計算は間違ってないみたいだけど…ちょっと佐藤くんも見てくれない?」

 

今に渡されたノートを見る。

特に計算は間違ってないなぁ。

 

「太一、問題を見せてくれ」

 

太一から渡された問題プリントを見ると、問題の式をノートに写し間違えていた。

 

「はぁー。太一、問題をノートに写す時に式のプラスマイナスが逆になってるぞ」

「えっ?ほんとっすか!」

 

と、計算云々の前の段階で躓いていたり、間違った部分を消そうとして合ってた部分も消したりと中々太一の勉強が進まない。

それでも、勉強を終わらせた今と鋼と俺が来間先輩に加わって、4人体制で教えてなんとか太一も勉強を終えた。

 

「終わったー!」

「終わったね…」

「疲れた~」

「いや〜、自分の勉強より太一に教える方が疲れた気がするよ」

「確かにな」

「そうね。常に凡ミスしないように見てたものね」

「みんなお疲れさま」

「来間先輩もお疲れ様です」

「いや〜、勉強したらお腹が減ってきたなー。先輩達もお腹減りません?」

「そういえばそうだな」

「確かにお腹空いたね。カップ麺でも食べようか。佐藤くんもどう?」

「そうですね。お願いします」

「私はやめておくわ」

「じゃあ4人っすね。今持ってきます」

 

と太一がカップ麺を4つ持ってきて、お湯を入れれるようにそれぞれをセットする。

ここまで太一がやらかすことはなく、俺たちも安心していた。

しかしここで事件が起こった。

 

「お湯持ってきます」

 

と言った太一がやかんを持ってきた。

そしてそのやかんの中身ををカップ麺に注ぐ。

そこで俺は違和感に気づいた。

やかんから出ているお湯に湯気がたっていないのだ。

 

「太一、それ沸かしたか?」

「あっ!!忘れてました!ど、どうしましょう?水入れちゃいました」

 

案の定太一はお湯を沸かし忘れて、水のままカップ麺に注いだのだ。

 

「そういえば、水を入れてもレンジでチンすれば大丈夫だって聞いたことが…」

「ほんとっすか!ならチンしてきます!」

 

鋼の話を聞いた太一は給湯室に走っていく。

あれ?でも確かカップ麺の容器って…

 

「カップ麺の容器チンして大丈夫だっけ?」

「…っ!?太一!ちょっと待ちなさい!」

 

と俺と同じことを思った来間先輩の言葉に今がいち早く反応して、太一を止めた。

確か、カップ麺の容器をチンすると火事になるかもしれないだっけか…

危なかったぁ。危うくぼや騒ぎになるとこだった…

今が今度はちゃんと沸かしたであろう、注ぎ口から湯気が出ているやかんを持って戻ってきた。

 

「大丈夫だったかー」

「ええ、ギリギリね。まったく!太一たら」

「まぁまぁ、ボヤにならなくて良かったよ」

 

しかしなんだろう…

まだ厄災が起こりそうな気がする…

嫌な予感を感じつつ、まだお湯もましてや水も注いでないカップ麺に今の持って来たお湯を入れて出来るのを待っていると、給湯室から太一が小走りでカップ麺の入ったお椀を持って来た。

 

「いや〜お騒がせしましたー。でもカップ麺ってチンしてもちゃんと出来るんですね。初めて知りました!」

「そう。そりゃ良かった」

「早速食べましょっうぉあっと!」

「っ!?」

 

その時だった太一が足をもつれさせて、思いっきりすっ転んだ。

その拍子に太一が両手で持っていたお椀をバスケのチェストパスのように勢いよく飛ばした。

お椀は一直線に俺のおでこにクリーンヒットした。

 

「ぶべら!!」

 

情けない声を出して後ろに倒れた。

しかしそれで終わるはずもなく、勢いを失った熱々カップ麺入りのお椀が、仰向けに倒れた俺の顔面に中身をぶち撒けるように落ちて来た。

 

「熱っつ!!」

 

トリオン体なので熱さは軽減されるが、ビックリした勢いで叫びながら跳ね起きた。

 

「だ、大丈夫!?」

「す、すいませんっす!何か拭くものを…あ!あった!」

「太一!一旦落ち着きなさ…」

 

今が焦る太一を止めようとしたが時すでに遅く、太一が机の上にある布巾を取ろうと手を伸ばす。

この時、太一を除く4人全員が迅さんと同じように未来を視ていた。

 

「あっ!」

 

太一はツルッという音が聞こえそうなほど綺麗にぶち撒けられたカップ麺のスープに足を滑らせた。

倒れそうになった太一は身体を支えようと手を床に伸ばす。

だが太一が手をついたのは机の上のさっきのやっとの思いで終わらせた宿題のプリントだった。

プリントは太一の手もろともお湯を注いだカップ麺へと滑っていった。

4人の視ていた未来はそっくりそのまま現実になった。

部屋にはカップ麺のジャンキーな匂いが充満し、床の一部にはカップ麺の中身が広がり、太一のプリントは茶色く濡れていた。

 

「なにこれ…」

 

誰かの呟きが虚しく部屋に響いた。

 

まったく太一の奴は何というか…

とんでもない星の元に生まれて来たんだな。

まぁ幸いみんなトリオン体だったから、被害は太一のプリントだけだったから良かった?のかな…

ま、いっか。

それより、そろそろ三雲くんとの約束があるんだったか。

イレギュラーゲートの原因が分かるといいんだが…

 

三雲くんとの合流場所に向かっていると、後ろから

 

