副作用に副作用があるのはおかしいだろ!! 作:おびにゃんは俺の嫁
体調崩したり、イベントをこなしたりで忙しく遅れてしまいました。
夏樹が嵐山達と会ってから3日後の12月18日、遠征から帰って来た太刀川らが黒トリガー強奪に動くであろう日。
すでに陽は沈み、辺りには闇がたちこめ、夜特有の静けさに包まれていた。
周りの家屋の明かりは消えており、人の気配を感じられない。
そんなゴーストタウンのような雰囲気漂う場所に夏樹と迅はいた。
「そろそろですかね?」
「ああ、もうすぐだ。嵐山達は?」
「ちょい待ってください。今確認します」
夏樹は綾辻にトリオン体の通信機能で連絡をする。
「…そうか、了解したよ。じゃあ伝えた作戦通りに…ああ、頼んだ」
「どうだ?」
「嵐山さん達はデカめのゲートが開いたらしくて、嵐山さんと木虎、時枝はそれの対処で遅れるそうです。でも佐鳥はこっちに向かってます。後、綾辻もこっちのサポートに入ります」
「そっか、そっちに進んだか…夏樹気合い入れていくぞ」
「了解!」
2人は目を合わせ、互いに気を引き締めた。
もうすぐ来るであろう激戦に備えて。
◆
『「俺1人だったら」の話だけど』
迅さんと太刀川さん達の会話を通信越しに聞いていた俺は隠れていた場所から迅さんの隣へと跳んで、太刀川さん達と相見えるする。
「佐藤……!」
「夏樹先輩…!?」
「どうやら、いつも以上に本気のようだな…」
太刀川さん達はどうやら俺がいることに驚いているようだ。
まぁ確かに俺は、こういった事に関わらないから、もし俺もそっちにいたら驚いてるだろうけど。
『夏樹どうだった?』
迅さんが秘匿通信越しに嵐山さん達のことを聞いてくる。
『まだかかるそうです』
『じゃあ、あっちのプランだな』
『はい』
俺との秘匿通信を終えた迅さんは
太刀川さん達に向かっていつものように
「夏樹がいれば、はっきり言ってこっちが負けることはないよ。俺のサイドエフェクトがそう言ってる」
と、断言した。
俺も迅さんに続いて太刀川さん達に退くよう話す。
ここで退いてくれたら楽なんだけどな…
「なるほど、「未来視」のサイドエフェクトか、それに夏樹が出てくるとはな…随分と本気のようだな。ここまで本気なお前達は久しぶりに見る。……おもしろい、お前の予知を覆したくなった」
その一言で太刀川さんが左腰の鞘から孤月を抜いた.
そして迅さんも同じように風刃を抜く。
俺もレイガストをシールドモードで前に構える。
太刀川さんの後ろにいる人達ももそれぞれが戦闘態勢を取り、こちらの動きに目を凝らす。
俺はサイドエフェクトの使用率を20%まで上げて、太刀川さんらのありとあらゆる動きを予想していく。
最初に動いたのは風間隊の3人だった。
俺たちに向かって3人は駆け出してくる。
俺は後ろに跳んで下がり、風刃を構えて風間達を迎え撃つ迅さんの援護できるようにする。
「バイパー」
俺は、瞬時に前に立っている迅さんを避けて道路いっぱいに広がる弾道を組み、バイパーを撃つ。
出水の「でかっ!?」と言う声が聞こえ、太刀川さんの好戦的な笑みと、他の人達の驚愕の表情が目に入る。
太刀川さん、どれだけ戦闘狂なんだよ…
撃ったバイパーは、弾道通り飛んで行ったが太刀川さんらはシールドで防ぐなり、横の家屋の屋根に飛んで躱すなりして凌がれた。
だけどその隙に迅さんが、先頭でシールドを張っていた風間さんに向かって風刃を振るう。
風間さんは、迅さんの振るった風刃を右手のスコーピオンで受け流すようにして防ぐ。
そこに太刀川さんと風間隊の2人が加勢してが迅さんと4人で近接戦が展開される。
俺は、迅さん達の接近戦に出水らが横槍を入れさせないよう、バイパーを撃ちまくる。
今はタンクも解放している。
やってやる!!大盤振る舞いだ!