「ぼんち揚食う?」

 

と迅さんがぼんち揚の袋を差し出しながら声を掛けてきた。

 

「いただきます」

 

そう言って俺は迅さんの持つぼんち揚の袋に手を伸ばした。

結局カップ麺を食えなかったから少しお腹が空いていたからちょうど良かった。

 

「いつも食ってますけど、飽きないんですか?それ」

「う〜ん、飽きたことはないかな。夏樹の甘いもん好きと同じようなもんだよ」

「いや、なんか違う気がしますけど、まぁいいです。それより今はイレギュラーゲートですよ」

「ま〜、大丈夫だと思うよ。あっ!そうだ。ちょい寄り道していい?」

「なんですか?寄り道って。なんか視えてるんですか?」

「ま〜ねぇ」

 

そう言う迅さんの後について行くと、学ラン姿の秀次と米屋がいた。

なるほどね…

すでに城戸さん達もマークしてる訳か。

流石未来予知だな。

迅さん昨日の会議で秀次を視たのか。

迅さんと秀次達が話して、迅さんが一枚の紙を渡すと2人は帰って行った。

 

「2人に何を渡したんですか?」

「ん?命令書だよ。昨日の内に忍田さんに作って貰っといたんだ。今日の午後から大仕事があるからね。おっ、いたいた。メガネくんお待たせ」

「あ、おはようございます」

 

三雲くんと合流した俺たちはレプリカ先生と空閑遊真くんに会いに、警戒区域内に入った。

しばらく警戒区域を歩いて行くと、クレーターのように地面が凹んでいる戦闘跡に第3中の制服を着た白髪の子が瓦礫をめくっていた。

 

『ユーマ、昨日話した彼らが来たようだ』

「やあ、空閑くん。昨日ぶりだね」

「おう、オサムと…」

「佐藤夏樹だよ。で、こっちが迅悠一」

「そうそう佐藤先輩だ」

「俺は迅悠一。よろしく!」

「あんたが迅さんか、俺は空閑遊真。背は低いけど15歳だよ」

「空閑遊真…空閑ね。お前が空閑有吾さんの息子で、向こう側の世界から来たってことでいいか?」

「そうだよ。でもなんでわかったの?」

「お前の正体に最初に気づいたのは俺じゃなくて夏樹だよ」

「へー、佐藤先輩ってアタマいいんだね」

「おう、夏樹は凄いぞ!」

「いやいや、俺の頭が良いのはサイドエフェクトのせいですよ。サイドエフェクトで言ったら迅さんの方が凄いじゃないですか」

「そうなのか?」

「 ああ、俺のサイドエフェクトは脳の使用率を操作できるってだけ。でも迅さんのは未来予知。目の前の人の少し先の未来が見える。でしたよね?迅さん」

「未来が…!?」

「そう。それで昨日夏樹とメガネくんに会った時に、ここに来ればイレギュラーゲートの原因が分かるって未来が見えたんだ。まっ、昨日レプリカ先生と話せたからってのもあるんだけどね」

「でレプリカ先生、昨日話した原因見つかったか?」

「見つけたよ、ついさっき。犯人はこいつだった」

 

空閑はそう言うとル◯バくらいの大きさのトリオン兵の残骸を渡してきた。

 

「なんだこいつは…!?トリオン兵…!?」

「見たことないトリオン兵だな」

『詳しくは私が説明しよう』

 

にゅーっと空閑から炊飯器のような黒い物体が出てきた。

音声から察するにレプリカ先生だろう。

 

『子機で昨日会ったが、改めて初めまして、サトウ、ジン、私はレプリカ。これが本体だ」

「ああ、改めてこちらこそよろしく。それでこのトリオン兵はなんなんだ?」

『これは隠密偵察用の小型トリオン兵「ラッド」』

 

レプリカ先生からラッドについての話を聞く。

どうやら俺の推測は大体当たっていたようだ。

しかし地中に潜んでいたのか…

 

『ラッドは攻撃力を持たない所謂雑魚だが、その数は膨大だ。今探知できるだけでも数千体が街に潜伏している』

「数千…!」

「全部倒そうと思ったら何十日もかかりそうだな」

「いや、大丈夫だよ。こっからはボーダーでなんとかするよ。ありがとうな、めちゃくちゃ助かったよ」

「夏樹はラッドを持って鬼怒田さんのとこに行ってくれ。俺は他のとこに行くから」

「了解です」

 

俺は迅さんとボーダー本部に向かった。

 

「鬼怒田さんはいますか?」

 

本部に着いて迅さんと別れた俺は開発室に来た。

 

「佐藤か、どうしたんだ?ってそれはまさか!?」

「はい、イレギュラーゲートの原因です。取り急ぎこれをレーダーに映るようにしてください。2時間以内でお願いします」

 

そう言って鬼怒田さんにラッドを渡す。

 

「わかった2時間だな。お前も来い!解析を手伝ってもらうぞ!」

「了解です」

 

鬼怒田さん達を手伝ってラッドをレーダーに映るようにした後、緊急放送が三門市中にながれた。

その後すぐにC級隊員を含めた全隊員に召集がかかり、迅さんの指揮でラッドの一斉駆除作戦が昼夜を徹して行われた。

俺は開発室の手伝いで現場には出なかったが、無事終了したらしい。

これで三雲くんもクビにはならずに済むだろう。

 

ラッドの解析作業もひと段落したので、家に帰ることにして、俺は本部の出口に向かった。

 




いつも誤字報告ありがとうございます。

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