時折、太刀川さんの旋空孤月や出水の攻撃が俺に向かってくるがそれはレイガストで凌ぐ。
次の手を考えていると、背後に気配を感じる。
レイガストを背後へと振り、背後に振り向く。
「いや〜気づかれちまったかー流石っすね」
「ギリギリな」
俺はそう言うと同時に、身体を捻ってさっきまで向いていた方向からの狙撃を躱す。
「うおっ!それも躱すとかマジかよ!?」
「今度からは視線に気を付けることだな」
驚きつつも米屋は槍を構え直して俺に向かってくる。
斜め上から誰かが走ってくる音が聞こえ、米屋に向かってスコーピオンを投げ牽制して、距離を取り足音の方を向き、飛びかかってきた足音の主である秀治の孤月をレイガストで防ぐ。
弧月をはじかれた秀次は、俺の向こう側に居る米屋にアイコンタクトを交わす。
秀次と米屋の位置取りのうまい連携攻撃と、時折飛んでくる動きを阻害するような奈良坂と古寺の狙撃によって俺は迅さんの援護をする余裕がなくなった。
さらに、時折上から出水が撃ったバイパーが飛んでくる。
まずいな…このままじゃ押し込まれちまう
俺は、背後に回り込んでいる米屋に蹴りを加え、米屋を一旦遠ざける。
そして目の前の秀次に、スコーピオンの軽さを活かした連撃を叩き込み、防御に専念させる。
その隙に迅さんらが戦ってる方へ視線を向け、テレポーターで跳ぶ。
「なっ…!?」
跳んだ先で、いきなり現れた俺に驚いている歌川に、スコーピオンを生やした足で蹴りを加える。
驚きで一瞬反応が遅れた歌川の防御は、スコーピオンで切られるのは防いだが、歌川本人は家屋の塀へと吹き飛ばされた。
迅さんは、その間に菊地原を風間さんの方へバランスを崩させて、太刀川さんの弧月を弾く。
今ので出来た隙に乗じて、俺と迅さんは太刀川さんらから距離をとる。
『一旦距離を取りますか?』
『そうだな、作戦通りにそろそろ動くか。頼めるか』
『了解です。カバー頼んます』
迅さんとの秘匿通信を終えて、俺はサイドエフェクトの使用率をさらに30%にまで上げる。
「
30%まで上げた頭で、狙撃手に狙われないように素早く弾を合成、キューブを細かく分割してそれぞれ全員を鳥籠で囲う弾道を設定して放った。
放たれた弾丸を太刀川さんたちは、素早く防御から回避に意識を切り替えて躱していった。
その隙に俺と迅さんは、後ろの交差点を曲がり、太刀川さんたちからいったん距離をとった。
◆
舞い上がった土煙を前に、太刀川たちは周囲を警戒をしながらも迅と夏樹への対抗策を話し合っていた。
まぁ話し合うと言っても、実際は通信を用いているので声は出ていないのだが。
「2人纏まってるとなかなか殺し切れないな」
「そうだな。それに迅はまだ風刃を一度も撃っていない。トリオンを温存する気だろう」
「佐藤先輩もヤバいんじゃないですか?あのキューブ見ました?デカすぎでしょあれ」
この場にいる全員が思っていることを出水が口にする。
夏樹は普段は「タンク」という自作のトリガーで、夏樹本来のトリオン量の3分の2を貯め、トリオン体構築用のトリオンを3分の1に制限することでトリオン体構築までの時間を短縮している。
また貯蓄されているトリオンはいつでも戦闘用に使用できるようになっている。
そして今、夏樹は「タンク」の制限を解いているため、夏樹本来のトリオン量を存分に使えるのだ。
さらにそれに加えて、今まで貯められていたトリオンを使うことも出来るので、トリオン切れが起こることは無いだろう。
なにこの
もっとも夏樹のトリオン量は膨大なため、トリオン体の構築にとてつもなく時間がかかる。
その為夏樹は滅多に制限を解くことがないのだが、だが今回はその制限が解かれており、今回のことへの夏樹の本気度がうかがえる。
「ああ、おそらくあいつのトリガーの制限を解除しているんだろう」
「だとすると、まずいだろ。あいつのトリオンは化け物レベルだからな、持久戦に持ち込まれたらなおのこと面倒だな」
「こいつら無視して、黒トリガーを獲りに行ったらダメなんですか?うちの隊だけでも」
「ダメだ。玉狛には木崎たちもいる。ここで戦力を分散させるのは危険だ。それにそれがあいつらの狙いかもしれない」
「なるほど……了解」
「でもどうするんですか太刀川さん?このままじゃ埒が明かないっすよ」
「そうだなぁ…三輪、米屋と古寺はまだか?」
「もうすぐ合流します」
「そうか……風間さんと冬島さん、二人の隊で夏樹を頼めるか?その後、夏樹が片付き次第こっちに合流してくれ」
『なるほど、各個撃破しようって訳だな』
「頼めます?」
『ああ、俺は大丈夫だ。既にある程度ならワープも仕掛けられた。準備OKだ』
「風間さんもそれでいいですよね」
「ああ、構わない。それで行こう。行くぞ菊地原、歌川」
「「了解」」
風間隊の面々は、そう言うとレーダーからさっき反応が消えた方、バッグワームの使える夏樹の方へと走り出した。
そしてそのあとに続いて太刀川らもレーダーに反応を残している方、つまりは黒トリガーの迅の方へ向かいだした。
次はなるべく早くできるよう頑張ります。
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